緋弾のアリアー緋弾を守るもの   作:草薙

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第 86弾 ジャンヌ再び

アリアとマリに海にたたき落とされて生死の境目をさ迷った次の日、俺は執事とメイドの特訓をするというアリアとキンジと別れ、とある建物に来ていた。

女装で・・・

鏡を見てみると黒い背まであるロングの黒髪、武偵高の女子の制服・・・

理子が調達したものなんだが・・・

ほんのり化粧したのは理子である。

我ながらこうしてみるとちょっと背の高い女の子にしか見えないのが泣けてくる・・・

コンプレックスなのになこの顔・・・

ため息を付きながら校舎のドアを開けるとまず、飛び込んできたのは香水の臭いだ。

うお、なんて臭いだ。

ここは特殊操作研究課、通称C研ハニートラップの技術を磨く学科で絶世の美女しか入科できない。

そんな校舎になんでいるのかといえば・・・

 

「ユーユーはC研で女装のスキル磨いてきて」

 

と、理子の命令。

奏ちゃんの中学では相手が中学生だからなんとかなったが今回は大人が相手になる可能性もある。

そこで、この学科なんだが・・・

 

201号室と書かれたドアの前にくる

確か、理子に指定されたのはここか・・・

覚悟を決めてノックする。

 

「はーい、空いてるわよぉ」

 

「失礼します」

 

といって中に入ると俺は絶句した。

絶世の美女といえばそうなのだろう。

長い黒髪に目の下に泣きぼくろ、和服を着た女性がいたからだ。

 

「あ、あの古賀先輩ですか?」

 

絶世の美女は微笑むと

 

「ええ、3年C研古賀 美雪よ。峰からあんたを女性のしぐさを叩き込むように言われているからびしばし行くわよ」

 

帰らせてください・・・

本心からそう思いながら

 

「よろしくお願いします古賀先輩・・・」

 

と、諦めるように俺は言うのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「むぅ・・・」

 

古賀先輩の講習を受けたあと、メイドとしての心得の本を読みながら俺は帰宅の道を歩く。

すごい先輩だった。

仕草から男を落とす、そのテクニックまで全て短時間で俺に叩き込んできた。

最後はその・・・男が喜ぶあれすら教えそうになってきたので慌てて退散してきた。

冗談じゃないそんな教授はいらねえよ。

本気で月詠や鏡夜、そして、咲夜にばれないようにしないとと思っていたとき

音楽室の中からピアノの音が聞こえてきた。

この曲なんだっけ・・・確か

 

「火刑台上のジャンヌ・ダルク・・・」

 

まさかな・・・

音楽室を見上げた瞬間、そいつと目があったので

俺は走り出した。

音楽室のドアをあけると

 

「ジャンヌ!」

 

そう、そこには白雪の誘拐の時、俺たちが戦ったあのジャンヌダルクがいたのだ。

彼女はびっくりした顔で俺を見ていた。

 

「久しぶりだなジャンヌ。 なんのつもりだ? 素顔を晒しているなんてよ」

 

ガバメントを抜きながら言う。

 

「誰だお前は?」

 

怪訝そうにジャンヌが言った。

 

「忘れたか? てめえを1度戦闘不能に追い込んでやった椎名 優希だ」

 

ジャンヌの目がますます、見開かれた。

 

「答えろ! てめえなんでここにいる!」

 

東京武偵高制服を着るジャンヌに言う。

 

「司法取引だ。 この学校に通うことが司法取引の条件にあったからな」

 

「同じ歳だったのか? 似合わねえ制服だな」

 

「お前に言われたくないぞ椎名」

 

「ああ?」

 

ジャンヌの前だと戦闘狂の口調が出てしまうな・・・

 

「その・・・似合ってはいるが私とお前は同じ格好だ」

 

「!?」

 

そ、そうだ・・・俺の今の格好は武偵高の女子せ・・・

 

「それで男のお前がなんでそんな格好をしているんだ椎名?」

 

「・・・はは・・は」

 

ジャンヌの問いに俺はしばらく答えることができそうになかった。

 

 


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