東京警備のクエストの次の日。
結局、寮に戻らず再び倉庫に泊った後、学校に行った俺は可能な時間は全て寝ていた。
なぜなら・・・
ぐーと腹が鳴りやがる・・・
持ち金4円で後、半月近くどうすりゃいいんだ・・・5円チョコすら買えんぞ。
とりあえず、水筒に入れてある水を飲むがこんなもの腹の僅かな足しにしかならん・・・
中身は水道水・・・
金を借りようにもキンジは金欠気味っぽいから金借りるには気が引けるし武藤や不知火に頼むのもなんかなぁ・・・
エルも同様だな・・・金がないと知られると金の管理もできないのかと呆れられそうだ・・・
土方さんにもちょっと、前借りたばっかで頼みづらい・・・
お金の管理向いてねえな俺・・・
実家から貰ってるクレジットカードはあるがこれは使えんしなぁ・・・
「だからトオヤマに言ってやったんだが・・・聞いてるのか優希?」
「悪い聞いてなかった」
はっとして、横を見ると体操服姿のエル。
無論、男子用の俺と同じハーフパンツだ。
そういや、体育の授業のバレーの最中だったな
「どうした?寝不足か?」
「あー、まあ・・・」
横のコートで同じくバレーの試合中のリゼがこちらを見たので自然と目が合う。
口元に少しだけ笑みを浮かべるリゼ。
その目はどうしたんですか?情けないですねと言ってる気がした・・・
「なるほど、リゼだね。彼女は昨日から君の家にお邪魔してるんだろう?」
エルはリゼの方を見るとあの野郎薄笑いをやめやがった。
「引き取りに来てくれ・・・」
本心からそういうとエルは冗談だと思ったらしく頷きながら
「そういうことは言うものじゃないよ優希。彼女は有能な人間だ。そして、家柄もある。パートナーにするのは悪い相手じゃないよ」
家柄とかどうでもいいんだが・・・
既に失恋したが俺がアリアを好きになったのは貴族だからじゃないんだが・・・
信冬も貴族みたいなもんだしレキもウルスの貴族みたいなもんだもんな・・・
俺に進めてくる婚約者ってのはみんな家柄高い人間だよ・・・
「俺は普通の恋愛して普通に結婚したいんだけどな・・・」
「なら、リゼと普通に恋愛してみると言い。デートはしたのかい?」
「いや」
リゼとデートとか普通に精神崩壊しそうなこと言われまくりそうなんだが・・・
「1度くらい遊びに行ってみたらどうだい? 案外彼女の違う一面が見られるかもしれないよ」
「考えとくよ」
と言いながらそんな機会ないと思うけどな・・・それより
「さっき、キンジがどうとか言ってたけど」
「ああ、それはね」
ダンとエルが飛び上がりバレーボールの玉をアタックする。
相手コートのキンジの顔面に命中するし、キンジが尻もちついた。
「ごめんトオヤマ!大丈夫か?」
キンジは気にするなと片手を少し上げて言ってるがおいおい・・・
ゲームが少し進み、エルは俺の横に戻ってくると
「さっきの話の続きだが僕は彼をアリアのパートナーにふさわしいとは思っていない。トオヤマをアリアから遠ざける。協力してくれるか優希?」
お、女って怖い・・・
「あんま陰険な事するなよエル」
「陰険?そうかな。だけど、僕は彼が嫌いだからね」
キンジよ・・・ちょっと同情するがお前も俺と同じような苦しみを味わうんだフフフ。
リゼに頭を痛ませてる俺同様キンジもエルに頭を痛くする日々らしい・・・
まあ、正確に言えばどちらに味方することができないってのが正確なとこなんだが・・・
「ほどほどにな」
「分かったよ。それで、例の話は答えは出たかい?」
リバティーメイソン+けん属の話だな・・・
「まだ結論は出せてない・・・」
「そうか。まあ、それならそれでいいよ」
簡単には決められない。
今のキンジに対するエルの態度を見る限り、おそらく、バスカービル全員がリバティーメイソンって流れにはなりそうにない・・・
面倒くさいことになったなぁ
「・・・」
視線を感じたのでそちらを見るとこちらを冷たい目で見るリゼ。
前途多難なことで・・・
†
†
†
その日の放課後、キンジにリゼの事を聞いてみたんだが、キンジが帰るとリゼはいなかったそうだ。
俺がいないなら意味はないということなのか?
だが、寮に戻ると再び、リゼがいる可能性もあるわけで・・・
「むう・・・」
「お兄さん!」
ポンと後ろから背中を叩かれたので振り返ると
「よう。アリスじゃねえか。どうかしたのか?」
アリスはアンビュラスに所属している武偵校の生徒だが学校で出会うのは珍しい。
大体はこいつがバイトしている中華料理屋炎で遭遇するからな・・・
後は、武偵病院
「聞きましたよぉ!今度は金髪の婚約者とラブラブして転校生の美男子さんとはBLBLしてるんですね」
楽しそうにいう小柄なこいつは小悪魔って言葉がぴったりだな・・・
腹が減ってるこの状況でこいつの相手は疲れるんだが無視するわけにもいかねえしな
「帰るなら送ってくぞ?」
隼を指して言うとアリスはちょっと悩んだらしいが
「いえいえ、遠慮しておきます。お兄さんとバイクに乗ったらどこ連れてかれるか分かりません」
「俺はそんなに信用ないのか?」
「ですねぇ。少なくても女の子関連にはありません♪」
人差し指を唇においてアリスは言った。
何気ない仕草なんだがアリスがやると嫌みに見えないな。
「そうなのか・・・」
ちょっと、落ち込むセリフだぞ後輩に言われると・・・
「アハハ、冗談ですよ。ちょっと、話があるんですがどこか喫茶店とかどうですか?私が誘ったのでおごりますよ」
「何い!」
「ひっ、どうしたんですか?」
おごってくれるだと!
「い、いくらおごってくれるんだ?」
「え?えっと・・・1万円ぐらいまでなら別に・・」
「よし!行くぞアリス!」
「え!きゃ!」
アリスにヘルメットをかぶせると隼に乗せて俺も飛び乗るとエンジンをかける。
「しっかり、しっかりつかまってろ!落ちるなよ!」
「ちょ、待ってください!きゃああああ!」
後ろから、珍しいアリスの悲鳴が聞こえた気がするが次に俺が意識を取り戻したのは口に香ばしい肉の味がした時だった。
「うめえ!」
「おなかすいてたなら言ってくださいよ。びっくりしたじゃないですか」
「悪い悪い。ちょっと、金がなくなる事件があってな後、半月4円です過ごさないといけないんだよ」
「よ、4円ですか? それ、現実的に考えて無理じゃないですか?」
「ああ、1日でこの有様だからな。どうするべきかな・・・」
「貸しましょうか?利子100で」
「お前は悪魔か・・・」
「嫌ですねぇ。悪魔ならおごったりしませんよぉ」
にっこり笑う小悪魔・・・
「それもそうだな・・・」
だが、アリスに金を借りるにはちょっと怖い・・・目の前の飯を口に入れながらそんなことを思っているとアリスは一瞬、いいこと思いついたというように携帯を取り出し何かを打ち込み始める。
「メールか?」
嫌な予感がしたので聞いてみるとアリスは頷き
「ええ、面白いことになりそうなことを思いついたので準備です」
「そ、そうか・・・」
突っ込むのはやめておこう。
ハチの巣つつくようなまねしたくないし・・・
「で?今日、俺に声かけてきたのはおごってくれるためだけじゃないんだろ?」
「ああ、それはですね」
アリスは携帯をパチンと折りたたんでから鞄の中からあるものを取り出して机の上に置いた。
「以前、お兄さんに頼まれていたものです」
「で?」
「結論から言えば・・・
†
†
†
サイド??
優希がアリスとご飯を食べていた同時刻。とある少女達はそれを受け取りそれぞれの行動を開始した。
ある者は外へ、ある者は家の中であるものを物色し始める。
その行動は彼にとって幸福なことなのか地獄な事なのか・・・
それはまだ分からない。
次回弁当戦争勃発(笑)
別にスーパーで半額弁当を奪い合うわけじゃありません念のため