「ごめん、やり過ぎた」
「全くだ。あの絶対防御には驚いたがそれでも楽に勝てただろうが」
「めんぼくない」
「ザエルアポロ!アーロニーロ様が反省してるのだ。もういいだろう。お前もルペルぺが消える瞬間、うっとりしていただろう」
「研究材料はアーロニーロから取れたから僕は別にいいと思っているさ。だけどね、能力を他の破面に見せすぎだと僕は言っているのさ。あれで他の破面が能力を出し渋る可能性が大いに増えたからね」
最初は俺が謝っていたはずなのにいつの間にかルドとエル、2人の友人の言い争いになっている。
あの後俺はルペルぺを食い終わったあと周りを見渡すとドン引きしている破面達がいた。
まあ、そうだろう。
破面になり一応人間の感性が戻っている。
虚の時は共食いをしてきたが破面となり、食う必要も無くなった。
そんな状態で共食いを見せられ次は自分たちかもとか思ってしまうだろう。
しかも第9刃が元とはいえ第5刃に勝ったのだ。
それも圧勝という形で。
数字はあくまでも藍染が決めた数字だ。
大体の破面は強い順にでも考えている。
だが、能力の優位性つまり実験体が入る可能性もあるのだ。
因みに、第3から第5はそういう理由から入っていたみたいだった。
2人の言い争いが激化した。
だが今止めに入ると黙っているようにいわれるか、矛先がこちらに向くだけだ。
今は眺めていよう。
「アーロニーロ様、緑茶と茶菓子です」
「ご苦労さま」
緑茶を啜り、茶菓子の羊羹を1口食べる。
この2つは俺のコピー品ではなく、愛染に貰ってとっておいたとっておきだ。
コピー品は他の破面には大好評だが俺には不服だ。
本物でないと何故か旨みを感じない。
これは今の俺にも分からない謎の一つだ。
「そういえば、感情が発達したな。ロカ」
「はい、これも全てアーロニーロ様のお陰です」
緑茶と茶菓子を持ってきたのはロカだった。
彼女は最初は感情が乏しく、正しく道具だった。
俺も最初は実験に利用した。
が、喰虚で解析した時に感情が灯った場合の戦闘力の可能性を発見した。
戦力になればいいと従属官にして何故か俺が藍染に命令されているピカロの世話をやらしている。
ピカロの世話以外にも雑用はやらせているがエルのところで研究材料を扱っていたのもあってか物を扱うのが丁寧だ。
この頃はロカも笑う事が多くなってきた。
未だにエルには怯えているが俺には怯えなくなった。
原作とはしゃべり方や性格も改変してしまったがしょうがない事だろう。
原作の観音寺の役目もとってしまった事になるが俺のためだ。
犠牲になってもらおう。
そろそろ次の実験に進んでもいいだろう。
そのためにまず、
「二人ともそろそろいいか?」
「黙ってろ」
「黙っててください」
「…」
まだ、ダメだったらしい。