緋弾のアリア~影の武偵~   作:ダブルマジック

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番外編~キャラクターエピソード~
Aiming1~Kotori~


 

 人の習慣っていうのは、条件反射に似ている。

 自覚のあるなしは関係なく、染み付いた感覚が自然とそうなるように導いてしまう、人体のちょっとした神秘ですね。

 その習慣に従って、新学期の始まりとなる今日もいつもとほぼ同じ時間に目を覚ました私、橘小鳥は、本日より高校2年生になる。

 

 ようやく馴染んできた1年ぶりの第2女子寮の部屋も、今や私色に染まりまくりで、同居人がいないのを良いことに酷い有り様ですが、め、迷惑とかかかってないしね。

 目覚めは良い方なので、起きてからすぐに顔を洗ってセーラー服へと着替えて朝食の支度に取りかかって、その間に昴も起きて、お行儀悪く室内で育ててるミニトマトを1つつまみ食い。

 まぁ昴用なので別に良いんですけど、あれやったら朝食の用意はしないのがお決まりになりつつあります。

 朝食の後は室内の観葉植物達──リビングにもはや8つの植木鉢があります──と朝のコミュニケーションをしつつの水あげ。

 ようやくこの子達の声も聞こえるようになってきて、この子達の欲しがっている水の量を教えてもらえるようになってからは、植物の奥深さを思い知る毎日。丸々1日、水をあげなくてもいいなんて子もいますしね。

 図鑑なんかに書いてることとちょっと違ったりとあるのは、やっぱり植物にも性格とかがあって、まだ解明できてない部分もあるんだなって。

 

 それらを終えてようやく登校。

 インターンを除いて武偵高で先輩の立場になる今日からは、私も少しだけ周りからナメられないような立ち振舞いをしなきゃとちょっと意気込んで登校したのですが、身の丈に合わない振る舞いはかえって悪目立ちするとかなんとか京夜先輩に言われてしまいそう。というか言われる。

 それを考えたら肩肘張っても仕方ないかなと、結局は登校途中でいつも通りになった私に対しての昴の「やっぱり小鳥は間抜けな顔が合ってる」が突き刺さり、勝てもしないのに飛んで逃げた昴を追いかけて走っていった。

 

「…………またあなたですか」

 

 私を嘲笑うかのように校門で呑気に待っていた昴は非常に腹立たしいですが、私がいなきゃ食住に困るのはあなたの方ですからねぇふふふ。と脅してやれば頭を垂れて謝るので許してあげつつ、息を整えて校舎へと入ろうとしたら、なんでしょうね。デジャヴってやつですね。ええ。

 確か去年もお見かけしました猫さんが私と昴の前に姿を現して、本能的に私の頭の上にまで避難した昴は「相容れない存在だ!」とめっちゃ拒絶してる。

 猫さんの方も何がそんなに気になるのか、昴をじっと見つめて今にも飛びかかってきそうな……というか言ってるそばから飛びかかってきて、去年と同じようなやり取りが始ま──

 

「す、昴は食べ物じゃ……」

 

 ──りそうになって、私はそれではダメだと言葉を切って猫さんの初撃を躱してから、また飛びかかってきそうな猫さんに臨戦態勢を解いてしゃがみこむ。

 それには頭の位置が下がったせいで昴から「ふざけるな小鳥!」とバッシングを受けましたが、その声を気にせずに飛びかかろうとする猫さんに右手を前へとかざして静止を促す。

 

「昴は私の大切な友達なの。だから食べようとするのはやめて」

 

 その手か言葉か、どちらの影響かはわからなかったけど、飛びかかろうとした猫さんは興奮気味だった状態から徐々に落ち着きを取り戻していき、楽しそうにフリフリしていた尻尾もピタリと止まってその場に座り込む。

 わかってくれたのかなと思ったのもつかの間。これでコミュニケーションは取れたっぽくてすぐに猫さんの思ってることが私に伝わってきて、それによると「じゃあなんかちょうだい」とまさかのおねだりをしてくる。

 ずいぶんとまぁ図々しい子ですが、それで昴を食べないでくれるなら安いものかもと思い、昼休みに何かあげることを約束すると、猫さんは「くれなかったら猫パンチするからな」と猫が猫パンチとかいう単語を使ってる違和感ありまくりな言葉を残してどこかへと走っていってしまったのでした。

 

「何をしていたんですか?」

 

 そんな様子を途中から見ていたっぽい幸帆さんが挨拶と一緒に近寄ってきて、周りから見たら珍行動を取っていただろう私に疑問を投げかけてくる。

 

「えっと、昴を食べようとした猫さんと交渉をしてました」

 

「そうなんですね。あの様子だと交渉は上手くいったようですが、猫相手に譲歩するのはどうなのでしょう」

 

「今回限りにしてもらう、予定です……」

 

「あの猫、私の寮の先輩が部屋によく入れてるのを見るので、飼い猫の可能性もありますよ。舌が肥えてたり、甘やかされて育ったのだとしたら、少し面倒かもです」

 

 あまりに普通に会話へと興じる幸帆さんに釣られて私も普通に会話してしまいましたが、去年にこんなことをしていた私を受け入れてくれた人はほぼいなかったことを不意に思い出して、この1年で自分の周囲の環境が劇的に変わったことを実感する。

 それをさらに実感させるように、いつも仲良しのあかりちゃん達も登校してきて、私達を見つけると笑顔で近寄って普通に挨拶してくれる。

 

「…………へへっ」

 

「どうしたの小鳥ちゃん。何か嬉しいことでもあった?」

 

 その普通が嬉しくて、ついつい笑いが溢れてしまい、それに気づいたあかりちゃんにすぐに言及されてしまうけど、なんだか恥ずかしいのでその場は「何でもないよ」と誤魔化してみんなで校舎へと入っていった。

 

 昨日の段階で校内(イントラ)ネットで新しいクラスは発表されていたので、何の力が働いたかは不明ですが、私の友達関係はほぼ全員同じC組で、先にクラスにいた陽菜ちゃんや貴希さん、かなめちゃんともキャッキャと挨拶がてらの会話をする。

 担任が蘭豹先生なのだけが心配ですが、まぁ一般教科の授業を受けるためのクラスでもあるので、合流しやすくなったくらいの感覚でいいのかな。

 

「オラっ、ガキども。早よ教室に入れや。殺すぞッ」

 

 友達との会話は時間を忘れてしまうところですが、初日だからか珍しく時間通りにHRを始めに来た担任の蘭豹先生の登場で終わりを迎え、一応の決まった席はあるものの、すでにみんなが自由に座っていたので、私達も近くに寄って席を固める。

 それからすぐに蘭豹先生の自己紹介があったけど、みんな知ってるし軽い感じで終わって、次いで私達にも恒例ということで自己紹介を促される。

 その最初の指名を受けたのは、教室の1番後ろの廊下側にひっそりと座っていた女子生徒で、パッと見ても見覚えがなかったその女子生徒は伏し目がちながらも、長い黒髪は綺麗で、自己紹介のために立ち上がると身長も170cmはあってモデル体型、かもしれない。

 

「……オランダ出身の、クロメーテル・ベルモンドです……日系人です。よ、よろしく……」

 

 全体的に肌の露出を抑えるようにロングスカートを履いていたりとあって服の内側はハッキリしませんが、美女と呼ぶに相応しい容姿で、さらに声もおしとやかというよりは単に小声なだけにも思えるけど、それがなんか神秘的で、自己紹介を終えても男女問わずにみんながその視線をクロメーテルさんに注いでいた。

 見覚えがないと思ったら転校生ということらしかったので、それならこの教室の反応も頷けると納得しながら、他の人の自己紹介もなんとなくで聞いておく。

 すると私の頭の上で大人しくしていた昴が、何故かずっとクロメーテルさんを見ていたようで、何かを発見したのかその声に耳を傾けてみる。

 それによると「人間って不思議な生き物だよな。男が女の格好しても何も言われないんだから」だそうで、ちょっとなに言ってるかわかんないですね。もうボケちゃったのかな? あなたの平均寿命はまだまだ先よ?

 なーんてことを考えながら昴が今年で6歳になるのを思い出しつつ、改めて昴の言葉を吟味してあげる。一応は親友だしね。

 

「…………男?」

 

 ですが、やっぱり聞き間違いだったのではないかと思って、頭から昴を下ろして机に乗せ、小声でリピートを要求。

 それでもやっぱり昴は「あれ男だってば。人間は鈍いよな」と呆れている様子で、かつて京夜先輩の只者じゃない感を見抜いた昴の言葉にはちょっと信憑性もあって困りますね。

 

「よし、次ぃ!」

 

 あれほどの美人が男とは到底思えないので、蘭豹先生が知らないってこともなさそうだし、転装生(チェンジ)の可能性も考慮して調査くらいはしてみようっと。

 などと考えていたらいつの間にか私の番になっていたようで、反応の鈍い私を蘭豹先生が睨んできて、幸帆さんなんかもアイコンタクトで「早く」と急かしてきたので、慌てて立ち上がった私はテンパりつつも自己紹介。

 

「えっと、はい。橘小鳥です。今年は探偵科に戻ってます。依頼は捜索などが得意です。この昴ともども、よろしくお願いします」

 

 なんか日本人としてカタコトみたいな挨拶になって恥ずかしさ全開でしたが、ペコリと頭を下げた際に昴が頭の上でピョンピョン跳ねて「よろしくな!」といった動きをすると、去年は不思議ちゃんの空気が全開だった自己紹介も和やかな笑いが包み、あかりちゃんなどからは「よろしくね」と温かい言葉が返ってくる。

 これはやっぱり『京夜先輩の戦妹だった』という過去ももちろんですが、私の能力が周囲に認められた証拠、なのかな。だとしたら素直に嬉しいな。

 

 結局LHRは自己紹介が大半を占めて終わってしまい、訪れた休み時間にはさっそく好奇心旺盛なあかりちゃんが志乃さんと鈴木桃子さん? だっけなとクロメーテルさんに突撃していき、男子がそれで二の足を踏んだのをチラ見。

 そっちはそっちで気になるけど、こっちもこっちで話すことがあったので、近寄ってきてくれた幸帆さんと陽菜ちゃんと雑談。

 

「クロメーテルさん、美人だよねぇ」

 

「そうですね。私もさっそく調査依頼がきて、放課後から動くことになりそうです」

 

「さすがは情報科でござる。某も個人的に気になる故、情報の共有を所望したい」

 

「構いませんよ。それとお2人は今年の徒友申請はされる予定があるのですか?」

 

「幸帆さんは申請が遅かったからまだジャンヌ先輩の戦妹でいられるんだよね。私は今のところ予定はないけど、陽菜ちゃんは京夜先輩に申し込むとか言ってなかった?」

 

 まずは話題のクロメーテルさんについてを軽く話してから、会話はすぐに徒友制度へと変わり、今年の申請予定は今のところはない私とは違って、3月の頭から京夜先輩の戦妹になりたいとぼんやり言っていた陽菜ちゃんに振ってみる。

 しかし何やら振られて微妙な表情──口当てしてるから目くらいでしか判断できないけど──をしたので、2人してどうしたのかと問いかけてしまうけど、何も知らない私達が意外だったのか、今度はビックリした表情へと変わる。

 

「お2人ともまだ知らぬでござるか? 猿飛殿は今朝より交換留学という名の修行のため、倫敦(ロンドン)へと旅立ったでござるよ。それ故、某も今年の徒友申請は保留中にござる」

 

「「…………えっ?」」

 

 自分よりも私達が京夜先輩の近くにいると確信していた陽菜ちゃんは、すでに知っていることだと本当に思っていたからこそ、言われるまで言わなかったのだろうけど、それをいま知った私と幸帆さんは揃って驚いて顔を見合ってしまった。

 

「き、昨日までそんな素振りも見せてなかった、よね?」

 

「京様は昔からそういうところでボロは出さないですから……」

 

「でも何で黙って行ったり……」

 

「……留学は個人的なことですから。それに武偵として掴んでいるべき情報でもあったと言われている気がします。現に陽菜さんは知るところであって、私達が未熟だっただけの話、ですね」

 

 昨日の誕生日会でもいつも通りだっただけに、突然の留学には驚いて整理ができないまま話しちゃいましたが、動揺しつつも冷静になっていった幸帆さんは自分達の未熟さを認めて仕方がないことだと納得しようとする。

 それでも好きな人が何も言わずに遠くに行ってしまったショックはあるようで、その表情は悔しさと一緒に寂しさも滲み出ていた。

 

 放課後。

 私は幸帆さんのようにすぐには割り切れず、なんとなく無駄なあがきをするために京夜先輩の留学を知っていただろう人物に強襲。

 それを1番に知っていそうな……というか知らないはずがない人、理子先輩が同じ学科ということもあってすぐに捕まり、その辺のことを問いただすとめちゃくちゃ軽い感じで──

 

「もちろん知ってたであります!」

 

 ──なんか挑発するように敬礼しながら笑顔で言われてしまいました。

 これには先輩と言えどちょっと殴りたい衝動に駆られてしまいましたが、すぐに敬礼をやめてちょっと真面目な雰囲気を醸し出した理子先輩の気配に臆して言葉が出なくなる。

 

「……だから言ったんだよ? のんびりしてたらキョーやんが遠くに行っちゃうかもって。後悔は先に立たないって」

 

 そこに叩きつけられたのは、バレンタインの少し前に理子先輩が不意に言っていた言葉。

 あの時はそんなことが起きるわけがないと思っていましたが、今にして思えばあれは理子先輩からのヒントであり、その時から京夜先輩の留学の話はあったことがわかる。

 

「まっ、キョーやんの留学を知ってたのは理子含めても両手の指で数えるくらいだし、今朝の見送りは理子とジャンヌとアリアだけだから、キョーやんの隠したがりなところを怒ってもいいと思うんですよ、ええ」

 

「お見送りに行ったんですね……な、何か特別なこととかしてない、ですよね?」

 

「んん? なになに? 具体的にはどんなことかな? 握手ぅ? ハグぅ? そ・れ・と・も、キッスぅ、とかぁ?」

 

「ち、違いますぅ! 違わないけど、違いますぅ!」

 

「いやいやどっちやねーん!」

 

 それで私が悔しそうな表情をしたもんだから、気を遣ってくれただろう理子先輩が京夜先輩をディスりますが、自分語りをしないのは武偵の基本ですし、それを思えば当たり前。

 その辺で能天気に構えていた私がどうこう言えるわけもないので、チャンスを掴めなかったということに納得しつつ、抜け目なく見送りに行った理子先輩が抜け駆けとかしてないかを探るも、逆に余裕ある返しをされて私が慌てる羽目になってしまった。

 ここでも未熟さが露呈して残念極まりなかったものの、そうやって理子先輩が余裕たっぷりってことは本気で何か特別なことはしてない可能性は高い。

 何か。キ、キスとかしたなら、たぶんだけどもうちょっと曖昧な感じで答えていたと思うし。理子先輩って意外と嬉しい感情では嘘をつかないから。

 

「それよりも理子先輩はよく知ってて留学に行かせましたね。てっきり反対運動でもしてるのかと」

 

「にゃはは。まぁ反対したい気持ちがなかったって言ったら嘘になるけど、キョーやんだってちゃんと考えて行くことを決めてたし、理子的に『当たり前の日常』がない間に考えたいこともあったからねぇ」

 

「当たり前の日常、ですか。私もようやく放課後に京夜先輩のお部屋に帰ろうとする癖が抜けましたけど、当たり前ではなくなって見えてくるものもありますかね」

 

「違和感はハンパないよねぇ。それでも当たり前を大切にするための時間だから、理子も立ち止まってらんないよ。京夜は言ったって待っててくれないし、置いてかれたくないから」

 

「まぁ現実的に置いていかれてはいますけど」

 

「それは言うなし!」

 

 理子先輩が言わんとしてることは、多少ふざけられてはいても理解できる。

 京夜先輩だって遊びに行くためにロンドンになんて行きませんし、色んな環境に自分を放り込むのは、東京武偵高っていう小さなコミュニティーに慣れるのを防ぐ有効的な手段とも言える。

 それが成長に繋がらないなんてことは絶対にないし、戻ってきた時に実力の差を肌で感じたりするのは、同じ武偵として少なからず衝撃は受けると思うしね。

 私なんて現状でも圧倒的な実力差を京夜先輩から感じてるのに、留学から戻ってきて手の届かない存在にでもなられていたら、きっと秘めた想いすら伝える前に握り潰しちゃうかも。

 

「あの、理子先輩がよければですが、たまにでいいので共同で依頼をこなしたりとかできませんか? 同じ学科の先輩として尊敬してますし、京夜先輩からは学べなかったこともあると思いますから」

 

「ほほぅ。ここで戦妹になりたいって言わなかったのは、理子に少なからずライバル意識があるからってことかにゃ? その上で盗めるものは盗むって? ことりんもなかなか強かになったもんだ」

 

「いえ、そこまで深い考えは……」

 

 だからそうならないように私も日々の努力を怠ってはならないんだと決意して、その1歩として目の前の先輩から学べるものは学ぼうと積極的に関わろうとしたら、なんか深読みされてしまったけど、無意識でそういう対抗心が働いた可能性は否定できない。

 そんな私が謙遜していたら、両肩をドンドン叩いて「そうだよねぇアハハー!」とか笑われてしまって、肩も撫で肩になりそうなくらいに沈む。痛いんですけど……

 でもそれをやめて「気が向いたら声をかけてあげる」と好意的な返事をした理子先輩は、用事でもあるのかそれを最後の会話としてスッと耳元に顔を寄せてきて、今までの理子先輩が虚像であったかのような妖艶で少し怖い声色で呟いてくる。

 

Les chatons deviennent des adultes?(子猫は大人になれるかな?)

 

 発音からして英語ではなく、フランス語とかスペイン語のように聞こえたけど、なんて言ったのかはどのみちわからず、すぐに離れて「ばいばいきーん!」などと言って走っていってしまった理子先輩を追いかける隙も与えられず、その場に立ち尽くすしかなかったのだった。

 

 最後に理子先輩になんて言われたのか物凄く気になりながらも帰宅した私は、リビングのソファーにドカッと腰を下ろしてから天井を見上げて、漠然としていた将来の武偵の姿を考える。

 ただがむしゃらに頑張っても身に付けるべき能力も何もかもが散らかってしまうのを去年に学ぶことができた。

 だからこそ、まっすぐに進む京夜先輩のように目指すべきものはハッキリとさせ、そのために必要な能力と補うべき部分を見定める。

 

「お母さんとお父さんの良いとこ取りの武偵、なんていうのはハードル高いのかなぁ」

 

 その辺で昔からブレてはいなかったので、両親の背中を思い浮かべて、追い付くだけでなく追い越すつもりの目標を定めると、聞いていた昴から「英理と吉鷹より凄いのとか無理だろ」と容赦ない言葉が飛んできて泣きそうになる。

 それでも憧れる両親の背中は今の私を支える大切な目標だし、そのためにどうするべきかを京夜先輩が教えてくれたのだ。

 そして決意を新たにソファーを立った私は、自室に封印していた禁忌の書を手に取って、それを机で広げて目を通してやる。

 そう。外国語の学習本を!


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