花を護る騎士 ブレイドナイト   作:葵祈つばめ

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〜看病〜の時に言い忘れてましたが、月影家はマンション住まいではなく普通の一軒家住まいと設定が変わっています。

更に修練の場の設定も“変身不可、ダメージ無効”から“変身可、ダメージ有効”へ変えました。


読者の皆様に報告が遅れてしまい誠に申し訳ありませんでした(;>_<;)


〜修練〜

とある日の休日、暇だったんで俺は修練の場でムーンライトミラージュと仲良くドンパチをしていた。

 

「ハアァァァァァ!!」

 

「オオォォォォォ!!」

 

俺とムーンライトミラージュの力はほぼ互角だからか始めてから数時間は経つがいまだに決着が着いてねぇ。

 

いい加減にやられろっつーの。

 

「フフ!やっぱり貴方と戦うのは楽しいわ!」

 

「そりゃどーも!」

 

俺が言うのもあれだが、笑いながら容赦なく攻撃を仕掛けてくるってのは中々骨だぜ。

 

「ほら早く反撃しないとまた私に負けるわよ!」

 

「うっせ!今から反撃しようとしてたとこだ!」

 

「なら早くするのね!」

 

ムーンライトミラージュが厄介なのは何も攻撃だけじゃねぇ。

 

さっきからマシンガンの如く出てくる挑発も中々のものだ。

 

なんでもムーンライトミラージュ曰く、“俺とドンパチするのが楽し過ぎてついテンションが上がって言ってしまう”との事らしい。

 

本人は“私の悪い癖だわ”と言っているが、顔を見る限り反省の色は皆無だ。

 

まぁ、その挑発のお蔭で俺もやる気がフルスロットルして技が冴えるからありがてぇ話なんだけど。

 

「いくぜ!」

 

今回は大出血サービスだ!

 

「オラァ!!」

 

「ぐっ!?」

 

ど根性でムーンライトミラージュの貫手を上段から叩きつけたハートフルブレイドで不発にさせ、

 

「円閃牙!」

 

バウンドして戻ってきたハートフルブレイドを高速に逆回転させてムーンライトミラージュを攻撃!

 

「ぐっ!……フフフ、相変わらず曲芸染みてるわね!」

 

ダメージを負ったムーンライトミラージュは強がりつつも後方へ逃げて体勢を整えようとするが、

 

「逃がすかよ!爪竜連牙斬!」

 

間髪入れずに斬撃と回し蹴りの連撃をお見舞い!

 

「ぐっ!」

 

その独特な動きに惑わされたムーンライトミラージュは回避はおろか、防御すら間に合わずに更にダメージを負い、それをチャンスと感じた俺は、

 

「まだだ!天狼滅牙!」

 

ハートフルブレイドが放つ怒濤の連撃をムーンライトミラージュに叩き込んだ。

 

「っ!?」

 

天狼滅牙の連撃は容赦なくムーンライトミラージュに襲いかかり、そして遂に……

 

「オオォォォッ!!」

 

「ぐっ…、あぁ!?」

 

最後の一振りを浴びたムーンライトミラージュは

大きく後方へ吹き飛んだ。

 

「…はぁ…はぁ……」

 

わかってはいたが、やっぱキツいぜ……

 

「…フフフ、本当に貴方と戦うのは楽しいわ……」

 

「…そりゃどーも」

 

「…さぁ、まだまだ楽しみましょ?」

 

そう言いながら立ち上がるムーンライトミラージュだが、その顔には疲労の色が目に見えていた。

 

「…おいおい、無茶はいかんぜ?ムーンライトミラージュさんよ?」

 

「…フフフ、それは貴方だって同じでしょ?」

 

「…まぁな」

 

確かに身体は既にボロボロ、体力も殆んど残ってねぇがそんなの関係ねぇ。

 

ただ“やる気”さえあれば後はどうにだってなる

 

「………」

 

もう、相棒(ハートフルブレイド)は必要ねぇな……

 

「…あら、得物はもう使わないのかしら?」

 

「…あぁ、最後ぐらいは拳で決めてやるぜ」

 

「…フフフ、漢ね」

 

「…そりゃどーも」

 

軽口を叩きながら歩みを進める俺達。

 

「………」

 

「………」

 

そして遂に俺達の距離はゼロ(有効範囲)になった。

 

「………」

 

「………」

 

「…フフフ……」

 

「…ハハハ……」

 

どちらともなく笑い合う俺とムーンライトミラージュ。

 

そして……

 

「フッ!!」

 

「ラァ!!」

 

気合いを込めて互いに拳を突き出した。

 

「うぐっ!」

 

「ちぃっ!」

 

結果は相打ちだが、まだ終わりじゃねぇ!

 

「ハアァァァァァ!!」

 

「オオォォォォォ!!」

 

雄叫びを上げながらそのまま激しい拳の打ち合いとなった。

 

 

―なんて荒々しい攻撃……―

 

―ほんと、毎度毎度よくやるわ―

 

―フフ、今度は私が彼と手合わせしたいわ―

 

 

「ハアァァァァァ!!」

 

「オオォォォォォ!!」

 

『アアァァァァァ!!』

 

 

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 

 

「成程ね。だからそんなにぐったりしてるのね」

 

「あぁ」

 

「まったくこのバカは……」

 

普段だったら今のゆりの発言に一言、二言抗議する所だが、残念な事にそれをする気力が俺にはもう無い。

 

結局あの後、ムーンライトミラージュとのドンパチは引き分けになってお互い精魂尽き果てた状態で解散する事になった。

 

その帰り際、いつの間にか俺達のドンパチを見ていたサンシャインミラージュとドンパチをする約束をして俺は植物園に帰ってきた。

 

すると丁度植物園に来ていたゆりと鉢合わせしたから事情を説明して今に至るってわけだ。

 

「ところでゆりは何で植物園に?」

 

「明を呼びに来たのよ」

 

「俺を呼びに?」

 

「えぇ。お父さんとお母さんが久し振りに明と夕飯を食べたいって言ってるのよ」

 

「あらま」

 

「だから呼びに来たのよ」

 

「成程」

 

「それで、明はどうかしら?」

 

「ん?まぁ特に断る理由もねぇからな、喜んでごちそうになるぜ」

 

「ふふふ、それじゃあ行きましょ?」

 

「あぁ」

 

 

………

……

 

 

「因みに聞くけど、私のミラージュと勝負するのは今回で何戦目なの?」

 

「さぁ?50を越えてからは数えるのが面倒になったからもうわかんねぇな」

 

「…やり過ぎよ」

 

「バーロ、ムーンライトミラージュが好戦的過ぎなのが悪いんだよ」

 

「…きっと今頃私のミラージュが言ってるわ。“貴方にだけは言われたくないわ”って」

 

 

………

……

 

 

「えぇ、まったくもってその通り。明にだけは言われたくないわ」

 

 

【終わり】




オマケ

〜その後〜

明:「そう言えばムーンライトミラージュとドンパチしてる時に“表の私が密かに考えた技を見せあげるわ!”って言いながらリアル空中コンボを食らったんだが、いつの間にそんな技を考えてたんだ?」

ゆり:「忘れなさい!今!すぐに!!」

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