明:「ケッケッケ、いつぞやの王女さんをダークみてぇに転生でもさせっか?」
ぼんやりしながらぶらぶらしてると何やら見慣れねぇ露店が視界の端に。
気になったんで覗いてみるとどーやらアクセサリーやらリングやらペンダントやらのそーゆー露店だった。
「小さい頃に祭りで見たことあったがまだあるもんなんだな」
どこからか“お前何歳だっつーの”ってツッコミが聞こえてきそうだがでもそんなの関係ねぇ。
昔の祭りん時の思い出に振り返りつつ品々を見てると貝殻で作られたモンを発見した。
「へぇ、大小様々な貝殻使ってんのか。しかもこいつは中々に食いごたえがあった感じがするホタテの貝殻だ……な?」
探偵だったら他者の何気ない呟きからピンとくるが、俺はまさかの自分の発言でピンときた。
てか、現在進行形で腹減ってんの忘れてたし思い出したら思い出したで腹減り度数が一気に高まっちまったぜ。
まぁ、折角覗いたついでに2〜3個買いもんはするがな。
「お兄サンカッコいいから半額でいいよ〜。それじゃアデュん〜!」
そうして俺は早速駅へと歩き続け、その後駅に着き電車に乗りガタンゴトンと揺られて数十分後、目的地であるにあおぞら市に着いた。
「さてっと、んじゃま行くとしますな 」
目指すは………
目指すは……
目指すは…
なんてこった、そーいやアレは購買で買ってるって言ってたな。
まぁでも学校に卸すってことはどっか近くに店があるってことだから……
「ケセラケラ、それもまた一興ってことにしとくか」
………
……
…
あ、グミもあるって言ってたな。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
あおぞら市へ来たのはまだ片手で数えられるぐらいだが、それでも意外と飲食店関係の場所を覚えてたもんで自分でも驚き桃の木山椒の木。
気持ち多めに散財した後は折角だからと海を見に海岸へ。
一面に広がる澄み切った青い世界と海鳥ののどかに囀りを聴くのも中々気持ち良いもんだぜ。
「…………」
んで深呼吸すれば潮風と磯のいい香り。
この後の予定を変えて釣具屋で一式レンタルしてそのままのんびり釣りするのもアリか。
先人曰く
“男たる者、己の中に太公望を見出せ”って言うしな。
まぁ、大前提として腹を満たさなきゃどーにも始まらねぇけどよ。
「ベンチは……無し、敷物は当然ながら無し、となると……あそこだな」
降りてきた階段に座るもいいが、右を見れば以前話に聞いた入江があるじゃねぇか。
「そうとなりゃ早速」
完全に自滅だが実を言うとさっきの磯の香りで腹がな?
海だけにしょっぱい回しする暇あったらメロンパン食えって催促してんだわ。
「入江の中でカップルがイチャイチャしてたら気まずさMAXだなこりゃ」
場所が場所なだけに可能性が無ぇことも無ぇのが泣けるぜ。
あ、因みに言っとくと俺は野外プレイは好きじゃねぇ。
外だと雑音入っちまうし金田一じゃなくて万が一、撮られたりしたらそん時はOHANASHI案件だからな。
HAHAHAのHAだZE!
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
結論から言うと入江の中には先客がいた。
てか、寝てた。
「くるるん!くるるん、くる!くるるん!」
「なーるほど。確かにそりゃ寝ちまいたくもなるわな」
今のやりとりでご察しの通り先客はくるるんだった。
みっけた時はまだすやすやと寝てたが俺の気配に気づいて起きたらドーモ、コンニチハ。
寝起きもなんのそののテンションで飛び跳ねてきたのをキャッチして今に至るってわけだ。
さて、なんで俺がくるるんの言葉が分かるかって思ったろ?
首にかけてるアクセサリー状態のハートフルブレイドのお陰だな。
前にもどこかで触れたと思うが、コイツは某青狸の某こんにゃく程じゃねぇにしろくるるんみてぇな相手でもある程度はわかる様に不思議な加護を出してくれてんだ。
だから今くるるんが言ったこともわかったって寸法よ。
因みに、今のを簡単に翻訳すると
“今日は天気がいいから入江へお昼寝しに来ました”だ。
ケッケッケ、テスト出でっから覚えとけってな。
「くるるん!」
「ん?どーした」
「くるるん!くる?くるるん!くるるん!」
「ここへ来る前に何個か買った。そも、今日来たのはコレが目的だったからな」
「くるるん?くるるん!くるるん!」
「おぅ、今回は俺お一人だ。次はゆり達も連れてくるぜ」 (なでなで
「くるるん♪」
おーおー、相変わらず独特な触り心地。
こりゃ妖精ん時のダークが対抗心燃やすのもわからなくはねぇな。
「そーいや、くるるん」
「くるるん?」
「この後はどーすんだ?予定無ぇなら送ってってやんぞ?」
それにここで釣りするよりもくるるんに着いてった方が何やら面白そうな予感がするからな。
「くるるん?くるるん!」
「オーケーオーケー、例の水族館な」
建物にもよるが今は使われなくなったとこってのは秘密基地感があって中々に心が躍るぜ。
「んじゃま、俺が食い終わり次第早速行くわけだが最後に一ついいか」
「くるるん?」
「その巻きつかせてる昆布は布団代わりか?」
くるるんみっけた時から気にはなってたんだよな。
口には出さなかったものの、内心で“脱皮してんのか?”ってボケるぐらいは。
「くるるん!くるるん!」
「なーるほど。干してたのか」
確かにいい風味の出汁が出そうな昆布でいらっしゃる。
これは俺も堪能してぇもんだぜ。
【終わり】
オマケ1
〜その後〜
明:「どーでい、俺が作ったの味噌汁のお味は」
まなつ:「お〜いし〜!」
さんご:「お豆腐とワカメが更にいい味を出してます〜……」
みのり:「……ご飯が欲しくなる」
あすか:「言うな…私も思ったけど我慢したんだから……!」
ローラ:「あー、なんだかお腹空いてきたわ……」
オマケ2
〜次の日の放課後〜
明:「ほれ、土産のトロピカルメロンパンとグミだ」
つぼみ:「こんなにたくさん!ありがとうございます!」
えりか:「も〜!さんごん家に行くならあたしも行きたかった!」
いつき:「あははは。そういえば前にお店同士でコラボしよって話てたもんね」
ゆり:「ふふふ、それじゃあ今度はみんなで行きましょう」