「それはお前にギリアン時代が無いんじゃないかって噂だよ」
は?
「それは有り得ない。どんな異質な存在もギリアン時代がありアジューカスになりヴァストローデになる。ギリアン時代が無いなんて可能性は一つもない」
「こんなやつと同意見なのは癪だがそのとおりだ。唯の噂だろう」
エルとルドが話に入ってくる。
「流石に有り得ねえが噂の元が愛染様らしいからな。で、実際どうなんだ?」
「そういえば無かったな…」
よくよく考えてみれば俺にギリアン時代が無かったな。
理由は分からないが普通はギリアンの時にも精神を保った状態での共食いでアジューカスになれるというのに。
というかなぜ愛染はそれをしっているんだ?
俺の内側でも見たのか。
それだったら納得するが。
ヴァストローデは人間の姿に近くなるというのに外側はともかく内側が人間には有り得ない形だからな。
精神がいろいろな魂と混じったり前世の記憶が混ざったりしているせいなのか。
脱線したが何故ギリアン時代が無いのかだ。
思い当たるのはあれしか無いがそれ以外は分からない。
俺は何度か空腹になると記憶が飛び、満腹になると記憶が戻るというのを何回も繰り返していた。
俺はそれで気づいたらアジューカスになり、虚圏にいたのだ。
ちらほら覚えているが完全には思い出せない。
あの時は完全記憶が無いし普通に覚えてない。
もしかしたら俺は記憶が無いうちにギリアンになり、満腹感がまた無くなってしまったのでは無いだろうか。
そして空腹のままにまた勝手に動き回りギリアンを食い自分の知らない間にアジューカスになってしまったのでは………有り得ないか。
それをみんなに話してもルドは尊敬の眼差しを向けていたがトラとエルは呆れていた。
「お食事…出来上がりました」
部屋にロカと量産破面(家事)が入ってきた。
「そんな時間か…ありがとうロカ。じゃあ食事にしようか」
味や食感を何とか再現した素材虚の料理が並べられる。
トラは手づかみで料理を食らい、エルはゆっくりと食器を使い美しく食べている。
「アーロニーロ様、どうぞ」
ルドは俺に食べさせようと隣に座る。
そういえば完全記憶で思い出したが日番谷冬獅郎の身長は140位だった。
そこまで小さかったのか…日番谷。
そして俺の身長を測ったら縮んでいた。
エネルギーを圧縮したり、溜め込んだりしていたら体自身もそんな俺の考えに気を利かしたのか何時も使うエネルギー分の体になっていった。
今の俺の身長は約130。
だいぶちっさい。
ゆっくりと変化していったから全く気づかなかった。
この身長じゃ箱庭の学校の風紀を守るところの愛でる会みたいじゃないか。
あれ?凄いしっくりくる。
食事が終わると量産破面(家事)がロカに伝え、ロカが話し出す。
「ノイトラ様に愛染様から連絡がありました。明日チルッチ様と戦えるそうです」
ノイを見ると笑っていた。
「ようやく本体で力を試せるのか…」
邪悪な笑みを浮かべているが本人はただ明日が楽しみなだけだ。
「俺も一応見に行くから、あと出来ればでいいんだけど一ついいかな?」
そして俺はノイに願いをいう。
「いいぜ。出来たらな」
「まあ、頑張れ。ノイの腕に期待しとくよ」