ストックないのでまだまだ不定期ですが。
それではどうぞ。
闘技場で2人の破面が向かい合っている。
1人は第8十刃のノイトラ・ジルガ。
それを迎え撃つ第5十刃チルッチ・サンダーウィッチ。
「アンタ、第8刃なんだってね。三つ上の私に良く挑んできたね。第6刃にしておけば良かったんじゃないの?」
「女が男の上に立つのが気にくわねえだけだ」
二人が挑発し合う。
「では、第5刃チルッチ・サンダーウィッチ対第8刃ノイトラ・ジルガ。戦闘開始!」
東仙が声を張り上げた。
その瞬間にチルッチは地に倒れ伏す。
左腕と左足が切り飛ばされたのだ。
自分の体を支えきれずチルッチは重力に従って地に落ちたのだ。
切り飛ばされた手足は残っているため繋げれば生きることも戦うこともできるが、今意味は無いだろう。
「弱ええ」
ノイトラは斬魄刀を背負い、帰ろうとする。
「待ちなさいよ…」
弱々しい声が地面から聞こえる。
「何で…止めささないのよ…」
「狂人にくれてやるのが癪なだけだ」
ここで狂人とはザエルアポロの事だ。
元の仲間だろうが勇敢に戦った戦士だろうが死体をバラし研究する。
決闘で負けたものは勝者の意見を聞くのがルールだが虚夜宮で死んだ破面の死体の権利はザエルアポロにある。
「お前は惨めに生きて俺らの駒でいるのがお似合いなんだよ。お前ら女は俺らに使われていればいい」
「では新しい第5刃はノイトラ・ジルガ。司る死は【絶望】。そして空いた第8刃にはザエルアポロ・グランツ。司る死は【狂気】」
愛染が司る死を言って締めた。
ノイトラは第5宮に帰っていた。
そこでは雑用破面が引越しをしていた。
次々と荷物が運び出される。
ノイトラの荷物は殆ど無い。
替えの服や食料程度。
それなのに雑用破面がもたついているのにはチルッチの荷物だ。
チルッチもノイトラがムカついた様に女性だ。
女性の荷物は多くなる。
どの世界でも大体それは同じことだ。
男がそれを理解出来ないのも。
「何チンタラしてやがんだ」
ノイトラが声を張り上げる。
「しかしノイトラ様こうも荷物が多いと」
雑用破面がノイトラに意見するがノイトラの奇妙な形状の斬魄刀の刃を首元に一瞬で添えられる。
「雑用如きが十刃に意見するなんてどういう了見だ?」
「もっ、申し訳ございません!」
答えを聞くと斬魄刀を背に背負い込む。
「大体アイツは刃落ちだ。それをこんな待遇は良過ぎるんじゃねえのか?」
ノイトラはチルッチの荷物を引きずり窓に近づく。
雑用破面が訳もわからずノイトラの行動を見ている。
ノイトラは窓を開けると窓から荷物を放り投げた。
荷物は当然重力に従い落下する。
荷物の重さもあり少し地面に沈んでいる。
「こうすりゃ早いだろ」
ノイトラは雑用破面を見ながらニヤリと不気味に笑った。
「さっさとお前らもやれよ」
その言葉で雑用破面達も行動を始める。
荷物が窓から次々と放り出される。
それから数十分で作業が終わる。
「あの女は命があるだけいいほうだ。負けたら命も無い可能性もある。そうだろ、アーロニーロ」
「そうだな」
量産破面が引越しが完了したというのの報告に来たので一応見に来た。
「これでこの宮はノイのものだね」
「女の匂いと前の宮をイカレた研究者に明け渡すこと以外はな」
機嫌わるそうにチルッチとエルに毒を吐く。
「もしかして俺のお願いに怒ってる?」
「一応了承したからな。そこは気にしてねえよ。意外と手加減というのも難しいって事も分かれたからな」
試合前日に俺はノイにお願いしていた。
トラにはチルッチに手加減して戦い、生き残らせて欲しいと。
手加減をしてほしいのは今のノイでは手加減すると意識しないと殺してしまう恐れがあるからだ。
実際一撃で戦闘不能にしてあと少し深かったら死んでいたところだ。
チルッチを生き残らせるのは原作の為だ。
原作のためというか原作で戦う石田雨竜の霊圧解析のためだ。
こっちも死にたくは無いがあのツッコミキャラを殺したくないからな。
チルッチの死体の霊圧の残滓で解析できれば俺が食う理由もない。
「あと、ガンテンバインとドルドーニが十刃落ちしそうだな」
「ようやくお前も成り上がるのか」
「いや、俺は第9刃のままだよ」
「はあ!?」
俺は当たり前の様にいったがノイは納得いっていないようだ。
「なんでお前ほどの実力で下から2番目の9なんだよ!お前なら1でも問題ないだろ!!!
弱ええやつがそこにいるのなら問題ない。けどそこにお前がいるのがおかしい。認めたくねえが、戦闘力はお前が一番だろう。鋼皮の硬さなら俺が一番だが」
実は10は0だから一番下だけどそれは言わなくていいこと。
確かに全力で戦えばそうだろう。
俺が全部開放すればそうなるのは当然だが俺にはこれ以上数字が上がらない明確な理由がある。
「俺は弱いんだよ。ある一つの弱点があるせいで。それを愛染様は分かっている。だから俺は数字が上がることが出来ない。負ける事は無いだろうがその弱点を責められたら俺は勝負にもならなくなってしまう」
俺は顔を俯きながら話す。
「その、弱点ってなんだよ…」
「それは話せないよ。他のみんなにも話していない、話せないことだ」
「悪いアーロニーロ。弱点を聞き出そうとするなんて俺らしくねえ。忘れてくれ」
「…ノイ…ありがとう」
俺はこの後少し雑談をしたら自分の宮に戻った。
あと、少しだ。
愛染もあと少しだと言っていた。
グランドフィッシャーが油断したと言いながら帰ってきた。
なんでもオレンジの髪の子どもを食えなかったと言っていた。
原作開始まであと、少しだ。
この時をどれだけ待ち望んだ事か。
簡単に死ぬ気もないし、何もしない気もない。
存分に楽しんでやる。