緋弾のアリアー緋弾を守るもの   作:草薙

232 / 261
第231弾 優希vsリゼ!負けられない戦い

互いに獲物は違うが似たような攻撃を仕掛けると同時に空中で火花が散った。

リゼの短機関銃の弾の軌道を読んでの銃弾撃ちだ。

キンジの真似だがバイクの上でこいつをやるのは俺には厳しい。

地上だからこそできるんだ。

一気にリゼとの距離を詰める。

互いに銃を手放し接近戦用の獲物で切りかかった。

1合2合と打ち合い火花が散るが互いに一撃を当てるための攻撃だ。

リゼの刃には毒が乗っているはずで食らえばただでは済まないのは経験済みだが残念ながら俺には長期戦覚悟で中距離でリゼを仕留めるという作戦は残弾数と状況から不可能と結論している。

エルのせいで弾の補給はさせてもらえなかったし高速での戦いで銃弾も消費した。

キンジを信じないわけじゃないがこの後、エル、ヒルダと戦いが続く可能性がある状況では弾は温存するしか選択肢がない。

負ければ全てが終わるが引く選択肢はあり得ない。

金属同士の激突と火花の散るその空間は素人目には何が起こってるか分からないほどの高速の斬撃戦だ。

技もなく互いに互いの刃を裁きながら隙をついて攻撃する。

リーチで俺の方が有利だが小回りはリゼの方が効く。

かすれば毒を受けると言う極限状態で俺の集中力は最高に高まっていた。

戦闘狂モードの影響で楽しいという感情はあるがそれでも、冷静さだけは失っていない。

実際に打ち合っていたのは30秒もなかったはずだが永劫に続くかに思われたその斬撃戦は唐突に均衡が破られる。

 

「くっ!」

 

やはり、男と女、手がしびれたかパワーでは俺が勝っていたのかリゼの反応が少しだけ鈍り僅かに刃を引いた。

そのチャンスを逃さず刃を交えたままにぐっと力づくで押し込もうと1歩踏み出した瞬間リゼの口の動きに違和感を感じる。

ぷっと何かが吐き出され押すのをやめて後ろに飛ぶが頬に何かが刺さった。

針!毒針か!やられた・・・

だが!速効性でも瞬時に効くわけじゃねえ!

着地と同時に構えは刺突

そして、地面を全力で蹴ると小太刀で防御しようとしたリゼの防御の上から刺突を叩きこむ。

 

「!?」

 

リゼは俺の刺突の速度に驚いたのか僅かに目を細めると小太刀を1本追加して両手で刺突を受け流そうとしたがぎゃりぎゃり金属同士が激突し火花が散るがリゼの肩口が切り裂かれぱっ赤いと血が散った。

リゼは俺から見て左に避けながら前かがみになりつつ小太刀を投擲してくる。

左手で左側の日本刀を抜くが刃は間に合わない!

柄で受け止めるがさらにリゼはもう1本投擲し突撃をかけてくる。

牽制に左腰のワイヤーを発射するがリゼはそれを軌道を読んで交わし肉薄してくる。

刺突で体制が崩れていたしリゼがこれほど早く立て直すことを予想しきれなかった俺の近くまで来るとリゼの両腕の上側からナイフが2つ飛び出し、切りかかり容赦なく露出している部分を狙ってきた。

致命傷は避けたが首筋が浅く切り裂かれる感覚。

状況を打開するため牽制に左足でリゼに蹴りかかったがリゼは蹴りが対して威力がないと瞬時に判断したのだろう。

わざと体にくらって右手で俺の足を掴んだかと思うと左手のナイフを振りあげる。

やばいと思った瞬間、アイスピックのようなリゼのナイフが防刃繊維を突き抜け俺の左足太もも当たりに突き刺さった。

 

「ぐっ!」

 

激痛を感じるが背後のワイヤーを使って大きくリゼから離れる。リゼは追撃してこない。

ゴミを見るような目で肩から血を流しながらリゼは言った。

 

「あなたの負けですね椎名優希」

 

左足に刺さったリゼのナイフを激痛に耐えながら抜いて立ちあがろうとするが力が出ない。

こんだけ食らえば毒も回るよな・・・

おそらく今回も神経系の・・・

 

「まだ・・・わかんねえぜ」

 

毒のせいか息が荒い。

くそ、毒なんか使わないで正々堂々と戦えよ・・・これだからレザドは嫌いなんだ。

 

「まだ動けるのは驚きですね。ワトソンはあなたを生かしたいようですが殺す許可は貰ってあります。倒れた時、あなたの首を刎ねます」

 

「はっ、それはごめんこうむりたいね」

 

とは言ったものの状況は最悪だ。

援軍は期待できない・・・

くそ・・・出来れば使いたくないが・・・

 

「はぁはぁ・・・」

 

懐から瓶を取り出す。

中身は赤い液体。

 

「?」

 

リゼはそれを黙って見ている。

今さら結果は変わらないということか・・・

蓋をあけ一瞬俺は迷う。

こいつは・・・飲むべきじゃない・・・

直感がそれを告げている。

今回は大丈夫でもやばい代物ということは理解できてるからな。

リゼは俺より格上だ。

少なくても相手の戦闘不能にするという点に関してはな・・・

 

「俺はまだ死ねねぇ。やることがまだまだ、ある!」

 

自分に言い聞かせるように言って瓶の蓋をあけて一気に液体を口の中に放り込み飲みこんだ瞬間、目の前の景色が歪む。

パチパチと目の前が明滅する。

緋色に変わった左目が熱く更に右目紙髪の色が変色していく感覚がなんとなく分かった。

その感覚を感じながら俺はあの弁当騒動の前のアリスとの会話を思い出す。

アリスが差し出してきたのは緋刀の力を紫電なしで引き出す方法だ。

強制的に力を引き出す方法は限られている。

それは・・・

 

「アリアさんの血です」

 

そう、アリスは言った。

俺の緋刀はアリアの血の輸血により覚醒したもの。

そして、幾度かの緋刀の力による戦闘でその力は濃くなっていっているのは俺の左目が証明している。

そして、緋刀は緋弾と無関係ではない。

緋弾の血が色濃いアリアの血を飲めば・・・答えは

 

「驚きました。紫電なしで緋刀の力を使えるのですか?」

 

その目には明らかな警戒が映っている。

出しぬけたか?レザドを・・・リゼの予想を・・・

俺は立ちあがると右の日本刀を右肩に乗せにっと笑ってやる。

その姿は緋色の髪に緋色の目。

緋刀の力を引き出した俺だ。

 

「仕切り直しだリゼ!お前の毒はもう効かねえぜ」

 

緋刀の回復能力は毒を消し去っている。

この状態である限りリゼは毒という最大の攻撃手段を失ったのだ。

そして、緋刀の状態では回復能力まである姉さんクラスのチート状態である。

 

「その状態。長くは持たないでしょう。耐えきれば私の勝ちです」

 

「言うほど優しくねえぞそれ!」

 

ぐっ足に力をいれ地面を蹴る。

緋刀化した時の身体能力は約7倍。

信じられないような爆発的な加速でリゼに接近する。

 

「くっ!」

 

リゼの目に焦りが浮かんだのを俺は見過ごさない。

突進の威力を利用し

 

「緋龍二式!双牙!」

緋龍は緋刀状態の時使える仮の名だ。

名前を飛から緋に変えただけで読み方は同じだが気分的な問題。

リゼとの戦いでは2回目の2刀による突きは速度も破壊力も7倍だ。

 

「っ!」

 

避けることに全神経を集中させたらしいリゼは屈みこむと足払いをかけてきた。

その行動は予想済みだ。

地面を蹴って空中に高く舞い上がる。

事前に装填していたデザートイーグルを空中でリゼに向ける。

思うのは緋刀化したとしてもリゼは強い。

おそらく・・・この状態で普通に戦えば時間切れまで粘られて負けるだろう。

リバティメイソン最強クラス・・・

世界は広い。

リゼは様々な戦闘経験を積んできて対処法を学んできたのだろう。

つまり、生半可な攻撃は通用しない。

 

「ったく楽出来ねえな」

 

小声で言ってからデザートイーグルを単射でリゼに向けて放つ。

リゼはそれを小太刀で迎撃しようと小太刀をデザートイーグルの弾に向けて振るった。

小太刀が弾に激突した瞬間、パンと弾けるような音がしリゼが地面に叩きつけられた。

上空からの暴風のステルス。

魔封弾『風』の弾。秋葉の能力の弾だ。

上空からの風と同時に風の中はかまいたちの嵐。

デザートイーグルをしまいそのまま、魔封弾の効力中の空間に飛び込む。

かまいたちが襲いかかってくるが緋刀化により切り裂かれても回復する。

リゼは風の効果範囲から逃れようとしていたが俺の方が早い。

リゼの腹めがけて拳を叩きつける。

直後リゼが背後に飛んだ気配はあったが手ごたえあり!

リゼはブッ飛ばされ風の効果範囲から飛ばされスカイツリ―の巨大な鉄柱に激突し動かなくなる。

10秒ほど待つがリゼは動かない。

死んでないといいが・・・

近づいて不意打ちされる可能性もある。

この辺は公安0がいるはず・・・命にかかわるような状況なら彼らが救助してくれることを祈ろう。

 

さて、キンジはエルと戦えてるか?

遥か上の方から銃声が聞こえてきた。

エルと戦ってるのか?あるいはヒルダも・・・

はやいとこ援護に・・・

仮設エレベーターが来る。

ボタンを押して中に入ろうとした時

 

「どこに・・・いくんですか?椎名優希」

 

振り向くと右手で腹を押さえてよろよろと立ちあがるリゼがいた。

口元からは赤い血がつっと流れている。

 

「アリアを助けに行く。寝てろよ。軽傷じゃねえぞその怪我」

 

「勝てませんよ・・・あなたじゃヒルダに・・・」

 

「どうかな?」

 

切り札はある。

正直こいつで倒せなければ絶望的だがそれをリゼに言ってやる必要はない。

 

「勝てないのに行くのは死にに行くのと同意です。あなたは自殺志願者なのですか?」

 

「俺はなリゼ。仲間が危険な目にあってるのに逃げるのは俺の信念に反することだと考えてる」

 

前にも言ってたな。

やはり、少し目を閉じてリゼはふっと小馬鹿にするように笑い。

 

「椎名優希。あなたは馬鹿ですね」

 

「かもな。損な生き方してると自分で思う」

 

他人は他人。仲間でも必要以上深く関わらない。

そんな人生を送ってたらきっと今の俺は全く違う自分だっただろう。

怪我もせずに平凡な日々。

素晴らしい平和だ。

でもそれは出来ない。

秋葉の母親や俺の父さんを殺したあの日からそんな生き方は俺には許されない。

だから、俺はこの馬鹿な人生を歩み続ける。

その、歩みが止まるその日まで・・・

 

「でも、そんな損な生き方も悪い事じゃないんだぜリゼ」

 

にっと笑い俺は助けてきた人達を一瞬、頭に思い浮かべた。

彼らは俺が損な人生を歩まなければ助けられなかった人々だ。

 

「・・・」

 

リゼは一瞬、俺の方を見ていたが小さく息をはいてから

 

「私の負けです」

 

そう言ってその場に座り込むリゼ

 

「おい、大丈夫か?結構力込めて殴ったからな」

 

負けも認めてくれたし一応はそう言っておこう。女の子の腹殴るなんて我ながら余裕がなかったとはいえ最悪な事したと思うし。

 

「傷ものにされました。責任とってもらえるんですか?」

 

「手加減できる相手じゃなかったんだよお前!!責任って何要求する気だ?」

 

「そうですね。一生私の奴隷はいかがでしょう?」

 

「どう考えても地獄の日々だそれ!」

 

「仕方ありませんから夫婦になってあげてもいいですよ。あなたは奴隷ですが」

 

「お断りだよ!お前と結婚したら絶対毒盛られて殺されるだろが!」

 

「そんなことしませんよ。あなたが死んだら枕元に泣きながら保険金受け取って残りの人生謳歌します」

 

「やっぱり、最悪だこの女! もういい!俺は行くぞ!」

 

時間も限られてるさっさと行かねえと

 

「椎名優希」

 

「何だ?悪いがそろそろ・・・」

 

「ヒルダは1番上にいます。そこには峰理子と緋弾のアリアもいるはずです」

 

「やっぱりか・・・」

 

理子はこの上か・・・

捕らわれているなら助けないと・・・

 

「理子はヒルダに捕まってるのか?」

 

「そうですね・・・ある意味・・・では」

 

「・・・」

 

それ以後の反応がない。気絶したらしい。

肝心な部分が聞けなかったな・・・だが理子が捕らわれてるなら助けるさ。

何せ俺は理子のヒーローなんだからな。

仮設エレベーターのドアが閉まり上空に上がる音を聞きながらヒルダを倒す手段を再考する。

エルとは戦う事は考慮しない。

キンジならきっとエルに勝っているはずだから・・・

待ってろよヒルダ!今ぶっ飛ばしに行ってやるからな

 

 




結局、リゼには魔封弾、緋刀とかなりの優の切り札を引き出されてしまいました。
というか書いてて何回も優が負けそうになるので切り札使わざるえませんでした。
今後レザドとは戦いたくありませんね(笑)
少なくても敵として出すなら優単体じゃ苦労の連続です。
大人しくキンジとワトソンを二人がかりでぼこる話ならこんな苦労はなかったんですがようやくリゼを倒せました。
上では原作通りキンジがワトソンを倒してるはず!
というか原作では自転車でスカイツリーに行って疲れたと言ってましたがバイクで行っても結局リゼと戦闘してますから疲れてますよね(笑)

さてさてようやくこの章も佳境に入ってきました!

オリジナル章は秋葉か信冬か!あるいは連続オリジナルでやるかと狂気じみたことも考えてますが流石にありえないですかね連続オリジナル章は?
原作の流れ的にできれば秋葉のオリジナルはある巻までに2つか3つは
やっときたいんですよね。
秋葉はこの守るものの中では恋愛としてでは今はないですが優が1番気にかけてるヒロインですからね。

キンジいらない子にしないでという要望もありますのでオリジナル章どうしましょうかねぇ…

ところでこの守るものの中で度々出ている14年前くらいかな?前の物語である土方歳三が武偵高生だった頃の物語。
つまり、優の最強無敵姉さんも高校生だった3年間の物語なんですが見たい方いらっしゃいますかね?
需要があればやる気出して書けそうですが…
ただ、この物語は守るものをちゃんと読んでる方には分かるでしょうが最後はどうしてもああなってしまうんで心苦しい気もするんです。
とか言いながらパソコンに書いてますけど少し(笑)
書いてて思うのはメインヒロイン北条花音は可愛い!
と我ながら考えて書いてますね。

では次回も近いうちに書きたいなぁ(笑)

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。