やってくれたな、N。
羽鳥の殺害のために用意された無人島で10人の犯罪者達とのサバイバルをしていたオレと羽鳥だったが、短期決戦に臨んだこちらの意図が犯罪者達とミスマッチ。
向こうの体制が変わったところで作戦通りに決行したのが裏目に出て、ベースキャンプを空にした攻めの1手で羽鳥が窮地に追い込まれてしまった。
殺される前に犯罪者達の慰み者にされかけていたところで、トラウマから羽鳥の中のジャック・ザ・リッパーの血の呪いが色濃く発現してしまい、わずかな時間で残っていた6人の犯罪者は全滅。
あまりにも躊躇なく6人を殺害した羽鳥は、男を人として認識できない症状が出ているからか、オレまで攻撃し始めてしまい、木の陰に隠れてなんとかやり過ごすことができた。
そしてそこで状況をほぼ完璧に把握したオレは、この仕組まれたサバイバルにおけるNの狙いが理解できた。
羽鳥はあれでかなりの修羅場を経験しているSランク武偵で、危険な場所に自ら突っ込んで行くくらいには危機に対しての耐性というか、対応力が高い。
しかしそれはほぼ全てにおいて羽鳥の意思で飛び込んだ危機。いくらかの備えが事前にあるのが前提なのだ。
だからなのか今回のようにイレギュラー的に危険な場所に放り込まれると、その備えが上手く機能しなくて、どこかしらにストレスがかかるんだ。
オレが感じたこの島に来てからの羽鳥の余裕のなさはこれが原因だったと今ならわかるが、そうやって羽鳥に精神的なストレスを与えるのがNがこの島を選んだ理由の1つ。
逃げられない状況は羽鳥に四六時中の警戒を促していたのは確かだし、オレと会わなければ3日目には1人ずつでも犯罪者達を殺して回っていたかもしれない。成功率で見ればかなり高いだろうしな。
だがそれでは今の状況は作れないため、そうならないようにオレをこの島に配置して、この時までの抑止力にした。くそっ、よく考えてやがる。
武偵法9条に縛られてるオレなら犯罪者と言えど、みすみす殺すようなことはしないしさせないと、ある種の信頼をされた上で仕組まれたシナリオ。
オレと羽鳥なら犯罪者を無力化することも十分に考慮して10人も配置したのも確実で、そうなった場合に一網打尽にならない数を揃えながら、無力化した犯罪者を隔離する労力を割かせるのも策の内だろう。
そうなれば必然、オレ達が取れる選択肢は短期決戦での決着しかなくなり、攻めの1手を早くに仕掛けることになる。
そのタイミングに合わせて、数の減らされた犯罪者達に「敵を舐めすぎだバカが」とかそんな感じで煽れば、向こうも攻めの1手を仕掛けて、互いに攻めの姿勢でぶつかることになって、元々のパワーバランスが犯罪者達に片寄ってる以上、追い詰められるのはこっちというわけだ。
これで下準備はほぼ終了。あとは羽鳥が死のストレス。或いは過去のトラウマを呼び起こされるような事態になってくれさえすれば、積み重なったストレスが爆発してジャック・ザ・リッパー4世が目覚める。
最後の仕上げとして殺す必要のない、羽鳥に近しいオレが殺されることで羽鳥を完全に壊し、武偵として再起不能にしてしまえば、行き場のない羽鳥はNの誘惑に乗ってしまう可能性が高い。
いや、事によってはオレの知る羽鳥はその時点で死んだも同然になってしまうのかもしれない。
「ふざけるなよ……」
恐ろしいほどに悪魔的で計算された計画。
これを逆算して仕組んだだろうモリアーティの強大さを垣間見て普通なら臆するところだろうが、今のオレは怒りしか感じない。
羽鳥がどれほど血の呪いに苦しんでいたかも知らずに。その呪いと戦いながら、紙一重のところで武偵を続けて人助けをしていた羽鳥の危うさを利用して。
ただ自分の望む世界のために1人の女を平気で壊すこのやり方は、あまりにも
痛々しいほどに壊れかけた今の羽鳥から身を隠しながらも、これ以上のNの計画の進行を阻止するために今ここで羽鳥を止める決意を固める。
以前にジャック・ザ・リッパーの血が目覚めた時はほぼ相討ちでなんとか止められたが、今の羽鳥はあれ以上にヤバい状態と見て間違いない。
それでも止めなければ、事はNにとって都合の良い方向に向かいかねない。
……いや、そんなことは今はどうでもいいんだ。
目の前で悲鳴をあげてる女がいるんだ。理由なんてそれだけで十分だろ。なぁ、猿飛京夜!
勝算があるわけでもなく、どうすべきかもまとまらないが、とにかく動きを封じてから考えようと木の陰から顔を出して浜辺にいる羽鳥を覗き見る。
が、そこでオレは一気に血の気が引くのと同時に、右手がクナイを取り出して構える。
直後。オレが顔を覗かせた反対側から羽鳥の子供持ちしたメスが左手から裏拳で振り抜かれ、顔面に迫ったそれをギリギリで躱して横に転がりすぐにリカバリーし追撃に備える。
気配が全くしなかった。
木の陰に隠れていても羽鳥への警戒は解いたつもりはなかったし、音に対しても敏感になっていたから、接近すれば気づける自信があった。
それなのに接近を悟れず10m程度の距離を詰められたのは失態と呼ぶには理不尽なくらい。
手加減など一切なく振り抜かれたメスはオレの顔があった位置の幹にザックリと突き刺さって止まり、そのメスを持ったまま右手に持っていた羽鳥の愛銃であるサプレッサー付きのHK45Tが無造作に火を噴く。
それがまた殺意なしのノールックで撃ってくるから予兆が全くなく、反応が遅れて死の回避で避けることになる。
ノールックのくせにちゃんと即死の狙いで撃ってくる羽鳥の殺傷能力が高いのに、そこに殺意がないという意味不明な現象が気色悪くて、別の木の陰に身を潜めながら感覚を修正しにかかる。
あの感覚は人が物を壊す気配に近いから、感覚に慣れるのはこの短時間では無理だろうな。
やるなら徹底した対面での回避。攻撃される状況になったらとにかく距離を取ったり物陰に隠れたりでやり過ごすしかない。
だが気を付けなきゃならないのは、あまり浜辺から離れすぎて羽鳥が追跡をやめて戻り、あの死体を処理し始めてもダメだ。
付かず離れずで相手しながら殺されずに羽鳥を無力化する。何この無理ゲー。理子にやらせりゃクソゲー認定されるね。
などと冗談でも考えてる場合ではないので、しっかりと羽鳥の動きを確認して不意打ちは避けようとすると、再び動き出した羽鳥はいつの間にか裸足で音が鳴りそうな草や砂利を的確に避けて距離を詰めてきた。
気配を完全に消した技術はまだ謎だが、
問題はこんな草木の生い茂る森で裸足になるリスクを全く考慮してない羽鳥の行動にあって、このまま森の中で逃げ回れば、素足を晒して走り回る羽鳥は何れ傷だらけになって動けなくなる可能性があること。
もちろんオレとしてもそれは好都合と思えるが、羽鳥を元に戻した時に武偵として致命的な怪我でもされたら、そこで羽鳥の武偵としての生命が終わってしまうこともあり得る。
それもまた困るので、苦渋の決断ではあっても森を出るしかなく、羽鳥を誘導して死体が転がる浜辺から少し離れたところに出て迎撃。
「アハッ。本当に活きが良い。早く捌いて綺麗な中身を見せてくれよ」
「お前の美的感覚にはついていけん」
場所が再び浜辺になっても羽鳥の行動に変化はなく、依然としてオレの命を刈り取ろうとメスを喉笛に投げつけてきて、それをクナイで弾きつつ、メスに集中した一瞬の隙にぬるっと距離を詰めてくる。
反撃を恐れない羽鳥の突撃は攻撃一辺倒のようでその実、反撃の隙がないイヤらしい距離感を操ってくる。
新たに左手に持ったメスを手首のスナップで至近距離から投げつつ回避を読んで右手のHK45Tがオレの眉間を狙うので、通常の回避から死の回避と動かされて無理な体勢に持ち込まれる。
頭がぐん、ぐん、と2度も同じ方向に動かされて左にほぼ90度、上半身が折れ曲がってしまい、その折れ曲がった腰に羽鳥の蹴り上げが強襲。
なんとか腕を噛ませてガードは出来たが、女とは思えないパワーでわずかに体が浮き上がり、直後にはまた左手に持たれたメスがすとん、とオレの側頭部に飛来。
しかも同時にHK45Tもほぼゼロ距離から放たれて完全に死亡コースな攻撃を浴びせられるが、オレの死の回避はそれすらしのぐ1手を導き出す。
右手で持ったクナイで放たれた銃弾を受けて軌道を逸らし、同時に肘を振り下ろされる羽鳥の左腕に下からぶつけて側頭部に到達する前にガード。
そこまでが死の回避による動作で、さらに蹴りを受けて痺れ気味の左腕を倒れながら羽鳥の胸に伸ばしてスタンガン程度の発勁を撃ち込んで次の動作までの時間を稼ぐ。
オレの発勁で不可解なダメージを受けた羽鳥は少しだけ苦悶の表情になって半歩後退し、その間に浜辺に倒れたオレは後ろへ転がって距離を取り立ち上がる。
今の攻防でちょっと両手が痺れて感覚が心許ない。痺れが引くまでは繊細な動作は出来そうにないな。
だがあの距離で銃弾を逸らすかね、オレの死の回避や。これはキンジのことを超人だのあーだこーだと言えなくなってきたよ。
オレの発勁はまともな休息がないと消耗する一方だから、こんなサバイバルで使うには完全に向いてない技。多用すれば羽鳥に殺されるまでもなく死ぬ。
使うにしてもあと1回に留めないと余力がなくなりそう。あー、使える手が消化されていく。
そうして様々な制限が勝手にかかっていくオレに対して、ほとんどのリミッターが外れてしまっている羽鳥は全開に近い。
それに前回はスタミナ管理が疎かになって、後半にアドレナリン切れでバテていたから、今回もそれを狙えるかと観察していたが、瞬発力重視の緩急を使った動きで緩い部分でしっかりとスタミナの消耗を抑えている。
あれが本能なのか考えてなのか表情からは全く読み取れないが、スタミナ切れを狙っての立ち回りはこっちのスタミナ切れも見えてきそうな感じだ。
戦うなら俄然、森の中の方が障害物も多いし三次元的な動きもいくらか可能だから、拓けた浜辺で戦うメリットがないに等しいのも痛いぞ。
どんどん悪化していく状況から、それでもどう打開するかポジティブに考えないとと構えていたら、羽鳥がまたHK45Tをオレに向けてきたから発砲のタイミングを見誤らないように注視。
しかしそれすらすでに利用してきた羽鳥はオレが拳銃に意識の大部分を向けた隙を見逃さずに裸足の足で浜辺の砂を蹴り上げてオレへとぶつけてきた。
攻撃力はないに等しいが目にでも入れば痛いし視覚の遮断はもっと痛いので、オレもその場で顔を腕で庇う動きを強いられた。
そのガードの隙にがら空きの腹へと容赦なくHK45Tの弾丸が3発も撃ち込まれて昏倒。こいつ……もう死の回避のカラクリに気づいたか……
今の羽鳥はオレをオレとして認識していないから死の回避の存在は考慮されていないが、ここまでの戦闘で再三の必殺のチャンスを潰されたことで学習したんだ。物凄い適応力。
腹を撃たれたことでほとんどの動きに必要な腹筋に力が入らなくて、ガードを下げた直後に飛ぶような挙動で一気に肉薄した羽鳥の豪快な蹴りに対して抗えなく、辛うじて割り込ませた腕のガードでダメージは軽減するも威力に押されて浜辺に倒れてしまった。
「やっと転がったかこの肉はぁ!」
羽鳥としては肉塊が動くのが耐えられなかったのか、オレが倒れたことで一気に感情が爆発し立ち上がらせまいと蹴り。蹴り。蹴りの連打。
その1発1発が重いのなんので、ガードしないと意識を刈り取られてしまいそうなほど。
そのガードする腕も受ける度に力を奪われるようなダメージを負っていって完全に悪循環に陥っていく。
さらに蹴りのガードに必死なところに銃弾まで追加で叩き込まれては手の打ちようがない。
防弾制服の上から脛、太もも、腹と悶絶する部分を狙われてガードすら緩みそうになりながら、そこだけは緩めるわけにはいかないと苦痛に顔を歪めながら耐える。
その先に勝機があるわけもないのに耐える時間は地獄でしかない。いっそガードを下げて意識を手放してしまえば楽になれる。
そんな思考すら頭をよぎるほどに壮絶な羽鳥の猛攻に隙はなく、体より先に心を折ろうとしているのがなんとなくわかってしまった。
それに加えてガードの先に見える貼りつけたような笑顔で蹴る撃つを繰り返す羽鳥の姿はまさに悪魔そのものだ。
でもな……オレはどんなに痛めつけられても、心まで折られるわけにはいかないんだよ。そんな顔、お前には似合わないのを知ってるからな。
羽鳥の攻撃に隙がないのは事実で、蹴りも戻りが早くて掴んでやろうとするのを何度かすり抜けられていた。
危機察知能力の高さは十分にわかった。ならその危機察知が緩む瞬間を狙ってやる。
人間は攻撃する時に隙が出来るとよく言われるが、今の羽鳥のように警戒さえすれば備えられるレベルにすることは可能。
それでも出来る絶対的な隙を生み出すのは、こちらを必殺で倒せる時であり、その一瞬に関してはどんな強者もほぼ100%。たとえ短くとも攻撃に全意識が向く。
ただしオレがその隙を意図的に作り出せば羽鳥は危険を察知して飛び込んでは来ない可能性があるから、意図的ではない『必然のタイミング』でカウンターを仕掛けるしかない。
どうすればそんな意図しないタイミングを狙えるかなんて、考えるまでもなくこの猛攻でマジで限界になってガードが緩んだ瞬間。羽鳥はここぞとばかりに隙のある攻撃で倒しに来る。
オレはそのいつ来るか自分でもわからない限界が来た時に、渾身の力を絞り出せるように心構えと動作を整えておけば良い。
まさに言うは易し行うは難しといった賭けだが、背水の陣で臨めば結果は伴うと信じてやるしかないんだよな。
そしてその時はそうと決めてからあっさりと訪れる。
サバイバルというのは自分で思う以上に色々と消耗させられるもので、決して回復はしない状況下での消耗と苛烈な羽鳥の攻撃に悲鳴をあげた体は、顎を蹴り抜く羽鳥の攻撃をガードしたのと同時にバァン!
これまでの踏ん張りが嘘のように大きく頭の上へと弾かれてしまい、仰向け状態でほぼ前面ががら空きになったところに羽鳥のこれでもかという不気味な笑顔から足で腹を踏まれて押さえ込まれ、メス、HK45Tがオレの顔面に撃ち込まれる。
理論上、メイファンさんが教えてくれた発勁は手からのみならず、全身の気穴から気を放出できる。
その気穴の一部が常に開いてるオレはどこがどの程度で気穴が開いているかをこの数日間でどうにか把握しようと気脈の流れを事細かに探っていた。
その結果。全身にほぼ均等なレベルで気穴が開いていることが判明し、今のところ手から発せるレベルの発勁なら全身のどこからでも出来ることがわかった。
ぶっつけ本番が最近の常になってしまってるのが恐ろしく寒気もするが、羽鳥の足がオレの腹に乗った瞬間。
オレはその腹に全神経を集中して発勁を使い、羽鳥の足に自分の気を流しバチンッ!
外気勁による反発で弾き、同時に放たれたメスとHK45Tの弾丸が寸前のところで狙いが上へと逸れてオレの頭のすぐ上の砂浜に突き刺さった。
「ッ……心臓に悪すぎる」
今回は気を発生させる丹田の近くだったから、手とほぼ変わらない感覚で発勁を使えたが、もしも胸を押さえ込まれたらどうなってたかわからない。
オレの発勁で足が不意に持ち上がってバランスを崩した羽鳥に即座に足払いをかけて転倒させて、どうにか距離を取って立ち上がることが出来たものの、その代償はかなりのもの。
両腕は持ち上がらないほどのダメージで握力もほぼなし。
腹や太ももにも何度も銃弾やらを撃ち込まれてズキズキを通り越した痛みが引かない。
正直、今なぜ立っていられるのか自分でもわからないほどのダメージを確認し終えて、HK45Tは今ので撃ち切ったことはわかってたから、転倒からゆっくりと立ち上がった羽鳥が再装填の動きをしなかったのをしっかりと見る。
それどころか使えないからとスライドが開いたHK45Tをさっさとその場に落として、まだまだ肉弾戦に余裕があるからか、満身創痍のオレに突貫。
「アハッ……ハッ?」
が、動き出した羽鳥はオレの発勁で痺れた足の不調で感覚が狂ったのか、砂浜に足を取られて前のめりに倒れそうになる。
それを堪えるために余計な力を要した隙を見逃さずに、こっちは自覚ある痛みを堪えて前へと踏み出して顔を上げた瞬間の羽鳥に今の渾身の蹴りをお見舞い。
別に筋肉質でもない女の羽鳥は、ガードこそしっかりとしたものの、発勁のダメージで踏ん張りは効かなかったか、力で押されて横へと倒れる。
またすぐにリカバリーして距離を取られてしまえば、回復の点で見てもこっちが不利と分かりきってたから、羽鳥が起き上がるよりも早く再び足払いからの馬乗りをし、ただの意地で動かした両手で羽鳥の左腕からメスを取り出す先端科学兵装を取り外して捨て、暴れる両手を掴んで封じる。
そしてこの状態でさえ危うく抑え込める時間はわずかと悟ったオレが取れる唯一の行動が、回避不可避の渾身の頭突きを羽鳥に食らわせて昏倒させることだけ。
──ゴヅンッ!
頭が割れそうなほど加減なしで振り下ろしたせいでオレが意識を飛ばしそうになったが、オレの頭突きを受けてさらに砂浜に後頭部をぶつけたっぽい羽鳥は割増でダメージが大きかったようで、暴れていた体も今は力を失ってくれた。
それでも意識は失わなかったからタフすぎるが、頭は十分に揺れたか再行動までに10秒程度は稼げたはず。
「おい羽鳥! 今ならまだ戻ってこれる! まだ絶望するな! オレの声に耳を傾けろ! 血の呪いになんか負けるな!」
その時間を使ってもう1度頭突きをして完全に意識を刈り取る選択もあったが、オレも限界をちょっと越えてて次の頭突きで気絶する可能性がある以上、リスクは冒せない。
だからここまで近づけばと語彙力も何も失った叫びを羽鳥へとぶつけて、ジャック・ザ・リッパー4世の意識の奥へと引っ込んでしまった羽鳥を呼び起こそうと試みたのだった。