明:「ケッケッケ、ドンマイ」
とある休日の夜、俺はリビングでちょいとした書き物をしていた。
「そんで確か……」 (カキカキ……
「ダダダダダダダダダ♪」
「で、それからは……」 (〃
「ダダダダダダダダダ♪」
「………」 (〃
「ダイダイダイダイダイガーンダー♪ダイガーンダー♪」
「オイコラ、大事なところがガンダーラのリズムになってんじゃねぇか」
なんてこった、無視を決め込むつもりがついツッコんじまったぜ。
おのれ、流石はダーク。
中々やりおる。
「フッ、ダークさんの歌は一味違うという事だ!」
「へーへー、そーですか」
案外、覚えてねぇから勢いで誤魔化そうとした可能性も無きにしも非ずってな。
てか、歌のチョイスがまた随分と古いな。
2002年だろ、あのアニメ。
アレか、また俺のパソコン使ってYouTubeサーフィンして偶然見つけたか。
なら仕方ねぇ。
時々あるよな随分と懐かしいモンがトップに連なってる事がよ。
あ、因みにあの作品で俺が特に好きなバトロボは……
“蒼き稲妻”
ブライオン
“蘇るウィリアム・テル”
イーグルアロー
“ジュラシックソルジャー“
ボーンレックス
の三体だな。
詳しく知りたきゃ各自で調べてくれ。以上。
「ふむ。それで明はさっきから何を書いているんだ?見たところ、えりか印のあのノートとは別のノートだな」
「そーだな」
「…黒色の革張り、そしてファンタジー作品に出てきそうな厚さのノート……。もしかして明の黒歴史ノートか?」
「バーロ、そんな少年心の極みにあるノートなんざ明さんは生み出さねぇっての」
泣けるぜ。
某少年探偵みてぇな推理を披露すると思ったらところがぎっちょん。
随分とまぁ杜撰な推理を披露してくれやがるぜ。
「ならば何のノートだ。教えろ、教えないと暴れるぞ。妖精態になって駄々こねまくるぞ?」
んでもって相変わらず恐ろしい脅迫の仕方だこと。
「教えても良いが面白くはねぇぞ?」
「そうなのか?」
「そうなのだ。なんせ、中身はこれまでの出来事を噛み砕いて纏めただけだからな」
「これまでの出来事か…。そうなると明とゆりがブレイドナイトとプリキュアになってからの出来事か?」
おっと、今度はさっきと違って中々の名推理だな。
「あぁ、ゆりと一緒に戦う道を決めて日の事から始まって……勝利と敗北、仲間と復帰、真実と再会、犠牲と鉄拳、恋人と七人、転生と家族、法律と重婚……。こんな感じで今まであって色々を纏めたんだよ」
まぁ、たとえ噛み砕いてても内容が内容なだけに中々の壮大なストーリーになっちまってる感は否めねぇけどな。ケッケッケ。
「成程成程…。だがしかし明よ、どうしてまた急にそんな事をしたのだ?作家にでもなるつもりか?」
「なんてこった、別に俺は作家になるつもりなんざねぇよ。ただ、思い返してみたら今まで濃厚な出来事だらけだったから整理してみるのも面白いかもなって思っただけだ」
「ええー?ほんとにござるかぁ?」
「ケッケッケ、ほんとにござる」
まぁ、たとえ他の理由があったとしてもダークには教えねぇけどな。
知ったら絶対つぼみ達に喋るだけじゃねぇし、えりかが周りに喋ってより広まる可能性がダイダイダイダイダイガンダー。
俺のハートフルブレイドの斬れ味はドラゴンソード以上ってな。
「ふむ、他に理由が無いのなら仕方ない。ダークさんはデキる女だからな。これ以上詮索する気はない」
「賢明な判断だ。もしもしつこく詮索して俺の機嫌を損ねちまったら困るのは大食らいのダークだもんな?」
「そうだ…。明のお陰で食に目覚めてしまったダークさんにとって食事は命の次に大切……!であれば!自らそれを奪う様な愚行はけして犯さん!」
おーおー、随分とまぁご立派な事言ってるが今まで何度かその愚行を犯してんのを綺麗さっぱりと忘れてやがるぜ。
えっと、確か一番記憶に新しい愚行は……
アレだ、発酵前の生地を外気に触れさせた事だな。
あん時は罰としてダークの夕飯だけ苦味のフルコースにしてやってたらいいリアクションを見せてくれたぜ。
まぁ、その立派な食い意地で完食した事には若干ながら明さんも驚いたけどな。
「そうゆう訳で明は存分に書け!私はこれ以上首を突っ込まん!そしてこのチャーミングなお口はミッフィーだ」 \(ー×ー)/
おーおー、ナイス顔芸。
「ケッケッケ、ご親切にどーも。礼にダークには俺が買った上物のクッキーを分けてやるよ」
「なん…だと……!?それは本当か!?」
「おう。キッチンの床下収納の戸を開けてみろ。中に瓶詰めのが3個あるからよ。1個持ってけ」
「流石は明!ナイス太っ腹だ!」
「ただし、残りの2個には手ぇ出すなよ?もしも手ぇ出したり開封したのを誤魔化したりしたそん時は……」
「その時は……?」
「明さんのハートがヒートして怒りのビートをプレゼント。そうさな、具体的には夕飯のおかわり禁止。若しくは修練の場で俺の新技の実験台だな」
「わかった…。絶対に他の瓶詰めには手を出さん……」
「ならば良し。ほれ、とっとと取りに行って部屋に戻りやがれ」
「了解!」 (逃
おーおー、中々立派な逃げ足の速さだこと。
「さてっと、ダークも行った事だし俺も続きを書くとしますかな」
ついでに、仲間外れは可哀想だからダークの大食らいっぷりについても書いといてやるとしますかな (悪笑)
「ケッケッケ、こりゃ思ってた以上に愉快な軌跡になりやがるぜ」
【終わり】
オマケ
〜後日〜
ダーク:「ところで明よ」
明:「ん?」
ダーク:「例のアレには何かタイトルを付けてはいないのか?」
明:「あぁ、付けてねぇな。何か良いタイトルあんのか?」
ダーク:「勿論だ!」
“黒の軌跡“
ダーク:「どうだ!」
明:「ケッケッケ、閃の軌跡みてぇなタイトルだな」
ダーク:「気のせいだ!」
明:「へーへー、そーですかい」