緋弾のアリアー緋弾を守るもの   作:草薙

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第88弾 決意

「何?」

 

俺は過去に理子に会っているという言葉にジャンヌが目を見開く。

 

「フランスで俺は拉致されたことがあるんだ。多分、その時に俺は理子に会ってる」

 

「拉致だと?ブラドにか?」

 

「多分な……8歳から10歳まで俺は世界中を師匠と巡ってたんだ」

 

「だが、椎名。理子を見た時、なぜ思い出さなかった?」

 

「記憶がな……あの2年間の記憶がほとんどないんだ俺には」

 

思い出せたのも理子が関わる前後だけだ。

その後も、それ以前も記憶にもやがかかっている。

日本に帰ってしばらくしてローズマリーの件が起こったのは覚えてはいるんだがな。

 

 

「そして、俺は多分、ブラドと戦ってる」

 

「8~10歳の子供がか?無謀だ」

 

ジャンヌが驚いたように言う。

記憶の中の俺は黒い圧倒的な存在に剣で戦ったが負けた。

勝てるわけのない戦いだったんだろう。

だが、ブラドに突きつけた条件だけは覚えている。

 

僕が勝ったら理子ちゃんと僕を解放しろだ……

だけど……

駄目だまだ、この記憶にももやがかかってるどうやって助かった……

 

「なら、話は早い。遠山にも教えたが椎名にも教えておこうあいつは危険すぎるからな」

 

まあ、記憶の中で俺はブラドに手も足もでなかったからな……今の半分も力がないガキだったから……

 

「ここらの話は非常時のみアリアと共有しろ。いいな?まず先日ここに現れたというコーサカス白銀オオカミのことだ。あの狼はインフォルマで調査中だが私の見立てではブラドのしもべとしてまず間違いない」

 

「こっちの動きがばれてるのか?」

 

「そこまでは私も確証がない。狼はスナイプの少女に奪われて帰れなかったし。奴の僕は世界各地にいてそれぞれかなり直感便りに行動するみたいだからな」

 

「詳しいなジャンヌ」

 

「我が一族とブラドは仇敵なのだ3代前の双子のジャンヌダルクが初代リュパンと組んで引き分けている」

 

「ブラド本人ってことか?吸血鬼なら」

 

「そうだ奴は人間ではないからな」

 

俺はコップの水を飲みながら続きを促す

 

「それで?」

 

「うむ、ブラドは理子を拘束することに異常に執着していてな檻から自力で逃亡した理子を追ってイ・ウーに現れたのだ。理子はブラドと決闘したが敗北した。ブラドは理子を檻に戻すつもりだったんだが成長著しかった理子にとある約束をした。それは、理子が初代リュパンを超える存在にまで成長し、その成長を証明できればもう手出ししないと」

 

 

そうか……理子があれほどアリアに執着した理由、チームを組ませて戦った理由もようやく分かった。

理子……お前は俺が城を逃げても、忘れてしまっても自由になりたくて戦ってたんだな……

なら、俺がやるべきことは決まった。

 

 

「椎名、ブラドの姿は覚えてるか?」

 

「いや、なんか大きい相手としか……」

 

「なら、私が絵に書いてやろう」

 

そういいながら眼鏡をかけたので

 

「目が悪いのか?」

 

「ほんの少し乱視なだけだ普段は眼鏡はかけない」

 

ノートとサインぺンを使い何か書いていく

 

「いいか?ブラドが留守にしてる屋敷に潜入するのはいいが、もし万が一ブラドが帰ってきたなら即刻作戦を中断して逃げろ。絶対に勝てない」

 

理子から潜入は聞いたのか……でもジャンヌ俺は決めたんだ

 

「それはできないジャンヌ」

 

「何?」

 

「ブラドが現れたなら逮捕する」

 

「聞いていなかったか椎名?絶対に勝てない。もし戦いになっても逃げるための戦いをしろ。双子のジャンヌダルク達は銀の弾丸でブラドを撃ちデュランダルで貫いても死ななかったとある。奴は死なないのだ」

 

「不死身ってわけか……だがイ・ウーのリーダーはブラドを倒したんだろ?ブラドがリーダーになってないならな」

 

「私も直接見たわけではないがブラドが敗れたのは理子との決闘のあとにイ・ウーのリーダーと戦った時だけだ。ブラドを倒すには全身にある4箇所の弱点を同時に破壊しなくてはならないらしい」

 

そういいながらサインぺンを動かすジャンヌ。

な、なんだそれ……

 

「弱点のうち、3箇所は判明してる。こことこことここだ……奴は昔バチカンから送り込まれたパラディンに秘術をかけられて一生消えない目の文様をつけられてしまったのだ。よし、たいぶかけたぞ」

 

「ら、落書きか?」

 

「ら、落書きだと椎名、遠山と同様に失礼だぞ!」

 

だってな……

 

「ブラドはこういうやつなんだ。お前は私を疑うのか?」

 

「いやまあ……」

 

なんとなくはわかるけど……記憶にあるブラドってこんなお化けみたいなやつだっけ?

 

「これはちゃんと似ている椎名もとっておけ」

 

まあ、もらっとくか……相手は絶対に倒せないやつじゃない。

ならやり方だってあるはずだ。

今回はアリアの護衛だけじゃねえ。

 

ブラド、お前が俺の前に出てくるなら倒す。

理子を救うためにな……

 

「ああ、それとなジャンヌ」

 

「ん?」

 

 

「俺が昔、理子に会った話は誰にもしないでくれ」

 

「なぜだ?」

 

「理子も多分、覚えてないんだろうからな……余計なことは知られたくないからな」

 

過去の記憶にはもやがかかってるが俺は逃げて、理子は城に残された……要は、俺は理子を見捨てたんだ。

だから、こそ今回は理子を見捨てない。

「分かった」

 

ジャンヌが言った時

 

「おまたせしましたぁ」

 

アリスが料理を運んできた。

俺はチャーハンに餃子。ジャンヌは……

な、なにぃ!

 

「ももまんフルスペシャルです」

 

と、ジャンヌの前に置かれた化物

ジャンヌも絶句してる。

ば、馬鹿な

 

「じ、ジャンヌお前……」

 

「い、いや写真で神崎が制覇したというのが見えたのでな……まさかこんな……」

 

そう、この店には地獄ラーメン制覇とももまんフルスペシャルを制覇したレキとアリアの写真が飾られている。

それを見て頼んだのか……

ああ……神様

 

その後、食べきれる訳もないももまんフルスペシャルをジャンヌは必死に食べたが力尽きて凍らせてお持ち帰りしましたとさ。

 


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