緋弾のアリアー緋弾を守るもの   作:草薙

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第05弾 前門にヤンデレ後門にツンデレ

たく、なんでこうなるんだ?

 

「ありえんだろあいつ」

 

「まあ、確かにな」

 

俺はキンジに相槌をうちつつ雑誌をめくっている。

お、このアクセサリーいいな。

ネットにあるかな?

 

「優はどうするんだ? あいつと組むのか?」

 

俺は顔をあげ

 

「んー、そうだな。 あの子面白い子じゃないか、組んでもいいかなって思ってる」

 

「じゃあ、お前らだけで組んでくれ。 俺を巻き込むな」

 

「そりゃ無理だろ? あの子、キンジと俺を両方とも奴隷にしたいらしいからな」

 

「なんでこんなことになったんだ・・・今日は最低な日だ」

 

「まあ、確かに最低な日だけどあの子に会ったのはなかなか刺激的かな?」

 

「優はアサルトなんだから知ってたんだろ?」

 

「いや、キンジも知ってる通りアサルトではワイヤー封印してるからSランクのアリアに目を向けてもらえることなかったよ」

 

「前から思ってたんだがなんでワイヤーを使わないんだ?」

 

「さあな?」

 

切り札はここぞと言う時まで隠しておくもんだと昔、俺は教えられた。

運が良ければ相手は過小評価してくれるかもしれないし切り札で戦況を変えることも可能かもしれない。

本来俺の戦闘スタイルはワイヤーで変幻自在に立ちまわり相手を圧倒することにある。

広い場所や狭すぎる場所は不利になるが広く、障害物が多い場所は俺の最高の戦場と言っていい。

 

「そろそろ戻るか?」

 

数十分ほど立ち読みしてからキンジが言った。

そうだな、コンビニで立ち読みも限界がある。

俺も雑誌を戻してキンジが律儀に1冊雑誌を買うのを見ながらコンビニを後にする。

 

「じゃあ、お先」

 

「あ! 優!」

 

キンジの声を無視して俺はワイヤーをキンジの部屋のベランダに絡めるとさっと巻き戻して一気に上昇する。

うーん、このワイヤーやっぱり便利だな。

装備科のあの子に感謝しないとな。

ベランダから部屋に入るがアリアの気配がない

まさか、帰ったのか?

なら、キンジが帰る前に風呂でも沸かして入ろうかな

そして、風呂の扉を開けた俺は死ぬほど後悔する。

 

ちゃぽん

 

風呂場から音がした

見れば曇りガラスの向こう側で電気がついている。

 

ちょっ!まじかよ!

焦って周りを見ると洗濯かごに制服と拳銃と日本刀が覗いていた。

そして、トランプ柄の・・・

こ、殺される! ここにいたら間違いなく殺される。

俺はそっとふろ場から出ると逃げるんだぁとばかりに玄関に忍び足で迫る。

丁度、そこにキンジが帰ってきた。

 

「おい! 優、俺より先に・・・」

 

「シー」

 

俺はキンジがドアを閉めたのを見てから武偵に通じる指信号で

 

アリア 風呂 危険と送った。

キンジ冷や汗をかきながらドアに手の伸ばしたその瞬間

 

・・・ピン、ポーン・・・

 

ありえん!ありえんだろこれは!この慎ましやかなチャイムは

 

(し、白雪だ!)

 

俺とキンジは指信号するまでもなく意思疎通した。

てんぱった俺はふらついてドアにごんと手を当ててしまう。

しまったぁ!

 

「き、キンちゃんどうしたの? 大丈夫?」

 

だめだもう、居留守は使えねえ!

諦めたようにキンジがドアを開くとそこには巫女装束の白雪が立っていた。

うーん、相変わらず美人だな

 

「あ、優君もいたんだ」

 

「あ、ああ」

 

かすれた声で俺は言う。

まずいぞこの状況は

 

「な、なんだよお前その格好は」

 

バスルームを見ながら言うキンジ、おい! 気づかれたらまずいぞ!

 

「あっ・・・これ、私授業で遅くなっちゃって・・・キンちゃんに御夕飯作って届けたかったから、着替えないで来ちゃったんだけど・・・い、嫌なら着替えてくるよっ」

 

「いや、別にいいから」

 

まあ、キンジがバニーガールになれとかいっても平気でやりそうな子だからな。

それが、正解だ。

白雪は超能力捜査研究科という学科に所属しているが俺もよくあそこはわからん。

白雪は優等生らしいんだが超能力って電気でも飛ばすのか?

 

「ねえ、キンちゃん、朝出てた自転車爆破事件の周知メールってキンちゃんのこと?」

 

おい、白雪さんおれもいたんですよ。 相変わらずキンジ一筋かよ。

くそう、DEで撃ち抜いてやろうか幸せ者め

 

「あ、ああ俺だよ」

 

おお、キンジが白雪が10センチ飛び上がったぞ。

ワイヤーもないのにな

 

「だ、大丈夫? 怪我とかなかった? 手当てさせて」

 

「俺は大丈夫だから触んな」

 

「は、はい、でもよかったぁ無事で。それにしても許せないキンちゃんを狙うなんて! 私絶対犯人を八つ裂きにしてコンクリ・・・じゃない、逮捕するよ」

 

こ、こえええ。駄目だこの子だけは絶対に敵にしないようにしないと東京湾に沈められる。

 

「し、白雪! 大丈夫だってここでは日常茶飯事のことだろ? この話は終わろう」

 

俺は慌てて言う。

 

「は、はい、えっと・・・はい」

 

ふぅ、キンジの前だとすぐ聞く子だよなぁ

アリアにも見習ってほしいよ本当に。

素直なアリアか・・・

 

『優ごめんなさい』

 

アリアが可愛く謝るのを想像してみたがだめだ、想像できん

 

「でも、今夜のキンちゃん達少し変だよ」

 

「へ、変? どの辺が?」

 

キンジぃ!冷静になれ!

 

「なんかいつもより冷たい気が・・・」

 

「し、白雪すまん! 俺達ゲームしててさ。 いいとこなんだ。 それで早くゲームに戻りたくてさ」

 

「ゲーム?」

 

俺の言い訳に白雪は首を傾げたが納得してくれたようだった。

 

「じゃあ、これ」

 

白雪がもじもじと持っていた包みを渡してくる。

 

「筍ごはん作ったの、今旬だし、それに私明日から今度は恐山に合宿でキンちゃんの御飯作ってあげられないから」

 

「ああ、ありがとありがと、よし、用事は済んださあ、帰ろうな」

 

ぐあああ筍かよ! まあ、キンジ中心だからしかたねえな

 

「い、一日に2食も作っちゃうなんて、 な、なんか私お嫁さんみたいだね・・・って何言ってるんだろ私。 あは、あはは変だね。 うん。 キンちゃんどう思う?」

 

「わ、分かったからお引き取りください白雪さん」

 

「分かったって・・・それはつまりキンちゃんお嫁・・・」

 

おいキンジ! やばいぞ今後ろで水の音がしたぞ!アリアが出てくる!

 

「? 中に誰かいるの?」

 

やばい!やばいぞ!

 

「中に誰もいませんよ」

 

なんで敬語なんだ! ばれるだろ馬鹿キンジ!

 

「キンちゃん? 優君? 私に何か隠してることない?」

 

「「ないない!」」

 

2人ではもる。

ばれるって!

 

「そう、よかった」

 

ようやく白雪が背を向けて帰っていく。

ふぅ、白雪でよかった。

よし!

俺とキンジはがっつポーズしつつ風呂場に走る。

次は後門の狼をなんとかしなければ

風呂の途中に帰ってきたのがばれたら殺される。

武器を没収しとこう

後に考えればさっさと外に逃げればよかったのだが俺達は余裕がなかった。

風呂に駆け込みアリアの制服が入ったかごに手を突っ込んだ瞬間、風呂場のドアが開いた。

 

一瞬、俺とキンジとアリアは目を合わせ沈黙時は止まる。

ああ、いいにおいがするなと場違いに考える俺とたぶんキンジ

ツインテールをほどいてロングヘアーになっていた全身つるぺたなアリアは

 

「へ、変態!」

 

ばっと右手で胸を左手でお腹の下を隠した。

 

そして、俺たちの手が制服に突っ込まれてるのを見て鳥肌をたてている。

やばい! 弁解しないとまずいぞ!

 

「「ち、ちが!」」

 

キンジと同時に弁解しようと手をあげるが

キンジの手にした日本刀の鞘にパンツ

俺の手にしたホルスターにブラが

小さなトランプのマークがいっぱいプリントされた子供っぽい・・・

 

「死ねぇ!」

 

キンジが腹を蹴り飛ばされたのをみて俺は死の恐怖を感じて転げるように逃げようとリビングに飛び出した。

 

「逃がすか! ど変態!」

 

素っ裸のまま、飛び出してきたアリアは俺がワイヤーで窓から逃げるより先に股間をけり上げてきた。

悲鳴をあげて俺は意識を失った。

神よ、俺何かしたのか?

 


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