緋弾のアリアー緋弾を守るもの   作:草薙

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第06弾 アリアvs優希

「バカキンジほら起きる!」

 

朝の鍛錬から帰ってきた俺が聞いたアリアの第一声はそれだった。

部屋からは朝ご飯の催促をするアリアの声と抗議するキンジの声が聞こえてくる。

うーむ、とりあえず汗を流してカロリーメイトをかじっているとアリアがとキンジが玄関に向かってくる。

 

「うまいこといって逃げるつもりね」

 

風船みたいにむくれてアリアはキンジの腕にかみついてしまう。

 

「やだ逃がすもんか! キンジ達は私の奴隷だ!」

 

ハハ、俺も奴隷かよ

 

困り果てたキンジをみてから

 

「なあ、アリア俺と登校しないか? どうせキンジとは教室で会うんだからさ」

 

「優と?」

 

アリアはキンジと優を見比べたがやがて

 

気か変わるかもしれないから外まで考えると結局外までキンジに引きずられるように出て行った。

うーん、キンジうらやましい気がするぞ。

嫌、俺はロリコンじゃないからな。

 

とはいえ、同じバスなのは変わらない。

アリアとキンジ、俺と3人の乗ったバスは難なく学校に到着し、5時間目は専門教科の授業になる。

つまり、アサルトの授業になるわけで・・・

 

 

 

 

まじか

 

今、俺はアリアと一対一の勝負を強いられている。

それもこれもマスターズの不良教師、蘭豹の気まぐれからだ。

アリアが俺にいきなり勝負を申し込むと蘭豹の野郎、おうやれやれの一言だもんだ。

 

「優、あんたの本当の実力ここで見せなさい」

 

ガバメント2丁を構えるアリア。

まじかよ、アサルトの連中が見てる所であまり、ワイヤーは使いたくないが・・・

ここでアリアの絶望されたら護衛できなくなるかもしれない。

アリアに勝たないまでもそれなりの戦績は残さなくては

 

「おら! 始めろ! 糞ガキ共」

 

蘭豹の開始の宣告と共にアリアが発砲した。

ああ、分かったよ本気でやってやる。

ワイヤーを発射し右斜め上に飛んだ俺は飛びながらガバメントを3連射する。

アリアはそれをかわしつつ発砲するがワイヤーを外し勢いを削いだ俺には当たらない。

ちっ、一撃で決まらねえな。

アリアはさらに2発発砲してくる。

直撃コースだが俺はそれを同時に発射した銃弾で弾く。

アリアと俺の銃技はほぼ互角と仮定する、ならワイヤーで勝利をもぎ取るしかない。

どこぞのクモ男のように俺は右に左にグランドを駆け巡る。

アリアは狙いをしぼれないようで右に左にガバメントを揺らしている。

補足しておけば俺のワイヤーは壁にめり込ませて固定する。

何点かバージョンがあるが今日はめり込ませてもとれる機構が付いているワイヤだ。

ワイヤーの先端は矢のような形になっている。

 

ドドドン

 

「あ!」

 

一発の銃弾がアリアの右肩をかすめた。

いけるかとさらに4発撃ったところで弾切れ。

カートリッジを入れ替えれるすきにアリアが日本刀を構え突進してくる。

俺は空中に向けワイヤーを発射した瞬間、アリアの右手に黒のガバメントがあるのを見た。

上空への予想位置へ発砲。

くそったれ!

俺はワイヤーを高速で巻き戻すと右にワイヤーを撃こんで巻き戻す。

強烈な力に引かれて右に無理やり軌道を変える。

今度は邪魔されないようにDEでアリアをけん制した。

アリアはそれをかわす。

どうでもいいが、怖い!

すでに20メートルぐらい上空で俺はワイヤーの制動のみで飛び回っている。

落ちたら助かる高さじゃないぞ。

DEをしまい空中でガバメントのカートリッジを押しこんでから地上に落下する勢いをワイヤーで殺す。

右のワイヤーのみなので動きは制限される。

地上に降り息を吐きながら攻略手段を探る。

互いに銃を構えながら動かない。

ちくしょう、強いじゃないか。

アリアは小柄なだけに簡単に当てられる相手ではない。

じゃりっと砂を踏み、一歩動く。

接近戦に持ち込まれれば勝敗は明らかになる。

 

と、ここでアリアが先に動いた。

2丁拳銃から続けざまに2発

そして、風のようにこちらに突進してくる。

接近戦か!

俺はワイヤーで距離を稼ごうとと発射した瞬間、10発の銃声が響いた。

 

「なっ!」

 

なんとアリアは残弾を全てワイヤー先端の突起物に命中させたのだ。

計算が狂いワイヤーが失速し天井に届かない。

 

「終わりよ!」

 

ガバメントをホルスターに収めアリアは日本刀を抜き放つと一気に加速し。剣を振り下ろした。

 

「っそたれ!」

 

ギイインという音が響き渡る。

日本刀とガバメントがぎりぎりと押し合いになる。

銃をクロスさせてアリアの一撃を防いだので後が続かない。

嫌、俺は巻き戻っていたワイヤーを発射し右に飛ぶ。

押し合いの格好のまま撃ったので右にただ、飛んだだけだったが距離は稼げた。

と思って振り返った瞬間、アリアの日本刀が迫っていた。

足にワイヤーが巻かれてる。

くそ、準備してやがったな

俺はアリアを引っ張ってしまったらしい。

 

ガバメントを向けようとした瞬間

 

「そこまでだ糞ガキ共!」

 

蘭豹の制止の声。

見るとアリアの日本刀は俺の首に突き付けられている。

俺の・・・負けだ。

こいつやっぱり強い。

仮にアリアが敵になるなら殺すぐらいの気でいかないと負けるのは俺だろう。

改めてアリアの評価を高める俺だった。

だが、アリアは俺を見下ろしながら

 

「この程度なの?」

 

「え?」

 

なんだ? 何かアリアが悲しそうだぞ。

 

「私の見込み違いだったの・・・ 優?」

 

こうして、後悔を残した俺とアリアの一騎打ちは短いながらも俺の敗北で終わるのだった。

俺はアリアを失望させちまったんだ。

 


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