緋弾のアリア~影の武偵~   作:ダブルマジック

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Bullet16

 高度296メートル。

 日本一高い超高層ビルである横浜ランドマークタワー。

 オレとアリア達は取り返した十字架の受け渡しのために、理子が指定したこのビルの屋上に来ていた。

 ヘリポートにもなっているそこは縁が少し高い段差になっているだけでフェンスがないため、下手をしたら落ちかねない。

 まぁ、そんなヘマはしないがな。

 

「キーくぅーん!」

 

 そんなオレ達の元に理子がとててててっと改造制服をなびかせながら近寄ってきてキンジに抱きつく。

 

「やっぱりキーくんとアリアは名コンビだよ! それにキョーやんも! 理子にできないことを平然とやってのける! そこにシビれる憧れるゥ!」

 

「キンジ。さっさと十字架をあげちゃって。なんかソイツが上機嫌だとムカつくわ」

 

「おーおーアリアんや。キーくんを取られてジェラシーですね? 分かります」

 

「ちがうわよぎぃー!」

 

 喚くアリアを横目にキンジはポケットから十字架を取り出し理子に見せる。

 

「これだろお望みの物は。やるから離れろ」

 

 渡された理子はそれを素早く首につけていた細いチェーンに繋いでしまう。

 

「乙! 乙! らん・らん・るー!」

 

 そしてガキのように飛んだり跳ねたりして喜びを表現する理子。

 それにはアリアがますます不機嫌になる。

 

「理子。喜ぶのはそのくらいにして、約束は――ちゃんと守るのよ?」

 

「アリアはほんっと、理子のこと分かってなぁーい。ねぇ、キーくぅーん」

 

 苛立つアリアにそう言った理子は、怪しく笑いながらキンジを手招きした。

 

「お礼はちゃんとあげちゃう。はい、プレゼントのリボンを解いてください」

 

 言われてキンジが理子の頭に結ばれていたリボンを解くと、理子は怪しく笑ってからキンジに不意打ちのキスをしたのだった。

 羨まし……じゃない。何かまだ企んでるな?

 

「り……りりりりり理子おッ!? な、なな、ななな何やってんのよいきなり!」

 

 それを見たアリアが動揺しながらそう叫ぶと、理子は何も言わずにふわっと移動して、階下へ続く扉の前に立ちふさがった。

 

「ごめんねぇーキーくぅーん。キーくんがさっき言った通り、理子、悪い子なのぉ――。この十字架さえ戻ってくれば、理子的には、もう欲しいカードは揃っちゃったんだぁ」

 

「もう1度言おう――『悪い子だ、理子』。約束は全部ウソだった、って事だね。だけど……俺は理子を許すよ。女性のウソは、罪にならないものだからね」

 

 ん?

 この感じ……『使えるキンジ』だな。

 今の僅かな時間で切り替わる要因ってなるとアレしかないが……なるほど、キンジの切り替わりのスイッチが見えてきた。

 おそらくは『女性との一定以上の接触』。

 キンジ基準になるからどの程度がセーフかアウトかはわからんが、十中八九そうだろう。

 だが、理子は何故わざわざ使えるキンジにした? そうする必要があった?

 

「とはいえ――俺のご主人様は、理子を許してくれないんじゃないかな?」

 

「ま、まぁ……こうなるかもって、ちょっとそんなカンはしてたけどね! 念のため防弾制服を着ておいて正解だったわ。キンジ、闘るわよ。合わせなさい。京夜も」

 

「オレはパス。理子と闘る理由がない。それにオレはもう理子から『報酬を貰ってる』」

 

「なっ!? 京夜!」

 

 やる気満々のアリアはそれを聞いてカクッ。膝が少し折れてから、引き締め直すように叫ぶ。

 実はここに来る少し前に理子からメールが届き、その中にオレが欲しがっていた真田幸音についての情報があったのだ。

 いや、正確には『ある日のある時間にある場所に行け』という指令じみた物だったが、これが真実であった場合、オレは理子と戦うわけにはいかないのだ。

 理子め。それでオレにだけ先に報酬を。

 ――初代アルセーヌ・リュパンを越える。

 今の理子を見て、以前ジャンヌから聞かされた言葉がオレの頭の中でリピートされていた。

 

「くふふっ。そう。それでいいんだよアリア。京夜。理子のシナリオにムダはないの。アリアとキーくんを使って十字架を取り戻して、そのまま2人を斃す。キーくんも頑張ってね? せっかく理子が、初めてのキスを使ってまでお膳立てしてあげたんだから」

 

「だがな、理子。オレは『仲間』が危険になったら迷わず助けるぞ。武偵憲章に従ってな」

 

「いいよ。京夜が割り込む前に一瞬で終わらせるから。んじゃ、先に抜いてあげる、オルメス――ここは武偵高(シマ)の外、その方がやりやすいでしょ?」

 

 オレの言葉を聞いた理子は全く動じることなくそう返して、スカートの中から、ワルサーP99を2丁抜き放った。

 

「へぇ、気が利くじゃない。これで正当防衛になるわ」

 

 それを聞いたアリアも理子と同じく漆黒と白銀のガバメントを抜き放ち構えた。

 

「風穴あける前に――1個だけ教えなさいよ、理子。なんでそんなモノが欲しかったの。何となく分かるけど……ママの形見、ってだけの理由じゃあないわよね?」

 

「――アリア。『繁殖用牝犬(ブルード・ビッチ)』って呼ばれたこと、ある?」

 

「繁殖用牝犬……?」

 

「腐った肉と泥水しか与えられないで、狭い檻で暮らしたことある? ほらぁ。よく犬の悪質ブリーダーが、人気の犬種を殖やしたいからって――檻に押し込めて虐待してるってニュースがあるじゃん。あれだよ、あれ。あれの人間版。想像してみなよ」

 

「何よ、何の話……?」

 

 そして理子は突然感情を爆発させたかのような表情をしてみせた。

 

「ふざけんなっ! あたしはただの遺伝子かよ! あたしは数字の『4』かよ! 違う! ちがうちがうちがう! あたしは理子だ! 峰・『理子』・リュパン4世だっ! 『5世』を産むための機械なんかじゃない!」

 

 まるで自分という『個』を主張するような叫びは、アリアに対して言っていなかった。

 そして吐き出して少し落ち着いた理子は、話を戻す。

 

「……『なんでそんなモノが』って訊いたよね、アリア。この十字架はただの十字架じゃないんだよ」

 

「これはお母さまが、理子が大好きだったお母さまが、『これは、リュパン家の全財産を引き替えにしても釣り合う宝物なのよ』って、ご生前に下さった――一族の秘宝なんだよ。だから理子は檻に閉じ込められてた頃も、これだけは絶対に取られないように……ずっと口の中に隠し続けてきた。そして――」

 

 そこまで言った理子は、ツーサイドアップの髪のテールをわささっ、と自在に動かしてみせる。

 おいおい、理子も超能力者かよ。

 

「ある夜、理子は気づいた。この十字架……いや、この金属は、理子に『この力』をくれる。それで檻から逃げ出せたんだよ。この力で……!」

 

 そして理子はその髪で背の襟に隠していた2本のナイフを器用に持ち構えた。

 その様はさながら4刀流。言うならアリアと同じ双剣双銃だな。

 だが、3人とも気付いてないな。この場に『別の気配が近付いてる』ことに。

 まぁ、オレが諜報科だからってのもあるかもしれないが、確実に良くない気配だ。

 危険予知は昔から冴えてるから、こういう気配は退散が常なんだがなぁ。

 理子退いてくれないだろうし。

 

「さぁ……決着をつけよう、オルメス。お前を斃して、理子は今日、曾お爺さまを超える。それを証明して、自由になるんだ……! オルメス、遠山キンジ――お前たちは、あたしの踏み台になれ!」

 

 理子が叫んだ瞬間。

 バチッッッッッッッ――!!

 小さな雷鳴のような音が上がり、突然理子が強張った顔をして振り返り力なく膝をついた。

 その後ろにいた人物は……

 

「小夜鳴先生――!?」

 

 アリアが言ったとおり、館の管理人、小夜鳴だった。

 小夜鳴は手にしていたスタンガンを足元に捨ててから、懐にあった拳銃を取り出し倒れる理子の後頭部に狙いを定めた。

 

「遠山君、神崎さん、それに猿飛君も。ちょっとの間、動かないでくださいね?」

 

 小夜鳴はオレ達に落ち着いた口調でそんな制止を促す。

 そのすぐあと、小夜鳴の後ろ、扉の向こうの階段からハイマキと同じ銀狼が2匹姿を現した。

 

「前には出ない方がいいですよ。3人が今より少しでも私に近づくと、襲うように仕込んでありますんで」

 

 それを聞いたキンジが試しに少しだけ動こうとした瞬間、銀狼達はキンジを睨み付けた。

 

「よく飼い慣らしてるな。腕のケガも、オオカミと打った芝居だった――ってワケかよ」

 

「紅鳴館でのお2人の学芸会よりは、マシな演技だったと思いますけどね? ですが猿飛君も1枚噛んでるのは分かりませんでしたよ。今日、あのタイミングで現れるまではね」

 

 小夜鳴が言ってる間に、銀狼の1匹が理子から武器を取り上げ屋上から投げ捨ててしまう。理子を無力化したか。

 

「3人ともそのまま動かないで下さいね。この銃は30年前に造られた粗悪品でして、引き金が甘いんです。つい、リュパン4世を射殺してしまったら――勿体ないですからねえ」

 

 理子がリュパン家の人間だって知ってるのか。

 それに銀狼はブラドの下僕だって話だからな。

 

「どういうこと……? なんであんたが、リュパンの名前を知ってるのよ! まさか……まさか、あんたがブラドだったの!?」

 

 アリア、その説はないぞ。だったら理子がとっくに気付いてる。

 

「彼は間もなく、ここに来ます。狼たちもそれを感じて、昂ぶっていますよ」

 

 ほらな。だからそんなに恥ずかしがるなよ。

 

「そ、そう。それにしても、そのブラドから理子のことも聞いて、銃も狼も借りて、そのくせ『会ったことがない』だなんて……半月前は、よくも騙してくれたわね」

 

「騙したワケではないんです。私とブラドは、会えない運命にあるんですよ」

 

「……あの時あんた、ブラドは『とても遠くにいる』なんて言ってたけど……あのあと、コッソリ呼んでたってわけね。あたしたちの学芸会に気づいてながら泳がしてたのは……1人じゃ勝てないから、ブラドの帰還を待ってたんでしょ」

 

 アリアがそんな推理をしてる間にオレとキンジはアイコンタクトでやることを理解し、状況を把握しにかかっていた。

 しかし、まずは理子をどうにかして助けないとダメだ。

 それからブラドが来るならその前になんとかしないと。

 化け物と戦う気にはなれないからな。

 銀狼ならオレでもなんとかできるかもしれないが、理子を撃たれちゃ元も子もない。

 

「遠山君。ここで君に1つ、補講をしましょう」

 

「……補講?」

 

 突然小夜鳴はキンジに話を振り、キンジも分析する作業をやめ視線を小夜鳴に向ける。

 

「君がこのリュパン4世と不純な遊びにふけっていて追試になったテストの、補講ですよ。遺伝子とは――気まぐれなものです。父と母、それぞれの長所が遺伝すれば有能な子、それぞれの短所が遺伝すれば無能な子になります。そして……このリュパン4世は、その遺伝の『失敗』ケースのサンプルと言えます」

 

 言って小夜鳴は倒れる理子の頭を石でも蹴るかのように蹴った。

 

「10年前、私はブラドに依頼されて……このリュパン4世のDNAを調べたことがあります」

 

「お、おまえだったのか……ブラドに、下らないことを……ふ、吹き込んだのは……!」

 

「リュパン家の血を引きながら、この子には――」

 

「い……言、う、な! オ、オルメスたちには……関係……な、い……!」

 

「――『優秀な能力が、全く遺伝していなかったのです』。遺伝学的に、この子は『無能』な存在だったんですよ。極めて稀なことですが、そういうケースもあり得るのが遺伝です」

 

 言われた理子は、知られたくなかった事実をオレ達に知られて、顔を背けるように地面に額を押しつけた。

 

「自分の無能さは自分が一番よく知っているでしょう、4世さん? 私はそれを科学的に証明したに過ぎません。あなたは初代リュパンのように1人で何かを盗むことができない。先代のように精鋭を率いたつもりでも……ほら、この通りです。無能とは悲しいですね。教育してあげましょう、4世さん。人間は、遺伝子で決まる。優秀な遺伝子を持たない人間は、いくら努力を積んでも――すぐ限界を迎えるのです。今のあなたのようにね」

 

 言った小夜鳴は、懐からすり替えてきたニセモノの十字架を取り出し、理子から本物を奪うと、ニセモノを理子の口に押し込んだ。

 

「あなたにはそのガラクタがお似合いでしょう。あなた自身がガラクタなんですからね。ほら。しっかり口に含んでおきなさい。昔、そうしていたんでしょう?」

 

 そして小夜鳴は理子の頭を踏み付け、その理子からは哀れな嗚咽だけが聞こえてきていた。

 だが、それ以上はオレも我慢の限か……

 

「い、いいかげんにしなさいよッ! 理子をイジメて何の意味があるの!」

 

 どうやらアリアも同じらしい。もちろんキンジもな。

 

「――『絶望が必要なんです』。彼を呼ぶにはね。彼は、絶望の詩を聴いてやってくる。この十字架も、わざわざ本物を1度盗ませたのは……こうやってこの小娘を1度喜ばせてから、より深い絶望にたたき落とすためでしてね。おかげで……いいカンジになりましたよ。……遠山君。よく見ておいてくださいよ? 私は人に見られている方が、『掛かりがいい』ものでしてね」

 

 何の話をしてる?

 だが、小夜鳴からはヤバイ気配がしてきた。それも身の毛がよだつくらいのレベルだ。

 

「ウソ……だろ……?」

 

「そうです、遠山君。これはヒステリア・サヴァン・シンドローム――」

 

 キンジにだけわかる話なところを見ると、おそらくキンジの切り替わりの元の話だろうな。

 へぇ、れっきとした症状現象なんだな。

 

「ヒステリア……サヴァン?」

 

「遠山君。神崎さん。猿飛君。しばし、お別れの時間です。これで、彼を呼べる――ですがその前に1つ、イ・ウーについての講義をしてあげましょう。この4世か、ジャンヌから聞いているでしょう。イ・ウーは能力を教え合う場所だと。しかしそれは彼女たちのように低い階梯の者達による、おままごとです。現代のイ・ウーには、ブラドと私が革命を起こした。このヒステリア・サヴァン・シンドロームのように、能力を写す業をもたらしたのです」

 

「聞いたことがあるわ。イ・ウーのヤツらは何か新しい方法で人の能力をコピーしてる」

 

「方法自体は新しいものではありません。ブラドは600年も前から、交配ではない方法で他者の遺伝子を写し取って進化してきたのです……つまり、『吸血』で。その能力を人工化し、誰からでも写し取れるようにしたのが私です。君たち高校生には難しいかもしれませんが――レトロウィルスを使った選択的なDNA導入を用いて、ね。それからは優れた遺伝子を集める事も私の仕事になりました。先日武偵高にお邪魔した時も、採血で優良そうな遺伝子を集める予定でしたが……遠山君がノゾいていたおかげで、あれは失敗してしまいましたね。不審な監視者がいれば襲うよう狼たちに教え込んであったのが、アダになりました」

 

「ブラド。ルーマニア。吸血……そう、そういうことだったのね。どうして今まで気づかなかったのかしら。キンジ。京夜。ナンバー2の正体――読めたわ。ドラキュラ伯爵よ」

 

「「ドラキュラ……?」」

 

 そいつは架空の生き物だろ。存在するわけ……

 だがなぁ、ジャンヌの例もあるし。

 

「ドラキュラ・ブラドは、ワラキア――今でいうルーマニアに実在した人物の名前よ。ブカレスト武偵高で聞いたことがあるの。今もまだ生きてる、っていう怪談話つきでね」

 

「――正解です。よくご存じでしたね。遠山君たちは、間もなくそのブラド公に拝謁できるんですよ。楽しみでしょう?」

 

 そこからまた長々と語り出した小夜鳴の話によると、ブラドは人間を吸血していくにつれて小夜鳴という人間の殻に隠されてしまったらしい。

 そしてそのブラドを呼び出すのに、キンジの兄の能力を使ってるという。

 

「さぁ、かれがきたぞ」

 

 話を終えた小夜鳴は、それから信じられない変化を遂げる。

 いや、変化というより『変身』だろう。

 びり、びりびり、とスーツが破け、その下から出てきた赤褐色の肌。

 筋肉はどんどん盛り上がり、身体はケモノのように毛むくじゃらに。

 

「Ce mai faci....いや、日本語の方がいいだろう。初めまして、だな」

 

 声帯の変わった不気味な声の小夜鳴、ブラドは、そんな挨拶をしてきた。

 そして足元にいた理子の頭を片手で掴み軽々と持ち上げた。

 

「おぅ4世。久しぶりだな。イ・ウー以来か?」

 

 その瞬間、理子から銃が逸れたのを見逃さなかったキンジが、その腕と拳銃を撃ち抜く。

 しかし撃たれたブラドの腕は何事もなかったかのように治ってしまった。

 

「遠山。お前は、トマトを握り潰せるだろ? オレにとって、人間の頭を握り潰すのはその程度のコトだ。だからもう、こんな道具で脅す必要もねえ」

 

 言ったブラドは持っていた拳銃を握り潰してしまった。

 

「ブ……ブラドぉ……! だ、だました、な……! オ、オルメスの末裔を斃せば、あ、あたしを解放するって、い、イ・ウーで……約束、した、くせに……!」

 

「――お前は犬とした約束を守るのか? ゲゥゥウアバババハハハハハハ! 檻に戻れ、繁殖用牝犬。少し放し飼いにしてみるのも面白ぇかと思ったんだがな。結局お前は自分の無能を証明しただけだった。いいか4世。お前は一生、オレから逃れられねぇんだ! イ・ウーだろうがどこだろうが関係ねぇ。世界のどこに逃げても、お前の居場所はあの檻の中だけなんだよ! ほれ、これが人生最後の、お外の光景だ。よーく目に焼き付けておけよ! ゲハッ、ゲババババッ!」

 

 言われた理子は、頭を掴まれて振り回されながら、何の抵抗もできずに、見れば大粒の涙を流していた。

 ほら、理子。強気で自信家な理子は好きだが、命を大事にしない奴は嫌いだ。

 だからもう本音を言わないとな。オレもそれで腹くくってやる。

 

「……あ……アリア……キン、ジ……京夜……」

 

 今度は正真正銘、マジの言葉をな。

 

「…………た、す、け、て…………!」

 

「「言うのが遅い!!」」

 

 言われてオレとアリアは同時にそう叫んだ。それには2匹の銀狼も思わず怯んでいた。

 だから最初に言っただろ?

 『仲間』が危険になったら迷わず助けに入る、ってな。

 ただし、本人の意思は尊重したかったから、ずっと我慢してたんだぞ。

 なぁ? オレの一番の悪友さん。


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