言い訳は特にしませんので2日ぶりのBLEACHをどうぞ。
「それがオメェの帰刃かよ。アーロニーロ」
アーロニーロの帰刃は異質だった。
見た目が大きく変わっているが、特に変わった様子が無い。
まず、服が変っている。
しかし、服のデザインが全体的にヒラヒラしていたのがまるで軍服の様なデザインだ。
更に帰刃する前に変化していた斬魄刀(捩花)が三叉の槍から三叉の十手の様な形状をしている。
2つになり両手に1本ずつ持っており、攻撃速度が上がるだろう。
しかし刃がかなり短いためリーチが無い。
つまり、角が生えただとか虚の名残である仮面が変化したという殆どに共通する変化は無かった。
第9十刃での強さといい、他の破面で噂になっていたあの事といい、アーロニーロは異質だ。
ああ、あと1つ変化があった。
それは…
「なんでっ!?成長してんだ!!!」
「ん?」
ノイトラは帰刃による霊圧の変化など気にせず、そこに驚いた。
当の本人は何でもないような顔をしているが。
アーロニーロがデカくなっていた。
物理的に。
あの子どもの姿がそのまま大きくなっても気持ち悪いが、今のアーロニーロは歳をとっている。
あの子どもの姿が正に成長した姿だ。
足も髪も伸び、顔立ちも幼い顔から整った顔に。
「それがお前の本当の姿かよ」
「違うけど」
「はあ?今お前帰刃したじゃねえか」
「いや、俺の本当の帰刃は「食い尽くせ、喰虚」なんだよ。これは「食い殺せ、喰虚」だ」
尽くすか殺すかの違いだが、それだけでアーロニーロの姿は違っている。
そもそも間違っている解号をいえば発動しないか、中途半端に発動するかのどちらかだ。
しかし、この姿は変化は少ない(通常の破面に比べ)が完成している。
霊圧の上昇やより戦闘に特化した姿と言える。
その筈なのにアーロニーロは違うと答えた。
「これは俺の本当の帰刃ではないが俺の帰刃ではあるんだよ」
アーロニーロは手を胸に置き説明をする。
「俺の本当の帰刃は相手を喰らい相手の全てを喰らう能力だ。しかしこの帰刃は違う。より戦闘に特化し、相手を殺す事に重きを置いている。つまり…」
「俺はお前と剣をぶつけ合い本気の近接戦闘がしたくなったんだよ。お前も帰刃した時点でそう思ったんだろ」
ノイトラがニヤリと笑う。
「ああ、そうだ。お前と殺し合う命のやり取りがしてぇ。俺の目的の様な死を感じる戦いをな」
アーロニーロも笑う。
もう、言葉はいらなかった。
両者が激突する。
ノイトラの6本の腕に握られた6本の武器でアーロニーロを攻撃する。
一方アーロニーロの武器は短くなり2つになった捩花だ。
アーロニーロはその2つの捩花を駆使してノイトラの攻撃を捌き続ける。
捩花としての能力は残っている様で捩花を振るうと激流が発生してノイトラの武器を押し戻す。
ノイトラには自身で分かっていたように経験が足りない。
折角リーチが長い武器や腕が6本もあるのに、それを活かす戦い方を知らない。
腕が6本もあるのだからそれによる連続攻撃や攻撃のタイミングをずらしての攻撃がある。
しかし、それをやるには頭を使う必要がある。
腕は6本あるが頭は一つしかない。
そのためノイトラの攻撃は単調だった。
リーチが短い捩花だったが捩花の能力でもある水の奔流がノイトラに傷を付けていく。
このままいけばアーロニーロの勝利だ。
ノイトラもそれが分かり、顔に焦りがでる。
アーロニーロは近接戦闘に高揚して笑いながらノイトラを切りつけている。
このままじゃ…負ける…
負ける?俺が?
有り得ねえ…俺が負けるなんて…
有り得ねえ!!!
ザシュッ!
アーロニーロは一瞬思考が静止し、すぐさま体を動かして、ノイトラから離れる。
「おい……腕…切ったぞ」
ノイトラが肩で息をしながら俺の腕を見せてくる。
アーロニーロは自身の肩を見る。
右には擦り傷がある腕があった。
しかし、左には何もついていなかった。
ノイトラには経験が足りなかったが類まれなる戦闘センスがあった。
ノイトラは自身の負けを悟り負けないための行動を開始した。
単調だった腕の動きが変わり、相手を仕留めるのに最適な動きをした。
その結果ノイトラの攻撃がアーロニーロの左腕を斬り飛ばしたのだ。
ノイトラの持つアーロニーロの左腕には捩花を持っていない。
アーロニーロはノイトラが腕を斬り飛ばしたのを確認するとすぐさま左腕が持っていた捩花を回収したのだ。
アーロニーロも流石に腕を斬り飛ばされ苦悶の表情を浮かべる。
「腕…返してやろうか。今付ければくっつくんじゃねーか?」
ノイトラはアーロニーロを軽口をいうが顔を見ると明らかに疲れている。
ノイトラは限界に近いようだ。
「心配ご無用。それよりそろそろ帰ろうか」
アーロニーロはグチョグチョと気持ち悪い音を出しながら腕を再生させる。
ここが虚夜宮内なら再生出来なかったとこだ。
「帰るだと…まだ勝敗がついてねえ。引き分けにするつもりかっ!」
ノイトラが怒った顔を出す。
「勝敗はキチンとつけるよ。俺も引き分けなんて嫌だからな。ちゃんと殺してやる」
そういってアーロニーロは捩花を自身の胸に突き刺した。
「なっ!?」
ノイトラは驚いた。
今まさに決着をつけると言ったのにアーロニーロは自身の武器を使い自身を傷つけたのだ。
そんな自傷行為に驚愕していると体に違和感を感じる。
なにか自分の体の中で蠢いたような感覚を。
アーロニーロはそんなノイトラを気にせず淡々と言葉を発する。
「食い殺せ、『
咬み殺せ、『
アーロニーロが言葉を発した瞬間ノイトラは口から血を吐いた。
口からだけではない。
鼻、目、耳、肌からも血が垂れている。
ノイトラが痛みを堪え、アーロニーロに向かおうとするが、もう遅い。
パンッ!
破裂音がしてノイトラの体から血が吹き出し、ノイトラが地に倒れた。
息をしているか、生きてはいるか。
そんな確認は必要ない。
ノイトラは確実に死んでいる。
本人はどうしてこうなったかも分からずに死んでしまった。
今のノイトラにはそれを確認する事など出来るはずが無い。
アーロニーロとノイトラの模擬戦は簡単に幕を閉じたのだった。