緋弾のアリア~影の武偵~   作:ダブルマジック

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Slash19

 

 圧倒的敗北。

 勇志さんには目に見えるダメージも与えられず、モニカにはかすり傷1つつけられずに拘束されたに等しい状態にされたオレと理子は、逃げられたと思ったヴィッキーとヒルダが乗った車すらも爆破されて完全に意気消沈。

 そんな精神的ダメージが襲う中で首から下を全く動かせなくなったオレと理子にと尋ねてきた勇志さんの口から出たのは、最近に知り合ったばかりの訳有り同居人であるバンシーの名前だった。

 

「……バンシー? 飼ってるペットでも逃げたのか?」

 

「京夜。旧知の家柄のお前だから最初に尋ねたんだ。正直に言え。お前がレス島のセイレーネスに会ったことは知っている。そして今回のクエレブレ。この短期間にこうも我々Nと接点を持った存在に接触し得たのは、お前のそばにそれを知る存在がいたからだ」

 

 バンシーはどこにいると尋ねられたからには、Nとしてはまだバンシーの居場所を掴んではいないってことだ。

 それにはすぐに気づいたので、バンシーが何者であるかさえも知らない素振り──ここで「誰だ?」と返すのさえ注意した──でポーカーフェイスを決め込む。

 だが向こうも向こうで確信があって尋ねてきたのは確かなようで、勇志さんとモニカ。双方の表情の機微を見ながら返しは慎重にする。

 

「彼らの共通の面識者は我らのメンバーを除けばわずか2個体。その内1個体はすでに確認が取れてお前達とは非接触だったが、もう一方のバンシーに関しては我々がその居場所を把握していない。バンシーに言われたか。我々を探れと。潰せと」

 

「……仮にオレがそのバンシーってのを知っていたとして、お前達はバンシーをどうするつもりなんだ?」

 

「おい勇志。こいつは半端なことでは吐かん。無駄話はこれで終わりだ」

 

 勇志さんは割と堪え性のあるタイプなのは話からわかったが、どうやら上司らしいモニカはそうでもないらしい。

 勇志さんに話させて情報を引き出そうとするオレが気に入らなかったか、明らかに不機嫌な態度になって勇志さんから拳銃を奪って撃ちかねない雰囲気にまでなる。

 

「少し待ってください。利害さえ一致すれば交換条件という手もあり得るかと」

 

「利害の一致だと? はっ! これと何が一致するのだ」

 

「反応を見たところ京夜はバンシーについてろくに知りもしない無知。我らがバンシーを欲する理由と、彼らの命とバンシーの居場所。これを交換条件にすれば或いは……」

 

「勇志」

 

 それをなだめつつ話を穏便に済ませようと進言してくれた勇志さんに隣の理子がちょっと目をキラめかせたが、そうやってオレ達を助けようとするような提案をした勇志さんに対して、モニカは水の超能力で作った水の球体を勇志さんの口と鼻を覆うように展開。

 水で口と鼻を塞がれれば、当然その先に待つのは窒息なのに、そうなってからも勇志さんはまるで苦にしないように冷静に無呼吸を続けてまっすぐな目でモニカを見つめる。

 その顔がまた苛立ちを募らせたか、一応は仲間なので本当に窒息してしまう前に解放したが、小さく咳き込んだ勇志さんから拳銃を取り上げたモニカは、その銃口をオレへと向ける。

 

「お前は新参だからそういう甘さがあるのは許容しよう。だがそれを小蝿の前でチラつかせるな。小蝿と言えど逃がしていい理由がない」

 

「こほっ……はい」

 

 そして流れが勇志さんの従順さによって完全に変わってしまったのを敏感に察知。

 理子も超金属である瑠瑠色金を含有するロザリオの力で髪を自在に動かす超能力が使えるが、モニカが超能力の発動の前兆を鋭く見抜き、防弾セーラー服の上から腹に1発お見舞いし悶絶させる。

 

「お前には竜悴公姫の呼び水になってもらうために少し長く生かさなきゃならん。勇志。そいつの力の根源は首から提げてるロザリオだ。奪っておけ。色金の力をわずかに感じる」

 

「や、めろ……これに触れ……るな」

 

 理子が撃たれても庇うことさえ出来ない自分の無力さに絶望するが、理子の母親の形見のロザリオを勇志さんが取り上げようとしたのだけは阻止しようと、首だけで強引に体を振って体を理子の方に倒して、ロザリオを奪おうとした勇志さんの間に入り理子を上から押し倒す。

 

「今ので何もさせてもらえないのはわかった。だからこいつからこれを取り上げるな」

 

「はぁ……勇志。面倒だ。2人とも剥くぞ」

 

「何か手がかりを持ってるかもしれないですしね」

 

 それで懇願に近いオレの言葉が届くかと一瞬でも考えたが、人間というのに興味がないのかモニカは溜め息まで吐いてオレと理子の全てを取り除こうとしてくる。

 何もかもが悪手になるモニカとの相性の悪さは本当に嫌になる。血が通った存在にさえ思えない。

 そんな相手が目の前にいて何も出来ないことの歯痒さは理子も感じているのか、黙って剥ぎ取られる屈辱を歯を食いしばって堪えようとしていた。

 そして2人がオレと理子に手をかけようとしたその直前、ほぼ同時に2人ともが何かに反応してその場を後退り、そのあとに後方から重なるような銃声が2つ響いてくる。

 誰かが勇志さんとモニカを撃った、のか?

 そうとしか思えない状況に少し距離が開いた2人から目を離して理子の上で首を回して後ろを見ると、撃った人の影はない。

 勇志さん達の回避行動と銃声のタイムラグから500m以上は離れていることはわかったが、スナイパーが2人、かなりの精度で撃ってきたわけで、そんな援軍は思い当たらない。

 誰かはわからないし状況が好転したのかの判断もつかないものの、今のうちに動けるようにならないかとあれこれ試し始める。

 

「理子、何か違和感はないか」

 

「わかんない! でも京夜が庇った時に首の後ろが見えて、何かほっそい何かが刺さってる? のは見えた気がするんだけど」

 

「刺さってる? 痛みなんてなかったが……」

 

 依然として理子の上で首を回すことしかできなく、動くと理子の胸が顔に当たる不具合があるが、今は理子もふざけてる場合じゃないと真面目に思考してくれて、庇った時に首の後ろに何かあったと言われる。

 気になるのでもう1度確認してもらってから、オレも理子の首の後ろを確認してみると、確かに髪の毛よりも細い針のようなものが刺さってるように見える。

 こんなものを仕込まれたとするなら、やはり勇志さんに首を掴まれた時になるが、オレと理子が痛みすら感じずに全く気づかなかったということの不思議は残り、体が動かない原因はこれなのだろうと予測もできた。

 だが何かもわからないこれを抜くことには慎重にならざるを得なく、勇志さん以外の人が抜いて何か別の症状が出たりしたらそれこそ悪手。

 どうするかの判断はオレに任せるといった顔の理子がオレの決断を待つ間に、勇志さんとモニカは姿なきスナイパーに対して迎撃体制を素早く整えて、次弾を防ぐ手段がありそうな勇志さんがモニカを庇う位置に立ち拳銃を構える。

 しかし謎のスナイパーは先の2連発から次弾を撃たずに沈黙し、来ないならとモニカが凍らせていた水分を解かして水の塊を作ると、その水でオレと理子を取り囲み持ち運ぼうとしてくる。

 

「お前とはつくづく顔を合わせるな、猿飛京夜」

 

 持ち去られてしまえば拷問再開だろうことは間違いないので、オレだけなら賭けに出るかと理子にオレの首に刺さってる針を抜いてもらおうとした時、不意に頭上から男の声がする。

 聞き覚えがあったその声にどこから湧いて出たというズレた感想を抱きつつも、取り囲む水の外側に静かに着地した男、サイオン・ボンドは、連れ去られようとするオレ達を無視して勇志さんとモニカに突貫。

 そこは助けてくれないかな、と思ったが、超能力を扱うのに集中力が必要なことを思い出し、それを乱すために前に出たなら掴めない水をどうこうするより好判断だ。やっぱり頭も良いな。

 

「00セクション、ナンバー7。サイオン・ボンドか」

 

「人間の中で頑強な部類のやつだな。勝てるか?」

 

「今の俺ではまだとしか。マキリさんでも5、6割ってとこでしょう」

 

「呑気な会話だな」

 

 スナイパーに続いてサイオンの登場でNの2人も余裕がなさそうな会話をしていて、それでもサイオンを前にして会話できるのだから凄い。っていうかマキリってやつは見立てでもサイオンと互角に戦えるのかよ。嫌になるわ……

 だが思わぬ味方の乱入で向こうがオレと理子から意識がいかなくなったのがわかり、さらにサイオンの突貫でそちらに意識が強引にいった瞬間を見計らったように、スナイパーからの狙撃が勇志さんとモニカの右肩に命中。

 狙撃のダメージが目に見えてなさそうなくらい表面上は無傷の2人は、しかし遠距離への対応策がなかったのかこっちの押せ押せな雰囲気に傾きかける。

 それを見極めたのか、サイオンがゼロ距離にまで接近する前に再び海から渦潮が伸びてきてサイオンを攻撃するのかと思えば、その渦潮の中に勇志さんとモニカを巻き込んで連れ去ってしまい、渦潮はそのまま海へと戻って消えてしまった。

 

「……引き際が潔すぎて気持ち悪いな」

 

 撤退したと見せかけての奇襲にも警戒しつつ、脅威が去っていくのを感じ取ったのか、足を止めたサイオンは捕らえるつもりでいただけに収穫のなかった出撃で悪態をつく。

 だがオレ達からすれば撤退させてくれただけでも感謝しかない絶望的な状況だったから、悔しがるサイオンには苦笑しかない。考え方が違いすぎる。

 

 Nが撤退したと判断してオレと理子の下まで戻ってきたサイオンに何故ここに来たのかと問いかけてみる。

 するとサイオンは取り出した小型の通信機に話しかけてからその問いに答える。

 

「ここにNのメンバーが潜伏していると情報が流れてきたのだ。着いたのは今し方だったが、爆発し炎上した車が見えて、その近くにいるお前達を見て降りてきた」

 

「……降りてきた? 飛行機にでも乗って来たのか?」

 

「そんなところだ」

 

 相変わらずクールなやつで最低限のことしか答えはしないものの、イギリスのMI6を引っ張り出すような情報源がどこからもたらされたのか気にはなる。

 それからサイオンの登場より前にオレ達を助けたスナイパーがサイオンの味方なのかどうかも確認しようとしたら、オレ達から視線を外したサイオンが何かを見たので、オレもその視線を追って首を回すと、遠くから1台のボックスカーがやって来てオレ達の近くで停車。

 その車から真っ先に降りてきたのは、車ごと爆破されたはずのヒルダとヴィッキーで、オレ達が無事なことを知って駆け寄って抱き起こしてくれる。

 

「お前ら……よく無事だったな」

 

「ヒルダが設置されてた爆弾の遠隔装置の微弱電流を察知してくれて、爆発の前に脱出できたのよ」

 

「動けない人間を運ぶのは面倒だったけどね」

 

 2人の無事にはオレも安堵するが、オレを足蹴にして理子を抱き起こしたヒルダには文句を言いたい。

 完全敗北からの全員生存は精神的にかなり救われたが、その逆転の1手を打ってくれたのが誰なのかと抱き起こしてくれたヴィッキーに支えられて車から降りてきた男を見る。

 身長185cm、90kgほどの巨漢で、白髪混じりの乱雑に切られたボサボサの黒髪。口回りに髭をたくわえた定年間近の初老ほどのダンディーな男は、懐からタバコを取り出して吸いながらオレ達の方に近寄ってくる。見覚えは、ない。

 

「お前さんが猿飛のところのせがれか。目付き悪いなぁ」

 

「日本語……日本人、ですか」

 

「在住はフランスのリヨンで、日本にはもう30年くらい帰ってねぇな」

 

 見覚えはないが向こうにはオレの情報があるようで、また猿飛の、と言われて身内関係者なことはわかった。

 だいぶフランクな印象の男はそうやって話しながらにオレと理子の首の後ろに刺さっていた針を無造作に抜いてしまい、2人して焦るが、特に異常はなく体もすぐ自由に動くようになった。

 

「こいつは『ナノニードル』。毛髪の1万分の1の細さの針で人間の痛覚をすり抜けて刺せるってんで、専らは医療用の注射針に使われてんだが、ああいうのが使うと兵器だな」

 

「あのぉ、あなたは?」

 

「こりゃ失礼お嬢さん。俺は百地彰介(ももじしょうすけ)。ICPO所属のおっさんだ」

 

「インターポールか。ということは情報源はお前だな」

 

 それを知ってて引っこ抜いた男は理子の問いかけに百地と名乗り、ICPOの組織名にサイオンが反応した。

 そしてオレは百地という名前に聞き覚えがあって、少しだけ思考する。

 それで直近で勇志さんとも遭遇したこともあり、その関連であったとすぐに思い出してその辺の記憶を辿ると、4月に連絡してきた幸姉がその名前を口にだけしていた。

 

「…………百地の旦那……幸姉がそう呼んでた人ってあなたですか」

 

「幸姉ってのは真田の姫さんか。1度だけ連絡を取っただけだが、確かにそんな呼ばれ方になったな。その旦那で間違いない」

 

「じゃあ、あなたは勇志さんを追ってここに?」

 

「いや、勇志のボウズがいたのは完全に想定外だった。俺は今、Nの捜査を担当しててな。その線からここに来たんだが、面倒なことになったもんだ」

 

 整理しなきゃいけないことが多すぎてなかなか話が進まないので、理子とかサイオンとかが百地さんに聞きたいだろうことが聞けずもどかしい感じになっていて、オレも早く片付けたいが急かさないでくれ。

 その百地さんは勇志さんを追ってきたわけではなく、Nの捜査担当としておそらくサイオンの言い分からモニカ辺りを発見して来たんだろう。

 そこでオレ達がドンパチやってたから気づいて援軍に来てくれた感じだな。MI6への情報はもっと前から流していたと思うが。

 だがICPO。インターポールって組織は警察などとは違って人員を使って現場に赴いたり事件を解決したりといったことには関わりがなかったはず。

 日本語では国際刑事警察機構って訳になるが、その業務は主に警察などへの情報提供や国際指名手配の実行とかそんな感じのデスクワークで、国際的な活動から国とのトラブルを避けるため逮捕権も基本的に有していない。

 なんか風の便りで酔狂な人もいて、特定の人物に特化して逮捕しようとする捜査官なんてものもいたらしいが、真実かはわからない。

 そのICPOの百地さんがなぜ捜査にまで手を伸ばしているかは今は後回しでも良さそう。というかサイオンがそろそろ話をさせろと無表情なのに睨んできて怖い。ゆ、譲りますよぉ。

 

「インターポールで掴んだNに関する他の情報はあるか」

 

「あるが、こっちはここほど確実性はないから、わざわざMI6さんが動くまでもなく俺らで調べるさ。確実性が上がったらまた報告させてもらう。戦闘力に関して言えばアンタらは頼りになるしな」

 

「あなたの狙撃もなかなかだったがな。それから猿飛京夜。次は助けてはやれないぞ」

 

「……肝に命じておくよ」

 

 いるだけでちょっと怖いサイオンにターンを譲ってみたら、サイオンはたったそれだけを聞いて話を終わらせて撤収のために歩き始めてしまい、去り際にキツい一言を放っていく。

 思えばサイオンには助けられてばかりでオレ良いところないよな。実力不足はロンドン留学でもなかなか補えないってことか。

 

「先代のナンバー7はもう少し人間味があったが、ありゃ友達いねぇな」

 

「てゆーかMI6とかと知り合いって、キョーやん何したのさ」

 

「オレというよりはキンジだが、敵対してるわけでもないからいいだろ。それよりさっきの狙撃は2人スナイパーがいたと思うんですけど、もう1人は?」

 

「あ、それこの人と私ぃ」

 

 そうしてサイオンが早々と離脱していったのを見送って、話もまた別のものとなり、ナンバー7が先代の頃からMI6と関係があるっぽい百地さんに先の援軍の狙撃についてを問うと、意外なところのヴィッキーが自慢気に答える。

 が、それにはオレも理子も疑いの目を向けて信じようとしないので、プンスカ頬を膨らませたヴィッキーはご機嫌を損ねてしまった。

 その様子を見て小さく笑った百地さんはそれが事実であることを述べてから、車に戻って中から物凄くゴツい狙撃銃を持ってきた。

 

超先端科学兵装(トランサンデ・エンジェ)って知ってるか? アメリカのロスアラモスってとこで研究されてる武装なんだが、こいつもそれの1つで、簡単に言えばまぁ、最低限の狙撃の基本ができれば各種サポート完備のこいつで誰でも精密狙撃ができるってわけだ」

 

「へぇ。じゃあヴィッキーがドヤってるのは筋違いってことでいいんですね」

 

「それが助けてあげた人に対する態度ですかねぇ!」

 

 その無駄なゴツさはなんか既視感があったので、言われて納得してしまったオレもオレだが、ロスアラモスって祖国以外にも技術提供してるんだな。やってることは未だに全て許容はできないが。

 ロスアラモスはキンジの兄弟のジーサードやジーフォース、かなめを始めとした人工天才(ジニオン)を作り出し、人間兵器(ヒューム・アモ)にしようとか非人道的な計画をいくつも企てている組織で、オレとしてはあまり良い印象がない。

 そこに留学しちゃった同級生の平賀文(ひらがあや)が悪い方向にグレードアップしないかと今も不安で仕方ないが、その兵装のおかげでヴィッキーにもあれほどの精密狙撃が出来たなら、今回は素直に助かった。

 

「んでだ。話が落ち着いたところで確認したいんだが、ビオドの町に潜伏してたNのメンバーってのは、さっき逃げてった勇志のボウズと一緒にいた女で間違いないか?」

 

「おそらくは。モニカという偽名で顔も変えていると言っていたので、今後の目撃情報は当てになるか不明ですが」

 

「ねぇねぇキョーやん。こうなるとあれにも確認を取らなきゃだよ。理子達が嵌められたのがあれのせいならぷんぷんがおーだし」

 

「それに関してもだが、もう1つ確認しなきゃな。百地さん。勇志さんがナノニードルで使った技の正体を知ってますよね。オレ達はまだ勇志さん達に狙われる可能性が出てきました。なら対策は練っておきたい」

 

「そうだよそうだよ! 狙われるって言えばキョーやんまだ隠し事してるでしょ。バンシーってあのバンシーでしょ。それとも知り合いなの?」

 

「そっちは知らん。向こうもまだ憶測で尋問してたっぽいし後回しだ」

 

 ようやく話の整理もついてきたので、もう少し細かい話は場所を移動しようみたいな雰囲気になりつつ、ビオドに潜伏していたNのメンバーがモニカである確認を取った百地さんに、ついでに勇志さんの使った技についてを問う。

 だがそこに割り込んでくる理子がまた面倒なことを掘り返してくれて話が散らかりそうになるのを強引に止め、ナノニードルの存在を知っていた百地さんを見ると、タバコを1本消化して携帯灰皿に捨ててから口を開いた。

 

「あれは霧原の秘伝、『刺毒(しどく)』だ」


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