緋弾のアリア~影の武偵~   作:ダブルマジック

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Aiming11~Zhao-Yong~

 

「はいカットカット」

 

 もう何度目になるだろうか、この現場で一番の地位を持つ人物のその声で俺を含めた全員が張り詰めていた緊張を解いてリラックスする。

 対してその言葉を引き出した原因である俺は、一向に改善できない問題について完全に八方塞がりで周りの声がどこか遠くに聞こえていた。

 

 2010年4月末。

 先月の半ば頃に劉蘭の仕事の一環として、投資していた映画会社の新作映画の制作現場を見学させてもらった時に、悪の組織のリーダー役がアクションシーンの撮影で怪我をし、その代役として俺がやったところ、映画監督がそのアクションを高く評価してくれる。

 映画制作も序盤だったこともあって、悪の組織のリーダー役をそっくりそのまま俺を起用して制作したいという話が持ち上がり、その際に劉蘭が「ギャラはいらないから、何か別の要望を聞いていただければ」という交渉で今に至る。

 その時に監督が出してきたのがとある香港スターとのコネクションだったこともあり、またいつもの悪巧みを思いついた劉蘭は、今頃は北京でそのスターとの時間を満喫していることだろう。

 俺さえまだ遠目にしか見たことがないあの人と会えるチャンスが降って湧いたのに、肝心の俺が撮影で会えないというのは残酷としか言い様がない。

 いちおう映画監督とは『撮影が順調にいけば行ってもいい』といった約束はしていたのだが、何ぶん経験の全くない役者という仕事に四苦八苦。

 アクションシーンは日々の鍛練の延長で難しさはあまりなかったが、寸止めやある程度の手加減をしなければいけないことの方に窮屈さを感じてしまった。

 そうしてアクションシーンだけはトントン拍子で撮り終えていたのだが、肝心の台詞を与えられた演技の方でNGを連発。

 アクション俳優には叶わないと思いながらも憧れはあったから、魅せる動きというのはそれなりに研究していたのだが、肝心の台詞回しは周囲に話したこともなかったから、相手がいる中でと、撮影の現場の空気にはどうしたらいいのかわからなくなってしまった。

 

 演技指導はちゃんと受けながらで少しずつ棒読みな感じや表情は改善されてきてはいたものの、1つのシーンにかかる時間は割増しで予定も滞ってしまっている。

 素人同然の俺を起用しようと言い出した制作側としてもかなり寛容な対応で付き合ってくれてはいたが、やはり撮影が遅れるというのは精神的な疲労にはなり、俺にとっても長引けば長引くほどに罪悪感が増していく。

 何より俺自身もいつまでも劉蘭の護衛をココ姉妹に任せておくわけにはいかず、劉蘭が取り計らっているとはいえ、上海藍幇からいつ何を言われてもおかしくない状況でもある。

 そうした色々なことが混ざって地に足がついていない感じが演技にも影響しているのがわかって、監督も俺の調子が上がってこないのを見て、台詞付きだからと残していた要所のアクションシーンの撮影をして調子を上げさせようとする。

 俺としても残っているのが演技だけと思うから「まだあるのか」という気持ちが消せず疲労に繋がっていたかもしれないので、体を動かさせてくれるのはありがたい。

 

「じゃあシーン12。アクション!」

 

 撮影シーンは物語の序盤で悪役のリーダーの実力を主人公とその仲間達に見せつけるところで、圧倒的な強者感を存分に出して高圧的に台詞を言ってくれと指示があり、俺もそのつもりで迫真のアクションから言ってみるのだが、対面している役者がキャリアのある人達で、俺みたいな若造が演技とはいえ高圧的になりきれるかというとそんなことはなかったようで、やりきれてないのを監督が感じたからNGが出てしまう。

 主人公サイドの役者からも「遠慮なんていらないから」と優しく言ってくれるが、その優しさがなんというか気持ち悪く、いっそのこと「ちゃんとやれ」と怒鳴ってくれた方が開き直れるような、そんな気までしてきた。

 そうやっていつまでも役に入りきれない俺を見た監督は、演技自体の上達はしてきていると言ってくれて少しだけ前向きにはなれたが、もうひと押し何かがあればと考えたのを表情から察したのか、妙案を出してくれる。

 

「悪役ってのはなりきれって言われても、根っからの悪人なんてそういねぇからな。参考とかしにくいのはわかる。だから目の前のやつらを『お前さんの気に食わない奴ら』に置き換えて、ストレス発散する感じでやってみるのも手かもな」

 

「八つ当たりみたいなもので気が引けますが……」

 

「目の前の役者じゃなくてその気に食わない奴らに言ってると思い込め。お前さん、見かけによらず優しいのがわかるから、そうでもしないと悪役なんてやりきれないぞ」

 

「気に食わない奴らに……置き換える」

 

 監督としても起用を決めたからには妥協はしたくないのだという意志がそこから伝わってきて、俺の中途半端な演技が監督の作品をダメにするかもしれないという現実と向き合う。

 そうすれば自ずと変換する作業に関しては上手くいきそうで、頭に浮かんだ気に食わない連中を役者の上に被せて、そこからそいつらから被ったストレスをぶつける直前に持っていく。

 それだけで俺の拳がわずかに震えたのが見えたらしい監督は、その状態がいつまで保つてるかわからないから、すぐにスタッフ達に呼び掛けてシーン撮影に入ってくれる。

 日頃から上海藍幇の老害達が革新派の劉蘭を煙たがって、その位階を下げる機会をうかがっている様を思い出し、何でも力で解決してきた老害達のやり方が敵の排除以上に増やしていることにも気づかないのかと、その怒りをアクションと台詞に乗せて吐き出す。

 

「お前達が敵に回したのがどんな男か、その身を以て味わいたいようだな」

 

 自分ではどう変わったかをいまいち把握できないため、そのあとのアクションシーンに繋げてくれたことから、監督は納得してくれたようで、そのまま次の台詞とアクションも監督のカットが入ることなくシーンを撮り終えることができた。

 予想よりも結果に繋がった意識の置換は、他の役者からも急に段違いで良くなったと評価されて、今までどんよりとしていた現場の空気がパァッと明るくなったのが俺にさえわかって、こういう空気は勢いと言うように監督は次に詰まっていたアクションなしのシーンを撮ろうとノリノリになる。

 俺としても今のでいいならまだ怒りの矛先はあるので、それらに対する怒りが尽きる前に撮れるだけ撮りたいという思いで監督の指示に迅速に行動し、気に食わない連中を頭に浮かべながらに高圧的な見下すような演技で挑んでいく。

 その結果。今日の分で今までの遅れを半分ちょっと取り戻してシーン撮影が終わり、明日からもこの調子でいければ、クランクアップも来月の頭にできるかもと監督が言っていた。

 何より俺の役が出るシーンは7割以上も消化できている。山場のアクションシーンは最後に撮ろうという監督に意向から考えれば、そこにモチベーションを持っていきつつ、問題の台詞回しがどうにかなればと考えながら、その日の内に明日から吐き出せそうな怒りを記憶から引っ張り出して眠りに就いていった。

 

 翌日からの撮影も今までの鈍足ぶりが嘘だったように順調に撮り終えていき、好調3日目からは主演の役者などとも演技について話し合ったりする余裕まで出てきて、完全にノッてきたといった感じが自分でもわかって、憧れていた役者という仕事を楽しんできている心境の変化は心地よいとさえ思えてきた。

 そんな頃に無事に企画していた観光プランに使う映像を撮り終えた劉蘭から連絡があり、明日にはクランクアップも見えた山場の撮影が控えていることもあって、ホテルで入念に台本のチェックをしながら携帯をスピーカーにして会話に応じる。

 

『こちらもこれから映像の編集に立ち合っての作業が始まりますが、そちらの調子はどうですか? 監督さんから悲鳴が聞こえてこなかったので最悪の事態は避けているものと思いますが』

 

「それは俺を馬鹿にしているのか。そっちこそ、招いておいて失礼を働いてないだろうな」

 

『あら、そんなことを言う趙煬には折角いただいたサインを差し上げるのは気が引けますね』

 

「……ちっ。そういうところが老害達に嫌われているんだぞ」

 

『状況と相手は選んでやってますから、無闇に敵を作ったりしませんよ。ご忠告ありがとう、趙煬』

 

 昔から鋼の精神力で物怖じすることなく前進してきた劉蘭だが、誰に対しても媚びるような態度だけはしなかったから強かさは異常なほどで、生来の天衣無縫と合わさって味方と敵の数がほぼ半々になってしまっている。

 その強かさを俺にまでたまに向けてくるのは迷惑極まりないが、デコピン1発で倒せてしまえるほど弱い劉蘭を見限らないのは、やはり劉蘭には天賦の才と呼べる人の上に立つ才能があるからなのだろう。

 劉蘭の先祖、劉備玄徳がかつての蜀を人望で築き上げたように、その中にいた俺の先祖の趙雲子龍も、静幻の先祖の諸葛孔明も、今の俺と静幻のように劉蘭の『何か』に期待していたのかもしれん。

 

『クランクアップの後はまた私の護衛にしばらくついてもらいますが、映画の評判と要望によっては今後、本格的にアクション俳優として活動してもいいように進言してみたいのですが、趙煬にその意思はありますか?』

 

「…………それは可能性としてあり得るのか?」

 

『あなたが望むなら、必ずや通してみせますよ。何よりも幼い頃よりそばにいてくれた趙煬に恩返しができるのであれば、願ったり叶ったりです』

 

「俺がお前にしてきたことを恩に着せたつもりはない」

 

『感謝しているという話ですよ。こういうことでもないと、あなたは素直に受け取ってもくれませんでしょう』

 

 おそらくは冗談だった挨拶を終えてから、互いの仕事に支障がないことも確認が取れて話したかったのだろう案件を切り出してくるが、俺にとって少し予想外な提案が飛んできたので珍しく戸惑ってしまう。

 劉蘭にさえアクション俳優になりたいという夢は話したことがなかったのだから当たり前だが、俺の背中を押す劉蘭の言葉は本心では嬉しくて、それでも日頃の感謝だなんだと言われるのはしっくりこない。

 物心ついた頃から妹のように後ろをついて回ってきた劉蘭は、俺にとっては守るのが当然の存在であり、俺個人としては劉蘭の親以外の保護者だと勝手に思っている。

 それは今も変わらないし、当たり前のことをしている俺にとって感謝されるということの違和感は拭いきれないものがあるが、向こうも勝手に感謝してきたことなのだから、今回は素直に受け取ってやろう。

 

『話は進める形でいいと解釈しますね。そ、それでその……話は変わるのですが、趙煬に意見をうかがいたく思います』

 

「なんだ改まって」

 

『実は先日に理子様よりご連絡があって近々、学校の修学旅行で京夜様のいらっしゃるロンドンに行かれると話していて、その際に京夜様への贈り物はないかと尋ねられまして。その贈り物について趙煬から意見をうかがいたいのです』

 

 …………ああ、またか。

 俺が了承したとみて話を進めると言った劉蘭は自分のことのように嬉しそうにしていたが、打って変わってモジモジした態度になった劉蘭がそうなるのを、俺はもう数えきれないほど見てきたからげんなり。

 普段は女であることすら忘れていそうな、女狐の劉蘭だが、かつての許嫁であった猿飛京夜の出てくる話をする時だけは、ドン引きするくらいの乙女に変貌してみせるわけだ。

 物心ついた頃からある突発的な猿飛京夜への依存症は、自分が何をすれば相手が喜んでくれるかを考える際に、一番身近な異性として俺を参考にすることが多い。

 こうなってしまえばいい加減な態度で接すると「真面目に考えてください」とトーンが落ちた声色で脅され、まともな意見が出せないと後日には考えすぎで寝込んでしまうという悪循環がよく発生していた。

 さすがに佐官になった13歳くらいから寝込むような事態はなくなったが、真面目に答えないと怒るのは今も変わらない。本当に面倒だ。

 

「お前ももう18になるんだ。いい加減に自分の選択に自信を持て。毎度思うが仕事での度胸はどこに行くんだ」

 

『それとこれとは話が違います! 京夜様は余程のことでなければ喜んで受け取ってくださるでしょうが、本当に素直に喜んでくださる物をお送りしたいという気持ちの迷いの何が悪いのですか!』

 

「そんなエスパーでもなければわからんようなことで悩んでるなら、いっそのこと本人に尋ねればいいだろ。昔と違って今は直接の繋がりがあるんだから、それを利用しない手はないだろう」

 

『そのような私的な理由でのご連絡は、勉学のために留学されている京夜様に失礼極まります。ですから男性の代表として趙煬の意見を参考にと尋ねているのですよ』

 

「…………それで意見そのままに送って微妙な結果になった時には俺のせいにするつもりだろ。その手は食わん。好きな男への贈り物ひとつ自分で選べんなら、男を好きになるな」

 

 その面倒臭いという気持ちがちょっと表面に出てしまった結果、なんだか素直に言うことを聞いて意見するのが嫌になった俺は、いつまで経っても兄弟に頼る妹気分の劉蘭に厳しい言葉を発してしまう。

 怒ってる感じでは言ってないつもりだったし、俺が意見しないまま話を終えれば、次は静幻辺りが捕まって意味がないものになる可能性が高かったから、とどめに結構な本音を浴びせて黙らせてやる。

 すると面食らったらしい劉蘭は携帯越しの向こうでしばらく沈黙し、ようやく口を開いて出てきた「そうですね」から興奮気味だった気持ちを落ち着かせて続ける。

 

『趙煬の言う通りです。大切な想い人であるからこそ、自分で選ばなければならないのだと気づきました。相手のことを想って選んだ贈り物にこそ、意味があるのでしょう』

 

「……お前は落ち着きさえあれば聡い女だ。それに自覚はないだろうが……歳の割には大人びた雰囲気もある。自分に自信を持たないのは勿体ないぞ」

 

 仕事での鋼の精神力がここでも活きれば、劉蘭はもっと達観して物事を考えられるのはわかっていた。

 それができるようになりそうな今になら優しい言葉のひとつくらいはかけてやってもいいかと思って言ってみたら、何故か携帯の向こうから小さな笑い声が聞こえてイラッとする。笑うところではなかったぞ。

 

『趙煬が私のことを仕事以外で褒めてくれるのは初めてですね。ありがとう。あなたが私のそばにいてくれて本当に良かった』

 

 そうだろうと思って怒ろうとしたところで、不意にそんなことを言うから俺も咄嗟に言葉が出てこなくて沈黙してしまうと、携帯越しの俺の表情がわかったかのように一方的に話を終わらせて通話を切ってしまった劉蘭に、結局はいいようにされてしまった事実がのしかかる。

 だが今回は少し、ほんの少しだけだが、まぁ悪くはなかった気もするな。

 

 そんなことがあっての翌日の撮影。

 この日も順調に撮影は進んで、残すところはクライマックスとなる主人公との一騎討ちのアクションシーンのみとなり、背景が夜のため日が完全に沈むまでの待ち時間で気持ちを作ろうと置換を始めて、気づいてしまう。

 いくら日頃からストレスの溜まる仕事をしていたからといっても、それが際限なくあるわけもなく、怒りをぶつける対象が思い付かなくなっていた。

 好調だったことからポンポン頭に浮かんできて気づくのが遅れたが、クライマックスシーンともなれば監督の熱量も最高潮になり、それに合わせて俺も考えうる最高のコンディションを作らなければならなかった。

 つまり最高の怒りをぶつける対象を残さなければならなかったのだが、思い付かないということはそういうことだ。完全に失敗してしまった。

 現場の空気も好調のままだから、ここで明らかに見て取れるNGの1つでも出せば、たちまち空気は一変し、最悪また泥沼化してしまう。

 それだけは阻止しようと待ち時間の間に必死になって対象を探してみたが、やはりおあつらえ向きな顔は浮かんでこず、ついにクライマックスシーンの撮影となってしまった。

 とにかく好調の時のイメージを膨らませて、今まで怒りをぶつけてきた対象を再度頭に浮かべて無理矢理にボルテージを上げてみるが、とてもじゃないが最高の状態とは言えない。

 そんな状態で主人公役の役者と向き合って構えた瞬間。この作品の台本の内容が鮮明に思い出され、この主人公の姿がある男と被る。

 

 俺などよりも力ではずっと劣りながら、敵わないと頭では理解しているはずなのに、それでも立ち向かわなければならないとなった時にする覚悟の表情と眼。

 それは去年の末に出会った劉蘭の元許嫁、猿飛京夜の姿とそっくりそのまま重なってきた。

 あの時。藍幇城での戦いでそうだった。

 俺の登場を先んじて察知し、誰も敵わないだろうと踏んで仲間を先に行かせ、何分持つかもわからない俺の足止めを買って出て立ちはだかってきたあいつの姿が、目の前の光景と重なる。

 そして始まるクライマックスシーンの撮影。

 終盤にきても主人公とボスとの実力差はまだあり、何度も地面に倒してみせるのだが、その度に立ち上がってくる主人公と、あの時のあいつの姿が、重なる。

 

「何故だ。何故まだ立ち上がる?」

 

 ──何故だ。何故お前は諦めない?

 

「そんなの……決まっているだろう……」

 

 ──勝てないとわかっているのだろう。それでも立ち上がって向かってきて、何を求める?

 

「大切な仲間を守るためには、お前を倒さなきゃならないからだ!」

 

 ──大切な仲間を守るため、か。

 あの時のお前も、やはりそうだったのか、猿飛京夜。

 勝てないとわかっていても、仲間の危機には逃げたくなかったと。立ち向かわねばと奮い起ったのか。

 それは自己犠牲の破滅の道。たとえそれで守られる者があったとしても、残された者はどう思う? お前のいない世界を受け入れられるのか?

 気づけば演技の中で自問自答をしていた俺は、一転して主人公の猛攻に切り替わった場面で徐々に押されていき、ボロボロの主人公からついにクリーンヒットの蹴りをもらって初めて地面に倒れる。

 その迷いとも取れる葛藤も撮影の中で良い表情を作ったらしく、動揺したボスは最後の力を振り絞ってラッシュを仕掛けた主人公に敗北。

 もう立ち上がれないほどのダメージによって倒れた俺が、夜空を見上げながらにその答えを星を探すかのように見つけ、意識を手放す演技で締めるが、その時の俺は主人公の在り方とこの結末を肯定してなどいなかった。

 命あっての物種とはよく言うが、自分が死ぬ気で物事を成そうと、それは自己満足でしかない。

 それならばその抗えない力を越えた力で以てねじ伏せられるようになればいい。単純な話だ。

 だから俺は今のお前を完全に認めてはいない。認めてほしければ強くなれ。俺に膝をつかせる程度になったら、その時は少しだが認めてやろう。

 

 そんな答えを出した時に聞こえた、監督からの「オッケー!」の一言で全ての撮影シーンを撮り終えたことを理解して起き上がると、主人公役の役者が「迫真の演技だった」と褒めながらに手を差し伸べてくれ、その手を取って立ち上がりながら、今回は役に立ってくれたあいつにほんの少しだけ感謝しておく。

 ──この映画が有名になったら、友人面くらいは許してやる。


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