明:「ガンバガンバ、ガンバの大冒険」
ゆり:「…ネタが古いわね」
*以前にも書きましたがオリジナル設定として月影家は集合住宅地ではなく一戸建ての家に住んでおります。
とある日の夜、俺は近くのコンビニから自宅への道中偶然ある人物と会った。
「よぉ、ゆり」
「あら、こんばんわ明」
まぁ、“ある人物”って大袈裟に表現しても実際はみんなご存じ、月影さん家のゆりさん(こうみえて意外と可愛い物好き)なんだけどな。
「…今明が余計な事を言った気がするわ」
そしてエスパー能力もお持ってらっしゃる。
「気のせいだ。それよりこんな時間に外を出歩いてなにしてんだ?」
つってもまだ8時ちょっと過ぎぐらいだから“こんな時間”でもなんだけどな。
「そう言う明こそこんな時間にどうしたのかしら?」
「ん、夕飯を食ったけどちょっと小腹が空いてな?コンビニに行って甘い物を買ってきたんだよ」
家に菓子があればそれで良かったんだが、どうやら菓子は切らしてたみてぇだからな。
「あら、自分で作らないでわざわざ市販のケーキを?」
「あぁ、この間ケーキを作ったばっかで材料は残ってねぇからな。それに今から作んのは流石の俺でも面倒だ」
「ふふふ、それもそうね」
「だろ?…んで?ゆりの方こそどうしてこんな時間に?」
「実は昨日からお風呂の調子が悪いらしくてね?一応業者さんが来て見てくれたけど……」
「成程、だいたいわかった。つまりは銭湯から帰る途中って事だな?」
そういえばゆりはラフな格好だし、手には程好いサイズのトートバックを持ってるもんな。納得納得。
「ふふふ、流石は明ね。理解が早くて助かるわ」
「そりゃどーも」
んで、いつもは淡い雪を思わせる様なゆりの白い肌がいい感じに赤みを帯びてるからな。
おそらくまだ身体の火照りが冷めてねぇんだろう。
「それにしても……」 (じぃー
湯上がりのゆりも中々良いもんだな。
さっき言った事に加えて、今のゆりの顔はこれまたいい感じに緩んで(蕩けて?)やがる。
銭湯のお湯で血行が結構良くなったゆりの姿、これは滅多に見れねぇレアな姿だぜ。
「どうかしたの明?私の顔に何か付いてるかしら?」
けど、今回は言わねぇがな。
折角銭湯で汗を流してさっぱりしたってのに、俺のせいでまたゆりに汗をかかせるってのは俺の捻くれた騎士道に反するってもんだ。
「いんや、なんでもねぇよ。それよりゆりはこの後はどーすんだ?」
「そうね…、コンビニに寄る用も特にないからこのまま帰るわ」
「そうかい。なら、このまま家まで送ってってやるよ」
「あら、良いのかしら?」
「あぁ、見ての通り俺も家に帰る途中だったし一人で帰るよりも二人で帰る方が“楽しい”だろ?…だからほれ、」
「あっ……」
「これで更に楽しくなる筈だぜ?」
ゆりの返事を待たずにほぼ強制的に手を握ったちまったが…まぁ、これぐらいは大丈夫だろ。
てか、今回は我ながら随分とクサい事をしちまってるな。穴があったら是非とも入りてぇぜ。
「……ありがとう明」
「はて?なんの事やら俺にはさっぱりわからんな」
「……ばか」
「馬鹿で結構。さ、家に帰ろうぜゆり?」
「……うん」
【終わり】
オマケ1
〜実は……〜
―さ、家に帰ろうぜゆり?―
―……うん―
コロン:「やれやれ、これじゃあバックの中から出られないね」
オマケ2
〜買ったもの〜
ゆり:「ところで明はどんな甘い物を買ったのかしら?」
明:「みかん入りゼリーとまるごとバナナ」
ゆり:「…鎧武とバロン?」
明:「そ。買ってから気づいたぜ」