つばめ:「頑張るっしゅ……」 ( ̄▽ ̄;)
とある日の昼休み、俺は教室で博士と薬草談義をしていたんだが、萌香から二人に話したい事があると言われそのまま萌香に連れられて屋上に来ていた。
「明、博士、急にすまんな」
「気にしないで萌香さん。俺達に話したい事って何かな?」
「結婚式の余興を頼むってんなら、俺らよりもももかと瑠璃に頼んだ方が適任だぜ?」
「いやいや明君、流石にそれはないって……」
「わーってる。冗談だっての」
けど、適任なのは間違いねぇと思うがな。
案外ゆりも巻き込んで三人で何かやりそうな気がするぜ。
「フッ、確かに時が来たら頼むつもりだが今話したい事はそれではない」
「一応当たってはいるんだね……」
「だな。言ってみるもんだぜ」
「…実は月音の事で二人に話しがあるんだ」
「え?」
「月音の事?」
なんてこった、こいつはまた随分と意外だな。
何せ、月音と萌香は付き合い始めてからほぼ毎日と言って良い程、二人のラブラブっぷりを周りに見(魅)せている良い意味でのバカップルだってのによ。
「月音と何かあったの?」
「あぁ…いや、その、なんだ……」
おーおー、普段はその持ち前の美貌と竹を割った性格で同年や後輩の女の子達からお姉様又は姉御と呼び慕われてる赤夜さん家の萌香さんがこんなにもしどろもどろになるとはな。こりゃ珍しい光景だぜ。
「じ、実は……」
「うん……」
「………」
けど、今回は事が事だからな。
「月音が……」
「うん……」
萌香のこの様子から考えるとこりゃ相当深刻な……
「最近ますます魅力的になってきているんだ!!」
「うん……え?」
「…悪いが、もう一回言ってくれ」
はて?
最近耳が遠くなったか?
「だから最近月音がますます魅力的になってきているんだ!!」
「…泣けるぜ」
残念ながら俺の耳は正常か。
…ったく、さっきまでの俺の心配を返しやがれっての。
「…えっと、例えばどんな時が魅力的なのかな?」
「オイコラ、博士」
今の萌香にそんな事聞いたら……
「そうだな、最近だと……」
この後、俺達は何故か一方的な萌香の話を突っ立ったまま聞く羽目になった。
「…これって俺のせい?」
「さぁ?」
………
……
…
「私が落ち込んでいる時は何も言わずにただ静かに側にいてくれたり、二人だけで出掛けても心愛へのお土産はけして忘れずに買ってくれたり……」
「長いな」
「ごめん、俺が月音のどんな時が魅力的なのかを聞かいちゃった……」
「気にすんな。もう過ぎた事だ」
「明君……」
………
……
…
「私が料理に失敗しても大丈夫だよと言って全部食べてくれたり、私が月音に抱き締めたら優しく抱き締め返してくれたり……」
「おーおー、甘々だねぇ」
「明君はそれだけで済ませるんだね……」
………
……
…
「寝顔は普段と違って可愛いし、私よりも遅く寝たのにも関わらず朝ごはんを作ってくれるし……」
「やっぱりコイツら一緒に寝てんだな」
「わぁーお……」
………
……
…
さて、時間にしてだいたい20分ぐらいか?
長きに渡る萌香のマシンガントークも漸く弾切れ起こし、俺達は辛くも耐久レースに勝利した。
「ふぅ……」
「お疲れ萌香。どうだ?スッキリしたか?」
「あぁ、二人のお蔭で胸が軽くなった」
「そりゃ良かったぜ」
と言っても、俺達は萌香の話をただ黙って聞いていただけで別に萌香の役に立った覚えはちっともねぇんだがな。
「んで、博士もお疲れさん。足は大丈夫か?」
「うん、なんとかね。…でも、まさか昼休みが萌香さんの惚気を聞くだけで終わるとは思わなかったよ……」
「む?もうそんな時間か?」
「あぁ」
「うん……」
「そうか、なら急いで戻らないとな。…明、博士、今日本当にありがとう」
なんてこった、まさか惚気を聞いていただけで感謝されるとはな。
「もしも二人が恋に悩んだ時は私が力になろう」
「そうかい。なら博士に誰か気立ての良い娘を紹介してやってくれ」
「ちょ!?明君!?」
「あぁ、分かった」
「萌香さんまで!?」
「「なんだ?嫌なのか?」」
「いや、嫌じゃないけど、その……」
「「ニヤニヤ♪」」 (悪顔
「うわ、悪い顔してる……」
「ケッケッケ、なんの事やらさっぱり分からんな」
「フフッ、私もだ」
「…明君じゃないけどあえて言わせてもらうよ。…泣けるぜ」
【終わり】
オマケ
〜その後・教室にて〜
ゆり:「………」 (ぐったり
明:「その様子だとどうやらゆり達は月音の惚気を長々と聞かされてたみてぇだな」
ゆり:「えぇ、その通りよ……」
明:「そりゃドンマイ。ほれ、購買で買ったコーヒーやるよ」
ゆり:「ありがと明……」
菖:「ゆりさんはぐったりしてるけど向こうは……」 (チラッ
―月音……― (ぎゅ
―萌香さん……― (〃
―おぉ〜!今回は熱いハグか〜!―
―キャ〜♪隙間がないくらいピッタリくっついてるわ〜♪―
明:「いつも通りだな」
菖:「だね……」
ゆり:「やれやれだわ……」