緋弾のアリア~影の武偵~   作:ダブルマジック

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Bullet137.5

 

 ぐはぁ……緊張するよぉ……

 もうすぐ3月になるという頃。武偵高ではちらほらと進級が確定した人達が小遣い稼ぎの小さな依頼で授業をサボ……一生懸命に世のため人のために働く姿が見え始め、クエストボードが寂しくなっていたりする。

 そんな中で私も無事に進級は確定させて、手持ち無沙汰にしていたのですが、今日になっていきなりジャンヌ先輩にお声をかけてもらって、その依頼のために放課後になってはいますがこれから移動をします。

 

「……ああ、吉報を待っていろ。ではな」

 

 で、荷作りを完了させて、島先輩の車を女子寮の前で待つ間、依頼主であるジャンヌ先輩が京夜先輩と何やら携帯で話をしていたのですが、どうやら京夜先輩は今ロンドンにいるらしく、今回の依頼も京夜先輩から発生したものっぽいことが会話からわかった。何してるんだろう。

 

「さて、島が遅れているが、今日中に着けばいいから些細なことか。橘には明日から頑張ってもらうぞ」

 

「あ、はい。ですが私なんかがお役に立てるのか……」

 

「直近の依頼報告を見た上で私が選んだのだ。まぁお前は保険の意味合いもあるから、そこまで気張らずにやってくれればそれでいい」

 

 京夜先輩との通話を終えて、まだ島先輩が来ないことをボヤキつつ私に気張りすぎるなと言葉をかけてくれる。

 そんな今回の依頼内容は私の唯一の得意分野である捜索になるみたいですが、物ではなくて人でもなくて、場所。

 

「おっまたせですのー!」

 

「遅いぞ島。今回は何に見とれていたんだ?」

 

「車輌科の後輩さんが奮発して購入した小型船舶さんを見に行っていましたのー」

 

 数十分後にようやく到着した島先輩は、麒麟ちゃんのお姉さんだけあって外見は物凄く似ていますが、興味の対象が乗り物な辺りは麒麟ちゃんと明らかに違いますね。

 その島先輩の寄り道もいつも通りなのか、ジャンヌ先輩もちょっとだけ注意するようなことは言うものの、テヘペロッする島先輩は反省してる感じではない。大丈夫なのかな、このチーム。京夜先輩が苦労してる絵が浮かぶ。

 とはいえ島先輩は車輌科でも腕利きのドライバー。乗り物なら大抵は運転できるとあって、その小さな体に似合わずダイナミックな運転も売りらしい。

 なのでちょっと不安があったけど、実際に車に乗り込んで出発してからは、タクシーかと錯覚するくらい静かな運転に驚く。

 そういえば貴希さんもお兄さんと同じくらい尊敬してるとか言ってたっけ。

 

「すでに宿泊する宿は取ってるが、島も橘も贅沢はできんからな」

 

「寝泊まりできれば贅沢は言いませんよ」

 

「苺は温泉さんに入れれば構いませんのー!」

 

「フッ。そこに抜かりはない。私も冷え性だからな。この時期に入る温泉には期待している。効能もそちらに効くところを厳選した」

 

「あれ、贅沢はできないはずじゃ……」

 

 道中、情報科だからリサーチはさすがで、すでに宿泊先は確保してると話すジャンヌ先輩でしたが、なんか贅沢できない理由が宿を選り好みしたからにも聞こえて苦笑。

 まぁ私は先輩持ちの経費で依頼をこなすので文句など出しようもないからいいのですが、本当に気張らなくていいだろう旅行みたいな空気は困惑してしまう。楽しんでは、ダメだよね。

 学園島を出発して高速道路も使ってひたすらに本州を北上する車が向かう先は、その本州の最北端、青森県。

 正確には弘前市までですが、かなり冷静に考えたらその移動時間が7時間以上になるので、着いた頃には深夜0時近くなってしまうけど、温泉は朝に入るのでしょうか……

 

「…………今夜はもう寝るとしようか」

 

「ですのぉ……」

 

「テンションひっくぅ……」

 

 途中のパーキングエリアで夕食も済ませて、ほぼほぼノンストップで弘前市までは来れたけど、やっぱり着いた頃には深夜0時を過ぎてしまって、9時頃にジャンヌ先輩が気付いて連絡を入れ、なんとか宿泊先の旅館には入れたものの、テンションがた落ちのジャンヌ先輩と島先輩は部屋に通されるや否や敷かれていた布団に倒れて死んで(寝て)しまった。

 制服にシワが残る方があれなので、お2人の制服は失礼ながら脱がせてもらって、備えてある浴衣を着せて改めて布団に入れてあげる。お化粧とかは……ごめんなさい。

 それから私も浴衣に着替えて、気持ち良さそうに寝るお2人を見たらすぐに眠気に襲われ、ほどなくして眠りに就いていった。

 今日はなーんにもしなかったなぁ……

 

「夏休みにも思ったが、やはり温泉とは良いものだな」

 

「ですのー! お肌もスベスベですの!」

 

 翌朝。

 普段から早起きの私よりも早く起きて、昨夜のローなテンションはどこへやらなお2人に急かされて一番風呂の方を頂きにいき、スイッチのオンオフがキッチリし過ぎなお2人を見ながら温泉に浸かる。

 そうしていると本当はただ旅行に来ただけだったような気がしないでもなくなってくるけど、きっとこれは私の仕事への真剣さを試されてるんだと思うことで真面目さは保つ。

 ……けどまぁ、温泉に浸かってる間くらいは肩に入った力も抜かなきゃなぁ、と思って気を緩めたら、両脇にジャンヌ先輩と島先輩が陣取って抜け出せない状況に。し、しまったー!

 

「そういえば橘は京夜のことを好きなのか?」

 

「な、なんですかいきなり!?」

 

「女の子が揃ったら恋バナしかありませんのー」

 

「そういうのは布団の中でするのが定番ではないかと」

 

「場所などどこでもいいだろう。この前のバレンタインでもチョコを作っていたし、気がないわけではないのだろう?」

 

「それを言ったらジャンヌ先輩だってチョコをあげてたじゃないですか」

 

 先輩に両腕をやんわりホールドされて完全に退路を絶たれ、もう話すしかない状況の中でいきなり京夜先輩の話を持ち込まれて焦る。

 けど、バレンタインの話はジャンヌ先輩もチョコをあげてたので、その辺から話を逸らそうと強気に返してみる。

 

「私は半分くらいがノリで、もう半分はまぁ……日頃の感謝とこれからもよろしく頼むということだ。他意はない」

 

「苺も猿飛さんにいっぱいいっぱいご迷惑をかけてるので、何かプレゼントしたかったですのぉ……」

 

「では京夜が戻ってきたらチームのみんなで鍋でもやるか。島はその時に京夜の膝の上にでも座ってやれ」

 

「ですのー!」

 

 お、思いのほか話題逸らしが上手くいって、恋バナから鍋パーティーになって、腕の拘束も緩んだので、その隙を逃さずにのぼせそうと一言添えて温泉を脱出するのだった。

 

「では島。ナビ通りに進んでくれ」

 

「了解ですのー!」

 

 温泉から上がって朝食をいただいてから、ようやくお仕事スイッチの入った先輩2人に安心しつつ、昨日と同様にタクシーレベルの丁寧な運転で車を出発させた島先輩は、助手席で携帯を片手にジャンヌ先輩が指示する方向へと進んでいく。

 ジャンヌ先輩が言うには、ある程度のところまでは探す場所は特定してるのだが、そこから先は結構な曖昧さで困りそうとのことで、そこからが私の出番。

 車は弘前市の南西へとひた走り、中心地からはすぐに離れて車通りの少なめな山道へと入っていく。

 

「島、速度も40キロをキープだ。速度のズレで目標ポイントからもズレが生じるからな」

 

「前も後ろも車がおりませんから、快適ですのよ」

 

「あの、ジャンヌ先輩。その目標ポイントって、どうやって割り出したんですか?」

 

「これは以前に京夜が調査した際に可能な限りで集めた情報から再現して進んでいる。だから私も現場がどうなっているかまでは把握していない」

 

 まだ季節的には冬なので、道路や森林地帯には雪が残る中を進む途中、元々の目指すところを何故か大体で把握してるジャンヌ先輩に少し疑問を持って尋ねると、そんな答えが返ってきたので納得。

 そういえばこの前に1人で青森に行ってましたが、ここに来てたんですね。

 だからなのか、ジャンヌ先輩は進路を指示しながらもパソコンを起動してGPSでルートを記憶していて、その行動は『次また来る時に迷わないようにしてる』のがわかりますが、その辺は私の詮索すべきところではない。

 完全なる山道に入って約1時間ほど迷いようのない1本道を進んで、このまま道なりに進めば何てこともなく秋田県に突入するルートは何かがあるようには思えない。

 

「そろそろだ島。徐行に切り替えてくれ。橘も脇道らしきものを探せ」

 

「了解です」

 

 しかしジャンヌ先輩はその何もなさそうな道の途中で目標ポイントに差し掛かったと言い、島先輩も後ろから車が来ないことを確認してから、かなりゆっくりの徐行運転に切り替える。

 道路の両脇は右側が崖のようにそびえているのでそちらは無視でき、左側が少し前からちょっとの段差を隔てた森林地帯になってるので、ジャンヌ先輩も私もこっちに注力。

 ガードレールなどもないので、入ろうと思えば入れそうですが、車でとなるとそれなりの空間は必要なので、必ず不自然な隙間はあると思うし、使用頻度があればそれだけわだちなども顕著になる。

 

「…………島、止めてくれ」

 

「ですの?」

 

「ん?」

 

 そうやってゆっくりと進んでると、唐突にジャンヌ先輩が車を止めるように指示を出し、車から降りたジャンヌ先輩に続いて私と島先輩も車を降りてその動向をうかがう。

 ジャンヌ先輩は何の変哲もない道路横の森林地帯に少しだけ足を踏み入れて、腕組みしながらじーっと見つめている。

 

「…………ここのようだな」

 

「えっ? 何も、ないですよ?」

 

「ですの」

 

「そのように『見えるようにされている』のだ。下手に干渉して術式が壊れれば先方にも悪いからそのままにしておくが、どうしたものか」

 

 ちょっとジャンヌ先輩の言ってることがわからなかったけど、おそらくは超能力関連のあれこれだと判断して深くは聞かないでおく。聞いてもわからないだろうし。

 それで先があるように見えない森林地帯の先に進むかどうか思考中のジャンヌ先輩は、とりあえずここの座標を記録して唸りながらお決まりのあっち行ったりこっち行ったりをする。可愛い……

 

「……橘、お前に頼っても大丈夫か?」

 

「えっ!? えっと……やるだけやってみてってことでなら」

 

 先輩に可愛いは失礼かなと思ってたら、いきなり私を見てそうした確認をしてきたジャンヌ先輩にビックリしつつ、ようやく来た出番にちょっと張り切ってみたり。

 ジャンヌ先輩のオッケーが出たので、私も森林地帯に足を踏み入れて近くにあった木の1つに手を触れる。

 

「……お願い、教えて。星伽神社はどこにある?」

 

 そして今回の捜索対象である白雪先輩のご実家。星伽神社のある場所をこの森に尋ねる。

 先日にたまたま覚醒した、私の自然と対話する能力は、動物よりももっと大きな自然とも少しだけ対話が可能になった。

 まだ完全にはコントロールできてないけど、感覚的に理解は出来てきたかなといったところで今回の依頼があったので、私としては願ったり叶ったり。

 そう、思っていた。

 

「…………えっ?」

 

 聞こえた。確かに森からの返答はあった。

 でもそれはあまりにもハッキリと聞こえすぎて、耳を疑ってしまう。

 ――出ていけ。

 そうしたまさかの拒絶の答えに私が驚いていると、辺りから急に音が消え去り、その異変にジャンヌ先輩も島先輩も気付き周囲を見回す。

 ――出ていけ!

 そしてまだ木に触れていた私に、今度はさらに強くハッキリと意思を伝えてきた直後、森の奥から物凄い圧迫感が押し寄せてきて、それに恐怖すら覚えた私は急いで車に戻るように言って3人で車に乗り込むと、数秒後に森から途轍もない突風が私達を襲う。

 あまりに強すぎるその突風は3人が乗ってる車さえもひっくり返しそうな勢いで通り過ぎて、横の崖に当たって上の雪を舞い上げ道路にドサッと重量感のあるまま落としてきた。

 

「…………何だ今のは……」

 

「森さんがお怒りですのぉ……」

 

 突風は1度きりで、追撃がないことを確認したジャンヌ先輩と島先輩は各々で今の現象に驚き半分、怖さ半分で声を漏らす。

 ですがそれを引き出してしまった私は、直接的に『自然の怒り』に触れてしまったから、その恐怖で体の震えが止まらない。

 

「大丈夫か、橘。何やら不吉な予兆があったから、何かあったのはすぐにわかったが」

 

「すみません……たぶん、もうこの森には近づけないと思います……怒らせちゃったみたいで……」

 

「ふむ。星伽神社の場所を尋ねただけでこれか。おそらく星伽はこの辺の一帯を味方にしているのだろうな。安易に踏み込んでいい領域ではなかったか」

 

 失敗しちゃった私に対して心配してくれるジャンヌ先輩は、本当に気にしてないように冷静な思考で次の行動を模索し始める。けど、頼りにされてこの結果は私にとっては悔しさが残る。

 だからといって、自分の力をコントロールする練習くらいの気持ちで依頼を受けた私がこれ以上なにかしようものなら、確実に悪い方向に進んでしまう。

 

「……仕方ない。少々手荒いが、強行策といくか」

 

 私が失敗したことで星伽神社への道が閉ざされてしまったけど、それで諦めるジャンヌ先輩ではなく、積んでいた荷物から西洋の細剣を取り出して外へと出る。

 それでまた突風が襲ってくるかと思ったけど、道路からは出ないジャンヌ先輩に反応はせず、それを確認したジャンヌ先輩は鞘から抜いた剣を地面に突き刺して何やら呟く。

 すると剣を突き刺した地面から森に向けて冷気のようなものが伸びていき、木々の根元に達するとパキパキ、と音を立てて周囲を凍結させる。

 何が起きてるのやらな現象を私と島先輩が車から見ていると、明らかに1本だけが上の方まで凍ってしまった木があって、それがガラスでも砕けるように割れる。

 でもその割れ方は木が凍って割れたにしても不自然すぎる割れ方で、それを疑問に思った瞬間、その木の奥に今まで見えなかった車1台が通れそうな道が開けてビックリ。

 それをやってのけたジャンヌ先輩は、抜いていた剣を鞘に納めてから携帯を取り出して誰かに電話をかけ、それに応じたらしい相手に何やら話をして車に戻ってきた。

 

「今から白雪がここに来る。それまで私達は待ちぼうけだ」

 

「あの、何をしたんですか?」

 

「星伽に通じる道を一般人にも見えるようにしたのだ。これをまた見えないようにするために星伽の人間が処置をしなければならない。だからこうして強引に呼び出した」

 

「星伽神社を見つけるのはいいんですか?」

 

「ん、それはどちらでもいいのだ。私の目的は始めから白雪に会って確認したいことがあっただけだからな」

 

「そう、ですか」

 

 どうやら私がどうこうしなくても最初から問題なかったように説明してくれたジャンヌ先輩ですが、本当に結果すら問題ないとわかると、依頼された側としてはガクリとくるものがある。

 ジャンヌ先輩としては私の結果が良ければそれで万々歳ではあったのだろうけど、その淡い期待も裏切ってしまった私の情けなさは目も当てられない。

 それにダメ押ししたのが、今まで死んだように沈黙していた昴で「良かったな、失敗しても報酬もらえそうじゃん」とか他人事のように言うから、もう生き返れない。死体蹴りやめてよぉ……

 

「しかし橘は運が良かったな」

 

「えっ? どうしてですか?」

 

「ん、これだけ大きな自然という存在に踏み込んで怒らせながら、警告で済んでいるんだ。運が良いとしか思えんが」

 

「そうなんでしょうか……」

 

 そうやって私が後部座席で死んでいると、道路に落ちた雪を退けに島先輩が車から降りたところで、ジャンヌ先輩が不意にそんなことを言うから、私も改めてそのことについて考える。

 そして私は青木ヶ原樹海の捜索依頼の時におじいちゃんから言われたことを思い出す。

 

『その力で天災にでも触れれば、怒りさえ買いかねんぞ』

 

 この前にも力の多用は『自然に食われるかもしれない』とか言われていたけど、何が引き金で自然の怒りを買うのかがわからないこっちの方が怖いことを実感した。

 この力は使わなければそれで問題が起こるわけでもない。だからこそその扱い方と自然との関わり方は細心の注意と敬意が必要になるんだ。

 

「…………すみませんでした。私、今回の依頼を心のどこかで先輩に頼られてラッキーとか、簡単だなとか思って、自然に対して失礼な態度で臨んでました」

 

「それを自然が読み取ったかは不明だが、次はしっかりと結果を求めても良さそうだな」

 

「……ありがとうございます!」

 

 それを知れた今日の出来事は私にとって大きな1歩になった気がするけど、結果は失敗しているので、正直に役立たずですみませんと謝る。

 そんな私を見てジャンヌ先輩は笑顔で『次』を示してくれて、本当にあるかどうかは置いておいても、そう言ってくれたジャンヌ先輩に最大限の感謝のお辞儀をしたら、運転席におでこをぶつけてしまって笑われてしまう。恥ずかしい……

 当然、報酬の方はもらえない結果なので、そのあとに報酬の方は断って、かかった経費の一部も払うことで手打ちにしてから、せっせと雪かきをしていた島先輩のお手伝いをして白雪先輩の到着を待つ。

 1時間ほどして開けた森の道から高級車がやって来て、その車から白雪先輩が降りてくる。

 ちょっと呆れ顔にも見えた白雪先輩は、同じく車から降りたジャンヌ先輩と小声で会話をすると、すぐに戻ってきたジャンヌ先輩はそれで終わりなのか島先輩に車を出すように言ってしまい、白雪先輩も見送るように私達に綺麗なお辞儀をして手を振ってくれた。

 

「島、Uターンはまだいいから、少し先に進んでくれ。明るいうちに確認したいことがある」

 

「了解ですのぉ!」

 

 白雪先輩に見送られて車は発進したのですが、ジャンヌ先輩はまだ何か白雪先輩以外のことで確認したいことがあるようで、進んでいた方向をさらに道なりに進むよう指示。

 そこからさらに5キロほどゆっくり走って、パソコンに色々と書き込んだジャンヌ先輩はそれでとりあえずは納得がいったのか、ようやくUターンで弘前市に戻る進路を取り、弘前市に戻ってからも学園島に戻る進路でそのまま南下を開始。もうやることは全部終わったってことですね。

 

「さて、島よ。寄り道はどこがいい?」

 

「自衛隊さんの演習場がいいですの! あっ! でも演習は見れませんから、港でお船さんを見る方が現実的かもですぅ!」

 

「ハハッ。島は本当に乗り物が好きだな」

 

「ですのですのー!」

 

 その証拠に青森県を抜けた辺りで完全にスイッチをオフにした先輩2人が、もう絶対にどこかには寄り道する話を進め始めた。

 当然、同乗者の私もこれに乗る流れなので、私にも意見を求めてはくれましたが、先輩の意見は優先されるので結局は仙台でグルメ満喫コースに決定。

 その日は夜遅くに学園島に戻ってきましたが、今日のことを忘れないようにお風呂に入りながら脳に刻み込むように頭で反復させてからベッドに沈んだのでした。


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