目が腐ったボーダー隊員 ー改稿版ー   作:職業病

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15話 一人でやろうとしたことは、大抵失敗する。

「なんだったの?」

 

まぁ川崎の言い分は尤もだ。三人で説得だかなんだかに来たと思ったらいきなり喧嘩しだして二人が叩き出されたんだからな。

 

「あいつらいたら、まともに話になりそうになかったんでな」

「あんただけなら話すとでも思ってるの?」

「んなわけねーだろ」

 

そんな甘い奴ではないだろうに。もしその程度の奴ならさっきの雪ノ下との小競り合いと由比ヶ浜の言葉でとっくに落ちてるだろうし。

 

「川崎、お前が働いてる理由を当ててやろう」

「ハッ、あんたがわかるわけないで…」

「学費、だろ?」

「ッ!何を根拠に……」

 

ビンゴか。

 

「まぁ幾つか根拠はある。まず一つ目、大志から聞いたお前の家の経済状況。二つ目、今年になってから川崎家において変わったこと。これは、大志が塾に行き始めたことだ。三つ目、総武高校の進学率の高さ。うちは進学校だからな。早いやつなら二年の頃から進学を意識し始める。そして最後の根拠」

「……最後は?」

「勘だ」

「……ハァ⁈勘⁈何言ってんのあんた!」

「俺の勘はよく当たるんだ。恐ろしいほどな」

 

なにせサイドエフェクトなものでして。

 

「図星だろ?」

「そうだけど、わかったら何?どうせあんたにも何もできないんでしょ?ならほっといてよ。どこで何しようが私の勝手でしょ」

「そうだな、どこで何しようがお前の勝手だ」

 

言うと思ったよ。というかこいつもう開き直ってるな。すげーペラペラしゃべる。

 

「ま、このことは大志に伝えさせてもらう」

「な!ちょっと!大志は関係ないでしょ!余計なマネしないで!」

「おいおい関係ないは酷いだろ。家族なんだろ?それに、『俺がどこで何しようが俺の勝手』だろ?」

「……」

 

そ、そんなガチで睨まなくても。いくら二宮さんの眼力にあてられてボーダーを生きてきた俺でも睨まれ慣れてるってわけじゃないんだからさ……。

 

「お前、大志がどんだけ心配してるかわかってんの?」

「あんたには関係ないでしょ。というかあんただってどうせわかってないでしょ」

 

そりゃそうだ。そいつのことを本当に理解できるのはその本人だけなんだからな。

とりあえずこいつには現実をつきつけよう。それが一番手っ取り早い。救済措置はその後でいい。

 

「お前が体売って金稼いでるんじゃないかって思ってるんだよ」

「…………ハァ⁈あ、あんた!何言ってんの⁈」

 

……正直、ここまで狼狽えるとは思ってなかった。効果覿面すぎて逆に怖い。

 

「あ、あたしがそんなこと、す、するわけ…」

 

狼狽えすぎだろ。

 

「川崎、大志に聞いたが、確か妹もいるらしいな」

「…いるけど、それがなに」

「その妹がいくつかは知らんが、その妹が高校生だと仮定しよう。妹が最近ずっと朝帰り。しかもどこだかよくわからないちょっと大人な雰囲気のある名前の店から電話がくる。加えて話を聞こうにも「関係ないでしょ」だけで話にすらならない。そうなったら、お前は心配しないんだな?」

「そ、そんなわけないでしょ!心配するに決まってるじゃん!」

「お前がやってるのは『そういうこと』だ」

「……あ」

 

漸く気づいたか。少し考えりゃわかるだろうに。

 

「あ、あたし……」

「お前は家族を想ってやったことなんだろうが、その想われた家族の方のことも考えるべきだったな」

「……」

「ちょっと、いろいろとアレな話だからな。誰かに相談しようにも頼れる両親が頼れなかったらしい。そんで最終的に精神的に追い詰められた大志は、俺の妹に相談した。それが俺の耳に入ったってこと。つまりはそんだけ追い詰められたんだと思うぞ」

 

さっきとは打って変わって弱々しい態度になる。やはり大志の言った通り優しい姉なのだろう。

 

「んで、このことは家族にちゃんと話すべきだ」

「……それでも、お金は……」

「まだごねるのかよ。あのな、解決できないかもしれなくても、そういうことはちゃんと家族に話すべきだ」

 

家族というのは『頼られない』こと、そして『話してくれない』ことが何よりも辛いことなのだ。特に進路のこととなると間違いなくそうだ。

もし仮に川崎が一人で金を稼げたとしよう。家族はそれを喜ぶか?答えは否だ。「なぜ気付けなかった」と自分たちを責めるだろう。

家族は運命共同体に近しいものがある。家族の誰かの問題は家族全体の問題だ。もちろん個々人で解決するものもあるだろうが、みんなでやらねばならないことも多々ある。だからこそ、『一人』で解決しようとしたこいつの行動は、他の家族のメンツが自責の念にかられるには十分な行動なのだ。

 

まぁ、断罪はここまででいいだろう。これ以上いったら雪ノ下と同じになる。ここからは救済、というかまぁ選択肢を増やすことだ。

 

「そんでだな川崎。俺から一つ案を出そう」

「……案?」

「スカラシップって知ってるか?まぁ、ざっくり言えば成績優秀者の学費を免除するってやつだ」

「え、そんなのあるの?」

「まぁ詳しくは先生やら予備校の事務の人に聞け。お前が抱えてる問題が学費だけならこれで解決できるはずだ。確か最近は大学によっちゃこの制度が入ってるとこもあるみたいだぜ」

 

他に問題あったとしても俺には何もできないしする気もないがな。

 

「俺からの用はここまでだ。お前からはなんかあるか?」

「……一つ聞いていい?」

 

え、あるの?初対面だからないだろうって思ってたのに。というかそろそろ帰りたいしあんまり待たせると雪ノ下からの暴言が飛んでくる。あ、いつもか。

 

「なんで、あんたはそんな家族の事ではムキになるの?なんか、その、さっき雪ノ下にいろいろ言ってた時とかすごい怒ってるように感じたから、その……」

 

ああ、そのことか。まぁいろいろあるけど、できれば言いたくないな。

 

「あ、でも、無理にとかではないから…」

「いや、お前のとこのだけいろいろ調べておいてこっちが言わないのはフェアじゃない。ただ、ちょっと重い話になるぞ?」

「まぁ、話してくれんなら」

「そうか……。四年前の大規模侵攻、覚えてるか?」

「そりゃもちろん」

「俺はその時両親を亡くした」

「なっ!」

 

あの時のことは今でもはっきり思い出せる。

胸から血を流し、冷たくなり動かなくなった両親。

泣き叫ぶ小町。

降り注ぐ雨。

周囲にも似たような状況の地獄絵図が広がっていた。

多分、あの時どっかに三輪や迅さん、他にもたくさんの奴がいただろう。

 

そしてその大規模侵攻から少しして、ボーダーという組織が立ち上げられた。その時に同時に警戒区域設立のために俺と小町は現在のマンションへと移り住んだ。

移り住んですぐはバイトでもしようかと思ったが、その時なんとなくボーダーの広報みたいなものをみた。今思えばサイドエフェクトが反応したのだと思う。

そこに書いてあったのは、正隊員及びA級隊員の待遇だった。正隊員になると防衛任務とやらにでて、そこでネイバーを倒すと給料がもらえるとか、A級隊員なら固定給ももらえるとか。自分で言うのもなんだが、俺はあまりコミュニケーション能力は高くないというかむしろ低いまである。それなのにバイトとかぶっちゃけハードル高い。だからこっちの方が向いてると判断して速攻で入隊手続きをした。

ただし、小町には相談せずに。

その後、試験やらなんやらやった後に入隊が決まった。入隊後、少しでも早く防衛任務につけるように遅くまで訓練をしていた。

 

ここまではよかった。いや、もうこの時点で俺は間違えていたのだろう。

 

ある日、家に帰ると、小町がいなかった。

家のどこを探してもいない。ケータイにかけても着メロは家の中から聞こえてくる。

それがわかると俺はすでに家を飛び出していた。その時の小町は小学校の卒業を間近に控えていた。事実上まだ小学生だ。そう遠いところには行ってないはずだと思い、近隣をチャリに乗って捜しまくった。日本は比較的平和ではあるが、誘拐なんて話がないわけではない。場合によっては誘拐される可能性だってあるのだ。

結局いた場所は小さい頃、俺と小町と綾辻でよく遊んだ公園だった。小町はみつかると同時に大声で泣き出し、こう言った。

 

『お兄ちゃん、もう独りでなんとかしようとしないで……。小町、独りはやだよ……』

 

その瞬間、俺は死にたくなった。なぜ気づかなかった。もう小町には俺しかいないのだ。大丈夫だとでも思ったのか、と凄まじく後悔した。

俺たちはもう他に家族と呼べる人はいない。だから少しでも小町が楽になれるようにと思ってのこの行動は、この川崎同様結果的に小町に心配かけるだけのものだった。

俺は小町のことを考えてるフリして、結局自分のことしか考えてなかったのだ。

 

「まぁ、ざっくりとはこんな感じだ。俺もさ、自分で金稼いでる身だからお前の気持ちはよくわかったんだよ」

「……そ。嫌なこと思い出させて悪かったね……」

「いやいい。それと、さっき言ったことだが…」

「うん、帰ったら話すよ。ちょっと怖いけど」

「怒られる覚悟はしていけよ。じゃあな」

「うん、悪かったね」

 

俺はジンジャエール代を払って店を後にした。

 

 

さて、ぶっちゃけこっからが面倒だ。だって降りてきたら二人とも臨戦態勢に入るんだもん……。

 

「よお」

「終わったのかしら?」

「ああ」

「ヒッキーちゃんと説明してよね!」

「ああ、まず川崎が働いていた理由についてだが……

 

ーーー

 

ってことだ」

 

話してる間はどちらも静かだった。若干由比ヶ浜は敵意を向けてきたけど。

 

「じゃあ、川崎さんはもう大丈夫なのね?」

「ああ、多分な」

「そっか。よかった。……でもヒッキー、あの言い方はないと思う」

「…そうだな、悪いとは思ってる。でも反省はしない。必要ならまた叩き出すからな」

「ちょ、ヒッキー!」

「落ち着いて、由比ヶ浜さん。今回は私にも非があるわ」

「でも……」

「大丈夫よ。それに、場合によっては私がこの男を叩き出すこともしていい、ということよね?」

「ああそうだ。俺が見当違いのこと言ってたら叩き出していい」

 

そんなことそうそうないと思うけどな。でも絶対ではない。そういうこともあるかもしれないしな。

 

「ただ、その事について少し言わせてもらうぞ雪ノ下」

「何かしら」

「お前は正論が全て正しいとか思ってるみたいだが、それは違う」

「どういうこと?」

「人間には感情がある。そして人それぞれいろんな状況があるんだ。正しくないから、という理由だけでその事を全て否定することは間違っている」

「私はその間違いを正したいだけよ」

「お前の正しさというのはあくまで『お前基準』であるということを忘れるな。川崎みたいにお前の中の正しさが当てはまらないやつもいる。自分の中の正しさだけが全て正しいとか思ってるなら、そんな考えは捨てろ。それはただのエゴだ。お前がそんなので仮に世界を変えられたとしても、待ってるのは長く続かないただの独裁政治みたいなもんだ。それに、『こうでなければならない』というものは本来この世にない」

「それは詭弁よ。仮にそうだとしても、私は自分の信念を曲げる気はないわ」

 

ここまでくると重症だな。こんだけ言っても話聞かないのかよ。

 

「じゃあ最後に」

「なによ、まだあるの?」

「お前はそのままいけば破滅する」

「……」

「そんだけ、じゃあな。気をつけて帰れよ」

 

そうして、俺はホテルを後にした。

 

 

「あ、お帰りお兄ちゃん」

「おう、ただいま」

 

家に帰ると小町が出迎えてくれた。というか他に出迎える人いないけどな。

 

「依頼、無事終わったの?」

「おお、とりあえずな」

「そっか、ならもう大志くんも大丈夫だね」

「大丈夫だろうな。それより小町、大志に何もされてないか?」

「もうお兄ちゃんしつこいよ!大志くんはそんなのじゃないから!あんまりしつこいのは小町的にポイント低いよ!」

 

そうは言ってもやはり万が一ということもある。小町につく羽虫は残さず駆除せねばならん。場合によってはトリガー使っても…

 

「あ、そういえばお兄ちゃん」

「ん?」

「あの人に会えてたんだね」

「あの人?」

「ほら、結衣さん。あの怪我した時にお礼来てくれたの」

「初耳だぞおい」

 

治療費をあのリムジンの人が出してくれたことは知ってるけどそれは完全に初耳だ。

ちなみにリムジンの人は俺が謝った時に連絡先を聞かれ、その後病院行くのに付き添ってくれて、治療費出してくれた。確か名前は、都築?だったかな。

 

「あれ?いってなかった?お菓子も貰ったんだけど……」

「俺、食ってねぇぞ」

「あ、あれ?まぁそのとりあえず、結衣さんがお兄ちゃんの助けた犬の飼い主ってこと」

 

……なんとなく察しはついていた。あの時、飼い主の女の子は髪が黒かったが、今の由比ヶ浜は髪を染めてる。それに俺自身、すぐにその場を立ち去ったからよく顔をみてなかったのだ。

だが初めて会った時、俺のサイドエフェクトが反応していた。俺は基本ぼっちだったから女子との面識なんてボーダーのメンツ除いたら皆無だった。だから、なんとなくそうなのだろうとか思ってたら、ビンゴだったな。

 

俺のサイドエフェクトは良くも悪くもよく当たるものだ。

 

 

翌日、俺は平塚先生に呼び出されていた。

 

「あの、なんで俺呼び出されたんすか?」

「先日の川崎の件で君と話しておきたいことがあったのでな」

「はぁ……」

 

え、俺なんかやばいことしたか?

 

「川崎の依頼に関して雪ノ下から報告を受けた。内容は

 

ーーー

 

といった感じだ。脚色とかはないかね?」

「ええ、事実そのものです。で、それがなにか?」

「今回の君のやり方についてだ。雪ノ下相手に辛辣な言葉を吐き、退場させた。なぜこんなことをした」

「邪魔だったからと、あと雪ノ下が見当違いなこと言ってたからです。あのままほっといたら雪ノ下は川崎をいじめるだけいじめて最後には心を折ってましたよ」

「だとしてもだ。君を奉仕部に置いている理由はその捻くれた感性を治すためでもあるのに、これでは悪化してるようなものではないか」

「そんなもん俺は知りませんしどうでもいい」

「そうもいかない。君はもっと人を傷つけないやり方を学べ」

 

この言葉には失笑せざるをえない。あの状況で人を傷つけない?無理に決まってるだろ。どうしろってんだ。

 

「例えば?」

「は?」

「例えばどんな方法なんですか?俺はあの時あれ以外方法が思いつきませんでした」

「そ、それは……もっとこう、包んでいうとか」

「そんなことしたら雪ノ下は絶対聞きませんよ。あの時の雪ノ下ならなおさらです。だからあの方法しかなかった。そうせざるをえない状況をつくった雪ノ下が悪い。だから『俺は悪くない』」

「君は過負荷(マイナス)なのかね…」

 

と、どっかの球磨川くんみたいなことを言ってみる。というか具体例だせないのにそれを他人に要求するなよ。

 

「じゃ、防衛任務なので帰ります」

「……またかね。どれだけ入れてるんだ。もう少し減らせないのかね?」

「……先生」

 

ちょっといまのは許容範囲外だな。

 

「いい加減、俺の個人資料をしっかり見ることをお勧めします」

 

そう言って俺は防衛任務につくためその場を立ち去った。

 

 

平塚教論は一人で資料室に来ていた。ここは教師が生徒の個人資料やその他の資料を見ることができる部屋だ。

 

『いい加減、俺の個人資料をしっかり見ることをお勧めします』

 

あの時、比企谷は確かに怒っていた。そして個人資料を見ろと言った。なら彼女が彼を怒らせた原因はここにあるはずと思うのは自明だろう。

ファイルを開き、資料を見る。

 

比企谷八幡

平成◯年8月8日生まれ。

A型

二年F組所属

家族構成 両親 妹

 

ボーダー隊員

 

ここまでは特別おかしなところはない。というか彼女はここまでは普通に把握していた。

が、そこで異変に気付く。紙が重なってファイルポケットに入れられているのだ。

本来、この個人資料は紙一枚に収まる程度の簡単なものだ。他の生徒は基本資料は一枚のみ。なのに彼には二枚目が存在していた。以前見たときは重なっていることに気づかなかったのだろう。

さっそく二枚目を見てみる。そしてその内容を見て、彼女は激しく後悔した。

 

備考 大規模侵攻により両親が他界。現在は妹と二人暮らし。生活は彼本人のボーダーでの稼ぎと、補助金を頼りにしているとのこと。

 

つまり、彼は一人で自らの家計を支えているということになる。確か聞いた話ではA級隊員には固定給がつくとか。だがそれでも彼一人で家計を支えるとなると、生活は楽ではないはずだ。だから彼はあんなにも防衛任務を頻繁に入れていたのだ。

 

「私は、なんてことを……」

 

平塚は一人、資料室で頭を抱えた。

 

 

再び平塚先生に呼び出された。俺、呼び出されすぎじゃね?問題児かよ。……問題児だな。

 

「で、今日はなんすか?」

「ああ……」

 

するとおもむろに先生は頭を深く下げた。

 

「え?ちょ?」

「比企谷、すまなかった。君の資料そのものは以前見ているが、君の両親については見落としていたのだ。……いや、これはただの言い訳だな。私の怠慢が君を傷つけたのだ。許してくれとは言わない。だがせめて謝らせてほしい。本当にすまなかった」

 

…やはりこの人は根はとてもいい人なのだろうな。暴力振るうとこ以外は。

 

「構いませんよ。というか今更どうこう言ったとこでどうにもなりませんしね」

「そうか。とりあえず今後、私からは防衛任務に関しては言わない」

 

それは実にありがたい。

 

「だが、特定の授業をさぼるためにその場所にばかり防衛任務を入れていたら言うからな」

「しませんよそんなこと」

 

調理実習以外はな。

 

「まぁ、それだけならもう行きますよ。今は特に何も思ってませんしね。謝ってもらったのに何か言うほど礼儀知らずではないので。あ、でも俺がボーダーであることは誰にも言わないでくださいよ。もちろん奉仕部のメンツにも」

「それは構わないが、今度の職場見学でばれてしまうのではないか?確か君ボーダー本部だろう?」

 

 

 

 

ウボァー

 

***

 

おまけ

 

比企谷隊作戦室にて

 

「どーしたのハッチ。そんな司令ポーズで考えこんで」

「……今度の職場見学を合法的にサボる方法を考えている」

「ああ、そんなこと。別によくない?バレても」

「お前はいいかもしれないけど俺はダメなんだよ。目立ちたくない」

「えーボーダーってだけでそんな目立つー?」

「目立つんだよ。それに変に絡まれるのとかもあるし」

「あたしはともかく、奈良坂とかは別に変に絡まれたりしてるとこみたことないよ?」

「それは奈良坂だからだ。俺限定でからまれることがあるんだよ」

 

奈良坂とかその他の奴らなら別になにもないらだろうけど、俺は基本ぼっちだ。だからそういうことがあるのだよ。ソースは中学生の頃の俺。あいつら、俺がボーダーだとわかるとやたら絡んできた。「ボーダーにはどうすれば入れるのか」「お前を倒せばボーダーに入れるのか?」とか。後者バカすぎる質問だろ。

 

「いっそ腹くくれば?」

「佐々木さん、俺にイキイキ健全ぼっちライフをやめろと?」

「というかそんなに嫌なら普通にサボれば?」

「……実は、職場見学を休んだやつにはレポート書かされるみたいなんすよ。そのレポート見てみたら、恐ろしく量多いし面倒なんですよ」

「あー……」

 

まずいな。八方塞がりになってきてる。

 

「でも結局はバレなければいいんでしょ?ならバレないようにすればいいじゃん」

「簡単に言ってくれますね……」

「比企谷くん隠密行動訓練一位以外とったことないんでしょ?なら大丈夫じゃない?」

 

そうだけど、嵐山さんとかに見つかったら絶対バレる。時枝とか木虎とか綾辻はどうにかなるが、嵐山さんはダメだ。あの人存在感強すぎるし。え?誰か忘れてないかって?知らないな。

カメレオンも考えたが、絶対トリオンもたないし。

 

 

ああ、もうどうにでもなれ。

 

 

 

 

 

結論、諦めました。




一応言っておきますが、今回で八幡がボーダーであることがさきさきにバレました。しかしさきさきはどうやらぼっちっぽい人らしいので他の人にはバレてません。
次回からお待ちかね?の職場見学です。


今週のジャンプみて思った。次キャラ人気投票したら那須さん絶対上位に食い込む。

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