緋弾のアリアー緋弾を守るもの   作:草薙

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第82弾 驚愕の泥棒計画

翌朝、なんだか疲れた様子のキンジやアリアと共に理子の呼び出しを受けて俺たちは秋葉原にいた。

ちらっと見えたんだが、そのメール件数白雪だな・・・

ご愁傷さま

 

「何泣きそうな顔をしてるのよ突入するわよ」

 

ちらりと窓の外を見るがこの街は武偵にはいい場所じゃないんだよな・・・

人は多いし道は入り組んで居て銃が使いにくい。

別名武偵封じの街だ。

 

理子は泥棒大作戦をこの街でやろうと提案してきたのである。

アリアも始め、初めて来た秋葉原に目を丸くして歩いていてさらに自分を見ていた人がツインテールだ。 アホ毛だ。 ミク・・・と囁くから???と首を傾げていたが・・・

安心しろアリア。 俺もアリスに熱弁されるまでは知らなかったから。

アンビュラスの後輩の顔を思い浮かべながら

 

「行くぞ」

 

犯罪組織のアジトに突入する体制、キンジが取っ手を握り、俺とアリアは2丁拳銃で突入し攻撃を仕掛ける。

このチームならそれがベストだ。

戦闘狂モードになるか迷ったが結論は必要なし。

なんか理子のことだしこれは・・・

 

がちゃり

扉が開く

 

「「「ご主人様、お嬢様おかえりなさいませ!」」」

 

そう、ここはメイドカフェ、こんなものが当たり前にあるのがこの街の恐ろしいところだ。

理子はここを待ち合わせ場所に指定してきたのだ。

うう、相変わらず入りにくい・・・

興味本位で昔、虎児と神戸で入ったことあるんだがあの時はそそくさと退散したからな

 

「・・・じ、実家とおなじ挨拶だわ。 まさか、日本で聞くことになるとは思わなかった」

 

と、隣のアリアも引いている。

キンジも帰らせてくださいと言う顔だ。

神戸では個室なんてなかったので勝手がわからないのでメイドさんに連れられるままに部屋に入り、胸の空いたデザインのメイド服をみた瞬間、俺とキンジはアリアに耳をつかまれ着席させられる。

いたた離せアリア!

 

メイドさんが出ていくとアリアは腕組みをし

 

「な、なによあの胸! じゃなくて衣装! いくら給料が良くてもあれはないわ。イギリスならともかく日本で着るなんて場違い。 恥っずかしい! なんて店なの! あたしだったら着ない。 絶対絶対着ない!」

 

悪口を俺たちにぶちまける。

まあ、落ち着かないのはわかるが落ち着けよ・・・

 

「理子様おかえりなさいませ!」「きゃー! お久しぶり」「理子さまがデザインされた制服お客様に大好評なんですよ!」

 

まがもたないので各々、時間つぶしをしていた俺たちの耳に声が聞こえてきた。

理子がきたか・・・

ここの常連らしいなあいつ

んん・・・しかし、改めて見るとメイド喫茶というのも・・・

 

「ごめっぇーん!遅刻しちゃったぁ! 急ぐぞブゥーン」

 

ゴスロリ制服にしましまタイツ、首には鈴を増設した理子が走ってやってくる。

飛行機のように広げた両腕にはフィギアやらゲームの紙袋が・・・それで遅刻したのかお前・・・

 

「んと、理子はいつものパフェとイチゴオレダーリン達にはマリアージ・フレールの春摘ダージリン。 そこのピンクいのにはももまんでも投げつけといて!」

 

水を得た魚のごとく注文をする理子。

ま、俺だけだからなこの街に出入りするの・・・

いや、誤解するなよ? 1年の時、理子のゲーム買に来だけだからな・・・

考えてみれば俺その頃からこいつに振り回されてるのか・・・

 

「まさか、リュパン家の人間と同じテーブルにつくことになるとはね・・・偉大なるシャーロック・ホームズ卿も天国で嘆かれてるわ」

 

いいながらアリアはももまんをもふもふと食べている。

理子はといえば、タワーのようなパフェを半分くらい平らげている。

女の子の胃ってブラックホールだよな甘いもの限定でレキは例外として。

鼻にクリームついてるぞ理子

 

「理子、俺たちは茶を飲みにきたんじゃない。 俺たちにした約束はちゃんと守れるんだろうな? 」

 

キンジが念をおしている約束は3つ。

 

かなえさんの裁判で理子が証言する。

キンジの兄さんの情報

俺にはローズマリーの情報だ

なんだかんだで俺たちには利得があるのだ。

 

「もちろんだよダーリン」

 

「誰がダーリンだ!」

 

「ぷは、キー君とユーユーに決まってるじゃん。 理子たち恋人どうしじゃーん」

 

それはおかしいぞ理子日本は一夫多妻制じゃねえ!

と内心突っ込みながら黙っておく

 

「コンマ1秒たりともお前とそんな関係であったことはねえ!」

 

「ひどいよユーユー、キー君、理子にあんなことまでしておいてヤリ逃げだ」

 

「なんにもやってねえだろそもそも!」

 

と、キンジはいうが・・・

ああ・・・

理子のその・・・背中にかんじたあの感触を思い出して・・・

ぶんぶんと首を降って煩悩を払う。だんだんと裁判長みたいに机を叩くアリア

拳銃で

 

「そこまで! 風穴開けられたくなければいい加減にミッションを説明しなさい!」

 

「お前が命令するんじゃねえよオルメス」

 

いきなり乱暴な男言葉になり三白眼の目でアリアを射殺すような目で見たので俺も少し引いた。

理子は紙袋から取り出したノートパソコンを広げて起動させつつテーブルに放り投げる。

 

「横浜郊外にある『紅鳴館』―ただの洋館に見えてこれが鉄壁の要塞なんだよぉ」

 

表理子に戻ったのを見ながら画面を見ると地下1階、地上3階の見取り図が詳細に記されている。

少し、いじれば、逃走ルート等まできちんと書かれてある。

それも、想定されるケースなどいくつも書かれている。

これは・・・すごい・・・タイプは異なるがこれと同等のことが出来る奴は兵庫武偵中には少なくても知り合いにはいなかった。

 

「これあんたが作ったの?」

 

「うん」

 

「いつから?」

 

「んと先週」

 

奏ちゃん達の護衛の時か・・・

そういや、影でパソコンいじってたな

アリアも目を丸くしてるぞ。

まあ、俺もそうだが、作戦よりも圧倒的な戦力で強襲してねじ伏せる戦略でいくことが多いからな

作戦を立てるとしても現場でだ。

 

「どこで作戦立案術を学んだの?」

 

「イ・ウーでジャンヌに習った」

 

ああ、ジャンヌね・・・

できれば2度と戦いたくないあいつを思い出しながら

 

「キー君、アリア、ユーユー。 理子のお宝はここの地下金庫にあるはずなの。 でもここじゃ理子1人じゃ破れない。 鉄壁の金庫なんだよ。 もう、まじでマゾゲーでも息のあったチームと、1人の外部連絡員がいればなんとかなりそうなの」

 

「それであたしたちをセットで使いたいってわけね」

 

と、アリアはツインテールを揺らして椅子にもたれかかる。

 

「・・・で、理子、ブラドはここに住んでるの? 見つけたら逮捕しても構わないわよね?

知ってると思うけどブラドはあんたたちと一緒にママに冤罪を着せた敵の1人でもあるんだからね・・・」

 

やっぱりかよ

 

「あー、無理ブラドはここ何十年もこの屋敷に帰ってきてなくて管理人とハウスキーパーしかいないの。 管理人もほとんど不在で招待をつかめていないんだけどねぇ」

 

アリアはそれならそうと教えときなさいよと口をへの字に曲げる。

やばい、八つ当たりしそうだ。

わ、話題を変えよう

 

「それで俺たちは何を盗むんだ?」

 

「理子のお母様がくれた十字架」

 

「あんたってどういう神経してるの!」

 

アリアは犬歯を剥き出しにし眉をつりあげ立ち上がった。

沸点がはやいってアリア

 

「あたしのママに冤罪を着せといて自分のママからのプレゼントを取り戻せですって? あたしがどんな気持ちか考えてみなさいよ」

 

「おい、アリア落ち着け! 理子の言うことでいちいち腹を立ててたらきりがないぞ」

 

キンジガフォローするがアリアは収まらない

 

「頭にもくるわよ。 理子はママに会いたければいつでも会える。 電話すればすぐに話せる! でも、あたしとママはアクリル越しに少ししか・・・」

 

「うらやましいよアリア」

 

「あたしの何が羨ましいのよ! 

 

アリアは等々ガバメントを振り上げるが理子は銃を抜かない。

かわりに寂しそうにぷらぷらと足を揺らす。

 

「アリアのママは生きてるから・・・」

 

「・・・っ!」

 

アリアが目を見開く

 

理子にはお父様もお母様ももういない。 理子はお二人がお歳をめされてからやっとできた子なの。 お二人とも、理子が8つの時になくなってる。 

 

「・・・」

 

「十字架は理子が5才の頃お母様からもらったものなの・・・」

 

アリアのガバメントが下がっていく。

そして、着席した。

 

「あれは理子にとって大切なものなの。 命の次ぐらいに大切なもの。 でも・・・」

 

理子は顔を伏せたと思うと

 

「ブラドの奴、あいつそれをわかってて、あれを理子からとりあげたんだ。 それをこんな警戒厳重な場所に隠しやがってちくしょう・・・」

 

憎悪に満ちた声でぼそぼそつぶやいている。

悔し涙まで浮かべて・・・

理子・・・お前はそんなに憎むやついがいるんだな・・・

気持ちはわかる。

 

「ほ、ほらそんなに泣くんじゃないの。 化粧がくずれてブスがもっとブスになるわよ」

 

そんな理子の前にアリアはトランプ柄のハンカチを投げる。

さっきの母親罵倒のお詫びかな?

 

「ま、まあそれはともかくその十字架を取り戻せばいいんだな?」

 

キンジの言葉に理子はアリアのハンカチで少し目を抑え、涙をすいこませながら頷いた。

 

「泣いちゃダメ、理子はいつでも明るい子。 だから、さあ。 笑顔になろ」

 

暗示のような独り言を理子が行ったとき、メイドさんが入ってきてお冷をついでまわってくれた。

場が少し和む。

理子もいたずらっぽい笑に戻り

 

「・・・とはいえこのマップね」

 

ばしっと理子はパソコンを閉じながら

 

 

「ふつーに侵入する手も考えたんだけど。 それだと失敗しそうなんだよね。 奥深くのデーターもないし。 お宝の場所も大体しかわからないの。 トラップもしょっちゅう変えてるみたいだからしばらく潜入して内側を探る必要があるんだよ」

 

「せ、潜入?」

 

俺たちが尋ねると理子はばんざーいと言うように宣言した。

 

 

「アリアたちには紅鳴館のメイドと執事になってもらいまーす。あ、ユーユーはメイドね」

 

へ?まさか・・・

また、女装するのか?

 

丁度いいかもと言っていた理子の言葉を思い出す。

そんな・・また・・・女装?

 

 

「いやだああああああああああああああ!」

 

秋葉原のメイド喫茶に俺の絶叫が響きわたるのだった。

 

 

 


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