緋弾のアリアー緋弾を守るもの   作:草薙

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第72弾 レキVS春蘭

「右です」

 

レキの言うとおり右にハンドルを切る。

ヒュンと風を切る音がしたのでおそらく、春蘭の狙撃銃だ。

発砲から着弾まで2秒半の間にレキは回避行動を支持したのだ

だが、それは2キロ距離が離れているからで近づけば回避指示は間に合わない。

かといって春蘭、相手に突っ込むのは危険すぎた。

 

「どうするんだレキ! 距離を詰めるか?」

 

言いたくないがリミッター解除した状態だと燃費が凄まじく悪くなる。

先に燃料が尽きるのはこちらだろう。

ハヤブサが動かなくなればもはや、打つ手はない。

 

「まっすぐに進んでください」

 

「それでいいんだな?」

 

「はい」

 

このやりとりは信頼関係がないと成り立たない。

敵の銃弾は自分がなんとかするとレキは言っているのだ。

 

「私は一発の銃弾・・・銃弾は人の心をもたないただ、目的に向かって飛ぶだけ」

 

いつもの暗示のようなレキの言葉

 

ドン

 

ドラグフの狙撃音。

同時に速度を俺は上げた。

敵からの銃撃はない・・・

 

 

 

 

 

 

「すごい・・・」

 

「どうかしましたか春蘭?」

 

シンの言葉の春蘭が答える。

 

「ウルスの姫、狙撃の弾をビリヤード撃ちで落とした」

 

「ほう」

 

シンもまた、驚いているようだった。

狙撃の銃弾を狙撃銃で叩き落とす、あるいはそらすなんて芸当はランパンでもそうはいないだろう。

 

ドンドン

 

続けて春蘭が銃撃を開始する。

 

 

 

 

 

 

 

 

閃光と同時にレキは敵の狙撃銃の弾を狙撃で叩きおとしているようだった。

神業とかいうレベルじゃねえぞ。

距離は徐々につまりつつある。

それと同時に周りの車の姿もほとんどなかった。

平日の夕方としては異例の時代だが理由もあった。

自衛隊が道路の封鎖を行なっているのである。

それも、神戸から大阪以後に至るまで広範囲に至ってだ。

ハイジャックの時に続いて、また、実家の力を借りてしまった。

本当に俺は人に頼ってばかりだな。

イ・ウーが関わる事件のため、警察や自衛隊で直接シンたちを抑えることはできないが間接的になら支援してもらえる。

 

ドン

 

再びレキの銃弾が春蘭の銃弾をたたき落とす。

すでに、戦場は神戸の中央部に入り、左に鏡のようなビル、クリスタルビルが見えてくる。

燃料を見ると後10分しか走れない。

 

「レキ!」

 

そろそろ決めないまずいぞという意味で言うとレキは

 

「優さん、周辺の避難は終わっていますか?」

 

「あ、ああ自衛隊がやってくれてるとは思うが・・・」

 

「では武偵弾を使います」

 

「え?」

 

止めるまもなくレキは

 

「私は一発の銃弾」

 

ドン

 

武偵弾を放った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「っ!」

 

前方で起こった爆発に春蘭は慌てて急ブレーキを踏んだ。

同時に前方で爆発が立て続けに起こる。

 

「きゃああ!」

 

私は悲鳴を上げながらシートベルトが体に食い込むのを感じながら目をぎゅっと閉じた。

一瞬、気絶してたのかもしれない。

目を開けると

 

「やってくれますね。 ウルスの姫」

 

顔を上げると道路はなくなっていた。いや、正確には20メートルほど道路に間が出来ている。

破壊された後と共に

 

「どうすんのよシン」

 

「こうなっては仕方ありませんね。 迎えが来るまでここで優希とウルスの姫を殺害します」

 

「キャハ、ウルスの姫は私に譲りなさいよ。 あの女むかついてるのよ私」

 

「いいでしょう」

 

春蘭は爆風と急ブレーキの影響で気絶しているようだった。

実質2対2だが春蘭とレキでは接近戦の優越は明らかだ。

それに、シン自身、優希に負けるつもりなどない。

今度こそ殺してやる椎名 優希

お前が守ろうとしたこの女の前で絶望を見せながら首をはねて見せしめにしてやる。

 

バイクが止まる音と共にシンは奏の髪を掴んで車から引き出した。

 

「痛!」

 

悲鳴をあげる劣等民族を見ながらシンは外に出る。

激怒の表情を浮かべる少年を目にシンはにこりと微笑んだ。

 

「やあ、優希君」

 

 

 

 

 


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