緋弾のアリア~影の武偵~   作:ダブルマジック

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Bullet87

 理子との微妙な距離感が出始めてもう4日ほどが経過。

 向こうからは話しかけてくることもなく、部屋に遊びに来ることもなくなって比較的静かな生活はできていたのだが、慣れというのは怖くて逆に構ってちゃんをしてこない理子というのは気持ちが悪く若干オレの調子が悪くなってきていた。

 それでもやることはあるので、土曜日にはかねてより約束していた貴希とのドライブでバイクのレンタル代の割引を成功させ、その夜にはどこからともなく現れた玉藻様が京都に行くことを告げてオレから玉串料と称したお駄賃を捻り出して意気揚々と去っていき、日曜日には中空知との報酬相談を電話でしてから、その後に直接会って超逃げ腰の中空知をなんとか落ち着かせて報酬を渡し事なきを得る。

 それで幸姉の依頼に関しては全ての案件を解決したことになって、結局赤字になったことに一喜一憂。

 実家から戻ってきた小鳥に生活費の切り詰めを申告せざるを得ないカッコ悪い事態を乗り越えての、週明け月曜日。

 この日は週末にひっそりと帰ってきたキンジが、2年合同の小スポーツテストのあった放課後に自分からバスカービル他、極東戦役参加者を部屋に集めるという珍事があり、その事にほぼ全員が頭でもおかしくなったのかと失礼なことを思いつつ、一応バスカービルリーダーの指示に従ってすぐに招集に応じた。

 のはいいのだが、更衣室が『物理的に破壊された』とかで小スポーツテストの後に着替えることもなく集まった女子の姿が緊張感を完全に失わせる。

 どいつもこいつもハーパンにTシャツとかの体操服姿で、特に意味わからんのが前時代の遺産とも呼べるブルマーを我が物顔で穿いてる白雪、ジャンヌ、理子だ。

 ジャンヌはおそらく間違った知識を植え付けた理子のせいだろうが、そんなもの穿く女子高生はお前らくらいだぞ。

 と、思わずツッコまずにはいられない3人の格好ではあったが、現在進行形で理子と微妙な状態のオレは理子が絡む話題には触れられなくて仕方なくスルーするしかなく、リビングでも理子とは一番離れた位置に腰を下ろしていた。

 くそっ、何でオレがどうでもいいところで神経使ってるのか。

 でだ。とりあえず全員集まったので、普通に着替えていたオレを除きキンジが代わりに女子にツッコミを入れていたが、キンジ君は威厳がないので文句を言うなと話すアリア達に何も言えなくなってそのまま話を始めてしまう。おい。

 

「――作戦会議ってのは、極東戦役の件だ。打って出るぞ。ターゲットは藍幇だ」

 

 そうしてビシッと話したはいいが、何故かいきなり鼻声になったのでアリアにツッコまれるものの、強引に話を進めたキンジは事前にジャンヌにココのことを調べさせていたようで話を振る。

 そういやいたな。眼鏡をかけたココが。3人ともまだ長野の拘置所にいるはずだし、誰だったのか。

 

「遠山が『気になるから調べろ』と言うので、情報科で確認したのだが……修学旅行Ⅰで逮捕したココ3姉妹が、間もなく仮釈放されるらしい。莫大な保釈金を積んでな」

 

 話を振られてブルマーによってむき出しの綺麗な太ももを見せつけるように足を組みソファーに座るジャンヌは、そうして調べたことを述べるものの、ココはやはりまだ3人ともが拘置所に勾留されているようで、オレやキンジ達が見たココはまた別人ということになるわけか。

 そんなオレの予測に追いつくようにジャンヌも4人目のココの存在を説明し、それにはココの手強さを知る一同もようやく緊張感らしきものを放ち始める。

 

「ココだけじゃなく、諸葛って男も得体が知れない。それにジーサードを一撃で倒した、(こう)っていう少女がいる。これも――強い。玉藻曰く、孫悟空なんだそうだ。如意棒というレーザービームを撃つ。あれは一言で言って必殺技だ。誰も勝てないだろう。俺以外は」

 

 空気が引き締まったことを察して、キンジが今度は難敵の存在を明確にして話すと、どうやらオレが2度遭遇したあの少女が鏡高組のやつらが話してたコウ先生だったみたいだ。

 というか孫悟空かよ。どこまでも伸びる如意棒もその実、レーザービームってか。ハンパないな。

 現状で勝ち目なさそうなその猴は、これまた珍しくキンジが相手するみたいなことを言うため、必要なら助けを頼むと付け足したキンジに全員が了承。

 オレもレーザービームなんてどうしようもないから、相手を買って出るなら任せたい。

 そしてここまでの話をして白雪が冒頭の打って出る発言に戻ってキンジに質問をすれば、すでに香港に戻っていったらしい藍幇の拠点にこちらから乗り込もうということで、来週に控えた修学旅行Ⅱを利用しようと言うのだ。

 修学旅行Ⅱは上海、香港、台北、ソウル、シンガポール、バンコク、シドニーのどこかにチーム単位で行くことになっている。

 なのでバスカービルはその行き先を香港にして藍幇を攻め落とすと、そんな感じだ。

 オレは少し前にシンガポールに行くことを決めたコンステラシオンで、そこでイ・ウー研鑽派の残党と会合し極東戦役の志願兵を募るとか話してたジャンヌのオプションに決定していたが、未だに本決定ではない。

 理由はまだ音沙汰がない幸姉の言いつけによってシンガポールに行けるかわからないからだが、今週中には決めてほしいところ。

 ジャンヌが端からはわからないが曖昧なオレへの態度がキツくなってきてる。週末にはガミガミと一気に来そうな予感はしている。

 バスカービルの香港行きについては一同異論なく即決し、その代わりにこっちの拠点が手薄になるのはワトソンが残ることで防ぐこととなり、基本方針が決定したところで会議はお開きに。

 早速バスカービルメンバーは今後の行動などの話し合いを始め、ワトソンも携帯片手に席を外していく。

 残されたオレも幸姉にメールでもしておくかと部屋に戻ろうとしたら、急に腕を絡めてきたジャンヌに引っ張られる形で寝室へと移動させられ2人きりになると、ドアを閉めてベッドの上に隣り合って座らされる。

 ぐっ、密閉空間で至近距離だとジャンヌの良い匂いが主張してくるな。リビングだとみんなの匂いである程度散漫になってたが、1人だと意識してしまう。

 

「どうにも気になるのだ」

 

 至近距離にまでその顔を近づけて話しかけてきたジャンヌにちょっと怯みつつも、脈絡もないその質問のような話題が気にならないわけもなく、予定調和のごとく何がと聞き返せば、少し顔を離して腕を組んだジャンヌはその口を再度開く。

 

「お前と理子のことだ。今日、同じ空間にいて物凄い違和感を覚えていた。普段ならもっとお前達の距離感というか、そういうものが近いはずなんだが、喧嘩でもしたのか?」

 

「……喧嘩、はしてないと思う。話す分には話してくれるし、同じ空間にいることをあからさまに嫌がってる様子もないしな」

 

「ふむ、その説明からすると理子がお前に対して距離を置いているわけだな。正直な話、お前と理子の関係がどう進展しようといいのだが、悪い方向にだけはいってほしくない」

 

「理子の友人としてか?」

 

「違う。確かに理子には幸せになってほしいと思うが、それはまた別の話だ。理子はあれで空気の読めるやつで、雰囲気を察してバカをやったり真面目にやったりして場を良い方向に持っていけるセンスがある。今日の会議ではそういった必要性はなかったが、それでも発言自体が少なかった。我の強いアリア達をコントロールする理子が機能しないのは、いざという時に困ることになる。あんな理子を見るのは初めてで私もどうすべきか考えていたが、原因が猿飛、お前ならばやりようはある」

 

 どうやらオレと理子のぎこちなさは周りからでも分かりやすいみたいで、それが原因でオレといる時に理子らしさが失われてしまうのはよろしくないと話すジャンヌに、オレも同意はするのだが、喧嘩をしたわけでもないしで下手に動けなかった。

 それで解決の糸口をオレに見出だしたらしいジャンヌは、次に理子がああなってしまった直前のことを話せと言うので、結構恥ずかしい話もしなきゃならないことにちょっとためらうが、理子との関係が元通りに近付くならと言い聞かせて話をしていった。

 

「…………で、幸帆と真剣に向き合うって話をしたんだが、その後雑音にかき消されて聞こえなかったが理子が何か言ってて、聞き返したらなんか機嫌悪くなって……オレが悪そうだったから謝るって言ったら……もういいって……」

 

「…………幸帆の件はまぁ、あまりツッコまないでおくとして、そうか。理子の怒りの原因は……やはり猿飛。お前だ」

 

 幸帆の告白からそこに至るまでのことを話してみると、全てを聞いたジャンヌは少しだけ考える素振りを見せてからズバリ、オレが悪いと言ってくる。それはもうわかってるけど。

 

「しかし、問題の解決より先に確証を得る必要がありそうだ。デリケートな問題とも言えるしな。対処を誤ると事態が悪化しかねん」

 

 というオレの微妙な表情を見ることもなく思考を走らせるジャンヌ。

 何かに気付いているようなのに具体的な話をしないジャンヌだが、策士の一族さんの考えには少し期待してみようと思い黙ること十数秒。

 考えがまとまったのか顔を上げオレを見たジャンヌは、説明もなしにいきなりオレの腕を引っ張り立ち上がると、話を合わせろとだけ言って寝室を出る。

 

「では明日の放課後に情報科の前に迎えに来てくれ。レディーを待たせるのは厳禁だぞ」

 

「はっ? あー、おう、了解。明日の放課後だな」

 

「ふふっ、少しだけ期待してやるから、私を楽しませてくれ」

 

 寝室を出てすぐに玄関へと向かったジャンヌは、オレの手を引きながら急にルンルン気分でそんなことを言うので、アドリブで合わせつつ一緒に玄関へと向かってそのままキンジの部屋を出て階段を降りすぐ立ち止まる。

 するとジャンヌは引いていたオレの手をパッと放して振り返ると、目論見が成功したような悪どくも綺麗な笑顔を向けて話をしてくる。

 

「とりあえず仕込みは成功したか。では明日は本当に出かけるぞ。私と猿飛の2人きりでな。いわゆるデートというやつだ」

 

「その意図については話してくれないのかよ」

 

「明日、私の計画通りに事が進んだならば話す。そうならなければまた別の計画を立てねばならないが、まぁその心配は無用だろう」

 

 なんだかジャンヌ1人で話を進めてるからキョトンとしてしまってるが、今の段階で失敗はないと踏んでるらしいジャンヌを信じるしかないオレは、明日のデート(目的不明)のプランは任せると最後にとんでもないものを投げて帰っていったジャンヌにふざけんなと心の中だけで愚痴っておいて、よくわからない計画に一抹の不安を残したまま部屋へと戻って言われた通り大雑把にデートコースを決めてその日を終えた。

 翌日。

 いつも通りに授業を受けていたのだが、なんかずっと後ろの席のお方から突き刺すような視線を浴びせられて、それに振り向いても目が合わず素知らぬ顔をされるという珍妙な現象が続き、そのまま放課後を迎える。

 なんか事態が悪化したんだが、これは大丈夫なんだろうな、策士様よ。

 不安が膨らみまくった状態で、とりあえずは約束通りにすぐ情報科の校舎前まで行って、5分くらい待つと幸帆と一緒に出てきたジャンヌは、先に来ていたオレを見つけるや上出来だみたいな笑顔を向けて近付いてきて、

 

「それでは幸帆、私はこれから猿飛と出かけてくる。鞄の方を持って帰ってくれるとありがたい」

 

「……本当に本当なんですよね?」

 

「そんな怖い顔をするな。取って食ったりはしない」

 

「……京様、鞄をお預けください。私がお部屋まで持っていきますので、ジャンヌ先輩と楽しんできてください」

 

「お、おう。ありがとう……」

 

 なんか事前に幸帆には話を通していたようなやり取りの後、ちょっとだけ不満気な幸帆はジャンヌから鞄を預かって、オレの鞄も渡すように言ってくるので、逆らえない何かを感じて大人しく鞄を渡すと、綺麗なお辞儀をしてからすたすたすたっ。

 小走りで帰っていってしまい、それを見送ってからジャンヌはスルッとオレの腕に自分の腕を絡めて密着。

 

「では行くとするか。私を楽しませられなかったら、人間樹氷ができると理解しろ」

 

「脅すなよ。オレが楽しめないんだが」

 

「ほう。私とのデートを楽しむ気があったのか。それは相手が私だからか?」

 

 腕を絡めてからはオレがリードしろと言わんばかりに先を歩かせるジャンヌに、素直に従って歩き出して話をするが、早速ご機嫌取りを迫られる質問が飛んできたので、一応はデートが始まってるため言葉は選ばせてもらう。というか正直に言っても問題ない。

 

「ジャンヌとデートなんて誘ってもできそうにないしな。こうしてそっちから近寄ってこられるのは悪い気分じゃないよ」

 

「こ、これは本当に好きでやっているわけではないのだが……喜んでいるのならそういう表情をしていろ。その方が都合が良い」

 

 オレの言葉にポロッと思惑をこぼしつつも、どうやら言われてまんざらでもなかったらしいジャンヌは離れることもなくオレにそう言ってから年頃の女の子の表情になって、スイッチでも入れるように切り替えてどこへ行くのかと可愛く顔を見上げながら尋ねてくる。

 ちょっとした何気ない仕草でも美人がやると恐ろしい威力なんだが、これがこの後ずっと続くのか……

 状況はあれだが、悪くないとか思ってるオレ。気を引き締めてろ。目的は理子との仲を修復することだ。

 当初の目的を忘れてしまいそうなほど自然に女の子女の子してくるジャンヌに気を取られつつ、とりあえずは学園島を出て台場へと入ると、アクアシティお台場。

 そこにある風魔が修行という名のバイトをしているラーメン・レストラン、新都城に侵入し少し早いがそこで夕食にしておく。

 ジャンヌにはいきなり飯か、みたいな微妙な表情をされてしまうが、台場はここにだけ寄る予定だし、ここにした理由ももちろんある。

 

「おお、猿飛殿。いらっしゃいませでござる」

 

 台場で一番美味いと評判の新都城は夕飯時の時間は混んでゆっくりできない。

 だから比較的空いてる時間に入ったはいいが、風魔のやつも今日はシフトに入っていたようで意気揚々とオレとジャンヌを空いてるボックス席に案内してメニューを出すと、事前に決めていたオレはすぐに注文したが、ジャンヌは何が良いのかわからないようだったので定番の醤油ラーメンでいいだろとオレが決めてやる。豚骨とかは匂いとか気にしそうだし避けてやった。

 

「ここの制服もなかなか……」

 

「可愛いってか? 相変わらずああいうのに興味津々なのな」

 

「い、いいだろう別に。人の趣味にとやかく言う権利はお前にはない」

 

「ダメとは言ってないだろ。ただもう少しオープンな趣味にしても誰も笑わないとは思うよ。むしろ今より人気出るかもしれん」

 

「それだけはやめてくれ……お前や遠山にバレただけでも顔から火が出そうだったのに、それをまた他の人に晒すなどとても……」

 

「ん、キンジも知ってるのか、ジャンヌの少女趣味。オレとジャンヌだけの秘密だと思ってたが、ちょっと残念」

 

「何だ。私と秘密を共有したいなどと、何かよからぬことを考えていたわけじゃないだろうな?」

 

 料理を待つ間、風魔の着ていた店の制服からそんな話に移っていって、何かを勘繰ってきたジャンヌは含みのある笑みでオレに尋ねてくるが、別に何か企んでるわけではなく、

 

「いや、オレしか知らないジャンヌの顔ってのがある優越感っていうか、そういうのがなくなったのが残念って意味だ」

 

「ふふっ。お前が私の弱味を使ってどうこうする人間じゃないことはわかっている。だからこそお前は今、私のチームにいられてるとも言えるしな」

 

 えっ……そうだったのかよ。初耳ですよそれ。

 まさかの事実をサラリと暴露してくれたジャンヌは、それが本当なのかどうなのかわからなくて動揺するオレを笑っていたが、そういう笑顔は好きじゃないからな。美人ならなんでも許されると思うな。

 とかなんとか思いながら落ち着くために水を口に含んだら、風魔が注文した料理を持ってきてまずはジャンヌの醤油ラーメンをテーブルに置くが、オレが注文した料理は1度戻って両手で抱えるように持ってきてドカン!

 オレの目の前に重量感満載のそれが置かれる。

 

「猿飛殿、それを完食した者は今までに1人しかござらんが、大丈夫でござるか?」

 

 目の前に置かれたのは、人の顔などスッポリ入ってしまうほどの大きさの壺。それにぎっしりと入ったラーメン。

 その名を『超壺麺』と言うが、これは通常価格5000円もしながら、30分以内に完食できればタダになると言う特別ルールがある。

 幸姉の赤字依頼の直後で贅沢できなかったオレは、今回のデートにすら贅沢はできず、どこかで経費削減はしないといけなかったので、死ぬつもりでこの店のこのルールにすがったわけだ。

 ちなみに風魔が言った完食者については情報が入っていて、修学旅行Ⅰの前にキンジと一緒に来たレキが10分ちょっとで食べたらしい。

 が、これを10分で、だと……化け物かあいつは……

 実物を見たら完食できるイメージが全く湧かなくて顔色がかつてないほど悪くなっていただろうが、ここを乗り切らねばこの後はデート終了である。冬の公園のベンチでおしゃべりくらいしかできなくなる。

 そうはさせないために昼から全く食べ物を入れずにいた胃袋が食いたいとその音を鳴らしたタイミングでストップウォッチを持つ風魔にオッケーサインを出して、超壺麺を見ただけで青ざめていたジャンヌを横目にフードファイトスタート。

 昔に幸帆のおかしい量の手料理を難なく食べ切った時を思い出せ。あの時は猿飛の修行で1ヶ月暮らした比叡山を降りた直後だったが、そんなの関係ねぇ!

 そんな内心の勢いとは裏腹に、一気に入れるとすぐに限界が来ることはわかってるので伸びてしまう前にまずは麺を片付けようと具などは後回しで黙々と麺をすする。

 ジャンヌはそんなオレを見ながら自分のラーメンが普通なことに安堵して美味しそうに食べていたが、オレは美味しさなど味わってる場合ではない。

 いや、美味しくなきゃ食べ進めることすら嫌になるから美味しいのだろう。このラーメンは。

 そうしたことも段々考えられなくなって一心不乱に目の前の超壺麺に集中すること15分。

 風魔のカウントでわかったが、その辺りで麺を完食出来たので、ペースとしては悪くないと思いつつ、残りの具とスープを見てちょっと目眩がする。

 それでも完食出来なきゃ5000円。理子のこともあるから負けられないと奮起して食べるのを再開したが、そこから先の記憶は少し曖昧になってしまった。それほどに限界の綱渡りをしたということだ。

 それで食べ終えたのは確かなのだが、その後すぐに横になって倒れたのは記憶していたため、意識が戻って起きようとしたら、なんか気持ち良い違和感が。

 後頭部に何か柔らかくて温かいものが当たってる。と、目を開けて確認しようとしてみれば、いきなりジャンヌの顔が目の前にあってビックリして飛び起き、ジャンヌの頭とゴッツン。

 それにより元の位置に戻ってしまうが、待て待て! 膝枕とは何事か!


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