緋弾のアリア~影の武偵~   作:ダブルマジック

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Bullet120

 3学期の初登校日から一夜明け、オレのいない間の情報の補完も完了したところで、急を要する案件もありそうでなかったため、1番の不安要素、アリアの案件はキンジ達に任せてオレは確認すべき案件を片付けに旅支度を整える。

 

「まっ、行っても2、3日が最長だろうし、変に身構えても仕方ないか」

 

 それでこれから行くところは、今まで名前は聞いたことがありながらも、特に気にしてもこなかった星伽神社。その総本山だ。

 以前にキンジから星伽神社の本社は青森にあるくらいにしか聞いてなかったから、行き先がかなり漠然としている。

 昨日の白雪との電話でも実はそっちに行くと言ってから「猿飛くんじゃ辿り着けないと思う」とサラリと言われて、正直なところ燃えている。

 その白雪の言葉を挑戦状と受け取ったオレは、意気揚々と男子寮を出発したのだが、昨日の朝に白雪のことを聞いたから勘繰られたのか、敷地を出たところで理子が待ち伏せしてやがったので嫌な顔をする。

 

「ゆきちゃんとこ行くんでしょ」

 

「ついてくんなよ。ただ白雪に会って話をしてくるだけだ」

 

「わかってるもん。理子だってキーくんから要請されてるから暇じゃないし」

 

「じゃあ何だよ」

 

「5日後までには帰ってきてほしいの」

 

 てっきり「理子も行くー」とか言うかと思ったが、先約があったからか駄々はこねなかった。

 しかし5日後までにってのは何だろうか。今日が2月9日だが……5日後は……

 

「14日までに……ああ。バレ……」

 

 と、なんとなく理子の言いたいことはわかって口から出かけるが、この手のいわゆる『恋愛イベント』は学園島では口にするのも危険。

 こういったイベントでことごとく辛い経験をしてる一部の教師――香港マフィアの娘とか――が浮わついた空気を嫌って目の敵にしてるからだが、何故か教師陣は結託してるのでチャン・ウー先生辺りに聞かれてたらゴリラウーマンが召喚される。

 

「学園島じゃマズイんじゃないか?」

 

「うん。だからアキバにご招待するね。約束っ」

 

「去年は義理だったか」

 

「今年は期待しててよね。あとヒルダからも何かあるってさ」

 

「……そっちは期待しないでおく」

 

 だからかなりイベントに触れない会話で繋ぐが、変に気合いが入ってそうで怖いところがあるな。しかもヒルダからも何かもらえるっぽいが、ますます怖い。

 でもそれをそのまま言ったら理子の影が斧の形になってブンッと振るう動きをしたので冷や汗をかきつつ訂正。いやぁ楽しみだなぁ。

 それで用は済んだのか、いつもの理子の調子でビシッと敬礼してからキーン、とか言いながら両腕を広げて走っていってしまった。どこの人型ロボットだ。

 とはいえ5日も青森にいるつもりは毛頭ないので、さっさと行ってさっさと帰ってくると決意しまずは青森駅を目指して学園島を再出発するのだった。

 

「やっぱり移動すると遠いもんだよな、青森。しかも寒いし」

 

 移動時間は約4時間。電車にゆらり揺られて到着した新青森駅周辺は、まだまだ冬を象徴する雪に覆われていて、東京との気温差は10度近いため持ってきていたコートを着込んで暖を取る。

 そしてここからは手がかりを見つけるために動く。

 まずは星伽神社がかなりオカルト寄りなことを鑑みて、知る人は知るだろうことは予測しつつ、青森にある武偵高にお邪魔し、そこのSSRに突撃。

 当然ながらSSRは秘匿で閉鎖的で情報の公開は基本的にないのだが、そこは羽鳥とかを見てきたせいかどう言えば情報を引き出せるかがなんとなくわかって、この辺の霊的スポット。恐山から合同合宿とかやるのだろうとか話して、白雪に関してピンポイントで引き出し「この辺では簡単には近づけないんだろ? 星伽神社には」とか適当に言えば、まぁねとくる。そこからは周辺の都市部の名前を言っていってわずかでも反応があった土地に目星をつける。

 それによるとどうやら弘前市周辺が怪しいので、青森武偵高をあとにしてから弘前市に移動。すでに昼下がりになってしまったが、ここで新たなアクション。ここ弘前市周辺の女子校に探りを入れる。

 星伽神社は男子禁制。おそらくは緋巫女である白雪以外の妹は教育のために学校に行っているのだ。

 事実、夏休みにこっちに来た粉雪ちゃんが、通っているだろう学校の制服で見学をしていたから間違いはないはず。

 加えてあの箱入り具合から見ても送り迎えは星伽がしていて、かつ遠くならない場所。そして女子校。これだけの条件に当てはまる学校なんてそうない。

 その予想通り、弘前市周辺には女子校は1つしかなく、中高一貫のお嬢様学校のようだ。

 とりあえず空振りでもいいのでここに狙いを定めて、放課後の下校時間を狙い打ち。

 見つけてからのタイムラグをなくすために可能な限り校門に近い位置取りにはしたが、間に合うかは微妙だ。最悪は全力疾走しなきゃダメだな。

 そうこう考えながら下校時間まで待っていたら、ポツポツと校舎から生徒が出てき始めたので特徴的なパッツン前髪の黒髪少女を狙い打ちで探していくと、探してる最中に校門近くで見覚えのある長いリムジンが停車し、運転席からこれまた見覚えのある女性が出てきた。

 あれは夏休みに粉雪ちゃんを迎えに来たリムジンと運転手だな。ってことはビンゴだ。

 まさかこんなところで欧州での地獄の人探しが役に立つとは思いもしなかったが、あれに比べたらイージーだったな。キンジ探しは本当に精神的に死ぬかと思ったレベルだし……

 と、思考があの頃のネガティブにいきそうになったので振り払うように切って、お行儀よく粉雪ちゃん達を待ってるだろう運転手に近づいてご挨拶。

 向こうもオレのことをわずかながらに覚えていてくれたようで、誰だお前みたいな空気は避けられたが、偶然とは思えない出会いに当然だが警戒はされる。そりゃそうだ。

 

「悪いんですが、話の方はこれから来る白雪の妹達にあるので、少しだけお時間をください。別に悪巧みとかは考えてませんからご安心を」

 

 なので一応は白雪の知り合いという立場から言葉を選んでおき、信用できなきゃここで騒いでくれていいとまで言って逆に騒ぎにくくしておく。

 こう言っておけばオレがそれをやられても痛手にならないとわずかでも思わせられるからだ。

 

「おっ、きたきた」

 

 そうして運転手さんからもとりあえずで容認されて待つこと数分。

 仲良さそうに校舎からやって来た似た者3姉妹が歩いてやって来て、いつものように運転手さんを見つけてお迎えご苦労みたいな雰囲気でいたが、その隣にオレがいたので驚きを含む表情をしたのが2人。風雪ちゃんと粉雪ちゃんだ。あとの1人とは面識がないからキョトン顔をされてしまう。

 

「猿飛様。どうしてこのようなところに?」

 

「ちょっと白雪に用事があってな。だが星伽神社がどこにあるのかわからないから案内役を探してたんだ」

 

「失礼ですが、白雪お姉様にどのようなご用事が?」

 

「確認したいことがあるだけ。心配なら白雪に了承を取ってくれていい。その判断にオレは従うよ」

 

 近寄ってきて口を開いた風雪ちゃんと粉雪ちゃんの口ぶりからして、どうやらオレが昨日、白雪に電話したことは知らされていないっぽく、本当に星伽神社に辿り着けないと思われていたようだ。

 だがこうして妹達経由で来られるとは思ってなかっただろうから、いま確認の電話をする風雪ちゃん越しからも白雪の動揺が見えていたりする。

 それに白雪は優しいから、オレが星伽神社に行けることが確定していれば、追い払うようなことはしない。

 

「……はい。ではそのように。猿飛様。白雪お姉様からの了承を得ましたので、星伽神社の近くにまでご案内いたします」

 

「近くまで、か」

 

「申し訳ありません。星伽神社はご存知の通り男子禁制。たとえ白雪お姉様でも猿飛様を敷地に入れることは叶わないのです。ですがお話だけであればなんとか」

 

「白雪が敷地の外に出ればってことだな。了解。それでいいよ」

 

 予想通り、白雪は辿り着いてしまったオレを追い払うことはなく、敷地には入れないながらも会って話はしてくれるということなので、それに了承してから風雪ちゃん達と一緒にリムジンに乗って星伽神社を目指していく。

 移動中のリムジンでは、今後もしも星伽神社に行くことがあっても困らないように地形を記憶する作業をしていたのだが、オレのせいでだんまりな空間が形成されるのは困るので深入りしない程度の会話もしておく。

 この中で初対面の華雪ちゃんはそばかすがチャームな3人の中では1番下の14歳らしく、粉雪ちゃんが15歳、風雪ちゃんが16歳と1つずつ違うみたいだ。

 

「ああそうだ。粉雪ちゃんの託、凄く助かったよ。ありがとな」

 

「い、いえ。私は降りた託をお教えしただけですので……助言になったのなら幸いです」

 

 そんな星伽姉妹の構成を聞いてから、夏休みに教えてもらった粉雪ちゃんの託のことを思い出して、ちょっとした心構えをできたことに感謝をすると、なんだか恥ずかしそうに謙遜して顔を伏せてしまい、風雪ちゃんはそれを見てちょっと笑い、華雪ちゃんは意外そうに目を丸くする。何その反応……

 

「風雪ちゃんも京都では世話になったし、機会があったらお返ししたいところだ」

 

「それでしたら白雪お姉様を助けていただいたことで満足ですから、お気になさらず」

 

「いや、だからあれはオレは助けてないって。白雪が新幹線をぶった切って……」

 

 たぶん粉雪ちゃんのは慣れない男と話すことと以前のが尾を引いているのだろうと自己完結して、風雪ちゃんにも同じようなことを言うが、こっちはしっかりしてる。1つしか違わないのにな。

 

「……まぁいいや。んじゃ何か要求があったら白雪経由で頼む。粉雪ちゃんもね」

 

「猿飛様は頑固でいらっしゃいますね。ではお言葉に甘えていずれはということで」

 

「わ、私も少々お待ちくださればありがたいです」

 

「んー、でも武偵高を卒業すると白雪経由も厳しいから、1年以内ってことで頼む。あと出来ればこっちは抑えてくれるとありがたい」

 

 それでも武偵の性分として借りっぱなしは嫌なので強引に話を進め、風雪ちゃんが大人な対応で折れてくれ、姉がいいならと粉雪ちゃんもオッケーしてくれて、その際に保険として手でお金を示して武偵の悪い性分を見せて笑われてしまった。

 リムジンは弘前市から南西に進む道路を進んで人里からどんどん離れて山の奥へと入っていき、車通りもほぼないに等しい道を1時間ほど走る。

 日も傾いて辺りが暗くなってきた頃にリムジンは舗装されていない砂利の道に入って徐行運転で森の中を進み、かろうじて道と判断できるレベルにまで下がった道をさらに進んでようやく停車。

 

「猿飛様はこちらでお降りください。これより先は星伽神社の敷地に入りますので、申し訳ありません」

 

 だがまだ星伽神社に着いたわけではなく、オレだけを降ろすために停まってくれたようで、風雪ちゃんの言う通りオレはここでリムジンを降り、教えてもらった方向へと歩き始める。

 道はリムジンが進んでいった方向からほぼ真横の獣道みたいな具合だが、雪のせいでまっすぐ進んでいるのか不安になる。リムジンを降りた道を背に進めとは言われたけどさ。

 とはいえ、これだけ外界との隔離がされる星伽神社の本社なら、白雪達の箱入り具合は超納得だ。粉雪ちゃんが東京の街に出たくなる気持ちもわからなくはない。こんな山奥の神社では娯楽が少ないんだ。姉妹や世話係の巫女達がいても限界はある。

 それで進むこと3分ほどして、ようやく開けた場所に出てホッとしながらすっかり暗くなった周囲を見ると、あるな。人工物。石段だ。

 ほぼ正面の位置にあったその石段は、かなり上段にあるっぽい鳥居まで続いていそうなので100段以上は確実にあるが、その石段を登ることを阻むようにして降りてきたのは、巫女装束に身を包んだ白雪。

 

「本当に来ちゃったんだね。ビックリしちゃった」

 

「……去年のオレなら辿り着けなかったかもな」

 

「そうなのかな。だとしたら猿飛くんが成長してるってことだね」

 

「そうだといいが」

 

 石段を降りきって対面した白雪との久々の生での会話はそんな挨拶くらいであっさりと終わる。

 なにも世間話をしにこんな山奥まで来たわけじゃないからな。白雪もそれはわかっているのは間違いない。

 そもそもとして、オレが会って話がしたいと言った段階で、白雪ならどうにか都合を合わせて足さえ運べば会ってくれる。そういう子なんだ。

 だが今回に限っては話がしたいと言ったところで無理と言われ、足を運ぶと言っても渋る始末。挙げ句が今の状況だ。

 これはオレが聞きたいことをお得意の占いか何かで察知していたんだろう。

 

「白雪。お前も立場とかそういうのがあるだろうから、答えたくないなら沈黙でもいい。話だけでも聞いてくれ」

 

「うん。ここまで来ちゃったし、答えられる範囲でなら話すよ」

 

「白雪。緋巫女のお前にだから聞く。緋緋色金ってのは、アリアの体に埋め込まれてる緋弾がその『全て』じゃないな? おそらくは藍幇にいた猴の中にも緋緋色金が埋め込まれてる。そして緋緋色金は自ら意思を持つ存在。緋緋神化ってのはその緋緋色金の意思に体を乗っ取られることを意味する」

 

「……色んなものを見てきたのかな。猿飛くんはその推測に確信に近いものを感じてる。そうだよね」

 

「そうじゃなかったらわざわざこんなところまで話に来ないぞ」

 

 だから前置きは軽くしておき、ズバッと聞きたいことを聞けば、ここまで来たオレへの敬意なのか割と話してくれそうな空気の白雪。

 

「その問いかけに対する答えは、そうですって言うしかないかな」

 

「そうか。なら緋緋色金が本来どの程度の質量で存在してるかも、その所在についても白雪は知ってるかもしれないが、それは聞くだけ無駄だしいい。緋巫女が知っててどうにもできないならオレが知っても意味はない。緋緋神化を止める手立ても殻金の存在と玉藻様の様子からしていくつも存在しないこともわかる」

 

「そう、だね」

 

「だから聞くのはまた別のことだ。おそらくはレキのいたウルス。そこに緋緋色金とは違う色金、璃璃色金の本体はあるが、どうやら璃璃色金は人とは話をしないらしくてアテにならない。だからもう1つの色金、瑠瑠色金を探してるんだが、その場所を知らないか? 情報から察すると人の管理の下にあるっぽいのはわかってるんだが……」

 

 問われたことに対してイエスかノーかでしか答えない白雪だったが、確認したことが確定情報になるのはこちらとしては収穫。

 それから緋緋色金について掘り下げてくるのかと思ってたのか、あっさりと切り上げて別の色金についてを尋ねると、少々驚くような表情をしてからここも正直に答えてくれた。

 

「ううん。璃璃色金についても京都で話した通り、レキさんが関わってることにも気づいてなかったから、瑠瑠色金についても私は詳しく知らないの」

 

「うーん。こりゃダメ元で璃璃色金に近づいてみるしかないか……」

 

「あの……猿飛くんは何をしようとしてるの?」

 

「ここまでで色金が意思を持つ金属であることが確定したからな。『対話』をしてアリアの緋緋神化問題の解決策を探ってみたい。同一異種の金属ってことなら、オレ達が知らないことも知ってる可能性があるからな」

 

 正直に答えてくれた白雪だから、緋巫女であり色金についてを知るからこそ、オレはここまで語ることのなかった計画についてを話す。

 アリアの緋緋神化はまだ可能性の話でしかないが、玉藻様が以前に話していた期限の3月いっぱいまでは確実に迫っている。

 加えて取り戻せていない殻金のあと1つが物理的に勝てる気がしない鬼達の懐にあっては期限までに取り戻せるかは定かじゃない。

 それに1度も外されたことのない殻金が元通りに機能するかも不明。つまり不確定要素が多いのだ。事実、アリアの身に何かが起き始めてる兆候がある。

 

「色金と、対話……猿飛くんは凄いことを考えるね。うん。その試みは私も価値はあると思う」

 

「何も得られない可能性も考慮して、試みが成功した場合にだけみんなには周知するつもりだ。それまでは白雪もオレのやることを黙っててほしい」

 

「それはもちろんいいけど……あっ。あまり絞り込める話じゃないけど、世界で観測されてる瑠瑠粒子。あれは欧州西部から北米が多いの。だからもしも瑠瑠色金があるとしたら」

 

「欧州西部か北米、か。また広大な捜索範囲だが、南半球と中東、アジアを取り除けたと思えば気は楽だよな」

 

「ごめんね。ここまで来たのにこのくらいしか教えられなくて」

 

「ん? 勝手に来たオレに会ってくれたのに謝られてもな。まっ、白雪の挑戦状にムキになったのはちょっとあるけど」

 

「そんなつもりじゃなかったんだけど……」

 

 結果として確定した情報はいくつかあったが、進展という意味ではそこまでといった感じ。

 眉間にシワの寄る話だったから2人して難しい顔になっていたので、最後はちょっとふざけて笑いを誘ってから締め、用は済んだから帰るかと踵を返したところで気付く。

 

「……ここから歩いて弘前市まではどのくらい?」

 

「た、たぶん迷わずに行っても半日くらい、かな。その前に今の時期にそれは死んじゃうんじゃないかな……」

 

「じゃあ死んじゃうんじゃないかな、オレ」

 

「えっと……星伽から車を出すこともできるけど、猿飛くんがここまで来たことは黙ってて不自然な動きはマズくてで……」

 

「じゃあ死んじゃうんじゃないかな、オレ」

 

「だからその……朝なら妹達の登校に合わせて乗せてあげられるから……」

 

「じゃあ死んじゃうんじゃないかな、オレ」

 

「猿飛くん、大事なことだけど3回も言わなくてもわかってるよ。だから一晩、大人しくしててくれるなら私と妹達で匿ってあげる」

 

 完全に帰る時のことを考えてなかった失態で死ぬ覚悟をしたのだが、超特別な措置で星伽神社で一晩過ごして、翌朝に送ってもらえると言うのでマジ感謝。マジ白雪様。貸しがまた増えてしまった……

 

「大人しくというと、どの程度?」

 

「えっと、残念だけど部屋の移動もお手洗いも無理、かな……」

 

「ハードな夜になりそうだ……」

 

「ふ、不安ならいまこの近くで……」

 

「……そうさせてもらう」

 

 だが星伽で過ごす夜はかなり辛いことになりそうだったので、半分は冗談だったのだろうが本当に用を足しに森に入ったオレを、白雪は顔を隠して恥ずかしがって見送るのだった。

 その後、白雪達姉妹の協力で無事に星伽の敷地に入り一夜を過ごしたオレは、翌日の朝にリムジンを降りた場所から風雪ちゃん達の乗るリムジンに乗り合わせて山を降り、昼には東京に向けて進路を取って学園島へと戻っていた。

 そしてここから得られた情報で瑠瑠色金に辿り着かなきゃならない。

 行く道はまだ全く見えないが、抜けられない道ではないだろう。そう、思いたいね。


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