緋弾のアリア~影の武偵~   作:ダブルマジック

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Slash3

 サウサンプトンでの調査を終えて、遭遇したサイオンの車でロンドンへと戻る道中。

 世間話などしなさそうなサイオンとの会話とも呼べないレベルの言葉のキャッチボールを時おり挟んで、なんとか2時間という拷問に近い重苦しい空気を切り抜けた。

 オレも口数が多い方ではないが、周りが勝手に喋ってくれる環境のありがたさが身に染みた2時間は非常にそれを考えさせられた。

 いつもは悪友の(みね)理子(りこ)・リュパン4世なんかのマシンガントークを鬱陶しいと思っていた……いや、今もやられたらやられたで鬱陶しいと思うが、この呼吸すら苦しくなる空間よりは10倍マシだ。

 ロンドン市内に入ってしまえば景色で楽しむという最高の暇潰しが出来るので、市内を流れるテムズ川を横断するアルバート・ブリッジ・ロードを渡った辺り。

 そのまま北上してロンドン武偵高を過ぎたところで右折してメヌエットの家に行ってくれると思っていたら、サイオンは橋を渡ってすぐに右折してチェルシー・エンバンクメントを走り始めて、500m程度進んだ先で謎のUターンを決めて路肩に停車。

 

「寄り道か?」

 

「そんなところだ。10分で戻る」

 

 便乗した身で寄り道にとやかく言う資格はないので、スマートに車を降りたサイオンが通過していく車に認識もされずにスイスイと道路を渡っていった不思議現象を苦笑しながら見届ける。

 ブレーキも踏ませないとか意味不明すぎるが、考えるだけ無駄な技術なので無視して長時間の着席で体が痛かったオレも車を降りて歩道で軽くストレッチし体をほぐす。

 すぐ横にはテムズ川が流れていて、平和な時間が流れているなぁと、その自然な流れにリラックスしていたら、そのテムズ川のちょうど中間辺りの水が明らかに不自然な流れを作り始める。

 始めは小さな渦だったものが、徐々に勢いを増して大きくなり、直径8mほどの渦潮にまでなると、今度はその水が強力な渦のまま上昇し水の竜巻が発生。

 20m以上も持ち上がった竜巻はオレのほぼ正面にくる位置で発生し、チェルシー・エンバンクメントを通っていた車もその現象を見て車を停めていた。

 だがそれがあまりにも危険なものだと直感するには十分すぎる状況と判断したオレは、携帯などを取り出し始めていた一般人達に思わず叫ぶ。

 

「そんなことする前にここから離れろ!!」

 

 その時にテムズ川を背にして道路に顔を向けてしまったのは完全なる判断ミスだったが、オレの叫びの中の必死さが伝わったか車を停めていた人達も携帯をしまい退避を優先してくれた。

 と思った瞬間、振り返ろうとしたオレの体がオレの意思とは全く異なる動きを強いてきて、その場から飛び退くように横へと飛んで歩道を転がる。

 これはオレが死ぬ思いをして修得した条件反射『死の回避(デス・イベーション)』が為せる死に至る脅威から逃げる術。

 オレの全身の細胞が死の匂いをかぎ分けて意思とは関係なく脊髄反射で起こる現象なため、コントロールするといったことは難しいが、視認したりなどの必要がない分で不意打ちには滅法強い。

 その死の回避が発動したからには今、オレは死に至るような危険に晒されていたということ。

 それを自覚したのは、自分が一瞬前まで立っていた位置にあったサイオンの車が横から物凄い勢いで飛んできた水の弾丸に叩かれて道路側に吹き飛んでいった光景を見送ったところでだった。

 幸い、道路を転がった車が他の車や歩行者を巻き込む二次災害は起きなかったが、爆発の恐れもある車と、車を吹き飛ばしたであろう謎の渦巻きから逃げるように一般人は脱兎のごとくこの場を退避してくれた。

 

「くっそ……誰がこんなことを」

 

 問題はあの渦巻きが『誰を狙っているか』なのだが、無差別攻撃ならばさすがにオレでも一般人への被害をゼロにするのは不可能。これがオレだけが狙われているのならばまだなんとかなるが……

 そう考えながら立ち上がり今度は渦巻きから目を離さずにいると、騒ぎを聞きつけたサイオンが反対側の歩道からこちらにやって来て、ついでに証拠隠滅のために自分の車を自爆させたみたいだ。豪快だな、MI6。

 

「さて、面倒なことになった」

 

「お前、こうなるって予測してただろ。サウサンプトンからここまでで」

 

「さぁな。仕掛けてくるかはわからなかったが、向こうが俺とお前、どちらを狙ってるか見極めたかっ……」

 

 涼しい顔で登場したサイオンだったが、この状況にあまりにも冷静なもんだから、サウサンプトンを出発する前にわずかに反応したことと関係あるなと、そこに触れるなといった空気を察して聞かずにいたことをここで聞く。

 それにはサイオンも素直に肯定と取れる反応で返して、そこからオレもこの襲撃者が少なくとも無差別攻撃するやつではないとわかる。

 次にオレとサイオンのどちらか一方、或いは両方が狙いなのかを判断しようとしたところで、渦巻きから水のつぶてが散弾のように飛んできて、オレとサイオンはそれぞれ左右に散ってそれを躱す。

 水のつぶてはコンクリの道路に穴を穿つほどの威力を誇り、当たれば骨折どころでは済まないと瞬時に理解しつつ、この渦巻きを操る術者本人の捜索を開始。

 あまり好き勝手に逃げれば周囲への被害が大きくなるので、なるべくテムズ川のそばの歩道から離れずに水のつぶてを躱すが、対岸の方にはそれらしい影もなく、攻撃を止める手段は見つからない。

 今のところオレとサイオンの両方が水のつぶてに襲われているので、襲撃者はおそらくあの隠し財産を盗んだやつと関係がある。そうでなければここまで大胆に狙われる謂れはない。

 

「となれば……」

 

 襲撃されてしまった以上は倒すか殺されるかの2択だろう。

 だが術者の姿が見えない以上は倒すのはほぼ不可能だし、簡単に殺されるのを許容するほど人として潔くはない。

 サイオンは放っておいても死にはしないだろうがオレは違うので、周囲への被害と術者が見える範囲にいないことを鑑みて長引かせるのは得策ではないと判断し『死んだと思い込ませる作戦』に出る。

 かつてジーサードとの遭遇戦でも通った綱渡りだが、ジーサードには近すぎて見破られたのも教訓に、少し小細工も織り混ぜる。

 依然として飛んでくる水のつぶての勢いは悶絶級だが、当たりどころさえ良ければ死ぬことはなさそう。

 それも冷静に見極めてタイミングを計っていたら、進行方向にこの騒動に対して腰が抜けてしまった初老のお婆さんが立ち尽くしているのが見えてしまう。

 

「くっそ……ッ!」

 

 目測で約60m先にいるお婆さんを巻き込まないためにはUターンしなければならないが、水のつぶてはそんなことを許すほど優しい弾幕ではないし、道路側に90度切り返しても住宅などに被害が出てしまう。

 となればもう選択肢は1つしかなく、慎重になっていた作戦をすぐに実行するためにすぐ後ろの歩道を穿つ水のつぶての勢いであえてバランスを崩して転倒しかける。

 そこから体を反転させて正面を水のつぶてに向け、懐から単分子振動刀を勢いよく抜き、瞬間的にチェーンソーのようになった単分子振動刀の切断力で体の中心に迫った水のつぶての1つを両断。

 それによって両断された水のつぶてがオレの両脇を抜けて歩道に突き刺さり、他の水のつぶてはオレの足や腕を直撃ではないが弾き、しかし急所となる頭などには決して当てずに水のつぶての弾幕の中で歩道に叩きつけられる。

 周りから見ればまともに食らったと見せるには1発だけまともに食らうよりも弾幕の中の方が効果的と思っていたが、死の回避がなきゃ絶対にやらない。やりたくない。

 そうして見事に水のつぶてによって倒されたことで渦巻きからの水のつぶても止んで、30m先にいたお婆さんにも被害は出ることなく鎮圧。

 最後の小細工に血のりを口と胴体から垂れ流して演出してみせれば殺害現場の出来上がりだ。血のりとか初めて使ったわ。

 念には念を入れて騒ぎの音が聞こえなくなるまでは死んだふりで通しておき、渦巻きがわずかに見えるように倒れたのを利用して観察していると、サイオンが殺されたわけでは絶対にないだろうが、向こうも人類最強クラスを簡単に倒せないと踏んで撤退になったようで、渦巻きは急にその勢いを弱めてテムズ川へと戻っていき、何事もなかったかのように静寂を取り戻した。

 辺りからは人の騒ぐ声やら何やらが聞こえてはいたが、襲撃者がまだ観察している可能性もあって自分の意思では起き上がれずにいたオレは、マズイことに近くにいたお婆さんがオレの殺される現場を目撃してショック症状に陥ってしまったらしい事態を察知。

 どうにかしたいがオレが動けばまた渦巻きが発生して攻撃される可能性もあるのでどうしようかと高速思考していたら、危機を脱したサイオンが汗1つ、怪我1つない姿で視界に入ってきて、オレの靴底を軽く蹴ってきた。

 

「気配はなくなった。お前の機転で被害が抑えられたことに感謝する。猿飛京夜」

 

「……感謝してるなら情報操作くらいはしておいてくれよ」

 

「『今回の件で武偵1人が命を落とした』。そういう記事でいいか?」

 

「向こう側にわかるように形として出ればいい。お婆さん! 大丈夫ですか!」

 

 その合図でサイオンの索敵レーダーからも気配が消えたことを理解して死んだふりからガバッと起き上がり単分子振動刀を納刀しながら血のりを拭い、サイオンに隠蔽工作をお願いして、呼吸困難になっていたお婆さんに駆け寄っていった。

 幸い、死んだはずのオレが生き返ったことで九死に一生を得たお婆さんを、一応は病院に運ばせてから人混みに紛れて姿を消したサイオンへの言及もできないまま、ロンドン警視庁(スコットランド・ヤード)とそれなりに関係もあるオレは、駆けつけてきたレストレード警部に適当な状況説明をしてから現場を離れて、夕暮れ時になった頃にメヌエットの家に到着。

 なんかボロボロなオレが入ってきたことでサシェとエンドラに余計な心配をかけてしまったが、手足に多少の打撲がある程度なので心配ないと言っておいて、メヌエットのいる2階の仕事部屋に入る。

 

「成果はありましたか?」

 

「今のオレを見て推理してみな」

 

 部屋に入ると珍しく最初からオレの方を向いていたメヌエットが、読んでいた何かの伝記本を机に置きつつ呑気に尋ねてくるので、わかってるだろうにとボロボロな姿を見せつけてやる。

 

「あら、てっきりここに来るまでに何度も転んできたのかと思いましたが」

 

「オレはどんなドジっ子キャラなんだ」

 

「フフッ。それだけ元気なら見た目ほど体へのダメージは少ないようですね。安心しました」

 

「……心配どうも」

 

 そこからアホな推理を披露するメヌエットのおふざけは酷いもんで、思わずツッコミを入れてしまったが、そうやってオレがツッコむ気力もまだあることに安堵したのか素直に心配はしていたことを吐露。

 そういうところが本当に時々だがあるから調子が狂うが、心配させたのはオレの至らなさが原因なので、謝罪も含めた感謝を述べて、それから話を本題へと切り替える。

 

「サウサンプトンの隠し財産があった倉庫の金属の床に直径6mくらいの円形の窪みがあった。一番深い中心部でも2mmないくらいだったが、それに人為的なものを感じた」

 

「ふむ、大方の予想はしていましたが、これでほぼ確定したといったところでしょうか。それとサウサンプトンには京夜だけでしたか? 私の調査の申請の際、どこかしらの機関が。具体的に言えばMI6辺りのエージェントが『威圧』してきたのではないですか?」

 

「お察しの通りで。個人の判断か組織の命令かはわからないが、サイオンが来たよ。向こうで見つけたものについては共有したが、ここでメヌがした推理をどうこうしろとは言われてない」

 

「そうですか。では今後の京夜の行動も監視されていると見た方が良さそうですね。京夜もこれからの隠密行動には更なる精度が求められます」

 

 とりあえずサウサンプトンでの成果を報告するところから始めて、それを聞いたメヌエットが推測の域だったものをほぼ確定したものにできたようで、オレの行動も無駄ではなかったみたいだ。

 それから自分が調査の申請をした段階でMI6などが動くと見ていたらしいメヌエットの先読みは今さら驚くこともなく、それならと今後の動きへの警戒を怠らないようにと注意してきたところで、話をまた隠し財産の方へと移していつものパイプをくわえてチェリーの精油を香らせる。

 

「では今回の隠し財産の消失について、小舞曲(メヌエット)のステップのごとく、順を追って説明しましょうか」

 

「説明するってことは、今後もオレの力は必要ってことだな。どうぞ続けて」

 

「まず隠し財産を外へと持ち出した人物。これは十中八九で超能力者。或いは人ならざる者の力が働いた結果でしょう。その中で最も可能性として高いのは……」

 

 いつもの口上と共に饒舌になったメヌエットがオレにそうやって話をするということは、その推理だけでは解決には至れないから。

 まぁその前にオレの動きを注意したりとしてるから今さらだが、オレが理解することで今後の動きに明確な意思を持つことができるのは大きなことだ。

 何のためにそこに行くのか、何のためにそれをやるのか、それを理解してるのとしていないのでは動きのキレはまるで違ってくるからな。

 なので話し始めたメヌエットの推理に耳を傾けていたのだが、何やら少し考える素振りを見せたメヌエットは、そこで濃厚な可能性とやらを言わずにオレに推測させにくる。

 

「京夜。あなたはお姉様が超能力を使うところを見たことはありますか?」

 

「んー、自分の意思で使ってるのは見たことないかもしれん。ただ話でなら何が出来るかくらいは聞いてる」

 

「でしたら問題ありませんね。そのお姉様が使える超能力の中に答えがありますよ」

 

 推測させるということはオレの見聞きしたものの中にそれを可能にする材料が存在することに他ならず、少し身構えていたら自分の姉であるアリアが浮上。

 今年の3月までアリアは自分の心臓の近くにまでシャーロックによって埋め込まれた緋緋色金の弾丸。緋弾によってその精神を意思持つ超常の金属、緋緋神に乗っ取られそうになっていた。

 その緋緋神となんやかんやあって今は折り合いがつき、緋緋神が使える超能力を今やアリアが自分の意思で使えるようになっているのだ。

 まだまだコントロールがおぼつかないみたいだが、その気になれば髪を自在に動かしたり、目からレーザーを出したり、目視した場所へ瞬間移動なんてこともでき……

 

「……瞬間、移動……」

 

「正解です。京夜は優秀な生徒ですね」

 

「誰の生徒なんだオレは……でも待ってくれメヌ。アリアの瞬間移動は確か目視した場所にしか飛べない制限があるぞ。使用回数だって1日1回が限度だって話も聞いてる。重量制限もあったか」

 

「それはお姉様に限ったお話ではありませんこと? 瞬間移動が現実に扱える者が存在する以上、より高度に瞬間移動を扱える者が存在していても不思議ではありません」

 

 言われてアリアの使える超能力──本人が言うには超能力より上の超々能力(ハイパーステルス)という分類らしいが──を1つずつ思い出してみると、なんかそれらしいものが引っかかり口にする。

 その答えにメヌエットもご満悦だが、言うようにアリアの瞬間移動には色々と制限も存在している。

 しかしメヌエットはそんなことは超能力者初心者のアリアだからと切り捨てて、より上位の瞬間移動を使える超能力者がいるのだと推理。

 それが推理と呼べるのかはとりあえず置いておいて、そこに至った経緯とやらに耳を傾ける。

 

「実際に高度なのかどうかはわかりませんが、お姉様の瞬間移動が目視であるのに対して、隠し財産を盗んだ者は……例えば座標を指定し、点と点を行き来するものである可能性です」

 

「……それなら確かに隠し財産のある座標……緯度とか経度、高さもか。その辺を精密に特定してるなら、隠し財産のある倉庫に入る必要はないのか」

 

「座標でなくとも、物、生物といったものをマーカーにして移動させる方法も可能でしょう。ただしこの場合は超能力者本人があらかじめそれ自体を視認しておく必要はあるかもしれませんから、別の何者かが倉庫に侵入したことにはなります」

 

「あそこに入るとなると微生物とかぺらっぺらな薄さの紙みたいなヤツが扉の隙間から入るしかないと思うがな」

 

「壁を透過できる超能力者の可能性もありますよ。何れにしても隠し財産が盗まれた際に使われたのは瞬間移動の超能力で間違いありません。倉庫にあったという円形の窪み。それは瞬間移動を使った際に本来は球形の範囲を指定し黄金を持ち出し、その際にわずかに指定がズレた結果、金属板の一部を抉り取って移動させてしまったということです」

 

 ああ、そういやアリアの瞬間移動も『対象を取る』タイプじゃなくてある程度で範囲を定めて、その中のものを瞬間移動させるとかなんとかだったはず。

 それなら金属の床の一部が不自然に切り取られたようになっていても納得できる。

 メヌエットの推理も未確認の事象が絡むので確定ではないが、アリアクラスの超々能力を使える敵がいる可能性は十分にあるため、オレもここから先の調査には恐怖を覚える。

 オレ程度では超々能力の前では無力に等しいからな。レーザーなんて撃たれたら……死ぬかもしれない。

 と、昔に緋緋神に体を乗っ取られた斉天大聖、孫悟空と呼ばれている(あやかし)(こう)が放ったレーザーを避けていることを棚上げ──猴が多少抑止力になってくれていたこともある──して考えていると、メヌエットも敵の正体がおぼろ気にでも見えてきたことを話す。

 

「どうあれ黄金を盗んだからには、敵はそれだけの軍資金を使って大きなことをしようとする組織である可能性が高いですね。いえ、イギリスの不況も事によっては無関係ではなく、その組織がすでにそうした流れを作り出しているのかもしれません」

 

「つまりイギリスをEUから離脱させてヨーロッパを一昔前の姿にしようとしてる組織がある?」

 

「そのようなことは計算高い人間でも容易ではないですが、曾おじい様以上の天才的な頭脳と推理力を持つ人間ならば、事を逆算し意図的にその結果を生み出すための動きを計算できるのかもしれません。京夜とサイオンを襲ったのは『これ以上は詮索するな』という警告の意味と『こちらはその気になればお前達とも十分に戦える』という宣戦布告でもあったのでしょう」

 

「それで殺されるところだったのは嫌な話だよ。だがそうなるとオレ程度じゃメヌの手足になるのは荷が重いかもしれない」

 

「それは私が判断することですよ、京夜。それに京夜は殺そうとしたところでそう簡単には死んでくれないでしょう。そこだけは信頼しているのですよ」

 

 どうにもかつてのイ・ウーのような巨大な組織が絡んできそうなこの一件は、解決するまでに色々と別の案件も片付けていかなければならない。

 そんな予感がしてきたのをあえて口にはしなかったが、すでにその大きな流れの中に身を投じてしまっている感じは全身が理解してしまっているようで、おぞましいほどの寒気を覚えたのだった。


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