緋弾のアリア~影の武偵~   作:ダブルマジック

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 静かなのが珍しいくらいだった部屋が、ずいぶんと寂しくなったもんだ。

 昨日、帰宅した早々で小鳥とのかくれんぼに臨み、小鳥の成長を確かめられて嬉しかったが、昨日の今日で徒友契約が切れるより少し早くこの部屋を出ていって意外とあっさりした感じだった。

 まぁ会わなくなるわけでもないのでオレもいつまでも寂しく思ってるのもアホらしいと切り替えて、今日はまず約束していた幸帆のところで午前中は過ごそうと移動を始める。午後からの専門科の授業は出ないと小鳥に怒られる。

 進級自体はもう決定してるから一般教科の授業はサボっても問題ないし、いま登校してるやつはつまりそういうやつらだってこと。

 もちろん真面目な人間は普通に授業を受けていると思うが、幸帆もあれで武偵に毒されてきたから、時間の使い方がズル賢くなってる。

 一応は事前に行くことを伝えておくと、10秒足らずで「了解です」の返事が来て苦笑いしつつ、ジャンヌにもメールを送っておく。

 3月もあと半月ということで、新学期になる前に色々と整理しなきゃならない都合、どうしても2日は取られるジャンヌとの北海道旅行は早めに予定を組まないといけない。

 だからジャンヌには最高で1泊2日という制限を加えて行きたい場所を決めろとメールしたが、個人的には札幌か函館で収めてほしいところ。というか空港のある都市部じゃないと忙しいスケジュールになるし。

 

「あとはホワイトデーのお返しと……理子の誕生日もあったな」

 

 他にもやらなきゃならないことを考えたら、もう目の前に迫ったホワイトデーは早急な案件として、祝わないとめちゃくちゃ駄々をこねそうな理子の誕生日が3月の最終日にあることも思い出し、どうしたもんかと悩む前に女子寮に到着。

 まぁ理子の誕生日までは日はあるので焦る必要もないかと今は後回しにして幸帆の部屋にお邪魔する。

 その幸帆は専門科の課題でもあったのかノートパソコンをテーブルに置いて何やら作業をしていたようだが、オレを招いたということは片手間にでもできるのだろうと解釈して、割とふてぶてしくソファーでくつろぐ。

 

「1年生ももう終わりだが、2年生になる準備はしてるか?」

 

「私は武偵としては半年も活動してませんから、周りと比べても留年した方がいいとさえ思えてなりませんが、進級させてもらえたということは大丈夫なのではないでしょうか」

 

「ジャンヌにはなんか言われたか?」

 

「『私の戦妹が留年などあり得ん』と。それがまたプレッシャーになりましたけど、ジャンヌ先輩が綴先生から色々とお仕事を取ってきてくださったので専門科の単位が足りた部分はありますね」

 

「今やってるのもそれか」

 

「これは学期末試験の公民のテスト作……」

 

 おい綴こら。生徒にテストを作らせるなアホか。

 幸帆も幸帆でそんな依頼は断ればいいものを、しかしながらこうやって裏で単位をもらっていた過去のオレ――魔剣の件だ――が言うのもあれだったので、うっかり口を滑らせた幸帆には何も言わず、聞かなかったことにする。

 幸帆も幸帆で「3年生のだけですから」とか自分のテストには関わらないことは付け足したが、どうせ1、2年生のテストも違う学年の生徒に作らせてるんだろうな。というか1年生に3年生のテストを作らせるなよ。

 

「テストっていやぁ、ランク考査の方はどうなんだ? 幸帆はまだランクなしだろ?」

 

「暫定では編入時にいただいているのですが、来週に定期外のランク考査がありまして、そこで正式にランクを取らせてもらえます」

 

「今の幸帆ならBランクは取れるだろうが、戦姉がAを取れってプレッシャーかけてるだろ」

 

「そのようなことは……ある、かもしれませんが、ハッキリとは言われてませんから、今の私の実力が出せた結果なら納得してくださると信じてます。雅さんからも気負うなと言われていますし」

 

「…………雅さん? 何で?」

 

 話題を変える必要があったので、テスト関連から連想して幸帆のランク考査について聞くと、来週にあるにしてはずいぶんと余裕があるなぁと感心。

 しかしすぐに意外な雅さんの名前が出てきてちょっと驚くと、キョトンとした幸帆は「言ってませんでしたか?」と徒友契約の時にも聞いたようなことを言う。

 

「こちらに来る前に雅さんにはご指導をいただけることになりまして、週に2回ほどは映像通信で色々と教えていただいているんです。なので私にとってのもう1人の戦姉、ということになるのでしょうか」

 

「雅さんもそんなこと言ってなかったし、幸帆もずいぶんオレに隠し事をするようになったな」

 

「そ、そんな隠し事なんて! 単にお伝え忘れていただけでして!」

 

「そうだよなぁ。オレも幸帆とのコミュニケーションを怠ったから隠し事されちゃうんだよなぁ」

 

「それは一理ありますが、意地悪はやめてください!」

 

「一理あるんかい」

 

 幸帆もまだ丁寧語は使うが、ずいぶんとオレへの接し方が柔らかくなったな。

 そんなことが今のふざけた会話からもわかって、妹のようだった幸帆の変化がなんだか嬉しくて笑うと、直前のツッコミがウケたのか幸帆も一緒に笑ってくれる。

 

「コミュニケーション不足を不満に思うほど私も子供ではありませんからいいですけど、小鳥さんとは最後まで付き合ってあげてくださいね。私から見てもずいぶんと放任主義なところがあると思いましたし。昨日は皆さんにお願いして騒いで疲れさせたようですから、その後にお話はされたでしょうけど」

 

「お見通しってやつか。みんなには泊まらないでくれって言っただけだったが、やっぱり武偵なんだよな。小鳥の方は問題ない。今日も午後の授業は出ろって命令されたところだ」

 

「では午前中は京様を独り占めさせてもらいます」

 

「昼御飯もご馳走になれたら楽だな」

 

「私は都合の良い女ですか。うぅ……」

 

「じゃあ作るの手伝いますぅ」

 

 昔はちょっと構ってちゃんなところもあった幸帆だが、その辺はちゃんと成長してて……というか1年以上離れて暮らしてたし今さらだったな。

 小鳥の件も鋭い指摘が飛んできて反省だが、それは昨日に済ませたので流しつつ、また2人でおふざけして笑い合うのだった。

 

「あっ、そういえば」

 

 オレとの時間は思いのほか嬉しかったのか、あのあとも作業をしながら話を途切れさせなかった幸帆は、一緒に作った焼きうどんを食べ始めてすぐにそうやって口を開きオレを見るので、何だろうとオレも幸帆を見る。

 

「京様の誕生日がもうすぐですよね」

 

「…………そんな日があったな、そういえば」

 

「ご自分の誕生日をそんな日なんて言わないでください。その様子だと大丈夫なのでしょうけど、当日のご予定はありませんよね?」

 

 重要な案件かと思って聞いたら、別にそんなこともなくオレの誕生日のことだったので流そうと思ったが、京都にいた頃は毎年なにかしらのプレゼントをくれた幸帆からすれば大事なことらしく、当日の予約を入れようとしてくる。

 

「今のところはないんだが……絶対にごり押ししてくるやつが1名いるから、オプション付きでよければ」

 

「理子先輩ですか。あ、ですが理子先輩の誕生日は京様の誕生日の『前日』のようですし、お2人まとめてお祝いしてしまうのもいいかもしれませんね」

 

「去年は実際にそうだったんだよ。んで日付変更のタイミングでプレゼント交換してってやって。ほとんど触りもしないゲーム機だったし、結局いまは理子が部屋に来た時に勝手に使ってるからな」

 

 オレはともかく、理子の誕生日も把握してる辺りに幸帆の情報収集能力がうかがえたが、一石二鳥みたいな幸帆の考えは去年も経験していて、3月31日が誕生日の理子に続いて、翌日の4月1日はオレの誕生日という偶然。

 去年は2人きりではなく島とかもいてどんちゃん騒ぎをしたものだが、今年はどうなるやらわかったもんじゃない。

 

「でもまぁ、その辺は理子との相談の必要はあるだろうから、どういう方向性でいくにしても、理子の誕生日は理子を尊重してやりたい」

 

「では京様の誕生日は京様を尊重するということで、どうしますか?」

 

「静かに祝ってもらえたらそれがいいな」

 

「誕生日ケーキは小鳥さんや貴希さんにも手伝ってもらいましょうかね。それとプレゼントを渡して終わりでいいでしょうか」

 

「幸帆の気遣いは嬉しいが、きっとそんな大人しく終わるわけがないんだよなぁ。勘だけど」

 

 理子だけじゃない。今年は去年までとすっかり周囲の様相が変わってしまって、当日までに騒がしくなるのは目に見えているのだ。

 だから静かに過ごしたいというのはもうほとんど願望であり、それを実行しようとしてくれる幸帆には感謝感激だが、きっと幸帆も当日までの雰囲気に呑まれてしまうだろう。

 

「オレの誕生日はまぁ……気楽に考えてくれていい。それよりホワイトデーのお返しなんだが……」

 

 悲観論で備え、楽観論で行動するのが武偵。

 今からあれこれ考えても仕方ないのもあるので、騒がしくなることは前提にしておきつつ、計画なんて得てして崩されるものといった意味で話題を変えようと間近に迫ったホワイトデーの話に切り替えて、本人に聞くのもあれだがクッキーでいいかと、ついでにメヌエット用の意外性のある贈り物を相談しようとした。

 だがここでオレの冴え渡る勘が働き、後者を相談するのをやめる。これ聞くと幸帆が不機嫌になりそうな気がする。おそらく。

 

「京様は人気者ですから、お返しも大変でしょう。私の分は安物で済ませても構いませんよ。大事なのは気持ちですので」

 

「正直なところ、個人個人で渡すものを変えるのはしんどいんだよな。だからクッキーを大量に作って分配する予定」

 

「そこで市販のものに頼らないのが京様の良いところです。きっと皆さんも貰えることに意味があると納得してくれますよ。おそらくは」

 

 おそらくは、って付け足すところを見るに文句を言う可能性のあるやつもいるってことなんだよな。

 しかし直前の相談キャンセルも気付かれなかったようだから、ホワイトデーの話はこれで終わ……

 

「ところで京様。そのクッキーの件とは別に何か尋ねようとしましたよね? 京様は隠し事をするとなに食わぬ顔をする癖がありますので」

 

 ……れなかったー!

 さすが長い付き合い。オレの無意識の癖を見逃さなかった幸帆の洞察力がちょっと怖かったが、バレてしまったなら隠し通すのは得策ではない。シラを切ると言及が止まらないし。

 

「……実はバレンタインに何も貰ってないやつからホワイトデーのお返しをせがまれてその贈り物に困ってる。普通が嫌いな子だから手作りクッキーは味気ないし」

 

「へぇ。京様はその子にだけ特別な贈り物をするんですか」

 

「下手すると命に関わるからな……」

 

 冗談ではなく気に入られないとどんな毒が吐かれるかわかったもんじゃない。

 そんなメヌエットの面倒臭さを知らない幸帆は、オレのその特別扱いが気に食わないらしく、予想通りちょっと不機嫌になって焼きうどんを食べ切る。

 

「ではこうしましょう。そのご相談には乗りますが、報酬として私のお返しもグレードアップしてください。それで手打ちです」

 

「……仕方ないな。じゃあ幸帆の好きなみたらし団子でも付け足すか。そっちは別日にするが、幸帆が武偵色に染まっていくな……」

 

「武偵を目指していますから、それは誉め言葉として受け取っておきますね」

 

「たくましく成長してくれてオレも嬉しい限りだよくそぅ」

 

 さっきは安物でもいいって言ったくせに、オレの贔屓がわかると掌を返す幸帆の性格がすっかり武偵っぽくて嬉しいやら悲しいやら。

 それでも相談相手になってくれるならと条件を飲むと、みたらし団子が大好きな幸帆は目を輝かせて後片付けを始める。

 

「それでその図々しい要求をする方はどなたなんですか?」

 

「アリアの妹のメヌエット」

 

「はぁ……ええっ!? あのメヌエット・ホームズ女史ですか!? 何でそんな方とお知り合いに……アリア先輩の紹介とか?」

 

「小鳥の母親からの紹介だな。探偵繋がりで」

 

「小鳥さんの……そちらとも仲がよろしいんですね」

 

「良いか悪いかで言えば良い方だとは思うが、吉鷹さんとの関係でプラマイゼロだろうな……」

 

 片付けをしながら会話を続ける幸帆は具体的にプレゼントのイメージをするためか、結構な踏み込みでメヌエットを引き出したが、なんか英理さんのことを話したらまた不機嫌に。人妻だぞ。

 ジャンヌや羽鳥もだが、何でこうオレを節操ないやつ扱いするのか。幸帆は違うと思ったのに!

 とかなんとか思いつつも口には出さずに、今日の放課後にでも買い出しに行きたいので、取り急いで相談の方を進めるのだった。

 

「やっべ。専門科の授業が始まっちまうな」

 

 メヌエットの贈り物をああでもないこうでもないと話して、ようやくそれらしいものが決まった時には、時間もすでに午後の授業が始まる10分前くらいになっていて、小鳥にさっそく怒られるのも嫌なので割と急ぎで幸帆の部屋をあとにして諜報科の専門棟に直行。

 なんとかギリギリで駆け込みセーフだったが、入り口で嫌なやつとばったり鉢合わせて苦い顔をすると、向こうも普段からキツい目を鋭くして睨みを効かせる。

 

「アタシの顔見てそんな顔しないでくれるかい」

 

「綴先生の生徒ってだけでこっちは鬱になるんだよ」

 

「へぇ。そんなこと言ったら綴先生にチクっちゃうんだから」

 

「そんなことしたらいつかの着物を剥がされた恥ずかしい格好を掲示板にでも貼るか」

 

「またハッタリかい? あの時アンタの所持品に撮影できるものはなかっただろ」

 

「残念。あの時に招いていた客人が一部始終を盗撮してたから、その線から入手済みだ」

 

「っ!? ふ、ふーんだ。どうせそれもハッタリよ。あるならまず実物を見せびらかすもんさ」

 

 顔を合わせて挨拶もなくいきなり喧嘩腰になった相手、鏡高菊代は、あのクーデターやらの騒動のあと、なんか年末から武偵高に通い始めて諜報科と尋問科を兼科している。

 そのためこうして顔を見ることは割とあったのだが、互いに良くない対面だったせいで未だに溝は埋まらないまま、なんか知らんうちに牽制し合う関係になってしまったのだ。

 それでも武偵だからいざとなれば割り切れる自信はあるが、仲良くする理由ももはやないので羽鳥とほぼ同じくらいの距離感で接している。女との接し方は底辺だということ。

 

「ハッタリかどうかを調査するのも武偵の領分だろ。さーて、お前より怖い戦妹に怒られる前に失礼するよ。ああ、綴先生にチクってもいいよ? どうぞどうぞ」

 

「ぐっ……アンタのその性格、アタシより質が悪いからね!」

 

「人は選んで悪役をやってるから心配するな。今のところお前にだけだが」

 

「ホンットに死ねばいいのに!」

 

 んで、今回の口喧嘩はオレの勝利だなこれ。

 まぁオレが散々相手している羽鳥やメヌエットに比べたら屁でもないから、菊代でその鬱憤を晴らしてる部分もあるし一応の罪悪感はあるが、なんだかんだで悪口を本人を目の前にして言えるっていうのは向こうにとっても悪いことではない、かもしれない。少なくともオレはそうだ。

 本当なら無視もできるオレを相手にする辺り、菊代も日頃の鬱憤は溜まってるんだろうし、そういう解釈でいいよなと勝手に思っておきつつ、待っていた小鳥のもとに行くと、何故か風魔が便乗して「ご指導ご鞭撻のほどを」とか言ってくるので、面倒だから2人相手に『背中にタッチできたら勝ち』とかテキトーな内容で勝負。

 どちらかというと風魔の方が厄介だったが、オレと幸姉くらいの連携熟練度がない小鳥と風魔ではピンチは何度かあっても、結局はタイムアップまで逃げ切ることができ、最後の最後で小鳥が禁じ手の昴にタッチさせるという愚行をしたので、それもタイムアップの直後だったからといって見逃すはずもなく、2人でという約束を破った罰としてデコピンを食らわせるのだった。

 

「風魔もキンジのやつに放置されてんだろうなぁ」

 

 そのあとは別室でやっていた沈黙麻雀――言葉を発することを禁じてジェスチャーなどで進行する――に参加してほどよく観察眼を養ったところで専門棟を出て勝手に放課後に移行。

 移動しつつジャンヌからの返信があったのでそれを見ると、なんか呼び出しの内容だったからまた女子寮に行く羽目になって、買い物もしないといけないから何を言われるかをいくつも考えておく。

 

「雪まつりが良いのだ!」

 

「くっそおせぇよバカか」

 

 それでジャンヌの部屋に辿り着いての第一声がこれだから困ったもんだ。

 雪まつりってのは札幌で毎年やってる雪像や氷像なんかを作って展示するイベントだが、やってるのは2月の始め頃。

 さすがの北海道だって3月にもなれば徐々に雪も解け始めるし、良いのだと言ったところで無理なものは無理。

 

「それもこれもお前がちんたらと約束を先延ばしにするからだ。つまり私が雪まつりを見られないのはお前のせいなのだ!」

 

「そんなに見たけりゃ来年にまで先延ばしだこら! こちとら好きで先延ばしにしてたんじゃねーんだよ!」

 

「逆ギレか! 逆ギレなのか!」

 

「正当ギレじゃ!」

 

 ご丁寧に北海道の観光ガイドの雑誌まで持って該当ページをこれ見よがしに開いて顔に押し付けてくるジャンヌにオレも意味不明なキレ方になる。

 その声に別室で何かしていた中空知が「ひいっ!」と奇声を上げてコケたようだが、そんなことはどうでもよく、明確な目的があったのにそれを黙ってたジャンヌにイライラが爆発。

 

「…………はぁ。じゃあオレが悪いとして、旅行は来年にするか?」

 

「…………ふぅ。ノン。私もいつまでも約束を先延ばしにするのはモチベーションが下がる。今回は別のプランで旅行を楽しみたい。雪まつりは来年までお楽しみに取っておく」

 

「来年は中空知とか島と行けよ。女子同士の方が気楽だろ」

 

「もちろんそのつもりだが、まさか京夜、私が来年も2人きりで旅行をしたいと言い出すと思ったのか? 理子や幸帆ならまだしも、ちょっと自信過剰になってはいないか?」

 

 ぷぷぅ。

 そんな笑い方のジャンヌは、ひとしきりの不満を吐き出して落ち着いた会話の中で来年の計画について先読みして話したオレに「そこまで私は好意を持ってないぞ」と忠告してくる。

 それにはオレもちょっと恥ずかしくなるが、男がそれを期待しちゃいかんのか!

 とか心の中でだけ開き直っておき、その後のジャンヌのマシンガントークの旅行プランとやらを頭に叩き込んで、予約やら何やらをやっておく段取りとなって解放され、ようやく女子寮を出た時にはすでに日は沈みきっていたのだった。

 …………買い物は明日にしよう。


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