緋弾のアリアー緋弾を守るもの   作:草薙

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第03弾Sランク以上のクエスト

さすがの俺も目が点になったぞ。

キンジも目が点になってるし。

だって、いきなり奴隷になれだぞ? ありえないって

 

「ほら! さっさと飲み物ぐらいだしなさいよ! 無礼な奴ね!」

 

その宣告をしたアリアはぽすっとソファーに座ってしまう。

 

「コーヒー! エスプレッソ・ルンゴ・ドッピオ! 砂糖はカンナ! 1分以内!」

 

すみませんエスプレッソまでしかわかりません。

心の中で俺は謝ると目でこいつ簡単に諦める感じじゃねえぞとキンジにアイコンタクトをとる。

彼もそれを承知してかインスタントコーヒーをアリアに出した。

 

アリアは不思議そうにコ―ヒの匂いを嗅いだりしてから

 

「これ本当にコーヒー?」

 

「それしかないんだからありがたく飲めよ」

 

「変な味、ギリシャコ―ヒに似てるけどちょっと違う」

 

駄目だそれすら俺知らねえぞ。

コーヒーってインスタント以外にもあることは知ってたが名前が全く分からん。

と、インスタントコーヒーを飲んでコーヒー好きとか思っていた過去の自分を殴り飛ばしながら俺はコーヒーをすすった。

 

「今朝助けてくれたことには感謝してる。 それにその・・・お前を怒らせるようなことを言ってしまったのは謝る。 でもなんでだからってここに押し掛けてくる?」

 

アリアは目だけをキンジに向け

 

「分からないの?」

 

「分かるかよ!」

 

いらだった様子で言うキンジ

ああ、なんとなくだけど俺はわかった。

まあ、あの状態のキンジ見たらな。

面白いから黙ってよ。

 

「優も分からない?」

 

今度はアリアは俺に目を向けてきた。

なんというか猫を印象させる子だなこの子。

 

「さあ? 俺馬鹿だし」

 

「あんたたちならすぐわかると思ったのに。 んー、そのうち思い当たるでしょ、まあいいわ」

 

よくねえ!

キンジと俺は心の中で同時に叫んだ。

 

「おなかすいた」

 

そして、盛大に話題を変えやがったぞ

あ、なんかそのソファーの手すりにもたれかかるしぐさかわいいな。

キンジ大丈夫かな?

見るとキンジは顔を赤くして顔をそらしている。

 

「なんか食べ物はないの?」

 

「ねーよ」

 

「ああ、おにぎりならあるぞ」

 

俺が言うとアリアが考え込むしぐさを取った。

 

「おにぎり?」

 

「まあ、賞味期限昨日切れだがまだ・・・」

 

「風穴あけられたいの?」

 

「すみません」

 

俺は素直に謝る。

確かに女の子に賞味期限切れを進めるのはどうかと思う。

あれ、レキのせいで食べ損ねた残りものだしな。

 

「じゃあ、コンビニに買いに行くかキンジ」

 

いつも俺達はそこで飯を買っている。

まあ、泊りに来た時だけだけど

 

「こんびに? ああ、あの小さなスーパーのことね。 じゃあ、行きましょう」

 

「じゃあってなんでじゃあなんだよ」

 

「馬鹿ね食べ物を買いに行くのよもう、夕食の時間でしょ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夕日が落ちて行き電気の光だけが頼りの世界になるこの時刻、俺はキンジの寮の屋上にいた。

焼肉弁当がなければ任せる。 ただし、キノコ関連はやめてくれと言ってからキンジと別れて屋上に来たのである。

風に当たりたかったのもあるがなんか今日はいろいろありすぎた。

チャリジャックにあったり、奴隷にされたりとか・・・

 

「はー、結局、徹底的に巻き込まれてるじゃないか俺」

 

アリアがあんなことを言うのはおそらく何か理由があるのだろう。

理由教えてくれたら手伝うかもしれないのに。

 

ピロロロロ

 

ん? メールか?

俺は携帯電話を取り出すとメールを開いた。

 

「なんじゃこりゃ?」

 

差出人は不明。メアドはあるがめちゃくちゃな文字列だ。

タイトルはSランク以上クエストの依頼

開いてみると電話番号と一緒に何か書いてあった。

 

『君の近くにいる人が君の知らない所で死ぬのが嫌なら』

 

とだけあった。

なんだこれは?

電話しろということか?

普段なら無視するところだが今日はいろいろありすぎている。

これもまた、重大な局面なんじゃないか?

電話しなければ俺の知る誰かが俺の知らない場所で死ぬ。

冗談じゃないぞくそったれ

 

ピっと電話番号を押し発信ボタンを押しこむ

コール音が3回し接続の音が耳を鳴らす。

 

「誰だお前は? どうして俺のメアドを知っている?」

 

「椎名 優希・・・」

 

変えられたものだろうその声は機械的、朝の乗り物と同種かと思ったがこんな音誰でも作れることから頭の端に追いやる。

 

「君に依頼を頼みたい」

 

「クエストか? そんなもの学校を通じて言えよ。 俺より優秀な人間が対処してくれるさ」

 

「君の近くにいる人が君の知らない所で死ぬのが嫌ならこの依頼を受けなくてはならない」

 

脅迫かよ

舌打ちしながら

 

「内容による。 犯罪に手を染めるのは嫌だからな」

 

「それに関しては心配はいらない。 まっとうな依頼だ」

 

「で?」

 

「とある人物の護衛を頼みたい。 報酬は前金で100万」

 

「はっ?」

 

とんでもない金額に俺は心臓が止まりそうになった。

 

「月に50万ずつ依頼が完了するまで君の口座に降り込もう。成功報酬は・・・」

 

「ま、待てよ!俺はAランクの武偵だぞ! その護衛対象の敵はなんなんだよ」

 

「それは言えない。 君は彼女に向かう敵を排除してくれればいい。それに・・・」

 

女の護衛かよ。

 

「私は君が隠している切り札を知っている」

 

嘘か本当か・・・だとしたらこいつは何者だ?

一瞬実家の連中が頭に浮かぶがあいつらとは勘当状態である。

それに切り札は知らないはずだ。

 

「お前・・・何者だ?」

 

かすれた声で言う

 

「それは言えないと言った。では、聞かせてもらえるかな?」

 

「何を?」

 

「この依頼受けてもらえるのかな? アリアの護衛を」

 

「1つだけ条件を付けたしたい」

 

「何かな?」

 

「・・・」

それを言うと電話の相手はすぐに答えを返してきた。

 

「いいだろう引き受けてやるよアリアの護衛をな」

 

後に死ぬほど後悔しつつもあの決断は間違ってなかったという決断の瞬間だった。

 


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