緋弾のアリアー緋弾を守るもの   作:草薙

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第71弾 追撃戦

気を抜けばぶっ飛びそうなほどの爆風を感じながら俺の駆るハヤブサは300キロの速度で高速道路を疾走する。

もちろん、速度違反なのは疑いようがない。

捕まれば後ろのレキ共々交通刑務所かな・・・

 

「優、対象は速度をあげた。 150・・・160・・・プリウスの限界を超えてるから多分改造車」

 

耳のインカムから兵庫武偵高のインフォルマSランク武偵の千鶴が的確に支持してくれる。

 

「了解」

 

前方を走る車をよけながら高速道路を走る。

聞けば千鶴は存在さえしないはずのスパイ衛星を乗っ取ってシンたちの車を追っている。

後は各所の警察の情報等をハッキングしている。

違法と言えば違法なのだがバレなきゃ罪にならないらしく千鶴はバレたことは1度もない。

何度かあいつの部屋に入ったことあるがマジでキーを叩く手が見えないから驚きだ。

直線距離にして5キロ先ハヤブサなら追いつける。

 

「・・・」

 

俺はぎょっとしたさ

レキがいきなり後ろで立ち上がるとドラグノフを俺の肩に乗せるように構えたのだ。

 

「危なねえレキ! 座れ!」

 

立っているだけで恐ろしいバランス感覚だ。

ゴーグルに頭を覆うだけのヘルメットを付けたレキは髪をばたばたと揺らしながら

インカム越しに

 

「敵は狙撃銃でこちらを狙っています。 キリングレンジに入り次第攻撃を仕掛けてくるつもりです」

 

「何?」

 

「その子のいうことは本当よ優。 衛星からでも天窓から身を乗り出してる人影が確認できた」

 

なぜか、不機嫌な声で千鶴が言ってくる。

春蘭か・・・

前を見るが俺には見えない。

レキや春蘭には5キロ先の互いの敵が見えているというのか・・・

 

「レキ、せめてワイヤーだけでも巻いとけ。 落ちたら死ぬぞ」

 

「はい」

 

レキは言うとおりに俺の背中のワイヤーで自分の体を巻いた。

 

「奏ちゃんは見えるか?」

 

「後部座席中央にいます。 拘束されているようです」

 

絶対に許さねえ。 拉致なんてきたねえことしやがって

はやぶさをさらに加速させる。

 

「優、シンの車の速度が340キロに達した」

 

それはつまり、ハヤブサの最高速度を超えたことを意味する。

 

「了解だ!」

 

俺はハンドルの横についている青いボタンを押した。

ドンと一瞬、衝撃が走りスピードメーターが振り切れる。

 

「・・・」

 

何したのと聞いて欲しかったがレキは無言でスコープを見ているので

説明すると今のはリミッター解除だ。

燃費は悪くなるが限界速度を超えられる。

昔、ロジの生徒に金を積んで改造してもらったんだが今になって役に立つとな・・・

 

「優さん」

 

そんな時、レキが声をかけてくる。

 

「どうしたレキ?」

 

「今から私は敵と撃ち合います。 私のいう方向に回避行動をお願いできますか?」

 

「別にいいがそれだど狙いにくいんじゃないのか?」

 

「車を避ける以外はまっすぐに走ってください。 私の銃弾は確実に相手の動きを射抜く」

 

言うまでもないか・・・

狙撃に関してはこの子に俺は絶大な信頼を置いている。

レキがそういうならそうするのがベスト

第1の関門は狙撃手だしな。

 

「分かった」

 

まもなく、速度は400キロを超えようとしている。

一歩制御を間違えば俺もレキも地面に叩きつけられて死ぬだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「振り切れませんか・・・」

 

「うん、あのハヤブサ改造車」

 

春蘭の言葉にシンはにこりと微笑んだ。

 

「キリングレンジに入り次第殺りなさい春蘭」

 

「了解。 シン」

 

「や、やめ」

 

春蘭の下半身に体当たり仕様としたが頬に強い衝撃を感じて私は吹き飛んだ。

 

「あ・・・」

 

「大人しくしてなさい劣等民族の日本人」

 

舌に鉄の味がしたので舐めてみると血の味がした。

シンは私をゴミを見るような目で睨んでから糸目に戻ると座席に座る。

 

「ああ、こわいこわい」

 

運転しながらミンが言う。

 

「シンの日本鬼子嫌いは変わらずね」

 

「馬鹿な民族ですよ日本民族というのは自分たちを侮蔑する日本鬼子という言葉すらくだらだないイラストにして喜んでいるんですからね」

 

「シン、キリングレンジに入る」

 

春蘭の言葉にはっとした瞬間、ドンと発砲音が聞こえてくる。

狙いは変態達だ。

 

「死なないで・・・お願い・・・」

 

願わずにはいられなかった

 


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