緋弾のアリア~影の武偵~   作:ダブルマジック

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 ゴミが散らかってるわけではない。

 そう。見るからに廃棄物があるわけではないのに汚い。これが凄いのだ。

 ロンドン滞在の初日。

 当分の宿泊費を浮かせるために早々にあまり頼りたくはない羽鳥に頼ってアパートを貸してもらえたまでは良かったが、その部屋は俗に言う汚部屋で絶句。

 しかしその汚部屋の掃除も承諾した手前もあるし、今からホテルに泊まるなんて無駄以外のなにものでもないので、とりあえずまずは全体図を把握しにかかる。

 

「あいつ、日本でオレ達がいなかったらこうなってたんじゃないだろうな……」

 

 脱いだら脱いだままの衣服や、靴の泥もちゃんと落とさずに歩き回ったような足跡に、こじんまりとしたリビングのテーブルは空の試験管やらでビッシリ。

 唯一の安置となっていたソファーもそこで寝たりするのか毛布が無造作に置かれていた。

 

「というより、物自体はあんまりないんだがなぁ……なぜ散らかるのか」

 

 他にもキッチンや洗面室などもチェックしたが、そちらは無事だがやはり服やらは洗濯した形跡があったりなかったりの物がたたみもせずに放置されていた。

 さらに気になるのは部屋全体から漂う物のなさ。生活するのに最低限の家具を置いてみました、レベルの物のなさは個性云々を語れる段階にすらいない。

 そんな部屋をザッと見回した感想は、この部屋が『寝て起きるだけの部屋』であるということだな。生活臭はお世辞でもあるとは言えない。

 実際に羽鳥はあちこちを転々として昼夜を問わずに働いてるような奴だから、この部屋はそのインターバルで『使う』程度のものなんだろう。

 

「だからって仮にも女なんだし、服くらいちゃんとしろよ……それを男のオレに片付けさせるって、主夫じゃねんだぞ……」

 

 そんな愚痴も言いたくなるのは当然だが、言ったところで掃除は誰かがやらないと一生かかっても部屋は片付かないので、まずは散乱する衣服を回収して分別。順番に洗濯機にぶち込んでフル回転だ。

 これだけでかなり片付いたが、生活するからにはオレの不快さを増加させる要素は取り除く必要があるので、洗濯の間に羽鳥の仕事道具などを洗えそうなやつは洗ってそれ用の収納に仕舞い、何か入ってたり栓のしてあるものはそのまま環境を変えない――日当たりとかの問題――で目の届きにくい場所に移動。

 それが終われば床掃除も楽で、明らかに着なさそうなシャツを雑巾にして泥を拭いたり掃除機をかけたりでようやくリビングが人の住める環境になってくれた。

 あとは大量の洗濯物を無駄に乾燥機まで搭載してた2機を洗面室で回しながら、ほとんど使った形跡のない備え付けのベッド――マットレスのみ――だけの寝室に存在する寝具を運んで寝床を確保。にしてもシーツすらないとは思わなかったが。

 それだけならまだ良かったが、問題なのは冷蔵庫だ。

 ビックリするがこいつ、冷蔵庫には水と氷しか入れてなかったので、普段から料理とかしない部類の人間なのは間違いない。まぁ賞味期限が切れた何かを入れっぱなしにされるよりはいいけど。

 辛うじて何かの実験に使ってるのか、塩と砂糖とみりんはあったものの、それと水とで何をしろと。混ぜて氷にして食べろと? アホか。

 

「気付いたら夜だし、明日の出費を決めておくか……」

 

 今から外に出て買い出しはさすがに面倒臭いので、今夜はもう活動をやめておきつつ、まさにゼロからスタートのロンドン生活での出費をどうするか考える。

 そういや自炊で生活するのもずいぶん久しぶりな気がする。小鳥をデリバリーしたい……

 そうしてロンドン生活の初日は片っ端から洗濯した衣服を整理整頓するだけで終わり、寝る前にワトソンにキッチン用品のレンタルを頼んでおきようやく眠りに就く。包丁すらないこの部屋で料理などできん。

 

「ぐっ……こんな追い打ちがあろうとは……」

 

「君も色々と苦労が絶えないね」

 

 翌日。

 ワトソンからの返事をもらってキッチン用品の寄せ集めを借りたついでに市場での買い物を手伝ってもらったのだが、ロンドンはタイミング悪く物価が高騰中で何を買うにもお高くてオレのお財布をバシバシ痛めつけてきた。もうやめて! 京夜の財布の残高は風前の灯よ!

 

「…………そういやワトソンや」

 

「なんだい?」

 

「ロンドンでは『デビルフィッシュ』さんはお買い求めできるのでしょうか」

 

「んー、どうだろうね。生鮮市場に行ってみればあるかもしれないけど、日本のように『丁寧な売り方』はしてないと思うよ」

 

「いや、日本みたいな売り方されてたら困る。今回に限ってはだがな」

 

「ん?」

 

 そんな中でも日持ちする食品を飽きが来ようが気にせず買い貯めし、数日後に控えたメヌエットのおもてなしのために必要な食材の入手に乗り出す。

 基本的にデビルフィッシュとか呼んじゃうような国では食べる文化自体がない『タコ』だが、日本文化に触れたからか生鮮市場に足を運べば確かに売っていた。

 が、やはり日本のように下処理をして足だけを売るようなことはしていなく、丸々1匹がドカンと売られていて、それを見たワトソンは顔を青ざめていた。

 

「人気ないんだろうが、この売値は魅力だね。買ったぁ!」

 

「ほ、本気かサルトビ!? こ、こんなヌメヌメした生物をどうするというんだ」

 

「ふん。言ったな。なら手伝ってくれた礼にご馳走してやる。騙されたと思ってついてきな」

 

 その見た目から敬遠されて買い手がないのか、叩き売りされてたタコはオレにとってご馳走でしかないので速攻で買いに走ったが、拒否反応を見せたワトソンがなんだか人生を損してるので特別にタコ料理を振る舞ってやることにして、厚意を無下にできないとか思ってるのか渋々でついてきたワトソンを部屋に招き入れてさっそく調理を開始。

 

「よ、よく触れるね……ボクには無理だよ……」

 

「ん、まぁ見てろ。お前のその顔をすぐにハッピーにしてやる」

 

 とりあえず下処理のためにバケツにタコを移したのだが、工程を見守るワトソンが面白いので逐一その表情の変化もついでに観察しておく。

 まずはタコの頭。正確には胴体なんだが、その中に詰まってるワタを包丁を用いて取り出し、ついでに目と足の付け根にある歯も切り取って後の処理をしやすくする。

 この段階でのワトソンはもう死にそうだ。まぁ仕方ない。これはオレもやってて気持ち良くはない。

 続けてタコの体にまとわりついたヌルヌルを取り除くために塩をよく揉み込んで水で流す。ここで手を抜いてヌルヌルを残すと味に関わってくるから、吸盤の隙間なども丁寧にだ。

 ここまでやればもう楽なんだが、事前に煮立てた鍋にヌルヌルを落としたタコを投入。まずは足から入れてタコウィンナーみたいな足にしてから頭を投入。

 10分ほど茹でてから鍋のお湯を捨て、鍋の余熱で少し蒸してから赤々としたタコを取り出しようやく調理用のタコが完成。この処理を日本は売る前にやってくれてるんだから感謝感謝。

 ここまで来ればワトソンも血の気を取り戻していたが、まだ食べる意欲には繋がっていないらしい。

 

「この大きさなら足を2本残せば足りるな。んじゃまずは刺身から」

 

 タコの大きさからして4日くらいなら朝晩のみならタコだけでも生活できそうなので、そういった逆算のあとに足を1本1本切り分けて、その内の1本でワトソンをおもてなし。

 最初はオーソドックスに刺身として普通に切ったのを味見をした上で勧めたが、抵抗が高くてノーサンキュー。美味いんだがな。

 仕方ないので次に生み出したやつは天才と呼んでやりたい、タコの唐揚げを少々手間ながら作ってやる。

 

「これを食べなかったらお前の人生はもうタコと関わることはないだろう」

 

「ボクはそれでも構わないんだが……君のその強い目にはなんだか負けてしまう……」

 

 手間をかけてやったからには食べてもらう。

 そうした思いを汲み取ったワトソンは、タコへの抵抗をなんとか圧し殺してぱくりっ。目を閉じたまま口に放り込んだが、口の中でしっかりと咀嚼するうちにその表情を驚きに変えていく。

 

「……美味しい! 美味しいよサルトビ! 日本人はこんな美味しいものをいつも食べているのかい!?」

 

「そんないつも食べるもんでもないが、居酒屋とかだと割と定番メニューで嫌いなやつは少ない印象があるな」

 

「最初はブヨブヨした食感があれだったが、噛めば噛むほど滲み出てくる味が最高だ! サ、サルトビ、こっちのサシミも食べてみるよ!」

 

 やはりタコの唐揚げは最強だった。

 その味はイギリス人のワトソンにも通じたようで、タコへの抵抗がかなり下がってテンションが上がったのか、さっきは断った刺身にも手を出してくれて、そちらも程度はあるが美味しいと評価。

 

「他にレシピはないのかい? サルトビの作るタコ料理なら何でも食べられそうだよ!」

 

「誰が作っても味に差はほとんどないが、そう言ってもらえると嬉しいな。だがオレの今後の食生活の要だからおもてなしはこれで終わりだ。食べたきゃレシピを教えてやるからシェフにでも作らせろ」

 

「そうしたいところだが、あのタコの処理をしてもらえるか……いや、日本から輸入すれば出費は多くなるがどうにか……とにかくありがとうサルトビ。ボクは今日のこの感動を一生忘れないよ!」

 

「あんまり食べると飽きて感動が薄れるから薦めないが、まぁ美味しく感じるうちに食べたいだけ食べとけ」

 

 やたらとテンションの高いワトソンだが、このテンションに付き合って振る舞ってたらオレの食料がなくなるので、勢いで食べきりそうなタコの唐揚げはオレも食べて昼はこれでしのぐ。

 そのあとはレシピを書いて渡してやり、ついでにこの辺りに金属の加工所のようなところはないかと尋ねておき、上機嫌のワトソンはわざわざその場で調べて教えてからポルシェに乗って帰っていった。

 タコもいくつかのブロックに切り分けて冷凍保存し、何日か分の献立を大雑把に決めて後片付け。って、普通に暮らしてどうするんだオレ……

 

「キンジも1日経って落ち着いたろうし、明日にでも会って動きを確認しとくか」

 

 とりあえずこのあとはワトソンに教えてもらった金属加工所に行くので、キンジには明日にでも会おうと待ち合わせのメールをしておいてまた外出。

 バスを使って辿り着いた加工所は銃弾の製造も請け負ってるところで、立ち入りもなかなかに厳しかったが、オレも武偵の端くれなので武偵手帳を見せることで中に入ることができ、ちょっとした要望を叶えてもらう。

 要望自体は難しいこともないので、1時間も待ってれば出来るとあって待たせてもらい、その間に電話で交渉を持ちかけておく。相手は上海藍幇の中将、劉蘭だ。

 

『どうなさいましたか、京夜様』

 

「劉蘭、ちょっとお願いがあるんだが、話だけでも聞いてくれるか?」

 

『はい。京夜様からのご要望であれば、可能な限りご恩を売る形で聞き入れますよ』

 

「藍幇に入れとかじゃなければなるべくってことで頼む」

 

『フフッ。それは残念です』

 

 久しぶりに話す劉蘭ではあったが、変わりなく抜かりがないのは良いことなのか悪いことなのか。いずれにせよビジネスの話と読んだ劉蘭にふざけた様子はない。

 

「お願いってのは……うーん。まだ確定ではないんだが、そっちの戦力を少しだけ貸してもらいたいんだ。具体的には趙煬クラスの」

 

『お急ぎの入り用ではないとはわかりますが、お貸しするにはそれなりの理由はなければ難しいでしょう』

 

「理由については話すが、まだ可能性ってだけで実行するかはこれからになる。だからせめてその時になってもたつくのを防ぎたい」

 

『あらかじめ私達に話は通して了承を得ておき、キャンセルもできる状態にしておきたいわけですか。お話しください。了承するかはそれをうかがった上で決めたいと思います』

 

 完全にお仕事スイッチの入った劉蘭はオレよりも頭の回転が早いので、色々と察してテンポ良く話を進めてくれてありがたい。

 そうした上で今回の要求の理由についてを劉蘭に話すと、少しの沈黙の後に携帯越しの劉蘭は口を開く。

 

『…………わかりました。そのお話が本当であるならば、我々藍幇も協力を惜しみません。行動に移される際には趙煬をお貸しいたします』

 

「いいのか。可能性の段階の話で、確実性も計画性もほとんどないフワフワしたものだが……」

 

『京夜様は自分ではそう仰いますが、その程度に収まる話をわざわざ私に持ち込んだりはしませんでしょう。つまりその話には何かしらの根拠も可能性も十二分に存在するということ。そんな京夜様を私は信じていますから』

 

 オレよりもオレのことをわかってる風の劉蘭の言葉には少々ドキッとさせられるが、確かに曖昧でフワフワの可能性の話を人にするのはオレのやることではない。

 だからオレは無意識のうちにこの話が可能性ではなくある種の確信に近いものを持ってると判断して行動していた。

 

「……そう、かもな。ならオレはもう少し自信を持って行動しなきゃダメか。悪いな劉蘭。そういうわけだから話だけは進めておいてくれ」

 

『承知しました。今の京夜様の声はとてもカッコ良かったです』

 

「ありがと。あとバレンタインのチョコ、美味しかったよ」

 

『そのご様子のお写真はすでに入手済みです。油断大敵ですよ、京夜様』

 

 それならもうキャンセルの可能性はなくして堂々と劉蘭に言ってみせて、その意志に応えるように返答した劉蘭はオレのやる気を引き出す術を知ってるようでやっぱり怖かった。

 話も終わったので、ついでにバレンタインのチョコの件の礼も言ったら、なんかいつの間にか写メでも撮られたらしいオレの様子を知ってるとかで嬉しそうにするが、誰だ。オレに気づかれずに写メを撮るなんて……

 それを聞こうとすれば、劉蘭もとぼけて「別の仕事がー」と笑いながらに通話を切ってしまい、日本に帰ってからの尋問が必要になった。犯人はどいつだ!

 

「あとはジャンヌと羽鳥と……あの子も呼べれば心強いが……どうだろうな」

 

 写メの件はじっくりやるとして、とりあえず最初の交渉は成功したので、この話に協力してもらう戦力を改めて練るが、どいつもこいつも手間も出費も半端ない大食らいで頭を抱えそうになる。

 まぁそれだけの苦労をかける価値はあるかもしれない話と割り切ることはできるし、事によっては大団円で終えることも不可能ではない。

 そういった意味でもこれから先の可能性を確実なものにしていくのは重要。そのためにはメヌエットの協力も不可欠だ。

 

「まぁこっちは焦って進めても仕方ないし、今は緋緋神の問題をどうにかするか」

 

 とはいえ、アリアの緋緋神化問題と並行して進めるには少々大きな話なので、ジャンヌと羽鳥にはメールで話の概要は伝えるだけにしておき、そちらからも意見をもらいつつでじっくり。

 そうした切り替えをしたところで要望の品が出来たと報告があり、それを受け取って今日はそのまま帰宅。一応はメヌエットのおもてなしの準備はひと通り終わった。あとは頼んでる物が届けば完璧。

 

「それで、メヌエットとは会えそうなのか?」

 

「さぁな。今はワトソンが話を進めてくれてるが、連絡はまだない」

 

 翌日。

 約束通りにキンジと合流して適当な場所で落ち着いて進展状況の確認をしながら、作ってきた酢ダコの和え物を摘まむ。

 

「アリアとは連絡も取れない感じっぽいしな。間宮はどこにいるんだか」

 

「あいつなら上手くバッキンガム宮殿に潜り込んでたぞ。こっちに来た初日にメールももらったが、要領を得ない感じで役に立つかはわからん」

 

 とかなんとか言いながら間宮から来たらしいメールをオレに見せつつ、ちゃっかりオレの酢ダコを食べようとしたので、サッと躱しつつ内容を読むが、確かに何を伝えたいのか明確にせず箇条書きを無理矢理で文にした感じがあり、その辺はまだ1年で経験値のなさが原因だろう。

 

「まぁ中との連絡が取れるなら使わない手はないだろ。オレもちょっとバッキンガム宮殿は見学してくるが、期待はするなよ」

 

「警備はガッチガチだったからな。あれを突破できるならお前はもう人間じゃねー、よっ!」

 

 おそらくはアリアの手助け有りで侵入に成功している間宮は貴重な情報源だが、このメールから期待は薄いのでオレ自ら出向いてみることにはするものの、苦い思いでもしたのか微妙な表情でそう話したキンジはまたも酢ダコに手を伸ばしてきたので回避。

 

「……俺は今、非常に貧しい思いをしている」

 

「奇遇だな。オレも倹約生活を余儀なくされている。それもこれもロンドンの物価のせいだが、つまみ食いは犯罪だ」

 

「その理屈でいくと世の中のガキはみんな犯罪者だな」

 

 キンジもキンジで貧困生活を送ってるのはこの行動でわかるが、オレも人に恵んでやれるだけの余裕はないので、それ以降はキンジの手の届かない位置に置いて食べ、恨めしそうに見てきたキンジとは目を合わせない。見えませーん。

 

「……そういやワトソンが助っ人を呼んだらしいんだが、誰が来るのやら」

 

「お前が今みたいな状況になるのを読んでメイドでも雇ったんだろ」

 

「…………ああ……」

 

 つまみ食いは諦めたらしいキンジは、それで思い出すように助っ人の話をオレにするが、何の助っ人かすらわからないからテキトーに言ったのだが、本当にそっち方面の助っ人だったのか誰かさんの顔を思い浮かべて微妙な表情をしてしまった。贅沢なやつだ。

 それから話も済んだのでキンジとは別れて、言った通りに1度だけバッキンガム宮殿に赴いてその警備やらを確認していったのだが、やはりキンジの言うように誰にも見つからずに中に侵入するのは無理そう。

 くそっ……こんなことならジーサードから光屈折迷彩をまだ借りておけば良かった……

 とかなんとか後悔先に立たずなことを思いつつも、どうしようもないのでその日はそれで終了。そろそろメヌエットからの連絡が入るかもしれないので、準備だけは万全にしてその時を待つことになった。

 そしてようやく2日後の朝にメヌエットから連絡が来て、よっしゃあ! と意気込んで荷物を持って出陣。

 メールが来た日は丁度メヌエットの誕生日だったので、おもてなしと誕生日祝いをセットで一石二鳥な配慮はメヌエットの優しさなのかなんなのか。

 それからメールにはオレ宛の荷物が届いている旨の報告もあったので、ちゃんと送ってくれたらしい。サンキュー、幸姉。

 

「フッ。久々に本気を出す時が来たようだな……」

 

 道中で万全な体勢につい調子に乗ったオレは、おもてなしの失敗とかそんなことは一切合切考えずに、不敵な笑みを浮かべてしまうが、それだけオレも本気なのだ。

 さぁメヌエットよ。オレのおもてなしに太鼓判を押すのだな。フハハッ!


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