6月も終わりに差し掛かった本日。
京夜先輩が2週間という割と長い依頼から帰ってきます!
この2週間、京夜先輩と会えない間に無音移動法を練習したり、民間の依頼をこなしたりと、京夜先輩がいない間に色々とやりましたが、やっぱり帰って誰もいないのは少し寂しかったです。
4月の頭まではそれが普通だったんですけど、慣れって恐いですね。
そしてその日の夜、久々に京夜先輩の分の量も加えた夕飯を作っていた私は、鼻歌混じりに作業を進めていると、昴もキッチンテーブルで鼻歌に合わせて楽しそうに跳ねてます。
昴も京夜先輩に会えるのが嬉しいみたいです。
そうして夕飯を作り終えて少しして、京夜先輩からもうすぐ帰るという2週間ぶりの短いメールが送られてきました。
「昴! 京夜先輩もうすぐ着くって!」
それを聞いた昴は羽を広げてバサバサと動かして喜びを表現する。
……え? 私の顔がニヤけてるって? そ、そうかな? そんなつもりは全くないけど。
そうして待つこと数十分。
突然昴が私の頭に飛び乗ってきた。これは昴が京夜先輩の帰ってくる直前に取る予知行動。
それがわかってる私は椅子から立ち上がり玄関に足を運んだ。
「ただいまぁ……」
その後すぐ、玄関の扉が開いて、そこからぐったりとした京夜先輩が入って……
ガゥガゥ!
くる前に、信じられない子達が勢い良く中に入って私に飛び掛かってきた。
「えっ? えっ! お、オオカミぃ!? うえっぷ」
入ってきたのは2匹の銀狼。
確かコーカサスハクギンオオカミとかいう絶滅危惧種だったかな。
この子達、私に飛び掛かるなりいきなり顔を舐め回し始めて、私はあっという間によだれまみれに。ベトベトだよぉ。
昴はいち早く危険を察知して天井すれすれに飛んで逃げて、「な、なんだこいつら!?」だって。私もビックリだよ。
私を舐め回して満足した銀狼2匹は、次に天井を飛ぶ昴に興味を持ったみたいで、猫さながらの跳躍と猫パンチもとい狼パンチで昴を打ち落とそうとします。
「ダ、ダメ! 昴は食べ物じゃないよ!」
私はすかさず立ち上がって昴を庇うようにして2匹に注意する。
でも100キロはありそうなこの子達は言うことを聞きません。うえーん、助けて京夜先輩ぃ!
そんな私の視線を感じた京夜先輩は、やれやれといった感じで頭を掻いて玄関から上がると、銀狼達の頭をぽんぽんと軽く触ってリビングに行ってしまい、触られた銀狼達も騒ぐのをやめて京夜先輩についていきました。凄っ!
「いいかお前達。これからここに住むわけだが、オレとあの子の言うことは素直に聞くこと。あと……」
リビングのソファーに腰を下ろした京夜先輩は、目の前でお座りをする2匹に身振り手振りでそんな説明をしていき、丁度左肩に降りた昴を指差し、
「この鳥、昴とも仲良くしろ。ここの暮らしでは、お前達の先輩だぞ? わかったな?」
ワゥ!
銀狼2匹は京夜先輩の言葉を理解したかのように吠えると、友好の証なのかよくわからないけど、タオルで顔を拭きながらソファーに座ろうとした私を押し倒してまた顔を舐め回してきました。
「ちょっ!? まっ……うっぷ……とま……ふえ……」
「小鳥、せっかくだしそいつら風呂に入れてくれ。お前もよだれまみれの唾液臭い顔は嫌だろ?」
「そ、それは……うぇっぷ……いいですけ……どうぱぁ……この子達……のぅ……名前は……ひゃあ……なんて言うんで……すぅ!」
「ああ、そういやまだ決めてなかったな。小鳥が考えていいぞ。明日そいつらを武偵犬登録するから朝までに頼む」
「わ、私が決めて……うぇ……いいんです……かぅへぇ」
「小鳥はそいつらと意志疎通できるだろ? 話し合って納得いくのにしてくれ。オレはもう今日は頭が回らない。夕飯食ってさっさと寝る」
京夜先輩はそう言ってからキッチンに行って私が作った料理を盛り始めてしまう。
確かに仲良くなりさえすればこの子達とも昴同様に対話みたいなことはできますけど、私に任せていいんですか。
「ほら、早く風呂に入ってこい。オレは勝手に食って片すからよ」
そうして京夜先輩に促された私は、未だに舐め続ける銀狼2匹に脱衣場に行くように指示。
すると銀狼2匹は京夜先輩が言った通りに私の言うことを聞いて脱衣場に向かい、私も続く形で着替えを持って昴と一緒に脱衣場へ。
「あなた達は水を嫌がったりしない?」
服を脱ぎながら隣でじゃれ合う2匹に問いかけながら浴室の扉を開くと、2匹は何の抵抗も見せずに浴室に入っていきました。大丈夫ってことだよね。
そう思った私はパパっと服を脱ぎ終えて昴と一緒に浴室へ入り、早速2匹の身体を洗いにかかった。の前によだれまみれの自分の顔を洗い流し。
「あなたは……女の子か。君は……男の子だね。兄弟なのかな?」
まずは身体を洗うついでに2匹の性別を確認。
それでまず女の子の方から洗いながら、2匹にそんな質問をしてみると、2匹はワゥ! と鳴いて首を縦に振った、ように見えた。
「そっかそっか。どっちがお姉さん? お兄さん?」
それには男の子の銀狼が首を振って女の子を指し示す。
「じゃあお姉ちゃんと弟くんだね。それにしてもおっきいなぁ。身体洗うのも一苦労だ」
2匹の関係が判明したところで、やっと身体の半分を洗い終えたけど、たぶんこれで5分はかかってる。
つまり1匹洗うのに約10分かかる計算。結構大変かも。
でも嫌がって暴れたりしないから全然楽だなぁ。こんな巨体で暴れられたら私じゃ手に負えないし。
「ああ、でも2匹とも綺麗な毛色だねぇ。なんか高潔な雰囲気もあるし、凄くかっこいいよ」
何気なく洗いながらそう言ってみると、意外なことにもう2匹が何を言いたいかがわかるようになっていました。
向こうが心を開いてくれると意志疎通も早くできますから、2匹とも私と仲良くしてくれるみたい。ちょっと嬉しいな。
それでなんて言ったかというと、男の子の方は「そうだろう? かっこいいだろ?」って自信満々に。
対してお姉さんは「かっこいいじゃなくて可憐と言って!」だそうです。やっぱり女の子ですね。
「ごめんね。お姉ちゃんはかっこいいじゃ嫌だよね。すっごいベッピンさんだ。弟くんは自信満々だね。その自信が顔にも出てる気がするよ」
私がそんなことを言うと、2匹は目を丸くして「何でわかったの?」と同時に訴えてきた。
うん、私もなんとなくわかるってだけだから、説明難しいなぁ。
「うーんとね、私には生まれつき仲良くなった動物さんの言いたいことを理解できる能力が備わってて、あなた達も心を開いてくれたから、なんとなくわかるんだよ」
これが精一杯かな。あ、2匹とも「そうなのか」って。良かったぁ、わかってくれた。
そうこうしてるとお姉さんの方は洗い終わって、シャンプーを流していきます。これも嫌がらないんだね。
ん? ははっ、「気持ちいい」って? それは良かった。
それでシャンプーを洗い流したお姉さんは、毛に染み込んだ水分を飛ばすため身体を激しく振る。
「キャッ! 冷たい!」
飛んでくる水に私は思わず両手でガードして目をつぶってしまって、至近距離からそれを浴びた弟くんは「手加減しろよ!」と抗議。
でもお姉さんは「あらごめんなさい」と余裕の返事。け、喧嘩しないでね?
「よ、よし! 次は弟くんの番だよ!」
言われた弟くんはお姉さんと場所を入れ替わって私の目の前でおすわり。
「手は抜かないでよ」という念を押されました。ちょっと生意気さんみたいですね。
「そうだ! あなた達の名前を考えないとね。どんな名前がいいとかあるかな?」
弟くんを洗いながら、私は2匹にどんな名前がいいかを提案。
すると弟くんは「響きがかっこいいの!」で、お姉さんが「気品溢れるエレガントな名前がいいです」と。なかなか難しい注文を……
そして2匹の意見を聞いた昴も意見をくれました。
えっと「ハクとギンでいいんじゃない?」って? それは安直すぎるよ昴。
ほら、2匹とも文句言ってる。
それで2匹はガゥガゥ! 昴に吠えて抗議。昴も天井すれすれを飛びながらピィピィ鳴いて反論。
「こら、喧嘩しない! これから一緒に暮らすんだから、仲良くしないとダメだよ。昴も真面目に考えてあげてね」
私がそう言うと、2匹は「ごめんなさい」と意外と素直に謝ってきて、昴は「結構真面目だったんだよ」と呟く。
「名前って大事だから真剣に決めようね。えっと、お姉ちゃんはエレガントな名前で、弟くんはかっこいい名前だよね。和名の方が良い? それとも外国名?」
それにはお姉さんが「カンジって言うのがニホンにはあるのよね?」ときて、弟くんが「カンジってかっこいいのか?」なんて言ってきたから、漢字を使った和名に決定。
「えっと、かっこいい漢字に……気品溢れる漢字か……」
などと考えてるうちに弟くんのシャンプーも終了。お姉さん同様にシャワーで洗い流してあげると、弟くんも水分を飛ばすため身体を激しく振った。冷たいんだよもう!
「うーん……そうだねぇ、弟くんは……煌めく牙って書いて『
言いながら私は湯気で曇った鏡に漢字を書いてみせると、弟くんは「いいじゃん! かっこいい!」だって。じゃあ決まりだね。
それを見たお姉さんは「私は? 私は?」と私の右腕に顔を擦り付けてくる。くすぐったいよ。
「えっと、お姉ちゃんは……そうだなぁ……美しく麗しいで『
それでキュンキュン鳴くお姉さんに字を見せてあげると、お姉さんは「エレガントなジなのね?」と。
「どっちも綺麗な人を褒める漢字だから、大丈夫だよ」
それを聞いたお姉さんは「それならいいわ」と承諾。これで2匹とも名前が決まったね。
「じゃあ改めて。美麗、煌牙、これからよろしくねっ!」
ワゥ!
私がそう挨拶すると、2匹も「よろしく」と吠え返してくれた。
「さて、名前も決まったし、私も身体洗っちゃおっと」
2匹のシャンプーと名前決めが済んだから、私も身体を洗おうとした時。美麗と煌牙がお礼に身体を洗ってあげると言ってきました。
え……なんか嫌な予感しかしない。
そして予感的中。2匹は私の返答を聞く前に私の身体を舐め始めました。
「あ……アハハハハハ! く、く、くすぐった……アハハハハハ! ちょっ、ちょっと待っ……アハハハハハ!」
た、確かに犬や猫は身体を舐めることで清潔にするけど、それが人間に適応するかって言ったら、違うよぉ!
「ちょっ、ちょっと待って! アハハハ! あ、あん! そ、そこは……ダメ……」
文字通り全身を舐め回してくる2匹に為す術がない私。ちょっと困る場所も舐めるから……恥ずかしいよぉ。
そうして数分間続いた舐め回しくすぐり地獄を味わった私は、浴室でしばらく力なく倒れてました。何してるんだろう、私……
そのあと2匹を先に脱衣場に出してから、改めて身体を洗った私は、今後一切の舐め回しを禁じてから、寝間着を着て2匹をドライヤーで乾かしていった。
でも2匹ともおっきいから乾かすのも大変だなぁ。電気代大丈夫かな?
そんな心配をしつつ、時間をかけて乾かした2匹はとっても綺麗になって、私も苦労した甲斐があったな、なんて思ったり。
そして気付けば入浴開始から1時間半くらい経ってて、まだ京夜先輩がお風呂に入ってないことを思い出して、急いで京夜先輩に報告に行きました。
すぅ……すぅ……
その京夜先輩は、私の料理を完食してきちんと片付けまで済ませて、リビングのソファーで横になって寝ていました。
どうやらお風呂を待つ間に寝ちゃったみたいです。よほど疲れてたんですね。
ベッドで寝ない京夜先輩なんて、初めて見ました。
私はそんな京夜先輩の珍しい光景に笑みをこぼしつつ、寝室から毛布を持ってきてそっとかけてあげ、美麗と煌牙はそんな京夜先輩の近くで静かに腰を下ろして丸くなりました。
「美麗、煌牙、起こさないようにね」
小声で2匹にそう言うと、2匹もあくびをしつつ「大丈夫」と返してきた。
それから私はリビングの電気をそっと消して、物音を立てずに寝室に入って床に就きました。おやすみなさい。
翌朝。
いつものように早くに起きて朝ご飯を作りにかかった私は、リビングで固まってすやすや眠る京夜先輩と美麗、煌牙を横目にテキパキ作業を進めていきます。
あ、美麗と煌牙のご飯はどうしようかな……確か冷蔵庫にベーコンとレタスがあったから、朝はそれで我慢してもらうしかないかなぁ。
でも狼ってドッグフードとかで良いのかな? やっぱり生肉とかの方が良いのかな? 食費とかは全部京夜先輩持ちだから、贅沢はしたくないしなぁ……
そうして朝ご飯も作り終わる頃、匂いを嗅ぎつけた美麗と煌牙が起床。「お腹へったぁ」なんて言いながら大きなあくびをして起き上がってキッチンまで歩いてきた。
「おはよう美麗、煌牙。もうすぐ朝ご飯できるから、京夜先輩起こしてくれる?」
言われた2匹はワゥ、と小さく吠えてからリビングに戻って京夜先輩の顔を優しく舐めって起こした。
え、加減できるなら私にもしてほしかったんだけど……
グッスリ眠れたらしい京夜先輩は、それでむくりとソファーから身体を起こして2匹の頭を撫でた後、さっと脱衣場の洗面台に移動して顔を洗っていきます。
私はその間にテーブルにできた料理を並べて、2匹にも皿いっぱいに盛り付けた焼きベーコンとレタスと飲み水を床に置いてあげて準備完了!
2匹もちゃんと待てができてます。けど、よだれ出てますね。
それで顔を洗い終えた京夜先輩が席に着いて、みんなで朝ご飯を食べた後、私が片付けをしてる間に京夜先輩は昨日浴びられなかったシャワーを浴びて登校の準備を整えていきます。
そしていつもの私の登校時間になったので、先に家を出ようとすると、珍しく京夜先輩が引き止めてきました。
「ああ小鳥。こいつらと寮の外で待っててくれるか? 武偵犬登録、オレと小鳥の2人で通す。お前にもこれから依頼の時に使えるようにしたいからな」
「え!? 私はいいですよ! 昴もいますし、この子達のスペックを引き出せる自信もありません」
「形だけでもそうしとけ。どのみち1匹は常にお前に付けておくから。美麗、煌牙、どっちが付く?」
京夜先輩は身支度をしながらそう言って話を進めて、2匹にそんな質問をすると、煌牙がワゥ! と吠えて私の足元に歩み寄ってきた。
「んじゃ煌牙に決まりな。美麗はオレに付け」
言われた美麗もワゥ! と吠えて京夜先輩に擦り寄り了解の意志を示す。
「あの……京夜先輩。本当にいいんですか?」
「問題ない。いや、問題はあるか。こいつら連れてると目立つ。まぁ、それも時間が解決するか」
私の質問に対する答えじゃないよ、京夜先輩。
でも京夜先輩が言うんだし、ご厚意に甘えとこうかな。
「ありがとうございます、京夜先輩! さっ、行くよ、美麗! 煌牙!」
そうして私はひと足早く寮を出て、その入り口前で美麗と煌牙と京夜先輩を待って一緒に登校していき、まっすぐ教務科へと足を運んでいきました。
「あら、京夜、小鳥」
「猿飛、やっぱりお前もか」
その教務科に辿り着いた私達は、そこにいたアリア先輩と遠山先輩を発見して近寄ると、遠山先輩が何やら意味深なことを京夜先輩に言いました。
「ん? 何の話だ、キンジ。オレは武偵犬の登録申請をしに来ただけだが」
「今朝教務科からメールが来なかったか? 昨夜の件で」
「あ、そういや帰ってから携帯放置してた」
「京夜って変なところで抜けてるわよね」
言われて京夜先輩は携帯を開いてメールのチェックをし始めた。昨夜の件? なんだろ?
「……あー、やっぱりそうなるんだな。小鳥、武偵犬登録はお前に任せる。オレはちょっとやることができた。頼むぞ」
「え? あ、はい。わかりました。それで何の用事でしょうか?」
「秘密。その方がミステリアスだろ?」
「ミステリアスになってどうしたいんですか。まぁ、京夜先輩のことですから、政府と取引でもするんでしょ、きっと」
完全に冗談のつもりでそう言った私でしたが、それを聞いたアリア先輩と遠山先輩が驚いたように目を見開いていました。
それを見て京夜先輩がお2人をそそくさと連れていってしまいました。
え? まさか本当に政府と取引を? そ、そんなわけないよね、ハハハ……
それから私は美麗と煌牙を連れて武偵犬の登録申請のために渡された書類をテキパキと書いて提出。何の問題もなく申請は通りました。
え、狼ですけどそんな簡単に通していいの? という私の疑問は一瞬で吹き飛ばされました。
さすが武偵高。色々とアバウトです。
などと思いながらも、すんなり武偵犬登録を終えた私は、まだ教務科にいるらしい京夜先輩を待とうとしましたが、どうやら一般授業に間に合いそうにないので、とりあえず美麗と煌牙を連れて教室に行くことをメールで送って報告してから、一般校舎に足を運んでいきました。
でもその途中で、思わぬ発見をしました。
美麗と煌牙と同じ銀狼を連れた武偵さんがいたんです。あの人は確か……狙撃科のレキ先輩、だよね。Sランク武偵は少ないから見間違うはずないし。
思いながらレキ先輩を見ていると、視線に気付いたレキ先輩が私の方を向いて、美麗と煌牙に気付いて近寄ってきました。だ、大丈夫だよね。
「その子達は?」
「へ? あ! はい! 京夜先輩の武偵犬です! 先ほど登録してきたところです!」
肩に狙撃銃――ドラグノフ、でしたっけね――をかけたレキ先輩は、それを聞いて無表情のまま隣の銀狼に目を向けました。
「京夜さんの……そうですか」
そしてそれだけ確認するとすぐに私に背を向けて歩き出してしまいました。
「あ……あの!」
気付けば私はレキ先輩を呼び止めていて、レキ先輩も振り返り何か用か? といった顔をする。
「あ、あの、その子のご飯って、何をあげてますか?」
あれ? 私なに聞いてるんだろう?
気になったのはあの銀狼で間違いないけど、何かズレた質問にぃ!
「……魚肉ソーセージです」
「……え? ぎょ、魚肉ソーセージ?」
「はい、魚肉ソーセージ」
黙る私にそれで質問は終わりと思ったレキ先輩は、今度こそ行ってしまい、私は両隣にいる美麗と煌牙を見て一言。
「魚肉ソーセージで、いい?」
そう尋ねたのだった。