緋弾のアリアー緋弾を守るもの   作:草薙

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第23弾風穴あけるわよ

あと、3分

短い滑走路を着陸するためには減速しなくてはならないこともあり600便はいらただしいほど悠々と東京ドームを飛び越え東京駅、銀座と渡っていく。

ここまできたら俺ができることはほとんどない。

 

「アリアこの機は東京タワーより高く飛んでいる。 くれぐれもぶつけないでくれよ」

 

「馬鹿にしないで!」

 

車輪を出すとアリアはキンジに操縦を明け渡した。

頼むぜ。キンジヒステリアモードのお前ならできるさ

だが、次の瞬間俺はキンジが冷や汗をかいているを見る。

ヒステリアモードだろ?

やはり、お前でも見えないか?

そう、着陸すべき場所は闇に包まれている。

浮島なんてまるで見えていないのだ。

 

「キンジ大丈夫あんたならできる。 できなきゃいけないのよ! 武偵をやめたいなら武偵のまま、死んだら負けよ。 あたしだって、まだママを助けてない」

 

そうだな。

まだ、俺も死ねないんだキンジ

 

「俺もまだ、やることがある。 絶対にやると決めたことがな。 だから、俺達は死ねない」

 

「そうよ! こんな所で死ぬわけがないわ」

 

その時、ベイブリッジの手前にある空き地島に光が見え始めた。

 

「キンジ見えてるか馬鹿野郎!」

 

「武藤!?」

 

「お前が死ぬとしらゆ・・・いや、泣く人がいるからよぉ! 俺ロジで一番でかいモーターボートぱくっちまったんだぞ! アムドのマグライトも! みんなで無許可で持ち出してきたんだ! 後で全員分の反省文をお前らで書け!」

 

その会話に続けて通信に次々と割り込みがあった。

 

「キンジ!」 「優!」 「機体が見えてるぞ!」「後少しだ!」

 

この声・・・どこかで・・・いや、だがありがたい。

誘導灯を作ってくれたことに感謝しながら俺は2つの武偵憲章を思い出す。

 

仲間を信じ仲間を助けよ

 

諦めるな! 武偵は最後まで諦めるな

 

この2つを最後まで押し通せたからできた奇跡なんだこれは

後は生き残るだけだ

 

600便は強行着陸を断行した。

衝撃が機体を襲い、メガフロートを滑っていく。

 

「止まれ止まれ! 止まれ!」

 

アリアのアニメ声に合わせるように俺も心の中で止まれと連呼を続ける。

キンジの操作を受けて機体がカーブする。

そこにきて俺はようやくキンジの思惑を知った。

たく、かなわねえな。

目前に迫った風力発電の風車に機体が突っ込んだ。

ドオオン

とすさまじい衝撃に上下に俺達は揺られ俺は意識を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

いてて

がんがんする頭をなでながら俺は自分が狭い所にいることに気付いた。

前にいするがあるから操縦席・・・ってええええ!

なんと、俺の前にあったのはトランプ柄の・・・

っと思った瞬間、スカートにその部分は隠される。

あ、やばいでれない。

てか、今のってアリアの・・・あれだよな。

幸い気絶してるみたいだが・・・

ああ、もういいわ。 今回の護衛はこれでおしまい。

じゃあな

張りつめていたものが消え俺は再び意識を手放すのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハイジャック事件も終わった後日、全治1週間延長と救護科にどなり散らされ俺は解放された。

 

「あんた知ってただろ理子が武偵殺しだってこと」

 

「そこまで私は万能ではないよ。 全ては推理に基づき君に行動を促したに過ぎない」

 

俺は男子寮の屋上で例の依頼主様と電話をしていたのである。

護衛の報告を兼ねて

 

「武偵弾は助かったけどな。 敵うなら理子がアリアを狙う中で一番強い相手で会ってほしいけどどうなんだ?」

 

「世の中には君が本気で戦わないと決して勝てない相手はいるとだけいっておこうか」

 

「つまり、理子以上の奴がこれからアリアの前に立ちふさがるってか?」

 

「彼女が相手にするイ ウ―の全貌は私も掴めてはいない。 だが、武偵殺し以上の実力者がいても不思議はない」

 

「まじかよ・・・」

 

つまり、これから俺はもっと強い相手と命がけで多々敵わないといけないわけだ。

 

「ありがとう。 椎名 優希、君の護衛はこれで終わりだ」

 

「ああ、これからも・・・って は? 終わり?」

 

「アリアはイギリスに帰る。 だが、君には選択の余地がある。 アリア護衛を続けたいなら・・・」

 

 

 

 

 

 

 

電話を切った俺は屋上から飛び降りていた。

ワイヤーを使い巻き戻しと発射を続けながらいつの間にか来ていた携帯のメールを開いた。

 

『題名 ありがとう

 

  本当は直接あって言いたかったんだけどあんた・・・ううん、優の電話通じなかったからメールする。 あたしね・・・イギリスに帰ることにしたの。

パートナーを探しにね。 本当は優やキンジならよかったんだけど・・・優、あなたと理子の戦い見ていた乗客がいたの知ってる? あたしを一度は倒した理子相手に互角以上の戦いをした優がいなければあたしやキンジは死んでたかもしれない。

ありがとう。

もし、パートナーになってくれる気があるなら・・・

また、会いに来て。

その時は、もう奴隷なんて呼ばない。

だから・・・』

 

 

 

 

 

アリア・・・アリア

 

「女子寮の屋上だ。 そこからアリアはイギリスに帰る」

 

依頼主の情報が頭に反映する。

UFOキャッチャーをむきになって遊んでいたアリア

かなえさんを助けられなくて子供のように泣いていたアリア

俺達を奴隷といいながらも楽しそうに笑っていたアリア

 

その少女が血だまりに倒れた光景が頭に浮かぶ

 

「君が本気を出せないならアリアは死ぬ」

 

依頼主さんよ。

分かったよ。

俺はアリアのそばにいる。

パートナーなのかチームメイトなのかはわからない。

第2グランドに着地した俺は駆けだす。

空を見上げるとヘリが着陸してくる所だった。

そして、俺の前には走る少年の姿があった。

俺はその横に並び驚いた顔をするキンジと同時に頷くと空に向かい叫んだ。

 

「「アリアぁあああああ!」」

 

変化はない。

走りながら行くなと2人で思いながら大声で叫ぶ

 

「アリアぁ!」

 

屋上に誰かが立っている。

そのツインテールの少女は俺達を見下ろしながら

 

「優! キンジ! 遅い!」

 

あの時と同じように屋上から飛び降りた。

ワイヤーで降下してくるがその動きが寮の半分ぐらいで止まった。

 

「あ、あれ?」

 

動作不良を起こしたのかそれ以上動かない。

屋上におそらくイギリスの武偵局の人間が見える。

一瞬、やり合うかと思うが相手は部外者だ。

アリアのワイヤーに手をかけて引っ張ろうとている。

 

「キンジ! アリア受け止めろ!」

 

「お、おい優!」

 

俺はアリアの上に向かいワイヤーを発射したがガガガと手に衝撃が走りワイヤーが失速しアリアの下に突き刺さってしまう。

げっ!動作不良かよ! 理子の時、無茶に使ったからなぁ。

イギリスの武偵局の人間がアリアのワイヤーを引き上げ始めた。

アリアは小太刀でワイヤーを切断しようとしているがイギリスの人間はワイヤーを巧みにゆらしてそれを妨害する。

アリアの下の壁に張り付いた俺は

 

「アリア! 動くな!」

 

ドドドン

 

三連射でアリアのワイヤーを切断する。

 

「キャッ!」

 

かわいらしい悲鳴をあげて落ちてくるアリア

 

空から女の子が落ちてくると思うか?

少なくても俺は2回経験したな。

ドンと俺の腕に落ちてきたアリア、同時に俺のワイヤーが壁から外れてしまう。

ちなみにここは3階の高さだ。

ハハハ、落ちたらやばいよな。

 

「優! アリア!」

 

衝撃と共に下からぐえっという蛙がつぶれたような声が聞こえた瞬間俺も、腹に圧迫を感じてぐえっと言ってしまう。

 

「っ・・・」

 

「いたたた・・・」

 

「ば、馬鹿キンジ! 馬鹿優!」

 

アリアが犬歯をむき出しにして怒るが同時に俺は心の底から笑みがこみあげてきた。

 

「くく、フフフ、アハハハハ!」

 

また、救護科に怒鳴りつけられるであろう手を見ながら俺は笑った。

 

「な、何笑ってるのよ。馬鹿優!」

 

「いや、アリアお前といると飽きないな。 なってやるよ。 俺とキンジのセットでパートナー兼チームメイトだ」

 

「お、おい優!」

 

「そのつもりで来たんだろ? 今更隠すなよキンジ」

 

図星なのかキンジは黙ってしまう。

 

「キンジ、あなたには何かをスイッチにして高まるスイッチがある。 それがなにかはあたしにはわからない。 あんたも制御できていない」

 

「・・・」

 

「でもね、今思いついたのなら、制御できるように調教してやればいいんじゃない。 簡単なことじゃない」

 

「ちょ、調教!?」

 

「アハハハ! ご愁傷様だキンジ」

 

「あんたもよ優」

 

「へっ? 俺? 俺にキンジ見たいなスーパーモードなんか・・・」

 

「メール見たでしょ? 乗客があんたの感じがいきなり変わったって言ってるのよ」

 

げっ! そこまで見てたのかよ!

あれは暗示なんだが実は極度に空間認識能力を要求される多数のワイヤー戦術は極限まで集中力が高まっていないと使いこなせない。

 

「つまり、2人とも常時そのスーパーモードを出せるように調教が必要なのよ」

 

「ちょっ!それは物理的に・・・は可能かもしれんが倫理的には無理だ!」

 

「俺も勘弁してくれアリア!」

 

「男が二言するんじゃないわよ!」

 

「「してねえよ!」」

 

「うるさいうるさーい! あんた達をあたしのパートナーにして曾おじいさんみたいな立派な『H』になるの! そう決めたんだから」

 

「だからなんなんだそのHは!」

 

「まだ、分かってなかったの! ギネス級の馬鹿!馬鹿の金メダル!」

 

なんだよ馬鹿の金メダルって!

 

「もう、あんた達で決定したんだから教えてあげるわよ! あたしの名前は―」

 

アリアは犬歯を向くとぐいっとない胸を張りながら

 

「神崎・ホームズ・アリア」

 

「ほ、ホームズ!」

 

「そう、あたしはシャーロック・ホームズ4世よ! で、あんた達はあたしのパートナーワトソンの位置づけに決定したの! もう、逃がさないからね! 逃げようとしたら!」

 

依頼主さんよ。 この子やっぱり面白い子だよ。

 

「風穴あけるわよ!」

 


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