ゆり:「…なんでそうなるのよ」
明:「上空から散布されたガスによって人々が敵化」
ゆり:「あー……」
とある日の放課後、我らがファッション部はかつてない程賑わっていた。
「すごーい!この服もつぼみちゃん達が作ったの!?」
「はい!それは昨日漸く出来上がった服なんです!」
「あたし達の努力と涙が詰まった力作っしゅ!」
「その洗練された気……、菖さんや月音さん、萌香さんも何か武術を体得しているんですか?」
「俺は剣道と“泉地流”って名前の武術をね」
「僕と萌香さんも格闘術をね」
「フフ、足技にはかなり自信があるぞ」
まぁ賑わうつっても菖達がファッション部に来ただけなんだけどな。
実は今日の昼休みに瑠璃と萌香がファッション部に行ってみたいって言ってきたのが事の始まりだ。
まぁ特に断る理由もなかったんで、月音と嫌な予感を感じて放課後直後に逃げようとしていた菖を巻き込んでファッション部へ連れてきたって訳だ。
菖達とつぼみ達は互いに会うのは今回がお初だったんだが、さらっと、そりゃもうさらっと打ち解けちまったぜ。
「やっぱり似た者同士、何か通じるものがあるのね」
「かもな」
「ねぇ明君、次はどうすれば良いの?」
「ん、次はだな……」
因みに、あまりにも各々が盛り上がってるもんだから流れ的に残った俺達(俺、ゆり、ももか)はチクチクと針仕事に精を出していた。
「ほれ、後は自分でやれよ?」
「はーい!」
「…それにしても何が悲しくて私達はこんな事をしてるのかしら」
とか言いつつもゆりは手を休めず俺と同様、五個目を作っている。
まったく、相変わらず素直じゃない奴でいらっしゃる。
あれか、俗に言う“ツンデレ”って
「………」 (ゴゴゴゴ……
…なわけないか。
てか、俺の幼馴染みがいつの間に超能力者になっちまいやがったぜ……
「フフフ……」
「はぁー……」
「およ?ゆりも明君もどうしたの?」
「フフフ、内緒よ♪」
「右に同じ」
「え〜!私にも教えてよ〜!」
「そのうちね?」
「うぅ〜……」
あ、この流れだとももかの必殺技が出るか?
「気にしないでくれたらこの後明がはらやで奢ってくれるわよ?」
「はーい!私は何も気にしてませーん!」
「ふふふ、ももかは良い子ね♪」
ゆりの奴、文字通りの甘い誘惑で話を逸らしやがったぜ。
「てか、なんで俺が奢んなきゃいけねぇんだよ」
「ついでに私の分もお願いね?」
「…聞く耳持たずかよ……」
「ちょーっと待ったぁ!ゆりさんともも姉ばっかりズルい!」
「そうだそうだ!私にも奢れー!」
「なんてこった……」
泣きっ面に蜂とはまさに今の俺の事を言うんだろうな。
てか、えりかも瑠璃も食い物の事になった途端に地獄耳になんなっつーの。
「「「明君(さん)!明君(さん)!」」」
しかも変なコールをし始めやがった……
「「「明君(さん)!明君(さん)!」」」
…はぁー、やれやれだぜ。
「わぁーったわぁーった。ここにいる全員、一人千円までだったら奢ってやるよ」
「「「やったぁー!」」」
はぁー、こりゃ久し振りにデカイ出費だぜ。
「…あのう、明さん、」
「…ボク達の分はいいんで……」
「バーロ、後輩は黙って先輩に奢られとけ」
「「明さん……」」
「フフ、相変わらず見事な漢っぷりだな。危うく明に惚れてしまうところだったぞ?」
「だってさ月音」
「それないよ。だって萌香さんは身も心も僕に惚れているんだからさ」
『キャー♪♪♪』
「…明君、これはもしかして、」
「…あぁ、アレが始まるぞ」
「ほう、月音も言う様になったな。そんなに私を喜ばせてどうするつもりだ?」
「勿論、今夜も萌香さんと愛を育むつもりだよ」
「フフフ、今日の月音はやけに積極的だな」
「積極的な僕は嫌い?」
「大好きだ。無論、いつもの月音もな?」
「僕も萌香さんの事が大好きだよ」
「月音……」
「萌香さん……」
「月音……」
「萌香さん……」
「月音……」
「萌香さん……」
「まったく、この二人は……」
「はらやに行く前に腹いっぱいになっちまったぜ……」
【終わり】
オマケ
〜ところで……〜
つぼみ:「三人は何を作っていたのですか?」
明:「ニードルフェルトでお前ら全員をな?」
えりか:「…相変わらず器用っしゅ」
明:「ケッケッケ、針仕事は紳士の嗜みだからな」
いつき:「あははは……」