緋弾のアリア~影の武偵~   作:ダブルマジック

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Slash23

 

「そうですか。では黄金消失の件にNが関わっていることは明白となったわけですね」

 

「今後はアリアとも協力してNのメンバーの捕縛に動くことになると思う。それが黄金に辿り着く道に繋がる」

 

 アリアやキンジ、ベレッタと顔を合わせたローマでの出来事も昨日のこと。

 土御門陽陰との接触もありつつで迎えた翌日の夕方には、ロンドンへと戻ってメヌエットに調査報告という名の顔見せに訪れていた。

 そのメヌエットもオレの到着を待っていたようで、大変に珍しく報告を聞きながら外出の準備をなさり始めた。

 

「捕縛はいいですが、何の当てもなく、策もなくぶつかればアストゥリアスの二の舞いですよ。その辺はちゃんと理解していますか?」

 

「一応はNの動向に当たりはついてる。その先で具体的にどうするかはまだハッキリとはしてないが……」

 

「ふーん。つまり京夜はまたどこかへ行かれるわけですか。そんなに遠征を続けて学業の方は大丈夫なのですか? 主に出席日数的なお話になりますけど」

 

「それは……ちょっと怪しいところだな。ランク考査も来月には控えてるし、その前後くらいはちゃんと通えるように頑張るか」

 

「そう言って現実にするのは難儀なことですが、私は京夜が落ちぶれて最終学歴が中卒でも友人でいてあげますので」

 

「その中卒すらできない人間が何をおっしゃって……」

 

 そこにどのタイミングでツッコむべきか悩みながら会話を繰り返していくが、オレがまた遠出すると察知したメヌエットはあからさまに不機嫌なオーラを噴出させて言葉のジャブを連打してくる。

 それが痛いのなんので心も耳も痛いが、目を背けていい話でもないから一応はメヌエットの優しさと無理矢理解釈しておく。

 そして自分に都合の悪いことには耳に蓋をする悪い癖が発動したところで外出の準備が整ったメヌエットはオレを見て小さなため息。それ嫌い。

 

「さて京夜。尋ねるべき案件を放置したのですから、こちらからタイミングを差し上げますわ。私はこれからどこへ行くでしょう」

 

「外」

 

「……京夜は私をなんだと思っているのでしょうね」

 

「家の外に出ることが3度の規則正しい食事よりも珍しいメヌ」

 

「そこは否定しませんが、それを自信満々で言われるのは釈然としません」

 

 それでメヌエットの方から行き先を推理させる質問が飛んできて、それだけでメヌエットが行く先はそれなりに楽しみなことがわかったが、さすがに皆目見当もつかないだけにおふざけで乗り切ろうとする。

 それすらわかったらしいメヌエットは時間を無駄にしたくないからかさっきより大きなため息を吐いてからオレに車椅子を押させて移動を促す。

 

「携帯電話ショップに行きます。日本から輸入した機種が届いたと一報ありましたが、契約に本人確認が必要とのことですから」

 

「携帯? 家から出ないメヌが?」

 

「いいですから早く押しなさい」

 

 その行き先が全く予想していなかった場所だったからマジで驚いてしまって、ボケなしのマジツッコミを炸裂させたら、言及を許さないといった雰囲気でそれ以降は口を閉ざしてしまった。

 仕方なく言われるがまま車椅子を押して最寄りの携帯電話ショップに足を運び、14歳が1人で契約できるのか──保護者の同行とか必要なんじゃないかって方向でだ──と、保護者目線で見守るが、なんか貴族様のお力でゴリ押しした。

 それでメヌエットがわざわざ日本から輸入したという携帯は、どうやらこれから先の時代で爆発的に普及するだろうという、スマートフォンなる機種で、オレの折り畳み式などと違ってボタンなどもサイドにある程度でほぼ前面が液晶画面の小型テレビみたいな作り。

 その画面に映される絵柄などを直接タッチして操作するタイプのようでオレには先端すぎてよくわからない。

 そのスマホの契約を終えたメヌエットは、その帰り道で早速あれこれと操作をして何かのゲームを始めていたので、なんだかアニメのアイドルがテーマらしいそれについて問いかける。それやりたかったの?

 

「これは日本が運営している携帯ゲーム『アイドル@シンデレラ』。通称アイシンです。先日このゲームが爆発的に人気を上げたとあって、私もその人気の秘密に興味があったのです」

 

「そういうのはよくわからないが、あんまりハマりすぎないように気をつけろよ。基本無料? ってのはどこかしらで儲けるシステムを組み込んでるものだろ? 運営の思う壺は良い気分ではないな」

 

「課金は日本のお布施みたいなものですよ。それにそういったシステムを利用する人がいるから、ゲームは運営し続けられるわけです」

 

「……まぁメヌが納得してすることならオレもどうこう言わないが、ゲームにかまけてオレが放置されるのは理不尽だからな」

 

「ゲームに嫉妬なんて、京夜も可愛いところがありますね」

 

 ぜんっぜん違うけど! こっちは命がけで動いてるのに、動かせてる本人が家でポチポチと呑気にゲームしてる姿を想像するだけで殺意が湧いてくるってだけですよ!

 まさかそのゲームをするためだけにスマホを取り寄せたのかと思うと呆れるが、オレが頑張ってる一方でぬくぬくとゲームをしている現実の対比を煽るメヌエットには怒りすら覚える。

 それを口にはしなかったが、全てをわかってて意地悪を言うメヌエットもそれだけで放置するのは可哀想とでも思ったか、おふざけはやめて話をする。

 

「もちろん京夜が危険を冒して調査をしてくれていることに感謝はしています。安否だってそれなりに心配しているのですから、その心労も察してください」

 

「……訃報だけは報せないように努力するよ」

 

「そうしてください」

 

 メヌエットもメヌエットでオレが行った先で死ぬんじゃないかという不安はあったことを吐露されると、心配させるオレが悪いような気もするので強くは言えない。

 大丈夫。絶対に死なない。なんて都合の良い言葉を出したところで、そう思わせるだけの実力を併せ持たないオレでは余計な不安を抱かせるだけなら、今のオレが言えるのは死なないように最善を尽くすことだけ。

 それでもメヌエットにとっては少しでも安心する言葉にはなったのか、本音を語るのは柄ではないとまた話をアイシンに戻して、ついでに買ったスマホでオレの携帯とアドレス交換を済ませるのだった。

 

 メヌエットを家に送り届けてから、自宅に戻るまでに同じくロンドンに来ていた理子がヴィッキーのところで1泊すると決まっていたのでそちらに連絡してみると、元気そうにしていたから警戒だけは怠らないようにと注意して終了。

 オレもオレでNに住居がバレていることを警戒してマンションへと戻り、監視の目もある前提で部屋を開ける。

 するとどういうことでしょう。女モノの靴が1足ありやがりますよ。

 鍵はかかってたから、シルキーが通した可能性がなきにしもあらずだが、そうでない場合は……

 と、警戒を強めて武装も整えてリビングにそろりと入ってみると、そこにはシルキーが話し相手となって接待する人物が1人。

 

「……何でいるんだ」

 

「むっ、その言い方は気分が良くないな、京夜。わざわざ東京からはるばる来たのだ。もっと歓迎しろ。そして喜べ」

 

「わーい世界一の美人リーダーのジャンヌさんだー、わー」

 

「何だ? 不満でもあるのか? んん?」

 

 長い銀髪を綺麗に結ってまとめ、雪のような肌と外人独特の美貌を有したジャンヌ・ダルク30世が、呑気というか優雅というかなティータイムをシルキーと嗜んでおられた。

 その光景にはオレも思わず脱力して、久々に会ったオレの所属する武偵チーム『コンステラシオン』のリーダーに素直な感情をぶつけられなかった。

 本当は普通に。普通に会ってればそれなりに嬉しいイベントではあったのだが、状況が状況なだけにタイミングが完全に悪かった。

 

「あーそっか。アリア達が前乗りしてただけで、ぼちぼち他のやつらも修学旅行Ⅲで来てるのか」

 

「と言っても、私のチームでは実質的に私と島だけなんだがな。お前はこの通り留学しているし、京極は例のごとく。中空知と遠山は留年ときた。まったくこのチームは問題ばかりで私の頭痛はやまないぞ……」

 

「その頭痛の種にオレを入れられるのは大変に不服ですが」

 

 きっとジャンヌ的にはサプライズのつもりで待ち伏せしてたんだろうが、オレの反応に不満があってあからさまに不機嫌に。

 さらには自分のチームの悲惨な状況にオレまで加えられてこっちも不満だ。オレは何も問題は起こしてない。はず……

 とはいえいつまでも不貞腐れてもらっても困るので、挨拶はそれくらいで話を進めようとする。

 だがその前に思い出したように立ち上がったジャンヌは、すでに入浴の準備を進めていた風呂場の方に行ってしまい、戻ってくると着替えなどを持って行こうとする。

 

「ふむ、話がしたいなら一緒に入るか?」

 

「その気もないのに誘ってくるな。話はしたいが」

 

「なら浴室と洗面室の扉を隔ててでもしよう。それならば問題あるまい?」

 

 いえいえ問題ありまくりぃ。洗面室にはあなた様のお着替えと着ていたものが置かれますのよ? ハレンチよハレンチ。

 そんな些細な注意力も落ちているっぽいジャンヌの謎のテンションはさておき、そういうのは注意してれば大丈夫かと自分に言い聞かせて、ジャンヌが浴室に入るまでの間に失礼しようとしたシルキーと話をしておく。

 

「シルキー、エメルの保護者はちゃんと引き取っていったか?」

 

「はい、滞りなく依頼は完了しました。ご報酬の方はそちらのテーブルにありますのでお受け取りください」

 

「助かったよ。子供の面倒を任せきりにして悪かったな」

 

「いえいえ。エメル様はとても賢くて大人しい子でしたから」

 

 話の内容はもちろん今ここにいる気配がないバンシーについて。

 ローマ入りの前に羽鳥に手は打ってもらったので、シルキーも話を合わせたところを見るに事情は把握してくれている。

 今どこにいるのか聞きたいところだが、どこに誰の目があるかわからない以上、バンシーを匂わせる発言はできない。たとえシルキーの領域内であっても油断禁物。

 とにかくバンシーの避難は成功したようなのでそこだけは安堵して体裁だけの報酬──あとで羽鳥辺りに返却だな──に目を通してからジャンヌが浴室に入ったのを確認して洗面室へ。

 幸い、脱いだところで気がついてくれたか、下着などは上着の下とか中に隠してくれて見えないから、下手に何か触って出てくるのを警戒してそのままを維持して浴室の扉の前に腰かける。

 と、その浴室の扉の下に何やらジャンヌ直筆の紙が置いてあったので、それを読みながら雑談。

 

「こっちにはいつ来たんだよ」

 

「昨日の朝方だ。最初はホテルにでも泊まろうとしたんだがな。お前のところなら旅費が浮くと考え至った」

 

「おい、じゃあほぼ2日ここにいるのかよ。好き勝手してないだろうな」

 

「お前こそもう少し健全な男子高校生として振る舞え。いかがわしい本1つないとは不能なのか。それとも外で遊んでいるわけか。まさかとは思うが、シルキーを……」

 

「お前はオレの母親か。っていうかエロ本の捜索とか同級生の女子がすることじゃねぇし、シルキーをそういう目で見たことないっての」

 

 紙の内容によると、ロンドンに来るのは予定通りだったが、来てすぐに羽鳥から連絡があって、バンシーの保護者設定でオレの家からバンシーを引き取る依頼をされたらしい。

 その際に理子直伝の変装などもしてやってくれたようで、実際、バンシーのあの白髪とジャンヌの銀髪は色的に近いから親子でもギリギリ通るな。

 さすがにバンシーとシルキーに直接は連絡が取れなかった羽鳥はジャンヌにメモを持っていかせて、それで2人にも事情を知らせて今に至っていることがわかった。

 バンシーは今はとりあえず羽鳥のあのゴミ屋敷、というか汚部屋に引っ越ししているらしいから、何かが弾ける前に回収しないとな。

 

「……なぁ京夜。明日から一緒にいられる時間はあるのか?」

 

「それは……悪い。明日からまたロンドンを出ることになってる。帰りはいつになるかわからん」

 

「そう、か。いや、それを残念には思っていないが、頑張りすぎて倒れるなよ。私はそれだけが心配だ」

 

「ジャンヌにも心配させてたか。こりゃ男としていよいよ情けないな」

 

 そうして思考と会話とで全く別のことを器用にしていたら、読み終わった頃合いを察してジャンヌから観光のお誘いがかかる。

 だが明日からオレはまたロンドンを出なくてはいけないため、悲しいが断りを入れて、そのあとはメヌエットと同じように心配されていたことを知る。

 そんなに頼りにならないものかねと、自分の実力を疑い始めたオレに対して、小さく笑ったジャンヌは「そういうことではない」と否定。

 

「私はな、京夜のことを信頼しているよ。しかし信頼しているからこそ、大切に思うからこそ、どうしたって京夜の安否は心配になるものだ。京夜だって私が同じような立場にいれば、一切の不安がないなどと、そんなわけにはいかないだろう」

 

「それは確かにそうかもしれないが……」

 

「人と繋がるというのは、人知れずそういう不安も抱えさせるということだ。本当に恐ろしいのは、誰からも心配されないことだと私は思う」

 

「ひょっとしなくても励ましてくれてる?」

 

「これでも私はチームのリーダーだからな。メンバーを鼓舞したりも私の役割だ」

 

 人と人とが繋がれば、その人が自分の見えないところで危険なことをしていればどうしたって不安になる。

 それは人として当たり前の感情だと話してくれたジャンヌが珍しくオレを励ましてくれて、扉の向こうでドヤってると思うと笑えてくる。

 ただ、言ってくれたことは割と真理に近いような、そんな気がして無理に心配させないように頑張るのはやめようと考えた。無理に頑張って負の連鎖を起こしても仕方ないしな。

 

「さて、少し元気は出たのだろうが、まだ足りないというなら背中でも流してくれないか? そちらの方が京夜は元気が出るだろう?」

 

「年頃の若者にそんなお誘いはやめておけよ。背中だけじゃ済まなくなるぞ」

 

「フフッ。ここで迷わず踏み込んでこないところが京夜らしい。女性としては少し傷つくが、お前がそうでなくてはこういったからかいも出来ないからな」

 

「ったく、のぼせる前に上がれよ」

 

 さすがにこれ以上の言葉はジャンヌとしても恥ずかしいのか、湯船から出て動いたのを察知。

 恥ずかしさを誤魔化すための冗談が耳を疑うお誘いで、体は正直だが心は理性を保ってくれた。よくやった、オレ。

 そこでオレが誘いに乗らないことはジャンヌの計算通りだったから、ジャンヌも普通に体を洗い始め、お風呂というのは1人でゆったりする時間でもあるので、オレも静かに退散した。

 

 ジャンヌとの話し合いを終えてリビングに戻ってから、1つの問題があることを思い出す。

 ──今夜はどうやって寝ればいいの?

 これマジでどうしよう。明日は朝早くからフライトだし、徹夜も1つの手だが疲労だけは向こうに持っていきたくない。

 となれば6時間でも最低寝ておきたいが、この部屋にまともに寝られるスペースはベッドしかない。

 だが今夜は客人のジャンヌがいるからベッドは使用不可。必然、オレはどうしても寝苦しい夜を過ごすことに。

 

「ぬぐぉぉ……こうなれば最終手段を……」

 

 そもそもの家主はオレだから勝手に上がり込んできたジャンヌに気を遣う義務はない。ないが、ここは紳士の国イギリス。

 ジェントルメーンの心を学ぶオレがレディーを床で寝させるなどあってはならないナッシング。

 ……ふざけてる場合ではなく、どうしてもちゃんと寝たいオレがジャンヌもないがしろにしないで済む方法はただ1つ。

 

「今夜は一緒のベッドで寝させてください」

 

「風呂から上がった女に最初に言うことがそれか! お前というヤツは!」

 

「絶対にエッチなことはしないから! いや、決してしたくないわけじゃなくて! どうしてもオレは安眠が欲しいけど、ベッドが1つしかないから!」

 

「余計な気遣いはかえって傷つくぞ! ああもう! なぜ敷布団がないのだ! 日本人の心はどこへ行ったのだ!」

 

「そんなものは正月に京都に置いてきた!」

 

「……タイムラグなしで嘘を言うな……フランス人だが悲しくなったぞ」

 

 風呂から上がって満足気なジャンヌの機嫌が良いうちにと先手必勝で土下座からの懇願を敢行してみせはしたが、やはり『一緒に寝たい』は若い男女には破壊力がありすぎたか、さっきは背中を流せと誘ってきたジャンヌもお怒りモードに。

 さっきの誘いを断った手前で色々配慮したことを言うが、それが逆効果になったのは謎で、敷布団なんて大きなものを留学に持ち込むとかアホがやることなので、ジャンヌもジャンヌでテンパりまくりなのがわかってしまう。

 ちょっとお互いにテンション高めで収拾がつかなくなったため、ジャンヌが自分を落ち着けるようにオレのボケに対して冷静にツッコんでため息を漏らす。

 そしてオレの理由を考慮して少し考える仕草をしたあと、頬をわずかに赤らめて確認をしてくる。

 

「まぁ私も信頼していると言ったばかりだ。一緒のベッドで一夜を過ごしたとしても、京夜がケダモノになるなどとは思っていない。ね、寝相は良い方か?」

 

「寝た時のまま動かないで有名だ」

 

「そんなものが噂になるとは到底思えんのだが、起きた時に別の体勢。私に覆い被さったりなどしていたら人間樹氷にしてやるからな。わかったか」

 

「努力はするが、寝ている時のオレにその努力が反映されるかはわからない。香水とかやめてくれると危険度は下がるかもしれん」

 

「ぐっ……シャネルの19番は……」

 

「むしろ勝負に出てないそれ?」

 

 とりあえず許可は出たっぽいが、色々と注意事項を述べてくるジャンヌはしきりに女としての身だしなみを気にし始めて、その気持ちはわからんでもないものの、そうやって準備を万全にすればするほど男として反応が大きくなるからやめてほしい。

 それでかろうじて香水をつけることだけは阻止して、一緒のベッドで横になったまでは良かった。

 問題はすぐに寝れば良いものを何故かジャンヌさんがオレの方を向いてじっと見てくること。

 

「……何かあるなら言ってくれ。寝られん」

 

「いや……お前に枕がないから寝づらいのではと思ってな」

 

「この程度なら問題ない」

 

「そこで私から提案があるにはあるのだ。私の枕は京夜が使え。それでその……私の枕は……京夜から提供してもらいたい」

 

 何か困った問題があるのかと思ったら、オレが枕なしで寝て、自分がオレの枕を使って寝ていることに気兼ねがあったらしい。

 その解決方法について言い淀んだことでオレもその方法については察しがついたので、皆まで言わなくてもジャンヌからの提案ならと、オレはジャンヌから枕をもらって、そのジャンヌの頭の下にオレの腕を伸ばして置いてやる。

 その腕の上に頭を乗せて枕代わりにしたジャンヌが体もオレの方に向けて寝るから、オレは仰向けでジャンヌを見ないように寝ると、一言だけ「おやすみ」とささやいたジャンヌは、ほどなくして眠りに就いて、オレも余計なことを考え始める前に眠りに就いていったのだった。


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