緋弾のアリア~影の武偵~   作:ダブルマジック

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Bullet126

 翌朝。しっかりと準備をして成田空港まで足を運んだオレと、元の金髪に染め直した理子は、ほぼ同じ時間にフライトになるらしいアリアにまずは挨拶をと思い、国際線を横断してかなり目立つピンク髪ツインテールを発見。

 向こうも近づいてくるオレ達に気づいてくれたが、そのアリアの横には見覚えのある低身長の女子生徒もいてあれ? と思う。間宮だ。

 

「なんだ、間宮に見送りさせてるのか」

 

「違うわ。あかりも連れてくのよ。みんなして『そっち側』だから付き添いにね」

 

「ははぁん。つまりアリアは寂しいわけですな? くふふっ」

 

「ああん? あんた達が余計な心配しないようにボディーガード代わりにするってだけでしょ! 変な飛躍しないで!」

 

「ま、まぁまぁアリア先輩……」

 

 その間宮の前だと無駄に先輩ぶるアリアはいつ見ても違和感があるのだが、煽る理子には耐性が低いために間宮が間に入って仲裁する図を見ると安心する。

 しかし戦妹とはいえ、1年をボディーガードにってのは大手を振って見送るには頼りないように見える。

 

「なぁ間宮」

 

「えっ? はいっ」

 

 だから勝手だが抜き打ちでボディーガードとして最低限使えるかを試すため、2人を仲裁してホッとした間宮に声をかけてオレの方に向かせると、寸止めはするつもりで目潰しを仕掛ける。

 ほとんど成功していた不意打ちではあったが、間宮はそれに反応したのかなんなのか「ひゃあっ!」と短く叫びつつ身を屈めて目潰しを避けた。

 

「はい75てーんっ」

 

「ぎにゃっ!?」

 

 しかし避け方が悪かったので追い打ちに繰り出したオレの右足の軽い蹴りが間宮の側面に入ってバランスを崩し右手が床についてしまう。左腕はしっかりガードに回したが……

 それ込みで点数に変化はなかったが、ちょっと驚くことに右足に仕込んでいたクナイの1つが間宮の左手に収まってこっちに向けていたので、衝突の瞬間に盗られたっぽい。

 

「な、なんですかいきなり!」

 

「んー、そこはかとなく同類の匂いが……だがまぁ、油断はするなってことで先輩からの餞別だ。ありがたく受け取れ」

 

「何でそんな偉そうなんですか……」

 

 とりあえずオレからの敵意がないと判断してクナイは返してくれた間宮だったが、オレの不意打ちには不満気な表情でムスッとした感じがあからさまだ。

 その様子を見ていたアリアがすかさずフォローに入って間宮の頭を撫でれば、それでもう機嫌が直った間宮はちょろすぎる。

 

「京夜のお眼鏡には叶ったかしら?」

 

「感情の起伏がアリアと同じで上下しすぎるけどな」

 

「ついでにぺったんこなのもおんなじぃ」

 

「2人とも風穴っ!」

 

 そうしたアリアの問いかけに肯定と取れる返事をしてちょっとだけ笑みを見せつつ、横から理子が余計なことを言うのでまた沸点の低いアリアがガバメントに手をかけたところで理子はいち早くオレをブラインドにして逃げ去っていき、オレもなだめつつ退散の構えを取る。

 

「あっ。メヌに会ったらまず嫌味を言われるだろうけど、許してやってくれ。姉より先に手に入れて嬉しいだけだろうから」

 

「はっ? 京夜あんたまさか、メヌともう会って……」

 

「こっちはこっちで成果を上げてくる。だからお前も結果で示せ」

 

 退散ついでに言及を避けるようにメヌエットのことに触れて、友達云々でドヤ顔しそうなあの子への注意をしつつ真面目な話でボカす。

 タイミングを外されたアリアは何か聞きたげだったが、それより先に離れてしまい、交代するようにキンジとかなめが来ていたので好都合とばかりにキンジの肩に手で触れてすれ違い、今度はジーサード達と合流するためにロビーを移動。

 その途中で待っていた理子に追いついて並んで歩くが、さっきの間宮とのやり取りを見ていた理子に「隠し装備はチェックで引っ掛かるからやめておきなよ」とマジな指摘を受けてしまった。右腕がこれだからその辺を素で忘れてた……

 

「昨日はサンキューな、レキ」

 

「いえ。私は私の仕事をしただけですから」

 

 探せばすぐに見つけられるジーサード一味は本当にすぐ見つかったので、挨拶も交えて合流すると、何故か聞いてないレキの姿があったので昨日の作戦でフォローしてもらった礼から会話にするが、相変わらずなレキ。

 

「レキも行くのか」

 

「はい。風がそうしろと」

 

「風が? 瑠瑠色金と会いたがってるのか?」

 

「はい」

 

 自然な流れで同行するような感じのレキの理由を聞き出すと、先日は音沙汰なしだった風。璃璃色金が久しぶりに命令してきたようで、その変化は何かの予兆にも見える。

 

「風は他に何か言ってたか?」

 

「いえ。ただ風はこれから行く先にいる存在に会いたがっている」

 

「…………わかった。やっぱり一方的な通信は不便だな」

 

 その変化について言及したいところではあるが、レキと璃璃色金の相互間通信が一方通行なのは以前に聞いていたので期待はしてなかった。

 こればかりは仕方ないので諦めるしかないが、ここからの行動は確実に影響を及ぼすことはほぼ確定したことになる。

 つまりレキを瑠瑠色金のところに連れていくことが今回の作戦に追加されたということ。レキ自体が戦力として使えるからマイナスにもならん。

 

「んで、そっちは結局2人かよ?」

 

「多けりゃ良いってもんでもないだろ」

 

「つーかよォ。昨日には聞いたが、俺はお前を使うために誘ったんだぜ? それなのに……」

 

「なに言ってんだ。ちゃんと使われてやってるだろ。それがお前の意に沿わなかっただけでむくれるな。子供か」

 

 レキとの会話を終えてから、何やら不機嫌なジーサードが絡んできたが、その理由が子供だったので面倒臭いとか思いつつ、レキにキャッキャと話しかけていた理子の頭をポンポン叩いて移動することを伝える。

 そんなオレと理子を見送ったジーサードは舌打ちなんてしていたが、アトラスとコリンズがフォローしてるようなしてないようなな対応でなだめてるのが見えてちょっとクスリとする。あれでリーダーとか笑うなってのが無理だわな。

 それでも戦えばオレなんて瞬殺される自信があるので、その笑いは見られてはいけないのだ。

 

「だがどうしてこうなった……」

 

「それはキョーやんと理子の新婚旅行も兼ねてますからな」

 

 というわけでジーサード一味とは別れて飛行機に乗り込んだオレと理子は、ニューヨークに行くとか言っていたジーサード達とは別行動でアメリカに入る。

 その理由は昨日に理子からの提案があってのことで、ジーサード側の了承も一応は得ている。が、あのジーサードの態度からも不本意だ。

 それで別行動の理由だが、これは考えれば至極当然の流れでもあって、1度はエリア51への突撃をかまして失敗してるジーサード一味は、その性格を知ってるアメリカなら懲りずにまた攻めてくると予測できてるはず。

 そんなすでにマークされてるジーサードについて『味方ですよー』とアピールしたところでバカなのだ。

 聞くところによると相手にはマッシュ・ルーズベルトとかいう同類の人工天才がいるとかで、先端科学兵装を用いるジーサード達より上の超先端科学兵装(トランサンデ・エンジェ)を用いてる化け物。

 まぁあのジーサードが撤退を余儀なくされてる時点でぶっ飛んでるのは予測済みだが、そんな相手に正面からぶつかれるのは超人連中だけ。

 

「向こうに着いたら昼夜逆転する時差だから寝とけよ」

 

「おっす。キョーやんの肩をお借りしてもよろしいですか」

 

「体勢的にキツいだろ。普通に寝ろ」

 

 だからこそ別行動は活きてくる。

 ジーサード達が派手に突撃をかまして注目を集めてる間に、オレと理子は別ルートからエリア51を目指して中の瑠瑠色金を奪取する。

 言うは易しで実際にはそんなアホみたいなことが可能なのかはやる前からわかるのだが、無謀に見える中にも不可能ではない可能性があるから、やる前に諦める選択はない。

 そんなオレと理子がまず目指すアメリカの地は、誰でも知ってるカジノの聖地ラスベガス。

 直通では行けないのでサンフランシスコを経由して到着の予定だが、その時差は15時間ほど。

 フライト時間もそのくらいなので日本を出発した頃と同じ時間に到着するので、昼夜がほぼ逆転して時差ボケにやられるため、理子にも注意はしておくのだが、こいつの方が海外慣れしてるから余裕が見える。

 目的地にラスベガスを選んだのは理子だが、ジーサードの援護を受けないという選択をしたのでその準備にも現地調達が必要。

 そのための資金稼ぎも兼ねてラスベガス。しかもネバダ州南部に位置するラスベガスからエリア51は目と鼻の先なので偵察もある程度はできそう。

 距離にすれば直線で約200キロあるが、東京から静岡の浜松までと考えればまぁ、遠くはない。遠いけど。100キロ出しても2時間かかるし。

 

「エリア51って周りが乾燥地帯だよな」

 

「乾燥地帯なのは確かだけど、言っても山間部だから意外と高低差とかそういうの多くて見晴らしが良いとかはないよ」

 

「そうなのか。だったら近づくのも希望的……」

 

「一応は機密の多いとこだから、簡単ってことは全然ないよ? 車とかで近づける限界はあるだろうし、『上』からなら高低差なんてないようなもんだし」

 

 知識としては色々と入れたものの、実際に見たことはないオレが小声で理子に質問をぶつけるが、本当に見たことあるかのように答える理子には少々驚かされる。行ったことあるわけないのにな……

 だが言ってることは確かにそうなので、案外いけるかもとか簡単に思った自分を呪いつつ、そろそろフライトから3時間ほどは経ったので、逆算から寝た方が良いと判断して話し足りなさそうな理子を無理矢理寝かしつけてオレも眠りに就いたのだった。

 

「さすがに半日以上の時差あると不思議な感覚だな……」

 

「ねー。実質日付も時間も変わんないし」

 

 そうしてサンフランシスコ国際空港を経由して降り立ったラスベガスはまだまだこれから1日が始まるという朝。

 こっちは朝に出発してようやく1日が終わるくらいの感覚のために、その現実的な時差は精神的にくるものがある。

 だが切り替えは大事なので時間をこっちのに合わせて空港を出たオレと理子がまず目指したのは、数日の拠点となるホテル。

 有事の際に迅速さが損なわれるのはあれなので、仕方なく。仕方なく部屋は一緒でチェックインし、設定も新婚夫婦にはしておいたが、調子に乗せると底が知れないので絶対順守のルールを設けて――まぁヒルダもいるのだが――おきつつ、ホテルに併設されたカジノに行くためにお着替え。

 別にカジノにはドレスコードはないし、案外ラフな格好で出入りする人もいるのだが、オレと理子はそういう格好をすると年齢が浮き彫りになるため却下なのだ。

 そもそもとしてカジノには21歳未満の人は入れない決まりがあり、それがバレたら稼ぎは没収となる。

 だからチェックインの段階で新婚夫婦の設定があるわけで、身分証明のあれこれも理子がこしらえたやつを使う予定。怪盗さんはこの辺でも役に立つ。

 

「こんなもんでオッケーっしょ」

 

 それでオレも右腕の処置も最低限にし隠した上からタキシードに着替えて、見た目はまぁ良いかなと鏡で確認していたら、洗面室の方で着替えていた理子が出てきてお披露目。

 どこか子供っぽかったツーサイドアップの髪は後ろでまとめて持ち上げてキャバ壌っぽいイメージ。

 耳に真珠のイヤリングもつけて化粧も盛りすぎないながら理子を女にしている。

 ドレスは真っ赤なタイトなもので、背中はパックリ開いた結構なエロさ。レースの手袋もなかなか様になっている。

 靴もドレスに合わせて赤のピンヒールで身長をちょっと上乗せし、ネックの低身長もギリギリとは思うがカバーしている。

 正直に言って隣を歩いてほしい女としては申し分ないレベルで、元から女子力の高い理子だからこその仕上がりにはビックリさせられる。

 

「な、何さ。何か言ってよ」

 

「ん……いや……子供目線かもしれんが、凄く色っぽいぞ」

 

「あ……ぐっ……も……あぅ……」

 

 割と軽い感じで出てきたから、オレも軽い感じで感想を述べるべきところだったが、タイミングを逸してしまって理子に言われてからぎこちない感想を口にしてしまう。

 そのぎこちなさが悪かったのか理子も言葉に詰まって恥ずかしそうにうつむいてしまった。ぐはぁ! この空気はヤバい……

 2人して微妙な空気を作ってしまって次の言葉が出てこないあれな感じになってしまった沈黙の時間。

 軽くいこうとした理子の流れに乗れなかったオレが悪いので上手い切り替えをしようと口を開きかけたが、その前に理子の後ろから「おほほほほっ」とか言いながらヒルダが影から出てきて微妙な空気をブレイク。

 

「お前はダメな男ねサルトビ。女を褒める時に言葉を詰まらせてはダメよ。見て感じたものを吟味して女が喜ぶ言葉を選んで口にする。それが自然にできる男とできない男では雲泥の差があるわ」

 

 出てくるなり偉そうに上からものを言ってくるヒルダにはムカッとくるが、言ってることはなんか正しい気もするので黙って飲み込む。

 そうしたヒルダの出現で理子も持ち直して、キャラ作りを始めたのか落ち着いた雰囲気を纏って「じゃあヒルダのことも褒めてあげて」と言うもんだから、いつものゴスロリ衣装で代わり映えはしないヒルダも自分に降りかかろうとは思ってなかったのかちょっと慌てる。

 その反応にさっきのムカッとをぶつけるため、わざわざヒルダの耳元にまで行ってささやくようにしてこれでもかというくらい褒めちぎってやると、急なことで顔を真っ赤にして洗面室に逃げ込んでしまったのだった。

 

「じゃあ行きましょう、あなた」

 

「あんまりはしゃぎすぎるなよ」

 

 そんなヒルダはいざ部屋を出るとなればまた理子の影に潜ってしまってついてくる気満々だったことに2人して苦笑しつつ、部屋を出てから夫婦の設定を押してエスコートしろと目で訴えてくる。

 仲の良さは言葉じゃなく空気で周りに伝わるので、仕方なく左腕にスペースを空けて理子の右腕を受け入れ、そのままカジノへ直行。

 理子の用意した偽造の証明でカジノ入りを難なくパスし、そこからはとりあえず個別でゲームに参加して資金稼ぎ。

 ここでコケると資金稼ぎどころかジリ貧になるが、こういう賭け事は何故か強いオレと理子は退き時さえ見極めればそこそこプラスの収支にできる。

 理子はその辺バカなので、ビッグチャンスがくると迷わずゴーするのを止めてやる必要はあるが、そうなるタイミングがなきゃ堅実だから、手元が心許ない初期段階は放置でいい。

 

「さて、オレはどうするか……」

 

 理子は頼りになるが頼りすぎもあれなのでオレもオレで稼げるなら稼いでおくに越したことはないので、理子の惨敗も視野に入れて手堅く稼ごうとウロウロして、辿り着いたのはルーレット。

 ルーレットはポーカーやブラックジャックといったカードゲームほど運要素が強くなく、賭け方によって最悪でもほぼ2択で2倍の配当がされる。

 連敗さえしなければいいので手堅さではカジノ随一かもしれないそのルーレットの席に着いたオレは、早速チップに替えてゲームに参加する。

 ルーレットは大まかに高配当だが当たる確率の低いインサイド・ベットと低配当でも当たる確率の高いアウトサイド・ベットがあり、まずは手堅くアウトサイド・ベットの赤か黒の2択からベットする。

 それを何ゲームかこなしつつ、ルーレットを回すディーラーにも注目して玉の入りを観察。これが意外と馬鹿にできない重要なポイントだが、注目する人間は相当なガチ具合だろうな。

 まぁそのガチの1人になるオレもディーラーにそう思われないように勝ったり負けたりの娯楽観光者に見せてルーレットの傾向を分析。

 できるディーラーは狙った番号やそこに近いポケットに入れるといった神業的なこともできるとかいうので、意図的にビッグチャンスで稼ぐのは1度きりといったところか。

 ルーレットでは賭け時間が玉を投げ入れてからディーラーがコールするまでの間のため、素早いベットも求められるが、こういう時に右腕が使い物にならないのはちょっと痛い。ほぼ両利きだからいいんだけど、元々が右利きだしな。信頼感が違ってくる。

 

「ずいぶんチキンなボーイだな」

 

 そんなこんなで手元が減らないように地味にチャンスを待っていたら、横にいた客にちまちま稼いでるなと英語で暗に言われてしまい、他の客からも苦笑をもらう羽目に。

 別にそんなことで腹を立てるほど沸点も低くないオレではあったが、丁度そろそろ仕掛けてもいいかもなと思ってたので、バカな客を装いつつ乗ってやる。

 

「なら次はビッグな夢を見させてもらう」

 

 煽られたから大勝負に出たように見せる言葉を英語で返してやり、それに周りもちょっと盛り上がる中、いいカモだなとか思ってそうなディーラーにもわかりやすく頭に血が昇ったように見せて今のゲームの配当を終える。

 そしてここからオレが集めた情報から1度きりの『3分の1の勝ち確定勝負』に挑む。

 ここまでのディーラーのくせとルーレットの結果から、ルーレットの盤。ウィールの回転とディーラーの玉の入れるタイミングがほぼ同一であることから、その結果の誤差が狙った番号の前後1つ分しかないのも判明していたので、ここ1番の集中力を発揮してウィールの回転と玉の入るタイミングを動体視力で追う。

 そこからディーラーが入れたい番号を特定し、そこと隣り合う2つの数字にも素早く同じ枚数でストレート・アップでベット。これが勝ち確定の3択。2つが外れでも配当は36倍。圧倒的なプラス収支だ。

 その瞬間にディーラーが焦ったような表情をしてベットを締め切ったが、ルーレットは回ったらもう結果は変わらない。

 

「悪いな。運はオレに味方したらしい」

 

 悔しそうに配当してくれたディーラーと拍手喝采する客に別れを告げて席を立ったオレは、たぶんこれ以上は稼ごうとすると散財すると踏んで撤退の構えにしつつ、理子を探して右往左往したら、やたらと盛り上がってるテーブルを発見しギャラリーをかき分けて見ると、いた。

 騒ぎの中心にいたドヤ顔の理子は、それでもいつものお転婆な部分を引っ込めてクールビューティーでいこうと頑張ってる感じの雰囲気でブラックジャックをやっていて、手元を見ると……だいぶやっちゃってるなコイツ……考えなしに勝ってるぞ。

 

「次も私が勝たせてもらうよ」

 

 すまし顔で勝利宣言する理子はこの上なく調子に乗ってたので、上げてから落とすカジノの落とし穴に落っこちる前にゲーム開始前に割り込んで理子を引っこ抜き撤退。

 完全に目的を忘れてました的なテヘペロッ、をした理子には軽めのチョップをくれてやってから、互いに稼いだチップを換金してカジノをあとにする。

 今回はまぁ上手くいったが、人生そんなに甘くないので、今後は気安くカジノで稼ごうとか思わないでおこう。最初で最後くらいの気持ちでいないとな。

 何はともあれ資金はある程度は稼いだ。やっとアメリカでのスタートラインに立ったってところだし、ここからが本番。


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