緋弾のアリアー緋弾を守るもの   作:草薙

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第77弾 司法取引

「やだよめんどくさいしさ」

 

大きな岩に座り空を見上げながらその少女は言った。

それでも、少年は少女にたのみこむ。

すると、少女は面白そうに笑い。

 

「じゃあさ・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「起きなよ」

 

「なっ! うわああああ!」

 

がしゃああああん

目が覚めた時目の前にあったのは壁だった。

顔に直に激突して顔を押えながら俺は立ち上がった。

 

「あたた・・・」

 

反射的に腰に手を当てるがそこには何もない。

 

「起きたね。優希君」

 

「沖田 刹那・・・なんでお前が・・・ここはどこなんだ?」

 

見渡すとそこは白い壁と小さな窓。 病院か・・・

 

「まったく、土方さんも人使い荒いなぁ」

 

そういう沖田は手に持っていた紙の束を床に投げ捨てる。

 

「これは?」

 

「司法取引の書類だよ。 書いたら郵送して返さないといけないよ。 仲間の分もあるから渡しとかないとだめだよ」

 

司法取引と聞いて、1枚紙を取り出してみた。

請求書と書かれた紙、

ちょっと上に上げてみると

 

阪神高速道路修繕費と書かれた欄があったのでそっと元に戻した。

あれ、やったのレキだからね! 俺じゃないよ!

まあ、武偵弾使ったから皆無というわけじゃないんだが・・・

 

「それじゃあ、僕は東京に帰るよ。 君に時間取られるのやだし」

 

「あ、待てよ!」

 

呼び止めると沖田はめんどくさそうに振り返った。

 

「何?くだらない用だったら殺すよ?」

 

「公安0のお前がここにいるってことは兵庫の事件絡みだろ! シン達とも無関係じゃないんだろ?」

 

「ランパンの連中は取り逃がしたけど、兵庫の事件を裏で資金援助していた連中なら僕が皆殺しにしてあげたよ? 裁判になっても金で保釈されたり逃げられる連中がほとんどだったからね。 ちょうど、君達が遺産相続の会議といっていた場所でのできごとだから君の護衛対象の2人の親族ってことになるのかな?」

 

自業自得か・・・腐った金の亡者を一掃してくれた公安には感謝しなくてはならないのかもしれない

そういえば、奏ちゃん達は・・・

 

「じゃあね」

 

「まっ!」

 

沖田が出ていってしまったので部屋には誰もいなくなる。

開け放たれた窓から心地よい風が肌をなでる。

ベッドを元に戻してから眠気が襲ってきたので静かに目を閉じた。

 

 

 

 

 

武装検事の名乗る人に事情聴取を千夏やアリアさん達と受けてから私は変態が・・・ううん、優が入院している病院に1番乗りした。

病院の入口で日本刀を腰に指した人とすれ違いぎょっとしたがその人は微笑して去っていった。

看護師に優が眠っている病室を聞いて中に入る。

眠っているらしく静かに寝息を立てている優がいた。

私は椅子に座る優の寝顔を見つめた。

シンは俺が必ずぶん殴ると言う言葉をこの人は守ってくれた。

私を守ってくれた・・・

うう・・・

なんか、顔を見てると顔が熱くなってくる・・・

どうしたんだろ私?

 

「ううん」

 

「ひゃっ!」

 

優が寝返りを売ったので私はびくりと肩を震わせた。

 

「うう・・・アリア・・・風穴だけはやめて・・・白雪さん・・・剣を押し込まないで・・・」

 

よくわからないが優は悪夢を見ているようだ。

アリアの言葉が出てきたとき、なぜか、心が傷んだ。

 

「ねえ、優・・・」

 

私はそっと優の右手を布団の中で掴んだ。

優も悪夢を見ているからか握り返してくる。

 

「私感謝してるんだよ? きっと、優が居なければ私たち死んでいた・・・」

 

武装検事から全て聞いた。

親族は全ての遺産相続を遺言で残された私たちを暗殺しようとしていたことを・・・

中国の組織と組んでいたことも・・・

これは、だから本心から言うね

 

「ありがとう優・・・私たちを守ってくれて・・・」

 

ぎゅっと握った手が握りかえてしてきた気がした。

 

「私ね。 武偵になる。 お父さんみたいな立派なね。 遺産は千夏に譲るつもり、だから・・・いつか優のチームメイトになれたらいいななんて・・・」

 

聞こえてないことをいいことに私は願望を口にする。

 

「あの・・・それでもし、できたら・・・いつかつ・・・」

 

「ああああああああああああああああああああああ!」

 

その時、病室に悲鳴が響きわたる。

 

「ま、マリさん!」

 

優のアミカのマリだった。

ふふふと、マリは肩を震わせながらCZ78を取り出した。

丁度、そこへ

 

「優! 起きてるの!?」

 

アリアが現れ

 

「ユーユー! お見舞いにきたよぉ! っておお!」

 

理子

 

「・・・」

 

手に包帯を巻いているレキ

 

「優・・・」

 

哀れむようなキンジ

 

「お兄さん・・・」

 

千夏ちゃん

 

「ふえ?」

 

目を覚ました俺は寝ぼけながらみんなを見て

 

「よう、みんな・・・あの、なんでマリはヤンデレ目でアリアは怒りモード?」

 

「浮気ものは死んでください!」「風穴デストロイ!」

 

「ぎゃああああああああああああああああああああああ!」

 

ドンドン パンパン

 

兵庫武偵高付属病院に響きわたる銃声と悲鳴。

ある意味、事件が終了を告げた瞬間でもあった。

 

 


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