緋弾のアリア~影の武偵~   作:ダブルマジック

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Bullet112

「見つけたらとりあえず殴る。謝っても殴る」

 

「やめたまえみっともない。そんな宣誓をする暇があったら1ヶ所でも塗り潰せ」

 

「メーヤの方の進展をそろそろ聞いておくのも良いかもしれんな」

 

 逃走中のキンジの捜索を始めてはや5日。

 手がかりがほとんどない状態からどうにかこうにかベルギーの地図――ブリュッセルから北のみだが――を塗り潰すことには至っていたオレ達とリバティー・メイソンだったが、塗り潰せたということはそれはつまりキンジがいなかったということ。

 あらゆる手を使って全力投球してようやくベルギーにいないことがわかったのが5日経った今日というガックリ来る事態だ。

 眷属との小競合いはその間、ワトソンとカイザーがギリギリのところで対応している現状、危ういパワーバランスを助けるためにもそっちに合流したいが、戦力は多いに越したことはない。

 特にキンジの戦力は眷属としてもちょっとした脅威にはなってると聞く。どうにかして見つけないといけない。

 いけないのだが……毎日最低限の睡眠でフル稼働してるストレスでだいぶ心の余裕がなくなってきたオレは、心の平静を保つために全てのストレスをキンジへとぶつける宣言をして作業に戻る。

 そんなオレの気持ちもわからなくはない羽鳥とジャンヌもマジなツッコミを入れずに半分くらいはスルー。

 それだけ進展も鈍足なのでイラッと来る言動もほとんどなくなった羽鳥が大人しくて快適なのは唯一の救い。これでまだ元気ならオレがゲンナリだった。

 

「…………そうか、引き続きよろしく頼む」

 

「メーヤさんの方はどうだって?」

 

「使い魔も使ってかなり効率的に捜索はしてるようだが、まだ手がかりは掴めていないらしい。向こうもこれからオランダ国内に捜索を移すようだ」

 

「ということはすでにデンマークやドイツはあらかた調べ終えたということか。リバティー・メイソンがバチカンに遅れを取るとはね。秘密結社が泣きたくなる」

 

「そこは正確さとかで差が出るだろ。こっちはバスの路線から時刻表まで調べてやってるんだぞ。魔術方面とじゃアプローチからして違う」

 

 それからメーヤさんとの連絡を終えたジャンヌの話によると、バチカンもこれからオランダに捜索を移すとあり、一応はオランダ国内にまでは範囲を狭められたわけだが、残りの日数的に塗り潰し切る前に見つけないとキンジなしでワトソン達との作戦に合流しなきゃならないっぽい。

 そうした時間的な猶予もないからか羽鳥からも嘆きの声が上がったが、そのあとにふと目に止めたのだろう資料の1つを手に取って難しい顔をするので、オレもジャンヌも珍しいその反応に顔を向ける。

 

「何を見てる?」

 

「初日に作った列車の最寄り駅での乗車リスト。あまり突拍子もないことは言わない主義ではあるんだけど、遠山キンジという武偵がどういった人物なのかをもう1度だけ考えた時に引っ掛かったことがある」

 

「それは何だ?」

 

「天然の女たらし」

 

 割と真剣な顔つきになって口を開いたので釣られて真剣に聞きに徹したからか、その答えにはオレもジャンヌも例えようのない顔をして見合ってしまう。

 

「それが何だよ」

 

「いや、だから突拍子もないことは言いたくないんだよ。だがもしも、逃走した遠山キンジがその先で『女を引っかけて逃走の手助けをさせた』のなら、と思っただけさ」

 

 アホ臭さが滲み出ている羽鳥の推測ではあったのだが、それを聞いたジャンヌが真剣な表情で「なるほど」とか納得しちまうから頭を抱えそうになる。

 しかしいつでもどこでもそういった救いの手でピンチを乗り越えてるキンジを考えると、一蹴するには少しだけだが躊躇はする。

 

「6日は経過してしまったが、遠山が乗ったと思われる列車の車掌に話を聞くだけ聞いても良いかもしれんな。その日に問題なく検札が出来たかどうかくらいならわかるだろう」

 

 だからジャンヌも捨て置けない可能性として話を進めて動き、羽鳥も他の可能性についてを思考し始める。

 オレはそんな2人の動きを見ながら、小腹が空いたのでカップ麺でも食べようかとしたらさすがにツッコまれたのだった。

 それからいくつかの作業をして鉄道会社への連絡をつけて車掌さんから話を聞くと、始めこそ何もなかったという返事で落胆したが、羽鳥が「小さなことでもいいから何かなかったか」と問い直せば、渋々なのか振り絞って思い出したのか、唸るような声と共にそういえばと口を開いてくれた。

 その話によると、ブリュッセルで2等車に乗ってきた2人組のオランダ人女性の検札で、一応は国境越えなのでパスポートの提示を促したのだが、1人に上手く言いくるめられて切符を切るだけに終わったらしい。

 その話を聞いて2人組がアムステルダムまで行ったことが判明したので、オレ達もまずはアムステルダムまで移動。

 まだ可能性の1つ程度のものではあるが、リバティー・メイソンの他の人員には順を追って北上してもらっているしとオレ達はこの可能性を潰しておく。

 

「さて、ここまで来ちゃうとメーヤとも合流した方が良さそうだ。エル達もここにいるから、合流まではそちらに行っておこう」

 

「すぐ動かなくて良いのかよ」

 

「アムステルダムまでの進路を取ってくれたのは幸いだよ。ここまで来ておいてわざわざ南下するような進路は取らないだろうし、西は都市部。北はすでにバチカンが押さえてくれた。ならばあとは」

 

「東のごくわずかな地域にまで絞れたということか。だが」

 

「そのわざわざの部分をしてる可能性もあるし、そもそもこの線がキンジに繋がるとも断言できないだろ」

 

「まぁそうだろうけど、気持ちには余裕を持っていた方がいい。それは期待とは少し違うが、空振りした時のダメージはそこで決まる」

 

 結局は楽観視しなきゃしんどいって言ってんだよなコイツ……

 だがあと数日でオランダ中を捜索すると思うと確かに気が滅入るし、優先度の高い線を潰していると考えてないとその先の眷属との戦いまで持たない。

 キンジを探し出してそれで終わりならいいが、そうじゃないから羽鳥も気持ちの持ち様を引き出している。

 精神が及ぼす身体への影響をよく理解してるからこその医者目線の助言に、オレもジャンヌも言いたいことはあったがそれを口にすることもなく、飄々とする羽鳥のあとをついてワトソン達と一旦合流した。

 

「ちょうど良かったよ。今から君達に連絡を入れるところだったんだ」

 

 ワトソン達のいた拠点に到着して早々、何やら話をしていたワトソンとカイザーがそうした言葉と共に寄ってきて何事かとすぐに切り替えて用件を聞く。

 

「どうにも眷属側に怪しい動きとかがあるみたいでね。作戦決行の前に偵察をと思ってたところなんだ」

 

「偵察って、バチカンから教えられた『竜の港』だったか。そこは常にリバティー・メイソンが監視してるんじゃないのか?」

 

「うん、それはそうなんだけど、その竜の港に集まった面子がね……」

 

「パトラとカツェ、あとは魔女連隊の上役とかいうイヴィリタの他に誰かいるのかい?」

 

「こちらで確認した限りで2人。1人は『颱風(かぜ)のセーラ』。そしてもう1人はおそらく、傭兵として雇われた『魔剱(まけん)』」

 

 その話によると、いま眷属が拠点にしているオランダ西部の海沿いにある竜の港にヤバい連中が集まってきたようだ。

 その新たに聞く2人についてはよくわからないが、魔剱はこっちに来る前にキンジから『妖刕(ようとう)』と一緒に雇われた傭兵とは聞いている。

 

「セーラか。彼女はイ・ウーにいた頃に予報士として自然物の大局的な動向を予報していた。眷属についていたか」

 

「彼女もまた雇われの身だろうね。風の噂ではセーラは金で動くプロフェッショナルだと聞く」

 

「魔剱もその能力について未だ不明ながら、超能力に対して絶対的に優位な能力を持っているらしい」

 

「いずれにせよ、魔女が多数いる陣営なら、行くのは私かこれかだろう。エル、人選は君に任せるよ」

 

「これ言うな」

 

 そこで作戦決行でイレギュラーを避けるためにより詳しく内情を探るためにオレ達を借り出そうということで話もすんなり進むが、これ呼ばわりする羽鳥には一応ツッコむ。

 

「出来るなら君達2人に協力してやってもらいたいんだけど、ジャンヌ、そっちの進境にも寄るよね」

 

「そうだな。今はようやくオランダ国内にまで絞り込めたところだが……」

 

 羽鳥の問いかけに対して遠慮もあまりない回答をしたワトソンだが、やはりこっちもこっちで重要案件なので都合を合わせようとしてくれて、渋るような回答をしそうだったジャンヌだったが、タイミング良くメーヤさんから連絡があり、アムステルダムに着いたかなと待ってみると、話はさらに良い方向に行ってくれたようだ。

 

「メーヤが遠山の居場所をおおよそではあるが探知できたらしい。確定ではないが、信頼性は高い」

 

「ならば2人共こっちに移動だ。そちらが進展したならば、こちらも動く時だろう」

 

「カイザー、あまり私に指図するな。私は上からの物言いが好きではない」

 

「喧嘩はやめてくれ。君もカイザーも特定の人物以外に厳しいその性格は改善の余地ありだよ」

 

「「……善処はしよう」」

 

 ここでメーヤさんの強化幸運が働いたのか、師団に吉兆が見え始め、あまりとんとん拍子もあれだが好転しつつある現状を逃す手はない。

 そこからの動きは迅速で、メーヤさんとの合流に向かったジャンヌを見送ってから、オレと羽鳥は眷属の拠点である竜の港とやらに直行。

 現地で張り込みをしていたリバティー・メイソンのメンバーに案内されてその拠点とやらを見てみるが、高い岩場に囲まれた滝のあるプライベートビーチといった感じの場所。

 一見すると何もないのだが、今は幸いにも砂浜に魔女連隊の使っている飛行船が停泊していて、かろうじて拠点である証拠物がある感じ。

 

「竜の港はあの滝の裏に作られたものらしい。全容のほどはわからないが、割と堅牢な造りと前提した方がいい」

 

「中には入れない感じか」

 

「裏でコソコソやるリバティー・メイソンが手をこまねいているんだから察してくれ。下手に探ってバレれば作戦も何もない」

 

 その竜の港とやらを双眼鏡を借りて観察しながら羽鳥の説明を聞くが、これではいざ襲撃というタイミングで困りはしないものか。

 そう思っているのは当然オレだけではなく、羽鳥も何かやりたいとウズウズしてるのがわかり、まだ陽もあるうちは動くまいと無言でアイコンタクトしてから、それぞれ双眼鏡を使って明るいうちにどこをどう動くかを思考し始めた。

 

「さて行こうか」

 

「とりあえず上がってるテンション下げろ。気配が駄々漏れだ」

 

 その夜。

 陽が完全に沈んでから黒基調の格好になった羽鳥とオレは、それぞれで決めていた探索ルートを使う前にそうやって互いの気配を確認してから動き始める。

 ずっと地味な作業をし続けていたせいで、柄ではないのだがこの瞬間から張り切ってしまってる自覚を持ちつつも、それを面には出さず夜の砂浜へと降り立つ。

 羽鳥はどうやら滝の上から攻めるルートを取ったようだが、楽なのはどう考えてもそっち。

 オレの行くルートはちょっとあれなのだが、羽鳥と同じルートは嫌だったので長考の末に決断した次第だ。

 

「さって……と。死ぬ気で特攻しますか」

 

 その長考した理由は、竜の港が滝の中にあることに関係するが、あからさまな出入り口が見つからなかったので要は堂々と川伝いで潜入してやろうということ。

 この季節に川に入るとか死ぬ気がするが、耐寒トレーニングは一応しているし、なんとかなると思いたい。

 意外にも外の監視の目は手薄、というか皆無なのですんなりと滝と海を繋ぐ川のそばまでは近寄れたが、滝の勢いが嫌だなぁ。滝壺深いもん。流れに巻き込まれて死ぬかも。

 

「タイムリミットは10分ってとこか」

 

 それでもやらないといけない時はある。

 それが今かは正直怪しいが、やれると思ったから来たのだから引き返す道はない。

 決意して川へと静かに入ってみるが、やはり冷たいとかそんなレベルじゃない。訓練どうこうでもない。

 予想以上に冷たい水温に気持ちが折れかけるが、ここで引き返したら入り損と考えていざ出発。

 飛沫などが上がらないように平泳ぎで川を進んで滝壺のそばまでなんとかやって来たが、滝壺を避けるためには6メートルくらいは潜水しないとダメっぽいため、適当な石を重石にして一気に川底まで沈み、そこから滝壺を潜り抜けて滝の内側へと入る。ここからは深追い禁物だ。

 ……こりゃダメだろ……

 滝の内側へと入り込めはしたものの、水面に少しだけ顔を出して息継ぎしてから再度潜水し水中をよく見ると、なんかある。

 潜水艦だ。

 今は動力が切られているようだが、稼働されるとこっちが見つかる可能性がある。

 その潜水艦の存在感がある中でどうにか先には行けないものかと模索するも、どこに誰の目があるかわからない以上、深追いはできない。

 なので仕方なく滝の内側の構造を頭に叩き込もうと水面に上がってその全容をじっくり観察。

 中は洞窟を掘り広げた感じのある割と広い空間で、電気も通っているらしく明かりも結構ある。

 明かりがあるということは水面に出るオレも発見される可能性が高くなるので、やはり深追いはできないが、出来る限りの情報は持って帰ろうともう少し粘って見ていると、潜水艦のある奥に記念物みたいな大型帆船が視界に入る。

 ガレオン船とか言われた大航海時代の船だが、その帆には有名なドクロとクロスした剣が描かれている。海賊船の象徴みたいなあれだな。

 内部構造的にその帆船と潜水艦くらいしか人がいられそうな空間はないので、パトラ達もどちらかの中にいるだろうと予想しつつ、撤退の流れかと思っていると、帆船の甲板に人の影が見えて誰かと目を凝らそうとした。

 だがそうするより早く背筋に悪寒が走り、静かに水中へと身を潜めてしまうが、見えた範囲で人影はオレよりもずっと小さかった。

 さらに恐ろしいことだが、甲板から見えた時にはおおよそではあるがオレのいる場所を真っ先に見ていた気がするので、なんらかの能力でオレの存在に感付いたのかもしれない。

 そう考えたのと、そろそろ体温が危ない域になるのを感じたのはほぼ同時。限界になる前に退くのが吉だ。

 もう水面には顔を出せないので、そのまま滝へと戻って滝壺に突っ込むが、今度は外へ出るので流れに逆らわずに脱力して脱出。

 一応は海まで流れてから少し泳いで砂浜に上がるが、寒い! 死ぬ!

 その生命の危機から脱するようにダッシュで竜の港をあとにしてリバティー・メイソンの監視場所にまで戻り、速攻で着替えて毛布やら何やらを被り暖を取る。

 30分後くらいに羽鳥も戻ってきてコーヒーを貰いつつまだ震えてるオレを見てクスッと笑ってから自分の収穫を報告してくる。今はツッコんでやる元気がない……

 

「内部の構造は映像として残してみたけど、本当にぼんやりとした全容といった感じになったよ」

 

「オレも似たようなもんだ。向こうに気付かれそうになったから早めに戻ったが、お前はバレてないだろうな」

 

「たぶんね。私も甲板にセーラが出てくるまでは粘れると思ったのだけど、怖い怖い。彼女なら気付くかもと映像に映った瞬間に引っ込んだよ」

 

 言いながらにどうやったのか知らない記録映像をオレに見せながら説明をするので見てやるが、なんか見づらい。

 何でだと思えばどうやら滝の中から中を撮しているようで、釣竿か何かで吊るしていたんだな。

 その映像を見る限り、オレが見た人影は噂の颱風のセーラとかいう予報士で間違いない。

 

「構造的に滝からミサイルでも撃ち込んでやれば一網打尽に出来そうだが」

 

「崩落でもされたら生死の判別が難しくなるだろう。やるならば奇襲による電撃戦だ。魔女連隊は白兵戦には少し弱いし、狭い空間では派手な魔術は行使するのを躊躇う。向こうが近代兵器を持ち出す前に片をつける」

 

 持ち帰れた情報はどっこいどっこいといった感じだったので、この情報から改めてどう襲撃するかを意見するが、自分で言ってて怖い。なんだミサイルでも撃ち込めばって。

 それを言った後だと羽鳥の意見が実に人間味があって不思議な感覚になるが、これは寒くて思考がバカになってるだけだろう。明日にもなれば元通りだ。

 

「今夜はもう寝よう。君の思考がアホっぽいのは聞かなかったことにしてあげるから」

 

「そりゃありがたいね」

 

 オレの変な言動に気づいちゃった羽鳥はまたもクスクスと笑いつつで話を切り上げるが、本当にツッコむ余裕がないので今日のところは許してやる。そしてそのまま夜は毛布を三重くらい被って寝てしまうのだった。

 翌日。

 完全に回復したオレの体は調子が非常に良く、今なら羽鳥を一方的に殴れそう……じゃなくて、どんな反応にもツッコめそうだ。

 まぁそれは3割くらい冗談として、先に起きていた羽鳥が監視を始めていたので、食事をしながらそちらの様子をうかがっていると、急に監視をやめて戻ってきたので何事かと尋ねる。

 

「飛行船が動く。上からだとここは丸見えだ。急いで撤収する」

 

「そりゃまた大変なこった」

 

「他人事ではないんだが?」

 

「そりゃまた事実を言いなさって」

 

「調子が良いみたいだね良かったね私も嬉しいよ死んでくれ」

 

 それによると飛行船がもうすぐ動き出すようなので、上から監視する形になっていたこの場所がバレてしまうからと慌てて機材を車に詰め込んで撤収準備をするが、オレはおまけみたいな扱いなのでフォロー程度でやりつつ昨夜の仕返しをやったら怒る怒る。良いねその顔。してやったりだ。

 と思ったら撤収準備を完了させてから車に乗り込む隙も与えずにいきなり走り出すのでさすがに焦ったが、そういう仕返しの仕方はズルい。

 そして仕返しの仕返しは連鎖しかしないのでどちらかが大人になるしか止める手立てはないことも悟り、今回はオレが大人になっておく。

 

「飛行船に乗り込んだのは?」

 

「パトラ、カツェ、セーラに魔女連隊の部下が数人。あとは確定かはわからないが、おそらくは魔剱もいたと思う」

 

 とりあえずひとけのあるところを目指して走る車の中で、遠巻きで飛行船の飛び立つ姿を見ながらあれに乗り込む人物を見たであろう羽鳥に確認を取ると、結構な戦力が拠点から離れたことを知る。

 

「おい。なら……」

 

「そうだね。私もそう思っていた」

 

 その事実から考えるに、羽鳥も同じことを思ったようで携帯で誰かに繋ぐと、それをオレへと放り投げるので、その相手、ワトソンと話をする。

 

「今、竜の港からパトラ、カツェ、セーラ、魔剱が飛行船でどこかへ向かった」

 

『竜の港の内部は探れたかい?』

 

「作戦に使える程度にはな」

 

『なら実行に移すのが良さそうだね。出来るなら今日、明日中にでも』

 

 そうした報告をするとワトソンもオレ達と意見が完全に一致したので、これからの行動方針は満場で一致した。

 

「それじゃあ苦渋を飲んできた欧州師団の反撃と行こうか」


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