緋弾のアリアー緋弾を守るもの   作:草薙

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第54弾 大人気理子ちゃん

武偵少年法により犯罪を起こした武偵の情報の公開は禁止されている。

その情報のやりとりは武偵同士でも禁止されており、知れるのは1部の司法機関や公安0課といった特別な部門のみ。

これは、明らかな悪法なんだが改善されることはないだろう。

道徳的な問題とか言うんだがよくわからん・・・

まあ、だからこそ理子がハイジャックの犯人だとは俺たちは誰にも言ってないんだ。

 

「たっだいまぁっ!」

 

いきなり、ひらひらの改造制服で2-Aに現れた理子に教室はわーっ! と盛り上がった。

どうやら、理子は極秘調査でアメリカに行っていたということになっているらしい・・・

手回しいいよな・・・

俺には無理だ。

 

「みんな久しぶり! りこりんが帰ってきたよ!」

 

教壇にあがってくるくる回った理子の周りにクラスメイトたちが集まっていく。

どうでもいいが、後でキンジに聞いたところ、理子に駆け寄った順がクラスのアホランキング上位と言うわけだ。

りこりん!りこりん!と腕を振り回している奴らもいる。

ハハハ、まあ理子はかわいいから気持ちはわからなくはないんだがな・・・

 

「理子ちゃんおかえり! あ、これなに?」

 

「えへへ、シーズン感とりいれてみました」

 

理子は赤ランドセルの側面にてるてるぼうずを吊り下げている。

女子にはかわいいとおおうけだ。

理子は人気ものだからな・・・

俺も社交性はキンジよりはいいと思うが理子にはかなわん・・・

戦闘狂モードでも絶対に理子には勝てないなあのおばかきゃらには・・・

最近俺はハーレム野郎とか言われてるらしいがなんでだろう?

俺、恋人いないんですけど・・・

 

「くふっ、キー君もユーユーもおいでよ」

 

理子が手招きしてきたので俺はふんと目を背けてやった。

キンジも同様だ。

ばきっと音がしたので隣を見るとアリアが机に突っ伏して鉛筆をへし折っていた。

気持ちはわかるが落ち着くんだアリア!

約束もあるんだからな・・・

 

 

 

 

 

で、放課後帰宅した俺たちは・・・

 

「あー腹たつ、あむ」

 

「まったくだ」

 

「理子にはいずれおしおきが必要ねはむ」

 

「おう、やれやっちまえ」

 

「そして、はむ、はむぅ、風穴地獄にはむ」

 

「なんかすごそうな地獄だがそのへんにしておけアリア。 腹壊すぞ」

 

「うるふぁい」

 

ばくばくとももまんを食べていくアリアにキンジが注意するが無駄だ。

アリアが空になった紙袋を後ろに捨ててしまう。

ゴミ箱横にあるだろ・・・

 

「でも、理子先輩人気ありますよね」

 

ぎろりとアリアに睨まれたマリが1歩引く

 

「理子先輩? 峰先輩じゃなくてか?」

 

俺が聞くとマリははいとうなずきながら

 

「理子先輩がそう呼んでくれって言ってましたよ。 りこりん先輩でもいいって行ってましたけど・・・それはそうとそろそろ椎名先輩も優先輩と・・・」

 

「で、いいのかお前は? 理子は俺たちに盗みの片棒を担がせる気だぞ」

 

マリを遮るように俺が言う。

 

ま、ことの経緯はこうなるんだが

 

 

 

 

 

 

「ドロボーしようよ」

 

理子の言葉にアリアとキンジが何も言わないので俺は面白そうに

 

「いいぜ」

 

「優!」

 

なに考えてるのよとアリアに睨まれるが俺は続ける。

 

「その代わり条件がある」

 

「うん、いいよ。 なんでも言ってユーユー」

 

「1つは俺はあるクエスト受けようとしてるんだ。 お前も参加しろ」

 

理子は一瞬考えてから

 

「期間はどれくらい?」

 

「最高1週間の護衛任務だ。 アリアとキンジ、レキと俺は参加確定済みだ」

 

理子は小悪魔めいた笑を浮かべて

 

「くふ、なら丁度いいかも」

 

ちょうどいい? 何がだ?

 

「いいよ。 次の条件は?」

 

「ローズマリーだ」

 

言葉に怒りを込めて俺は言った。

 

「ローズマリーの情報を全てよこせ。 あいつはジャンヌの知り合いだった。 イ ウーにいるんだろ?」

 

「いいよぉ。 理子が宝物取り戻したら全部話して上げる」

 

「先には話してくれないのか?」

 

「理子はユーユーのクエストを受けるよ。 全部ユーユーが先手は卑怯じゃないかな?」

 

むぅ、そう言われると確かにそうだ・・・

アリアの護衛の観点から言ってもブラドとはいずれぶつかる相手・・・か

 

「OKだ。 理子、その条件でいこう」

 

もちろん、その後アリアはわめいたが理子がかなえさんの裁判で証言すると確約してくれたのでしぶしぶだが納得してくれた。

 

で、今に至るんだが・・・

 

「良くないに決まってるでしょ。 リュパン家の人間と組むなんてホームズ家始まって以来の不祥事よ。 けど、今は状況が状況よ」

 

「それは結構だけどな。 前科一犯がつくんだぞ? まぁ武偵なんてそのへんがきれいな奴なんて少数派だけどな・・・それも覚悟の上か?」

 

俺は・・・今更だけどな・・・

俺は・・・過去に大罪を犯している・・・

椎名の力で闇にほおむられたがあれは・・・

 

「ああ・・・そこは心配しなくていいのよ。 これは犯罪にはなりえないわ」

 

 

「・・・なんでだよ?」

 

「理子の言ってたブラドって奴はイ ウーのナンバー2―相手がイ ウーなら法律の外。 仮に窃盗罪で起訴されても逮捕されないわ」

 

「アリア・・・」

 

俺はアリアの言葉を遮るように口を出す。

 

「俺はローズマリーを追っている。 あいつはイ ウーにいる。 それはこの間のジャンヌとの戦いで確信したんだ」

 

アリアはわずかに目を開いてから

 

「優、教えてもらえないの? ローズマリーのこと?」

 

アリアの言葉に俺は憎悪の感情を増幅させる。

手にもっていたガラスのコップを握力で握りつぶした。

 

「アリア達には関係ない」

 

「あるわ」

 

「何?」

 

「ローズマリーもあたしのママに数百年の免罪をきせている。 だから、無関係じゃないわ」

 

なんてこった。

ローズマリーもかなえさんの・・・

だがそれでも・・・

 

「かなえさんの無罪は・・・少なくてもローズマリーの分は俺が責任を持つ。 だけどな・・・

あいつのことは言えないんだ」

 

言える訳がない。

言いたくないんだ。

 


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