緋弾のアリアー緋弾を守るもの   作:草薙

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第48弾封じられた切り札

最悪だ。

青い炎を纏う大剣を持つローズマリーに白雪は冷や汗を書いている。

 

「形勢逆転だな星伽」

 

ジャンヌが面白そうに言った。

 

「くっ・・・」

 

白雪は剣を構えるが先に踏み出せない。

1対2では片方を相手にした瞬間、背中から切れられる。

 

「キンジ、アリア・・・」

 

俺たちも援護しようと言おうとした時だった。

ローズマリーが俺たちを・・・いや、俺はを見る。

 

「優希、あなたに一騎討ちを申込みますの。 受けていただけるのでしたらあなた以外には私は手出ししないことをお約束しますわ」

 

「何?」

 

一騎打ちだと? それは望むところだ。

お前は俺が絶対に逮捕する。

 

「いいぜ。 ローズマリー! キンジ、アリア! 白雪! こいつに手を出すな! こいつは俺が倒す!」

 

1歩前に出る。

ローズマリーはにこりと微笑むと

 

「ジャンヌ、そちらの戦いには干渉いたしませんわ。 どうぞ続けてくださいまし」

 

「ふん、そうさせてもらおう」

 

白雪とジャンヌが再び切り結ぶ。

記憶が・・・正しいのならこいつは・・・ローズマリーは真正の化け物だ。

 

「アリア」

 

「え?」

 

いきなり呼ばれたので目を俺に向けてくるアリア

こいつには新たな切り札がいる。

 

「小太刀を貸してくれ」

 

アリアのカメリアの目が大きく見開かれる。

 

「優、あんた、剣士なの?」

 

「ま。実家が実家だからな。 銃と同時に使えるんだよ」

 

使えるよな俺・・・

あれから何年も立ってるんだ。

使ってみせろ。

 

「つくづく、底がしれないわねあんたは」

 

「悪い」

 

アリアから1本小太刀を受け取る。

鞘をつかんでも違和感はない。

いけるな。

 

「それでよろしいんですの?」

 

ローズマリーが聞いてくる。

 

「ああ、お前と戦えると思うと嬉しいぜ」

 

「私もですの。 では、食べ頃か見極めさせてもらいますわ」

 

ローズマリーが大剣を構える。

俺は小太刀を俺は鞘に収めると右腰に添えると腰を低く構える。

 

「・・・」

 

「・・・」

 

一瞬の沈黙。

それが終わった瞬間、ローズマリーが地を蹴る。

一瞬、遅れて俺が手に力を込める。

 

「飛龍1式! 風凪!」

 

その速度は神速。

高速の居合。

鞘から抜き放たれた小太刀は音速に迫る。

 

「ふふ」

 

それをローズマリーは微笑みながら大剣で受け止める。

炎は使わない。

俺は剣を引き戻すと再び剣を鞘に収める。

 

「風凪・・・椎名の剣術ですのね。 小太刀では本来の力を発揮できませんの」

 

「みたいだな・・・」

 

正直小太刀で戦うのは初めてだ。

威力が従来の力ではない。

なら、別の選択肢も存在する。

一撃で沈める。

剣を構え殺気をこくしていく。こいつは、なるべくやりたくないんだが……

だが、こいつはそれを使わないと勝てない。

 

右手に力を込める。

その時だった。

俺の脳裏にあの時の光景が蘇る。

赤い・・・赤い・・・赤い・・・ただ、赤いだけのその色の中、血に染まった剣を手に笑う子供の・・・

 

「う・・・」

 

剣を落とし俺は口を抑えて嘔吐する。

敵の眼前にもかかわらず。

 

「げほ・・・おえ・・・」

 

それをローズマリーはつまらなさそうに見ている。

 

「まだ、克服出来ていませんの優希? 食べごろじゃありませんのね」

 

ローズマリーはそう言うと背を向ける。

 

「ま、待て!」

嘔吐した口を拭いながら呼び止めるがローズマリーは止まらない。

こつこつと歩きながら

 

「優希、次は克服してくださいまし。 できなければあなたは大切なものを失いますの」

 

影がローズマリーを侵食していく。

逃がすか・・・逃がすかよ

ガバメントを構えるとフルオートを射撃。

中身は全て銀弾だ。

全てが命中したかに思えたが

ローズマリーはくすくすと笑うだけだ。

 

「さようなら優希、私の騎士様」

 

闇がローズマリーを包みその姿を完全にかき消した。

 

「くそ!」

 

俺はそれを見て床に拳を打ち付けることしかできなかったんだ。

 


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