緋弾のアリア~影の武偵~   作:ダブルマジック

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 辿り着いたアメリカの地でまず資金稼ぎをカジノでしたオレと理子は、2人合わせて60倍くらいにはしたので、資金面では少し余裕ができた。

 次はその資金で必要なものを調達するためにまた着替えて外出。

 カジノには4時間ほどいたので、時間的には昼を少し回った頃ということもあり、ついでに昼食しつつで計画的に資金のやりくりを相談。

 

「まずは足だよねぇ」

 

「偵察も早めに行かなきゃだし、あっちともタイミングを合わせる都合、時間的猶予はないな」

 

「うーん。問題はいくつかあるけど、やっぱり敷地に入るまでが関門かも。物理的に近づくのが無理ゲー」

 

 アメリカらしくハンバーガーにありつきながら、エリア51侵入作戦を割と堂々と話し合うが、日本語だしシリアスな雰囲気もなしで周りからは観光程度にしか思われてない。

 実際の問題として敷地にさえ入れれば、牛歩ではあるがなんとかなる算段はあるオレと理子なのだが、その段階に行くまでにつまずいているのが現状。

 

「あっちから餞別で『便利品』はレンタルできたが、あれも敷地内用だしな」

 

「いっそ滑空で突撃してみたりとか」

 

「隠密の意味をもう1度よく考えようか」

 

 山間部にあるということで周りに何もないという隠密性を無に帰す敷地はオレや理子を殺すには十分すぎて笑えてくるが、どうにかしないといけないので冗談を言う理子を正して改めて思案。

 それでも出てこないものはポンとは出てこないので、昼食を終えてからは片付けられるものから片付けることにして、パパッと車を購入し、それを足に各々で必要そうなものを買い揃えていった。

 

「キョーやん……女子力高ぇ……」

 

「これは女子力なのか?」

 

 今のところで必要なものを買い揃えて夕方頃にホテルへと戻って早速それぞれで準備の段階に入ろうと自分の陣地を展開したところ、機械系の理子とは違って、オレはこの作戦用に用意しなきゃならない服をこしらえるためにソーイングセットと布類を広げた。

 そうしたら理子のやつが不思議なボケをかますので、やんわりツッコミつつ今回持ち込む装備が無駄なく身に付けられるようにイメージを固めながら元の服に縫い合わせていく。

 隠密行動用なので、基本的に『見つからない』を前提にするため、布擦れによる音やら装備品のガッチャガッチャ鳴る音を最小限に留める縫い合わせは割とぴっちりでやらないといけない。

 だからオレの分はいいのだが、理子の分は測らないとダメなので、理子の方が一段落してから元の服を着てもらって色々とサイズを測らせてもらう。

 が、オレがやろうとすると「にゃんっ」とか「ひゃんっ」とか嫌な悲鳴を上げるので、イラッとしたからゲンコツを1発くれてやってからヒルダに丸投げする。最初からこうすれば良かった。

 

「そういや中のセキュリティーが謎だが、そこはどうするんだ?」

 

「キョーやん人任せ過ぎるんだけど……ちゃんと策はあるから」

 

 理子がサイズを取られてる間に手も動かしながらいじってた機材を見るが、赤外線ゴーグルを小型化してたり、噴射式のスプレー缶みたいなものに得体の知れないガスを充填してたり、小型の爆弾まで作ってるようだが、電子系のセキュリティー対策がいまいちに感じる。

 それでも割と自信がある理子の言葉にとりあえずは安心しておくが、現地で何するかわからないのは困るので後で装備について詳しく説明してもらうか。

 というよりその装備を収納する服をオレが作ってるんだから聞かなきゃダメだった。

 そこから今夜は理子の要望に応えて服を仕立ててやって、睡眠も大事とか言いながらベッドに誘ってくる理子にヒルダを押しつけてワイヤーで縛り上げて黙らせ、もう1つのベッドで横になるのだった。

 

「騒ぐだけ騒いで静かに寝るんだよなぁ……」

 

 理子の嘘泣きとヒルダの罵声をBGMに心地よく眠れたオレが、自然と目が覚めて体を起こしてみると、ワイヤー自体は少し緩めにしていたこともあって2人とも抜け出して隣のベッドで仲良く寝ていた。

 いつもの理子ならワイヤーを抜け出た段階でオレのベッドに乗り込んでこようものだが、オレが不穏な気配に敏感なのを散々わからせてきたことと、チェックインの時にベッドへの侵入禁止も言っていたからな。

 それから一緒にいるからこそわかるが、理子はたまに有り余る元気を無駄に放出して自分をコントロールしていることがあり、こうやって地味なことをやったりするとその傾向が強くなる。

 だから昨夜のも本気であれこれ言ってやってたわけではないのはわかってたからヒルダに付き合わせたのだが、やはり理子の相手はエネルギー消費がハンパないらしく、夜型のヒルダがこの有り様。

 おそらくは起きてくればまたリセットされて適度な元気の理子が復活するが、それならオレも相手してやれる。ヒルダ様に感謝。

 

「んん……ふぁあ……」

 

 そんな黙ってれば壮絶に可愛い生物はオレが起きてから1時間ほどでのんびり起きてきて、完全に覚醒していたオレに見られてるのに気づいてよだれやらを拭って顔を洗いに行くと、それで切り替えていつもの理子になって朝食にしようと言い出し、まだ寝ているヒルダを放置して2人で朝食タイム。

 

「今日は見学に行ってくるぞ」

 

「おっす。そのために望遠鏡も買ったしね」

 

「今回の見学だけに使うには勿体ないくらいに高いのをな……」

 

 ジーサード達とは繋がりを匂わせないためにこっちに来てからは連絡を取らない決まりがあったので、向こうの動きを把握する意味でもエリア51への偵察は必要だった。

 あとはこの偵察でエリア51への侵入の糸口を掴まなきゃ、瑠瑠色金の入手など夢物語に終わる。

 

「一応、徒歩での接近も考慮しちゃいるが、そうなると何キロ歩くんだっけ?」

 

「だいたい30キロ以上とかになるかなぁって感じ」

 

「時速5キロ出しても6時間か……辿り着いてもそこまでの消耗が馬鹿にならないな……」

 

 最悪、徒歩ならジーサードからの餞別を使えば不可能ではない接近なのだが、食料とかそういうのを持っていく余力というか、無駄になるものは荷物として機動力を削ぐので却下の流れとしては長時間の移動は避けたいところ。

 出来るならパパッと近づいてパパッと敷地内に侵入してしまうのが望ましいが、それこそ言うは易しだ。

 実際には航空写真にも撮られるだろうし、接近を目視されれば門前払いで終了。

 とにかく偵察に行くのは確定事項なので、朝食を終えてから1度ホテルへと戻って、1人にされていじけていたヒルダも連れ出して改めて出発。

 この偵察でやれることは2つ。

 まずは施設外周の侵入経路が存在するかの確認。これがなきゃ多少の強行策は練らなきゃならないため、リスクの大小が変わってくる。

 そして重要な車での接近がどこまで行けるのか。これによって当日のオレ達の行動が緻密に逆算されることになる。

 ラスベガスを抜けて北西に進路を取り、エリア51までの道を何もない景色の中で黙々と進む。

 

「よく考えたらさ、望遠鏡でも2、3キロは近づかなきゃ使えないよな」

 

「そりゃ倍率の問題とかあるしねぇ。200倍でも2キロ先のものを拡大できる程度でしかないから」

 

「そこまで近づいたらアウトだよな」

 

「別にアウトでいいんだよ。そのために変装してきたんだからねんっ」

 

 そこでふと思った疑問に平然と答えた理子の言う通り、現在オレと理子は特殊なフェイスマスクとカツラを被って変装中。

 これは向こうさんに1度はバレてもいいようにとした保険のつもりだったのだが、理子は始めから見つかる前提でしていたらしく、望遠鏡はつまり向こうから警告に来るまでの距離を稼ぎながら敷地の周りを探る道具なのだ。

 

「ってことは戻ったら車も買い替えか」

 

「そだね。だから安物にしたんだけど、売って新車の足しにするから壊さないでよ」

 

「運転してんのはお前だろ」

 

 そうとわかれば今はビクビクしなくていいのだから、変に保っていた緊張感をなくしてまだ影も形も見えないエリア51までの道のりをのんびりと過ごすのだった。

 片道が約200キロの道のりはなかなか暇で、オレよりも飽きやすい理子なんて1時間も運転してたら交代を進言してきて、色々と役に立ってるので多少のわがままはと許容して運転を交代。

 したらしたで隣で携帯ゲームを始めるは、往復分の食料を考えなしに食べたりと好き勝手やるので、マジで1度だけ車から放り出して置いていくという究極のボケをかましてやったら、それ以降は体育座りでちょこんとしてくれた。

 

「おっし。ここから速さ勝負だな」

 

「おっしゃあ! ばっちこいや!」

 

 それでもいつまでもちょこんとされていては困るので、エリア51まで残り10キロを切っただろう頃にスイッチを切り替えて、理子には望遠鏡を用意してもらうが、直径30センチというビッグサイズのレンズを持つ望遠鏡は理子が押し潰されてしまっていた。

 まともに持てないので助手席を倒してヒルダも協力して前を向く形で構えるが、ヒルダが望遠鏡の下敷きにされて高さ調整してる様が可哀想になる。端から見てたらコントにしか見えん。

 

「キョーやんキョーやん。高さ意識して。平地だとレンズに入りづらいから」

 

「高いとこ行けってか。見渡し良くないとダメなのはわかるが、道を逸れるぞ」

 

「だいじょぶだいじょぶ。これあれば誤魔化せるから」

 

 ヒルダのちょっと苦しそうな声が車内に響く中でもノーリアクションで行動するオレと理子はなかなかにシュールだが、ここまで道のような道じゃないようなところ――長く使うとタイヤの跡とかで道っぽくなる砂利道だ――を走ってたのを進路変更して横の小高い丘の方に登っていく。

 しかしオフロード用でもない車では傾斜や凹凸でガッタガタなのでその度に望遠鏡の下敷きにされてるヒルダがゴッスンゴッスン酷い目に遭ってしまい、再生能力持ちとはいえあまりにも可哀想なのでなるべく揺れないように丘の頂上を目指した。

 

「よっと。見え……るな。どうだ?」

 

「ちょおっと待ってねぇ……倍率合わせて……ヒルダ、もうちょっと持ち上げて……ストップ」

 

 そうしてヒルダという尊い犠牲――本人はピンピンしてる――を払って丘の頂上に車を止めて、目視でうっすらエリア51らしきものを確認したオレは、すぐにピントを合わせた理子と顔を入れ替えて覗き込む。

 ここで外に出て望遠鏡を使う方が良いのだが、どこでどう見られてるかわからないので視認されるようなことは避ける。

 そのせいで視界はやや悪いが、敷地の周囲はなんとか確認することができ、そこから侵入できそうなルートを急いで探す。

 

「外周ならなんとか……かな。ほい交代」

 

「よっしゃ! えっとえっとぉ……」

 

 本当に細かいところまでは不明だが、2ルートほど理子込みでも侵入可能な箇所を見つけたので、第一関門は突破。

 次は建物内部への侵入を担当する理子がルート検索のために望遠鏡を覗き込み、あそこはダメ、あそこもダメとポイントを転々としていく。

 オレよりも難易度が高いだけに理子のルート検索は時間がかかるが、その間に「やっべ。尖兵出撃ですわ」とか言うので、どうやらオレ達はもう発見された模様。

 

「ねぇねぇキョーやん。キョーやんのスパスパブレードって鉄も切れるよね?」

 

「単分子振動刀な。ちょっと音が鳴るから使うのは控えた方がいいぞ」

 

「うん。よし。あとはヒルダが手伝えばなんとか……完了でっす!」

 

 時間的猶予もなくなったので理子も多少の強引さも考慮したルートを探したようで、オレの単分子振動刀とヒルダの助力とでどうにか突破できるルートを確保した。詳しくは後で聞くが、鉄は厚さによるぞ。

 とにかく最低限の調査は終えたので、急いで丘を降りて本来のルートへと戻り、今度は打ち合わせた通りにエリア51へと普通に近づいていって、向こうから来た軍の車によって引き止められる。

 当然ながら銃を向けられて警戒されるのだが、そこは理子が事前に用意していた紙とペンで「観光しに来て星の観察をしに来た」とカンペを作り軍人に見せる。

 一応、英語の苦手な日本人観光客という設定なので、ついでにあまり英語がわからないと書き足してもいたが、身分証明を促されて確認が取れたところで初めて銃を下ろしてくれる。

 そしてカンペに軍人が「ここから先は立ち入り禁止区域だから進んじゃダメだよ」と書いてくれて、それをわざとらしく携帯の辞書で翻訳してオレとほんわかと会話してから「オッケー」と笑顔で返して事なきを得る。

 それから車をUターンして軍人に怪しまれないようにラスベガスへとまっすぐに戻っていった。

 往復でだいたい7時間はかけてラスベガスへと戻ってきたオレ達は、以降は使わないだろう望遠鏡を売りさばき、素性のバレた車も売却。

 次の足となる車を別の店で買おうと移動をしつつ、今日の夕食をどこにするかと目移りもしていた。

 

「んお? なーんか不穏な空気をビビッと」

 

「不穏っていうか、不吉な予感だな」

 

 そうやって意識を外側に向けていたからか、周りの変化に敏感になっていたオレと理子がほぼ同時にそれに気づく。

 進行方向の先の交差点の左の通路の方で不自然な渋滞が発生していて、道行く人の流れも野次馬のそれに似ていたことから事故でもあったのだろうとすぐにわかった。

 作戦行動前なので警察とか救急とかとこんにちはしたくなかったのでスルーしようと思ったが、野次馬根性たくましい理子が「事件だブーンっ」とか楽しそうに走っていってしまったので、仕方なくオレも野次馬になろうと理子のあとを追った。

 その先ではやはり事故が起きていて、かなり大型のトレーラーが道を完全に塞ぐ形で横転し、その横転に何台かの車も巻き込まれてボコボコになってたりしていた。

 

「死人が出てなきゃいいが」

 

「これで死人いなかったら凄いっすよ兄貴」

 

「兄貴って何だ」

 

 事故は割とさっきのようでまだ警察や救急も駆けつけていなかったが、よく見ればすでにあの惨事の中で救助に動いている人が数人いて、その中でも特に大声で指示する女性はテキパキとした手際で重傷者の手当てをする。

 その手際は専門のそれと同じかそれ以上のものだったので、たまたま居合わせた医者かなと思って見ていたら、なんか……見覚えがあるな。

 

「…………あー、理子。あの中に行ってもいいか」

 

「それはダメっすよ兄貴。あとで警察に状況説明とかめんどいっすよ」

 

「だがなぁ……行かないと後が怖い」

 

 このまま野次馬でいることももちろんできるのだろうが、それをしてもしも向こうが気づいていたらと考えた時のオレの血の引き様は理子に伝わらなかったが、止めても行くのだろうことは伝わって一緒に野次馬の中から抜け出て事故現場の中に入っていった。

 

「お手伝いしますよ」

 

 相手がわかってるので近づいたのと同時に日本語で処置をする女性に声をかけると、女性は日本語ということもあって処置の合間にオレの顔をチラッと見て、処置に戻って2度見する。

 

「……何してはりますのや?」

 

「それはこっちが聞きたいですけどね」

 

「んおー! 誰かと思ったらまゆちんかー!」

 

「……誰やと思たら、いつかのゲテモノ着物を着ようとしとったバカ娘どすか」

 

 向こうもまさかアメリカでオレ達に会うとは思ってなかったのか、ちょっとした心の揺れみたいなものを見せてくれたが、状況が状況なのですぐに切り替えて現場のリーダーをしてくれてる薬師寺眞弓さんの指示に従って他の人に応急処置を施していった。

 

「相変わらず凄すぎてよくわからん……」

 

「超人だよあれ……Sランクじゃなきゃ納得しないね」

 

 その眞弓さんの凄さは目の当たりにすれば圧巻の一言。

 自分でも難しい処置をしながら、オレ達が診てる人への適切な処置を指示して、さらに救急が到着してからは1人1人のバイタルと怪我の詳細を説明して搬送と病院での処置をスムーズにさせていたのだ。

 その圧倒的な実力に人を誉め称えることはあまりしない理子でさえマジなコメントをする始末。

 結果として現場での確定的な死者はゼロ。運も味方しただろうが、眞弓さんがいたから助かった命も確実にあっただろう。

 その後の警察への事情聴取も事故を目撃していた眞弓さんが事細かに説明してくれたのでオレ達への聴取はされず何事もなく解放されると、一仕事終えてもケロッとしてる眞弓さんはいつもの表情のわかりにくい線目でオレと理子を見る。

 

「立ち話もなんやし、とりあえず移動しましょか」

 

 そんな眞弓さんに唖然としていたオレ達の内心を知ってか知らずか、とにかくまずは落ち着こうかと懐から扇子を取り出して広げ扇いでみせたのだった。

 眞弓さんの言う通りに近くのフード店に入って改めて話をする形を取ると、その前に誰かに連絡をしていた眞弓さんは、その相手が到着するまで待つように言って沈黙してしまった。が、聞きたいことは聞いておこう。

 

「あの、眞弓さんっていつの間に海外に出れるようになったんです?」

 

「はて、いつやったかなぁ……去年のような、一昨年のような……今年やったかもしれまへん」

 

 まず気になったのは眞弓さんがアメリカにいるという軽い衝撃。

 実は眞弓さんは昔に、やんごとなき事情で日本国外に出ることを家から止められていたのだ。

 オレの知る限りではまだその制限は解除されてないと思っていたのだが、今ここにいるということはそんなこともなかったということ。

 しかも答え方がまた眞弓さんらしく謎。

 

「まぁ京夜はんがどうしても知りたい言うなら、教えてあげへんこともありまへんが、そこまで重要なことどすか?」

 

「いえ、些細なことでした。海外再進出、おめでとうございます」

 

「……おおきに」

 

 理子からすればキョトンとしてしまう意味がわからない会話だったが、こうして眞弓さんがアメリカにいるということの感動はおそらく、オレと雅さんくらいしか共感できないことなので仕方ない。

 そうした眞弓さんの事情はさておき、今度はどうしてアメリカにいるのかを尋ねようとしたら、ちょうど眞弓さんが呼び出した人物が店に来てぴょこぴょこと近寄って「わおっ!」とオレと理子を見てアメリカンなリアクション。日本人だけど。

 

「京くんじゃーあーりませんかー」

 

「また懐かしい呼び方を」

 

「あれぇ? みやっちも来てたんだ」

 

「私と眞弓はセットやからなぁ」

 

「ウチはこれのお守りどす」

 

「えー、逆やと思うけど?」

 

 在学時に聞いたような呼び方に懐かしさを覚えつつ、眞弓さんがいるならもしかしたらと思っていた雅さんの登場には、少々納得したところがある。

 おそらく月華美迅はこの2人だけがアメリカに来ていることはこれでわかったが、この2人が出張ってきたことにちょっとした恐怖を感じながらも、やはり聞かなきゃならないかと口を開いた。

 

「それで、お2人はどうしてアメリカに?」

 

「まぁ話せば長なりますが……」


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