緋弾のアリアー緋弾を守るもの   作:草薙

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第51弾 ツンデレ強襲!?

戦場のような1日が終わり、朝の5時俺は朝特有の気持ちいい空気を吸いながら看板裏の前に来ていた。

手にもっているのは木の箱である。

木箱を開けると中にあったのは日本刀。

それなりの業物であるがこれまで使用することは皆無だった。

先日のローズマリーの戦いで剣術の解放の必要性を認識させられた。

だが、こいつは単に隠していた切り札ではない。

ドクンドクンと心臓が高鳴る。

右手をそっと柄に近づけて・・・

 

「だーれだ」

 

いや、お前の声は特徴的すぎるからな

 

「アリアだろ」

 

視界を手で塞がれている状態から開放されると予想通りアリアが防弾制服を着て立っていた。

 

「自主的に朝練なんて感心感心」

 

アリアは嬉しそうに言うと木箱に目を向ける。

 

「それ小太刀じゃないわね」

 

「ああ、大刀だよ。 お前も見ただろ? 俺はこいつを使えないんだ」

 

技1発分は持ったがあの光景を思い出してしまえば吐き気が体を襲う。

 

「1度聞いてみたいと思ってたのよ」

 

「なんだよ? 切り札なら明かす気はないからな」

 

「違うわ。 ローズマリーの時にあんた言ってたわよね。 飛流、そんな流派日本には存在しない」

 

「・・・」

 

続けてアリアが調べたのか言う。

 

「あたし考えたの。 優のその剣術は代々受け継がれてきた剣術なんじゃないかって・・・つまり、あんたは誰かを先祖に持つ??世なんじゃない?」

するどいな・・・

 

「でも、おかしいのよね。 椎名なんて剣豪は過去をさかのぼっても存在しない。 本当になにものなの優は?」

 

「さあな? 宮本武蔵とか佐々木小次郎とかじゃねえの?先祖」

 

「ないわね。 あの2人の流派は全く違うわ。 それに、子孫もいるわ」

 

いるのかよ。

まあ、それはそれとして

 

「いずれにせよ。 今は語る気はないんだよ」

 

調べられたくない。

俺が椎名の家を話せばあのことをアリアに知られてしまう。

いやなんだ・・・あれを・・・あのことをこの子に知られてしまうのは・・・

関係が壊れてしまうかもしれない・・・

だから・・・

 

「話は終わりだ。 俺は訓練して帰るから帰れよ」

 

アリアはまだ、不満そうにしていたが

いいこと思いついたというように

 

「その剣を握って使えるようにするんでしょ? なら、相手も必要よね」

 

そう言いながら小太刀を抜く。

 

「行くわよ!」

 

「ちょっ!」

 

弾丸のように突進してきたアリアの小太刀を日本刀で受ける。

アリアは左の小太刀を俺の脇腹に向かい振るうが鞘を抜いてそれを受ける。

ぎりぎりと力比べをしながら俺は押し返した。

パワーは俺が上だ。

たんたんと軽いステップで後退したアリアに追撃をかけるべく地面をけろうとした瞬間、視界がブラックアウト、いや、赤い・・・赤い・・・あの・・・

 

「う・・・」

 

「優!」

 

がしゃんと剣と鞘を取り落とす。

手を地面につけ俺は再び嘔吐する。

 

「げほ・・うえ」

 

「優! 大丈夫なの! 優!」

 

アリアは慌てて走りよってくると俺の背をさすってくれた。

 

「震えてるの?」

 

「い、いやなんでもねえよ」

 

無理やり立ち上がると日本刀を見る。

ダメなんだ・・・今は・・・

 

その後、アリアと30分ほど訓練を続けたがついに俺が、日本刀を持ち続けることは叶わなかった。

 

 

 

 

 

 

 

「金がない・・・」

 

その日、俺は比較的暇な時間帯に中華料理屋『炎』に来ていた。

がらがらの店内で俺はテーブルに通帳を広げ唸っていた。

 

「うちの店でバイトでもしますかお兄さん?」

 

目の前に座っているアリスが通帳を勝手に見ながら言ってくる。

 

「いや、バイトでどうにかなる金額じゃねえんだよ・・・支払い今月までだからな」

 

「ほほぅ、つまりお兄さんはついに臓器を売ってしまうわけですね」

 

「まじでそうなりかねん・・・」

 

「おお、冗談でいったんですがそれは深刻ですねぇ」

 

アリスが少し引き気味にノートパソコンを開く。

おい、お前仕事中だろ! いいのかよ!

店の店主を見るが何も言わない。

大丈夫かこの店?

まあ、忙しい時はアリスはよく働いているのは知ってるが・・・

 

「アリスは金に困ってないのか?」

 

「ん~、私ですかぁ?」

アリスが顔を上げて、にやぁと口元を緩める。

 

「貯金が5000万ほどならありますよぉ」

 

「貸してください!」

 

恥も外聞もなく俺は頭を下げていた。

アリスは悪魔のようににこりと微笑み

 

「じゃあ、利子は十 九で」

 

「ありえねえよ! ヤクザに金借りたほうがましだろその利子!」

 

「では、10 10で」

 

「増えてるじゃねえか! しかも、返済倍かよ!」

 

「しょうがないですねぇ・・・お金を貸すのはいいんですがこのクエストやったらどうですかお兄さん?」

 

アリスがノートパソコンを逆転させるとそこにはマスターズが掲示するクエストの依頼がは乗っていた。

 

「なになに?」

 

内容 3~7日護衛

 

クエストランク A

 

募集 アサルト、インケスタ、レザド、スナイプ、レピア等最低5名最大7名

 

単位 0.5単位

 

報酬 各100万

 

こいつだ!

 

「さっそく人集めだな! サンキューアリス!」

 

がたんと立ち上がろうとした俺の防弾制服の上着をアリスがつかんでくる。

 

「なんだよアリス?」

 

「いえいえ、まさかお兄さん水だけで出て行く気ですか? ここは、お持ち帰りでこのチャーハンをお買い上げください」

 

「!!!!!!!!!!!!!!!」

 

こうして、俺の財布から380円が去っていったのだった。

アリス商売根性たくましいぜ。

医者の卵のくせに

 

 

 

 

 

次の日、アリアたちに話す前に情報を整理してから俺は学校にいた。

マスターズに連絡する前にまず、人を集めねば・・・

うーむ・・・

そうだ!

屋上に走る。

鋼鉄のドアを開くとそこにいたのは・・・

 

「レキ!」

 

最近、よくここにいることの多いスナイプのロボットレキことレキ、

苗字は本人も知らないらしい。

レキはその、無表情な顔を俺に向けてくる。

ドラグノフ狙撃銃を肩にかけ、オレンジ色のヘッドホンを付けるいつもの姿で

 

「今、大丈夫か?」

 

「・・・」

 

レキはこくりと頷いた。

俺はさっそく、護衛の件を持ちかけてみる。

レキとは白雪の護衛を担当したばかりで少しだけ一緒に暮らしたから慣れもある。

 

「・・・」

 

レキは空を見上げ何かを考えているように見えたが

 

「わかりました」

 

とだけ簡潔に答えた。

よし! 

 

「じゃあ、後で連絡する! 俺は人数集めしてるからまた後でな!」

 

「・・・」

 

こくりとレキが頷くのを見てから俺はその日いろいろなところを駆け巡る。

教室でアリアとキンジを見つけると早速、持ちかけてみる。

 

「護衛?」

 

眠そうに座っているアリアを中央に俺たちは話をしている。

ちなみに席はアリアを挟んで黒板側から見て右に俺、左にキンジだ。

今は来てないがキンジの後ろは武藤の席だ。

 

「ああ、高額で単位も0.5でるぞ」

 

「そんなにでるのか?」

 

よしよし、キンジが食いついてきたぞ。

お前、単位不足だからな。

 

「ああ、アリアもやろうぜ? 俺たちチームだろ?」

 

「あたしは別に構わないけど・・・」

 

よし、承諾はとった!

 

「じゃあ、キンジ、アリア! 決定な!」

 

これで4人だ。

後、最低1人・・・

マリが思い浮かんだが却下だ。

今回はダギュラ向きじゃない。

武藤か不知火辺をさそうか・・・

その放課後、2人に聞いてみたところ、不知火は別のクエストが入っており武藤は妹と用事があるとのことで断られてしまった。

放課後に結構、聞いて回ったんだがみんな駄目の1店張りでもう、諦めるべきか・・・と思っていた。

一応、マスターズには今日の0時までに申請すればOKと言われていたがダメかもしれん。

ちなみに白雪はSSRの合宿で居ないから最初から選択肢にない。

一瞬、アリスが浮かんだがあいつはアンビュラスだし、あの場でうけると言わなかった以上受ける気はないだろう。

護衛には向かないが医者が入れば助かるんだがな・・・

 

「ああ、理子でもいてくれたら誘うんだけどな・・・」

 

乗りのいい理子なら案外OKと言ってくれるかも知れんがその理子はハイジャック事件から身をくらませている。

ま、もう敵としてしか会うことはないだろう。

半分、諦めながらキンジの寮に戻りドアを開けるが中に人の気配はなかった。

誰も帰ってないのか?

よし、なら1番風呂と洒落込むか。

お湯を張ってから衣類を手に個室を出ようとして日本刀に手をつけようとしてやめる。

怖い・・・

そういう感情が正しいんだろ・・・

 

「情けねえな・・・」

 

本当に情けねえよ・・・

 

 

 

 

 

 

 

風呂は天国とはよく言ったもんだ。

 

「ああーー」

 

オヤジのような声を上げながら湯船につかる。

ちなみに45度だ。

男は暑い風呂に限る。

アリアはこの温度だと激怒するけどな。

周りを見るとアリアのものと思われるシャンプーやリンスが置いてある。

よく知らんが外国の超有名な高級メーカーだった気がする。

俺やキンジが使ったら風穴開けられる。

俺たちが使うのは500円ぐらいまでだな

 

「アリアか・・・」

 

あの子とあってからまだ、そんなに日にちはたっていないが理子、ジャンヌ、ローズマリー、敵はどんどん強くなってきている。

守れるのだろうか・・・アリアを・・・

そう考えれば考えるほど俺は過去を思い出してしまう。

嫌な・・・あの、赤い過去を・・・

 

「ただいま」

 

ん? アリアが帰ってきたらしいな。 あのアニメ声は間違いない。

 

ガチャリ

へっ?

今、浴室に続くドアが空いたような・・・

 

「優? キンジ? お風呂入ってるの?」

 

ドアの向こうにぼんやりと浮かんだシルエットは間違いなくアリアだ。

ツインテールが影になって扉に写っている。

 

「悪い。 先に入ってる。 もうちょういででるから・・・」

 

「じゃ、あたしも入っちゃお」

 

「ああ、ってなにいいいいいいいい!」

 

ドアの向こうのアリアの影がいきなり服を脱ぎ出す動作を始める。

 

「ま、待て! アリア! 俺が入ってるんだぞ!」

 

「知ってるわ。 だから一緒に入るのよ」

 

何が知ってるだ!一体どういうことだ! 誰か説明してくれ!

だが、説明してくれる人など居るはずがない。

そうこうしているうちにアリアがついに下着のあれを抜いだような動作を影で見せてきた。

風呂場に脱出口は1つだけ、アリアがいる脱衣所だけだ。

つまり、逃げられない。

まずいぞ! 史上最悪の大ピンチだ! ジャンヌや理子との戦いなんて比にならん!

 

「入るわよ優」

 

恥ずかしそうな声でドアに手をかけるアリア

ど、どうなるんだよこれ!

 


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