緋弾のアリアー緋弾を守るもの   作:草薙

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第223弾 お前女だろ

秋葉に外にブッ飛ばされた次の日。京菱重工の倉庫から直接、武偵校に向かい教室で机に突っ伏して眠っていると

 

「おーす!優!」

 

背中叩くな

 

「んだよ武藤。寝てんだから起こすな!」

 

いつの間にか教室内はクラスメイトが登校してきており廊下も少し騒がしくなっていた。

爆睡してたみたいだな・・・

 

「おはよう。椎名君。武藤君」

 

「おーう」

 

不知火も登校してきたので眠るのをやめて起きる。

アリアとキンジはまだか・・・理子と秋葉もまだだな

 

「寝不足かい椎名君?」

 

不知火が朝だと言うのにさわやかな笑顔を浮かべて言ってくる。

 

「昨日、いろいろあってな。2時間ぐらいしか寝てない」

 

あくびをしながら言うと武藤が自分を指しながら

 

「俺は8時間きっちり寝たぜ!昨日は特にすることなかったしな」

 

「死ね」

 

アサルト式に武藤に言ってからスマホを取り出す。

そういや、エルの奴。昨日、連絡してこなかったな・・・今日の放課後当たりに連絡してみるか・・・

 

「なんだ?早いなお前ら」

 

「よ!キンジ!」

 

「おはよう、遠山君」

 

「よー」

 

キンジが登校してきたがアリアの姿が見えんな

 

「キンジ、アリアは?」

 

「さあな。別々に出てきたから知らん」

 

やっぱり、なんかあったっぽいな・・・

まあ、そりゃそうか・・・アリアはキンジが好き・・・キンジもアリアの事を悪くは思ってないはず。

そこに、婚約者の登場だもんなぁ・・・説明下手なアリアがキンジを不機嫌にしてしまったんだろう・・・

でも、フォローしようにもいろいろ言えないことも多いからなぁ・・・

同じチームとしてちょっと不安になってきた。

 

「おはようございます」

 

「あ、山洞さん。おはよう」

 

不知火の声に振り向くとそのバスカービルの1人、秋葉も登校してきた。

だが、俺と目が合うとふいっと目線を外して机に座ってしまう。

俺が何をした・・・姉さんのせいだろ全部・・・

心配しなくても無理やりお前を嫁にするようなことないぞ秋葉・・・

その後、しばらくキンジ達と軽く雑談していると唐突に不知火が気になる話題を振ってきた。

 

「ところで、みんな知ってる?今日はうちのクラスに転校生が来るらしいよ」

 

「まじかよ!女子か!女子だろ!」

 

喰いつくなよ武藤・・・しかし、うちのクラスなんでこんなに転校生多いんだ?水の時と言い秋葉の時といい・・・

 

「どっちかは分からなかったけど2人入ってくるみたいだね」

 

2人か1人ぐらい別クラスにすればいいのに・・・ん?何か嫌な予感がするなぁ・・・

 

「2人とも女子だ!そう決まってる!」

 

「どっちでもいい・・・」

 

キンジは何かを考えているようで本当にどうでも良さそうな感じだ。

アリアの事なんだろうけど・・・

しょうがない・・・

 

「キンジ、え・・・ワトソンの事なんだが」

 

そこまで言った時、視界にピンクの髪が見えたのでそちらを見るとアリアが教室に入ってきてその少し後に担任の高天原先生が入ってくる。

アリアに話しかけるタイミングなかったな・・・

だが、それから数分後俺は頭を抱える事態となってしまうのだ。

 

「それではみなさーん。スペシャルゲストの転入生を紹介しまーす!」

 

先生が言って教室に入ってきた2人の男子と女子

 

「げっ!」

 

思わず声をあげてしまう。

黒板に2人の名前がそれぞれ、書かれる。

エル・ワトソンとリゼ・ファインシュタイン

つまりは、そういうことだ。

 

「エル・ワトソンですこれからよろしくね」

 

武偵校の男子制服に身を包んだワトソンが自己紹介すると女子から黄色い悲鳴が上がる。

うーむ・・・

 

「リゼ・ファインシュタイン」

 

それだけか?その蒼い瞳は虚空を見ているようだったが少し首が動いて俺を一瞬見てくるがすぐに視線を外してしまった。

この子、ちょっと苦手だ・・・レキの時とは違う意味で・・・

やたら攻撃的だったし

そして、今度は男子から歓喜の声。

お前ら可愛い女子なら誰でもいいのかよ・・・

エルと目が合うと驚いたろとアイコンタクトで言われてるのが分かったので苦笑いしておいた。

ちなみにキンジとアリアは固まってるな・・・

こいつは厄介なことになりそうだ・・・

 

朝のホームルーム終了のベルが鳴り。エルとリゼが一番い後ろの席に座り早速、女子と男子が2人を取り囲む。

もちろん、エルに女子。リゼに男子だ。

 

「前の学校ではどこの学科だったの?ここではどこに入るの!」

 

「ニューヨークではアサルトマンチェスターではインケスタ、東京ではメディカ。僕は自分の武偵技術に最後の磨きをかけに来た」

 

ハートマークの目でエルを囲む女子もそうだが、男子にも注目だ。

 

「リゼちゃんはどこの学科!俺はロジなんだけど!」

 

さっそく、武藤がリゼに喰いついていってるな・・・

 

「・・・レザド」

 

秋葉以上に淡々と答えているがレザドか・・・あいつら、正面からやりあわないタイプが多いから苦手なんだよな・・・

罠とか暗殺とか正攻法で戦うタイプから見たら相性最悪も悪いし

ますます、リゼって子苦手になりそうだな

質問攻めにあっている2人を横目に俺はスマホを取り出した。

姉さんから教えてもらった武偵弾職人からの荷物受取のメールを確認するためだ。

新着があるな・・・

あ、マリからだ。

何何?転校生って可愛い子ですか?だと?

送り返すのも面倒だから後にしよう。

武偵弾職人からの連絡はないので受け取りはまだ先だな・・・

 

「おい、優お前知ってたのか?」

 

「ん?」

 

「ん?じゃねえよ。あの2人の事だよ」

 

キンジが一瞬、エルを見て言ってくる。

 

「転校してくることは知らなかったぞ。まあ、知り合いではあったけどな。ワトソンとは」

 

「どう言う奴だ?」

 

「どうって言われてもな・・・」

 

どこまで言っていいのか迷うとこだ・・・あんまり、べらべら他人の個人情報を喋るには裏切りになっちゃうし・・・

 

「まあ、悪い奴じゃないから安心しろってキンジ」

 

と俺がそこまで言った時

 

「たらしが移る?」

 

「たらしですか?」

 

ん?エルとリゼの方だな。

なにやらそれぞれ、女子と男子に耳打ちされてるようだが・・・

 

「な・・・トオヤマ、それに優希もか!」

 

「最低男2人ですね気持ち悪い」

 

と、なぜか俺とキンジを見ながら2人が冷たい視線をよこしてくる。

よくわからんがいらんこと言われたらしいぞ・・・

 

「トオヤマはともかく、優希は変わったんだな。まさか、そんなに女子を毒牙にかけてたなんて・・・」

 

な、なんかエルに対する俺の評価が下がって言ってる気がするぞ・・・

 

「優希? 名前で呼ぶってことはワトソン君ってあいつのこと知ってるの?自己紹介とかしてないよね」

 

エルが俺の事を名前で呼んだのを疑問に思ったらしい女子が聞く。

 

「子供の頃ちょっとね。彼とは幼馴染なんだ」

 

そうなの!?という視線が俺に集中してくる。

事実だが驚くことでもないだろそれぐらい

 

「最近は直接会うことも出来なかったんだけど久しぶりに再開したんだよ。変わってないように見えたんだけど・・・」

 

「幼馴染がたらしになってたらショックだよね」

 

うんうんと女子が言いだしたのでもう、我慢ならん。

 

「エル!」

 

怒鳴るように立ち上がるとずかずかと女子の間に割り込んでエルの腕を握る。

 

「ちょっとこい!」

 

「でも、授業が・・・」

 

「いいから!1回ぐらいなら大丈夫だよ!」

 

「ちょっと!優希!ワトソン君をどこに連れてく気よ!」

 

「きゃー!ワトソン君がたらしに染められるぅ。でも、それがいいわ」

 

と女子の声が後ろから聞こえてきたが無視!

そのまま、教室を出たところで

 

「あ!リゼちゃん!」

 

と後ろから声がしたので振り返るとリゼがついてくる。

ついてくるなら別に構わん。

そのまま、屋上に行きエルの腕を離してリゼが入るのを確認して扉を閉めてようやく一息だ。

 

「強引だな君は。そういうところは少し昔と変わった」

 

ふっとエルは口元を緩めて言った。

 

「あのままだと、女子にあることないこと吹き込まれてたからな。避難だよ。まあ、それと昨日はゆっくり話せなかったからな」

 

壁を背に座りエルにも座るように促すとハンカチを下に引いて俺の横に座る。

リゼも同じようにハンカチを引いて女の子座りだ。

エルは違うけどな。

 

「しかし、転校してくるなら連絡ぐらいしろよ。びっくりしただろうが」

 

「サプライズさ。君をびっくりさせようと思ってね」

 

「びっくりはしたさ。アリアとの婚約も含めてな」

 

そこは探っとかないとな・・・

 

「彼女と結婚するのは昔から決まってたことだよ。昔は言う必要がなかったから言わなかったけどね」

 

「いや、エルお前・・・」

 

これだけは言っとかないとな。

 

「女だろお前は」

 

 

 

             †

             †

             †

 

『サイド??』

 

東京を見下ろすということを考えると庶民が思い浮かべるのはまず、東京タワーだろう。

昔はそうだったが建設中のこの建物が完成したら未来の人間はどちらを見下ろすという状況に利用するだろうか?

そんなくだらないことを考えているとコツンと足音がしたので振り返る。

 

「あら? 無粋ね。こんな朝遅くに訪ねてくるなんて。ガイア騎士団というのはマナーも守れない組織なのかしら?」

 

「私の組織はそいうとこ、自由なんだ」

 

コツンと音を立てて床に降り立った少女はウェーブのかかった金髪の髪を揺らすと微笑んだ。

 

「それに、人間の世界じゃこの時間はマナー違反には当たらないよ。普通の子は学校言ってる時間だしね」

 

「ふん、高貴なドラキュリアが人間のマナーに合わせてあげる義理はないわね」

 

「じゃあ、いいじゃない。お互い自分勝手ってことで」

 

「物はいいようね」

 

これ以上、言い争っても意味はないと判断したヒルダが言った。

 

「ごめんね。とりあえず報告だけいいかな?」

 

「さっさと言いなさいな。それにしても、ガイア騎士団というのは人手不足なのかしら?トップ自らがこんな下請けするなんて」

 

「人ならいるよ。今日も、みんなに止められたけど私自身が望んで出てきただけ。ドラキュリア的にも人間的にもトップが出向くのは礼儀に反しないでしょ?」

 

「そうね。それは同意よ」

 

少女・・・アズマリアは少しだけ目を細めて微笑む。

 

「話が逸れたけど報告だよ。約束通り、今回の件では公安0は動かない。仮に動いても契約通り足止めはする。鈴・雪月花の誰が動いても同様」

 

「水月希の方は?あれは規格外よ?」

 

「私も規格外だよ」

 

にっこりとアズマリアが笑顔を浮かべる。

無邪気という印象を抱くがこの少女は底が見えない。

笑顔の下には途方もない力が隠されているのだ。

あの災悪の魔女先代アズマリアのように・・・

 

「あなた自らが足止めしてくれるのかしら?」

 

力としてはおそらく、ヒルダよりもアズマリアが上だ。

だが、ヒルダは相手にへりくだった態度を取ったりはしない。

それはドラキュリアとしてのプライドだ。

 

「希ちゃんは動かないよ。こういう事態では確実に」

 

「どうしてそう言えるのかしら?」

 

「優希君の成長のため」

 

「成長ですって? それは、水月希は私にあのゴキブリが勝利すると思ってるのかしら?」

 

「敗北も成長を促すって考えない?」

 

「ありえないわね。私はあのゴキブリは絶対に殺すつもりよ。生かすつもりもない」

 

「優希君が死んだら緋刀も消えちゃうけどいいの?」

 

「あれは元々、おまけのようなものでしょう?なら、私は興味ないわ」

 

「私は興味あるんだけどなぁ」

 

「何?欲しいの?あんなゴキブリ」

 

「私が興味あるのは優希君と言うより緋刀の方なんだよね。優希君のことは正直まだ、よく知らないけど希ちゃんの弟だしね」

 

「なら、殺すことに問題はないわね」

 

「うん、それにどの道。こんな所で死ぬなら興味なんて失せるしね。妹の方はいいのかな?彼女、随分彼に興味あるみたいだけど?」

 

「ローズマリーが何を考えてるのかは正直私は知らないわ」

 

「妹なんでしょ?」

 

「・・・ええ、だけど私はあの子のことは正直よく知らないわ。分かるのは私と同じドラキュラの血を引いているということ。それと・・・」

 

「それと?」

 

ヒルダは何かを考えるようなしぐさを一瞬してから

 

「話す義理はないわね。アズマリア」

 

「あれ?残念。優希君に伝わるかもしれないのに」

 

アズマリアは天使のような微笑みを浮かべて背後を振りかえって言った。

 

「ね、理子ちゃん」

 

「・・・」

 

視線を落とし2人の会話を聞いていた理子はそれに対して返事をすることはなかった。

ただ、彼女は心の中で叫んでいた。

誰か私を助けてと・・・

 

「・・・て・・・うき」

 

彼の名を・・・彼女のヒーローは現れない。

それでも彼女は願うのだった。

助けて・・・理子を助けてよと・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




書けるときに書くべき!ということで更新です。
意外と待っていてくれた人がいて嬉しいですね。
一気にヒルダ編やってからオリジナル章やりますよ!
未だに謎扱いのガイア騎士団と戦うか、例の重力事件をやるか信冬をヒロインにすえたオリジナルやるか、秋葉をメインにしてやるか迷いますね。
どのオリジナルでも優には大ピンチを味わってもらいますよフフフ。
キンジ君にも活躍してもらいましょう!ちなみに、キンジは書いてないだけで原作で起こった活躍をしてるんですけどね。
あくまで守るものは優がメインの小説ですからキンジの大活躍は原作を読みましょう!
緋弾のアリアは買う価値ありますよ!

ちなみにみなさん誰を次のオリジナル章のメインヒロインに添えて欲しいんですかね?
メインヒロインは原作キャラは一回はやってるんでオリジナルのヒロイン限定です。
となると秋葉か信冬か新たにヒロインを出すか何ですよね。
え?マリですか?言わなくても分かりますよね(笑)

やっぱり信冬かなぁ…彼女、未だに優の近くにてん…ゲホゲホ。
でも信冬絡めると必然的に土方お義兄ちゃんがか変わりますしう~ん。
いっそ、外国にいきますか!いや、ダメだな…

久々のオリジナルはどうなることやらです。

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