緋弾のアリアー緋弾を守るもの   作:草薙

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第43弾優希VSデュランダル

黒衣の襲撃者が何かを投げる。

的外れだ!

足元に突き刺さるそれはヤタガンと呼ばれるフランスの銃剣だ。

猛烈に嫌な予感がし後ろに飛ぼうとした瞬間、左足がぐんとすいつけられるように動かなかった。

何かの薬品か?

敵が接近してくる。

俺は即座に左の靴を脱ぎ捨てると右にデザートイーグル、左にガバメントを構える。

両者とも3点バーストで6連射する。

 

「無駄だ」

 

初めて聞いた黒衣の襲撃者の声は女性のもの。

ぶんとマントを振ると防弾マントに吸い込まれた銃弾はカチンカチンと音を立てて床に落ちる。

 

「どうした椎名? リュパンに聞いたお前はもっと強いはずだぞ?」

 

「お前、理子の知り合いか?」

 

チャンスだ。

薄暗い闇のなかで黙祷を開始する。

 

「お前のことはリュパンに聞いている。 ゆえに・・・」

 

地を蹴る音とともに俺はワイヤーで上部に飛び上がった。

一瞬、遅れて剣が俺がいた空間を薙ぎ払う。

 

「戦闘狂モードにはさせん」

 

黒衣の女は振りかぶるようにヤタガンを投げつけてくる。

左のワイヤーで機動を変えて床に着地し走りながらガバメントを構えた瞬間、右腕に激痛が走った。

 

「っ・・・」

 

見ると右手の一部が避けており血が溢れている。

ピアノ線か・・・

 

「気を付けたほうがいいぞ椎名うかつに逃げ回ればピアノ線で死ぬかもしれんな」

 

なるほど・・・事前準備をしていたのか・・・

 

「お前は特に危険だとリュパンに念を押されたのでな。 ここで死んでもらおう。 だが、もう一つイ ウーにくるという選択肢も存在する」

 

「ふん、それは犯罪者になれってことだろ? お断りだ」

 

「ワイヤーは封じた。 接近戦ならばこちらに部がある」

 

アルカタか・・・だが、脳が警告を発している。

あいつと接近戦をやるのは危険だと。

だがやるしかないよな・・・

口元に笑を作り地を蹴る。

 

もとより、接近戦を望んでいたのだろう。

黒衣の女も滑るように接近してくる。

右に振りかぶった剣をしゃがんで交わすと右のデザートイーグルを撃とうとした瞬間、マントの中からヤタガンが振りかぶられデザートイーグルと激突する。

ぎりぎり押し合いながら左のガバメントを構えた瞬間右手がひんやりとしたかと思うとぱきぱきと氷始めた。

慌ててデザートイーグルを離そうとするが離れない。

 

「捕まえたぞ」

 

女の声が響く。

くそ!

 

ガバメントを撃とうとしたが引き戻された日本刀と激突し手から吹っ飛ぶ。

 

「しまっ」

 

離れようにも氷が右手を固定してしまっている。

右のホルスターからもう1丁のガバメントを取り出そうとするが

 

「遅い!」

 

同じように左手が黒衣の女に掴まれてしまう。

パキパキと音を立てて氷が右手と左手を被っていく。

まずい!洒落にならんぞこの状況は

 

「このまま心臓まで凍らせてやろう」

 

「お、お断りだクソやろう!」

 

右足を相手に叩き込む。

敵が愚かなと言うような感じがしたがブーツは氷に侵食されることなく黒衣の女の腹にめり込んだ。

 

「ぐふ・・・」

 

ヤタガンを離したのを見て後ろに跳躍して距離をとる。

腕を振りかぶって氷を地面に叩きつけた。

がしゃああんと言う音を立てて氷が砕けちる。

手の感覚が全くない。

凍傷にでもかかった感じだ。

 

「ぐっ・・・椎名そのブーツは・・・」

 

「気づいたか? こいつの内面は銀製だ。 対ステルス用のな」

 

なるべく余裕を持つように俺は言う。

馬鹿高いので手までは用意できなかったが切り札でなんとか皮一枚つないだ。

だが、このままでは勝てない。

手が使えず銃ももう、使えない。

そんな状況で頼りになるのは1つ。

手が動かなくても腕は動く。

なら、選択肢は1つしかない。

戦闘狂モードでなくてもあの切り札は使えるはずだ。

そのためには

 

「見せてやるぜデュランダルさんよ」

 

「!?」

 

デュランダルが警戒したように後ずさる。

戦闘狂モードになれば戦闘力が上昇する。

別の知らない方法でなったと思ったのだろう。

そう、これは演技。

一代の芝居だ。

 

「おら! いくぜ!」

 

再び接近戦を挑む。

 

「愚かだな椎名! いかに戦闘狂とはいえもう、手は使えんだろう?」

 

足技を警戒しているのか下に意識を集中させているらしいデュランダルは突きを放ってきた。

剣の戦いは慣れている。

それを交わし懐にもぐりこむとヤタガンがマントの中から振るわれる。

ガアアアンと右手のワイヤーの筒と激突する。

パキパキと氷を作りながら

 

「ふ、フフフ、先ほどと同じじゃないか?」

 

「いーやー?違うなデュランダル」

 

不敵に笑った俺を見て何かあると感じたのだろう。

だが、もう遅い

 

至近距離から右腕、左腕 右腰 左腰 右足 左足同時にワイヤーがと飛び出しデュランダルに激突した。

補足しておくとこのワイヤーは鉄ぐらいなら軽くめり込むぐらいの威力を持つ。

今回、右手以外の先端に付けてきたのは銀の玉だ。

 

「フルバースト」

 

デュランダルがぶっ飛ばされ壁に叩きつけられた。

そのまま、ずるずると崩れ落ちて動かなくなる。

それを見て俺は息を吐きながら勝利宣言をする。

 

「切り札2つめ。 俺を甘く見すぎだろデュランダル」

 

やれやれ、これで事件解決だ。

白雪を見つけてな

 


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