緋弾のアリアー緋弾を守るもの   作:草薙

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AAドーピング!感想で起爆!


第241弾 動かざること山のごとし

サイド おやっさん

 

中華料理屋『炎』は店主が炎のような熱い料理を作りたいという店主、荒井卓の願いから来たものだ。

日本の武偵黎明期の頃、東京ではないが武偵高で武偵を目指したこともあるが過ぎた話である。

今ではこの中華料理屋で学生を中心に料理を作る1人のおやじでだ。

 

「店長おはようござーいまーす」

 

夕方の開店時間まで後、2時間。この店の唯一のアルバイト店員月城アリスがやってきた。

名前から分かるようにハーフである。

武偵高でアンビュラスという頭が悪い奴には勤まらない学科で天才と呼ばれているSランク武偵だ。

 

「店長じゃねえ!おやっさんと呼べと何度言わせやがる!首にするぞ!」

 

「アハハ、それは困りますねぇ。おはようごうざいますおやっさん」

 

「たく」

 

こいつを雇ったのはこいつの親父と知り合いだからだ。

まあ、いろいろ理由はあるのだがこいつも、いろいろある。

なんせ、初めてこの店に来た時は・・・

 

「おやっさーん。今日、学校でクッキー作ったんですよ食べます?」

 

「へっ!そんな甘ったるいもん食えるか!」

 

「甘いの駄目なんですか?」

 

「おうよ!地獄ラーメンなんてその証拠だ!」

 

この店の看板メニュー、恐ろしく辛いラーメンで挑戦者は敗北し多額の金を失う。

食いきればただだが、こいつを制覇したのは壁にかざってあるレキという学生だけだ。

辛さに敗北したので自分は食わないが作った、ももまんフルスペシャルというのもあるがこれは神埼アリアという学生が制覇した。

以降、食いにきまくるのでそろそろ、やめようかと考えているメニューでもある。

 

「大丈夫ですよ!ババロネクッキーにキムチクッキーに鷹の爪クッキーでーす」

 

「な、何!」

 

ごとりと置かれたクッキーはなぜか、赤い・・・

クッキーって茶色じゃないのか?

 

「どうですか?辛くないですよ―」

 

にこにこしながら差し出されたクッキー。

く、くそったれ!甘くないなら・・・

赤いクッキーを口に放り込むと目が明滅する。

 

「ぐ、ぐああああああああ!」

 

その瞬間、中華料理屋炎のてんち・・・いや、おやっさんは意識を失った。

 

 

 

 

 

サイドアリス

 

それから、15分後。2階でおやっさんが意識不明なのをアリスが診察してなんで倒れたんだろうと首をかしげながら寝てれば治るとして1階に下りてくるとガラと音を立てて誰かが入ってきた。

 

「すみません。まだ、準備中で」

 

「悪い、アリスちょっとだけ場所借りたいんだが・・・」

 

よく知ってる顔だ。

 

「あれぇ?お兄さんじゃないですか?どうしたんですかぁ?」

 

続けて山洞秋葉が入ってくる。

 

「おやぁ?秋葉先輩と秘密の会談ですか? フフフ、ここでそれ以上はやめてくださいね」

 

「だったらいいんだがな・・・」

 

「いいわけないです!」

 

がんと秋葉先輩がお兄さんを軽く押します。

おやぁ?何か、秋葉先輩も少し変わってる気がしますね。

私が見る限りですが・・・

 

「こんにちはぁ。ここの子は大丈夫ですか?」

 

続けて入ってきた眼鏡の女子。

眼鏡巨乳とはマニアックなと内心は思いますがどうやら、真面目な話しなようですね。

あれは山梨武偵高ですかね?

 

「準備中ですから料理は出せませんけどいいですか?開店まで2時間ですよ」

 

「ああ。それでいい」

 

「フフフ、水ぐらいはだしますね」

 

トントンと水を置いて3人の会話が始まりました。

私はおやっさんが倒れたので開店の準備をしないといけません。

聞き耳を立てながら準備することにしましょう。

何せ、私はお兄さんの緋刀とは無関係な人間ではない関係者なのですから

 

 

 

 

サイド優希

 

アリスは事情を理解してくれたようだな。

聞く気満々のようだが別に構わないさ。

 

「で? どう話しあう?信冬を引き渡せというのか?」

 

「んー、どうしましょうかね」

 

出された水を口に含みながら高木文香は言った。

 

「あなた達は信冬様を渡したくないんですよね」

 

「そもそも、信冬が家を出た理由だ。お前は当然知ってるんだろ?」

 

「ということは信冬様はおっしゃっていないという事ですね?」

 

「そうだ」

 

否定しても仕方ないので言うと高木は眼鏡をかちゃりと中指で直しながら

 

「いいでしょう。あなたも無関係ではありません。信冬様が家を出られたのはご結婚されるのが嫌だからです」

 

け、結婚?まさか・・・いやでも、それ、おかしいだろ?

 

「暁家といえば分かりますか?」

 

「おい!まさかあの暁か!」

 

「そうです」

 

一瞬、自分と信冬かと思ったが、頭が痛くなってきた。

暁家は裏武家である俺達と違い表の世界で有名な一族だ。

表では知られていない俺達と違い一般人でも知ってるような家。

財閥のようなもので奏ちゃんの家以上の大金持ちだ。

政界にも絶大な影響力を持つし政治家も何人も輩出している。

ある舞台では椎名も武田も容易には手出しできないような存在だ。

その暁家が裏武家の信冬と?

 

「暁家次男、暁竜馬と信冬様のご結婚すでに、決まっていたのですが信冬様は御隠居様に反抗して家を出てしまいました。ご自分で手続きされたようですが転校までして」

 

「それで、暁家は何て言ってるんだ?信冬がこちらに来て」

 

「暁家としては激怒され婚約の破棄寸前まで行きましたが信冬様の結婚相手暁竜馬様が大変信冬様をお気に入りになっておりいつまでも待つと返答されてきました」

 

つまりは、簡単には諦めないからなというメッセージか・・・

 

「ですが、現実はそうはいきません。御隠居様の考えとしては信冬様を暁家に嫁に出し妹の信秋様を当主にし表と裏に絶大な影響力を持とうとお考えです」

 

確かに・・・表の世界で有名な暁家と婚約すれば武田は裏と表でとんでもない影響力を得るだろう・・・

だが・・・

 

「それは政略結婚じゃねえか」

 

「そうですね。ですが、かつてのあなたと信冬様の婚約を政略結婚前提の婚約では?」

 

「かつてって言ったな?」

 

「ええ、あなたと信冬様の婚約は完全に解消されております。椎名への通達も終わっておりますよ」

 

ほぼ当主だったはずの信冬を嫁に出せるほどの影響力を持つその御隠居のことだ・・・

言ってることは真実・・・

おそらく、実家に連絡してもそう、返ってくるのは間違いない。

 

「信冬様もあなたが帰れと言えば拒みはしないでしょう。そして、婚約が正式に解消されたのです。守る理由がありますか?」

 

「ある」

 

俺は真正面から高木の目を見て言う。

 

「婚約者言う関係がないにせよ。俺と信冬は友達だ。そいつが俺を頼ってきた。嫌がるあいつを渡すわけにはいかねえな」

 

「言ってることはかっこいいです。尊敬します。ですが。抵抗してもあなたにも椎名にも益はありませんよ」

 

「実家からは勘当同然の身だ。そっちは関係ねえよ」

 

「だとしてもです。益はないでしょう?死にますよ?武田と暁家を完全に敵に回してあなたと信冬様だけで抵抗できるのですか?」

 

「俺だけじゃねえよ」

 

「仲間ですか?ですがそれも・・・」

 

「忘れたのか?俺には世界最強の姉がいるんだぜ?」

 

「うーん、水月希さんを出されるのは反則ですよ・・・あの人、本気になれば世界中の軍隊とでも渡りあう人ですし・・・」

 

困りましたねえと高木は眼鏡をかちゃりと直す。

強気で話してはいるが内心は冷や汗ものだ。

姉さんだっていつだって俺を守ってくれるわけじゃないし所詮自分の力でなければ力でねじ伏せる方法は長続きしない。

だが、時間を稼ぐ意味でもここは姉さんの名声を借りるぞ。

弟特権だ!

 

「帰って御隠居とかに伝えろ。暁家との結婚は破談だ」

 

「それだと困るんですよ。せめて、何か土産話の一つないと帰れないんです」

 

「みやげならももまん買ってやるから帰れよ」

 

「優希君。虎の威を狩る狐って知ってますか?」

 

目を閉じて高木はかちゃりとめがねを上げて再び目をあける。

恐ろしいまでの殺気がびりびりと俺の体を貫く。

 

「虎は姉さん、俺は狐っていいてえのか?」

 

「そう言ってるんですよ」

 

今度はにこりと微笑む。

パアアアンと音がしてコップが弾けとびかたかたと机が揺れ出す。

 

「あまり武田を舐めないでください」

 

ステルスか・・・だが、この脅しに屈せば全ては終わりだ。

 

「そっちこそ、俺を舐めすぎじゃねえか? 姉さんいないと何もできないガキとでも思ってるのか?」

 

びりびりとさ殺気同士がぶつかり合う。

一瞬即発の雰囲気に秋葉はいつでも、戦闘に入れるように準備する。

俺も刀を手にして・・・

 

「ストップです!」

 

バンとアリスが机を叩いたので俺達の殺気は無散して声を上げた少女に目を向ける。

 

「あ、アリス?」

 

「人のバイト先を壊す気ですか!話は聞かせてもらいましたがやるなら、別の場所でやりあってください!それと武田の人」

 

「あ、はい高木文香と申します」

 

突然の乱入者に面食らったように高木もおろおろしてる・・・

 

「高木さん。ということでしたら時間をかけて勝負したらどうですか?」

 

「時間をかける?」

 

首を傾げる高木にアリスは1本の指を突き出す。

 

「勝負に勝てば1週間は手を出さないと誓ってください。負ければ武田信冬先輩は連れてっていいです」

 

「お、おい!アリス勝手に・・・」

 

アリスは俺を見ると高木に見えないようにウインクした。

何か考えがあるようだ。

高木は少し考えてから

 

「そちらが負ければ水月希の助力は請わないと約束してくれるなら受けましょう」

 

やはり、姉さんは怖いらしい。

こちらを負かせば問答無用で連れてっていいし姉さんが奪還にこないなら条件的にはいい。

それに、条件は完全に諦めるではなく1週間手を出さないだけだ。

それ以降に攻めてくればいいのだ。

1週間か・・・時間を稼ぐ意味でもありだな。

それに、ここでこいつを戦闘不能にしておけば戦力を削れる。

 

「それでいい」

 

「交渉成立ですね。それで・・・えっと」

 

「アリスと呼んでください」

 

「では、アリスさん。勝負の内容は?まさか、カードとか言わないですよね?」

 

「もちろん、ガチバトルです!気絶した方が負けでどうです?」

 

「いいですよ」

 

な、なんか勝手に決まってるぞ。

だけど、こいつの能力を知るためにもこの戦いは必要だ。

 

「時間は1時間後空き地島で」

 

「了解しました」

 

高木は立ちあがるとドアを開けながら

 

「勝てるとは思わないことですね」

 

一言残して立ち去っていった。

さて・・・

 

「おい!アリス!あいつまじでやばそうなんだぞ!負けたらどうするんだよ!」

 

「フフフ、お兄さんなら勝てるって信じてますよぉ。でも、大丈夫、作戦がありますから」

 

「作戦?」

 

「はい、実はですね」

 

その内容を聞いて俺は罪悪感をちょっと、感じた・・・

この小悪魔改め悪魔め・・・

とんでもないことを考えやがる。

 

「信冬が学園島に戻ってくる前に終わらせるぞ」

 

「はい!」

 

刀を手に俺達は空き地島へ向かう前に準備に向かう。

 

「あ!その前に」

 

アリスは奥から札を持ってくるとドアに札をかけた。

 

『本日臨時休業』

 

いいのかと思ったがまあ、アリスだもんな・・・

いいんだろうと納得しておいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、1時間後の学園島に隣接する空き地島。

ここは少し前に宣戦会議が行われた場所だ。

人目に触れずに戦うならいい場所だと思う。

ボートから降りると島に上がると奴はいた。

島の中央で目を閉じて立っている。

 

「来たぞ」

 

そう言うと奴は静かに目を開けた。

 

「考え直しませんか?」

 

「あ?」

 

「今なら信冬様を説得すると言えば戦わずに済みますよ」

 

「俺がそう言うと思うか?」

 

「そうですね」

 

両手を高木は広げズンと右足を地面に叩きつけると地面が右足の地面に小さなクレーターが出来る。

 

「武田の山は1歩も動くことなく勝利する。動かざること山のごとし。私を1歩でもここから動かすことができればそちらの勝ちにしても構いませんよ」

 

舐められてるのか?いや、おそらくは自信だろう。

 

左手にガバメント右手に天雷を持つ。

一刀一銃スタイルは攻守に優れたスタイルだ。

相手の出方が分からない以上まずはこれで行く。

先制攻撃行くぜ

牽制代わりに単射え1発

くすりと高木が笑った気がした。

着弾と同時に高木の周囲に大爆発が巻き起こる。

武偵弾炸裂弾だ。

いきなり、炸裂弾を使ったのは破壊力のある攻撃を防げるか・・・

通常の犯罪者なら殺してしまうがおそらく・・・

煙が晴れてくるとそこには無傷の高木の姿があった。

無論、右足のクレーターから1歩も動いていない。

何をした?バリアか何かを張れるのか?

いや、それなら飛んだのに説明がつかない。

少々危険だが接近戦を仕掛けるか

 

ガバメントをしまい高木に突進する。

最大限の警戒をしながら剣術を叩きこむためだ。

 

「言ったでしょう。私は動かず勝利する」

 

高木が右手を前に突き出した瞬間何かが俺の正面から叩きつけられた。

殴られたような感触の後、後ろにブッ飛ばされる。

 

「ちっ!」

 

バランスを保って地面に足を磨って体制を立て直す。

なんだ、今何された?

手が届く距離ではなかった。

カナのように武器を一瞬で出して見えないうちにしまいこんだのか?

 

「次行きますよ」

 

バキバキバキという音に後ろを振り返るとハイジャックで不時着した飛行機の残骸から鉄骨のようなものが5本飛び出してきた。

なんだ!?

 

「それ!」

 

そして、それが高木の声と共に俺に向かい飛んでくる。

ガンガンガンと地面に突き刺さっていく鉄骨。

それをぎりぎりで交わし、転がりながらガバメント2丁でフルオートで高木に向かい発砲するが彼女の周囲で火花が散るだけで弾はあいつには届いていない。

だが、今ので奴のステルスの検討はついた。

 

「サイコキネシスだな?」

 

「ようやく気付きましたね。弾は届きませんし接近戦は許しませんよ」

 

鉄骨が宙を舞い5つが高木の周囲を旋回する。

更に、小さな浮遊物体がいくつか見える。

超偵を攻略する方法はいくつかある。

そのうち有効なのはガス欠だ。

つまり、粘りまくって相手がステルスを使えなくなった瞬間を叩く方法だ。

秋葉を見て分かるようにステルスは燃費が悪い。

粘りまくれば・・・

 

「1ついい忘れてました」

 

高木はかちゃりとメガネを治すと

 

「私の精神力、つまり、ステルスを使える力は山一つ分あります」

 

「山一つ分って基準が分からんぞ」

 

過ごそうってのは分かるが・・・

くすりと再び彼女は微笑み

 

「私は丸一日ステルスを使い続けることができるんです」

 

その絶望的な言葉を奴は言い放つのだ。

 

 

 




はい!というわけで話し合いでは解決せずやはり、バトル!

果たしてアリスの策とは?秋葉やアリスがなぜいないのか?

まあ、優君は戦わないといけないのは変わりませんw

高木文香のステルスはサイコキネシス。またの名を念動力?
そして、1日ぶっづけで使えるステルス。
動かずとも攻撃も防御もできる。
まさに、山ですね。

大概の他はわかると思いますが両方とも様子見で本気だしてません。
優は戦闘狂も緋刀も出してませんし高木もあれを外してない。
次回!優君サイコキネシスに挑みます(笑)

あ、今回も信冬でなかった(^_^;)

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