緋弾のアリアー緋弾を守るもの   作:草薙

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第219弾魔法少女リリカル秋葉

あの最悪なくじ引きから数日、武偵高は短縮授業となり文化祭の準備が進められている。

俺は準備もしつつ、空いた時間は土方さんの家に行って雪羽さんや鈴さんに稽古をつけてもらい家に帰るという暮らしを続けている。

個人的にも情報収集はしているがまだ、有力な情報もなく宣戦会議の件は警戒しつつも様子見と言った感じだ。

どう見ても、あの空き地島にいた連中はステルス持ちがごろごろしていたため紫電なしに戦いを挑むのは出来れば遠慮したい。

代わりの刀やステルス対策の装備は手配はしてるんだが緋刀も紫電なしには使えないので俺の力は大幅ダウンだな。

まあ、アリアに輸血される前に戻ったというだけの話なんだが・・・

                †

                †

                †

そんなわけで、今はリトランテ・マスケの総仕上げの時間帯だ。

決まった衣装は自前で用意しないといけない上に〆切を過ぎればマスターズ名物、体罰フルコースを食らう事になる。

アリアがやられたことなんて比じゃないくらいの恐ろしい事なのでみんな〆切を必死に守ろうとするので〆切前夜はみんな、教室に集まって衣装の総仕上げを行うのだ。

で、俺は決まった衣装を・・・つまり、武偵高女子の制服を着て教室に入ると教室にいた連中に爆笑されてしまった。

「きゃはははは! ユーユー似会う!かーわーい」

「うるせえ!」

く、くそ理子め!お前は知ってるだろうが俺の女装姿!

「駄目ですよ優ちゃん。女の子は丁寧にしゃべらないと・・・ぎゃはははは!」

「うるせえ!」

俺は情け容赦なく消防士の格好をしていた武藤を蹴り倒してから周囲に笑われているのを無視して笑わないであろうキンジ、レキと白雪の横に座り込んだ。

一応こいつらはみているわけだし。

スカートが短いので持ってきていたジャケットをかぶせて床に座り込む。

流石に当日でもないのに女座りとかしたくない。

「がふ」

ん?なんだよハイマキ。今笑いやがったか?笑いましたよね?

と、ハイマキの頬を掴んでぐにぐにしていると

レキと目が合った。

ハイマキをぐにぐにしながらレキの格好を見てみると

いかにも研究所職員と言った格好だ。

セーラー服に白衣で萌葱色のブラウスを縫っている。

近くにレキが用意したらしいメガネが合ったのでレキにつけてやると目だけを上に向けてきた。

ああ、これあれか・・・武藤に言わせれば少しずれた眼鏡での上目。

眼鏡萌えは俺によくわからない世界だな。

村上の姿はないが教室の隅で悶絶しているのはRRRのメンバーだろうな。

「グルオン!」

「うお!」

いつまでぐにぐにしやがるとばかりにハイマキが吠えたので手を離してついでにレキの眼鏡も外しておいた。

横では白いスカートに濃紺の膝上タイトスカートといった教師姿の白雪がキンジに話しかけている。

「キ、キンちゃん、私の先生姿どうかな?どこかおかしかったりしない?」

「似会ってる小学生の先生っぽいよ」

と話をしているので他のチームメイト・・・あれ?秋葉とアリアは?

周りを見回して衝立で区切られたゾーンから白いカーテンを少し開けて出てきたのは・・・

「あ、秋葉?」

なんと金髪姿の秋葉だった。

俺と目が合うと慌てて中に逃げ込もうとしたが

「あーきちゃん!覚悟決めなよ」

と中から理子の声。

「い、嫌です!こんな姿さらすぐらいなら体罰を受けた方がましです!」

いやいや、困りますよ秋葉さん!連帯責任になったらどうすんだ。

「秋葉!笑わないから出て来いって」

「嘘です!絶対に笑います!」

「笑わないって」

というか秋葉よ・・・俺とそんなやりとりしたせいで教室の目がお前のいる場所に向いてるぞ。

一応、みんな作業しながらだが・・・

「じゃ、リリカル秋葉ちゃんはーじまるよ!」

「まっ!」

理子の声と共にカーテンがばっと開かれた。

と、同時に俺は言葉を失った。

髪は長い金のウィッグをツインテールにし黒のリボンでくくっている。

目もカラコンを入れているらしい。

確か秋葉の役は魔法少女リリカル風ジャケット装備だったか?

なんかのアニメの奴らしい。

あれが、魔法少女の杖なのか斧のような黒い杖を手に持ち黒いマント

靴はブーツのような少しごつい感じのものだ。

そこまでならまだ、良かったのだろう。

問題は服で一言で言うなら黒い水着に近いのだ。

いや、白いスカートはついてるのだが・・・

女の子がするにはちょっと恥ずかしい格好なのかもしれない・・・

「あー、なんというか・・・かわいいな」

とりあえず褒めておこう。

秋葉は美少女ではあるので実際におかしいとは思わんし

 

「うー」

秋葉にしては珍しく本当に嫌なようで真っ赤になりながらうつむいてしまう。

「ほーら!秋ちゃん!設定は1期なんだから表情をころころかえちゃ駄目だよ」

「そんな縛りはなかったはずです。2期までで・・・や、やっぱり今からでも3期に・・・」

「もう、間に合わないと思うよ~」

「は、はめましたね理子さん」

「理子しらなーい」

なんかよく分からんが理子に乗せられてあの服になったらしいという事は分かった。

「ほら秋ちゃん。リリカルマジかるがんばりますって言わないと」

「それ、もう一人の方です」

「そだっけ?じゃあ、・・・」

と理子とキャラのアニメの話を始めてしまったのでため息をついて視線をそらすと武藤と目が合った。

「優、リストランテマスケっていいもんだな」

と秋葉も方を見ながら言った武藤に俺はなぜか無性に腹が立ったので右指でめつぶしを食らわせ目がーぁ目がぁと転げまわる馬鹿をほっといて秋葉達の方に視線を戻すが・・・

「ほら早く絶対に受けるって!可愛いのは正義だよ」

理子がカーボーイの格好で誰かを仕切りの向こうから引きずり出そうとしている。

「~~~~」

 

人の可聴域を超えて叫んでいるらしい誰か。

「そうです。諦めてください」

秋葉も同じように誰かを引っ張っているようだ。

道ずれの誰かがいるのか?

「や、や、やっぱりい~や~よぉ!」

と引きずりだされてきたのはアリアか・・・

キッズサイズのブラウスにミニのピンクのスカートにフリルだらけの服。

ピンクがかかった赤目のランドセル。

左からはソプラノリコーダーがはみ出している。

か、完全に小学生だ。

もう、情け容赦ないほど間違いない。

こらえられそうになかったので背を向けて口元を緩めるが駄目だ声に出さないのがやっとだぞ。

「アリア諦めろ。それより、衣装の細部を作りこんでおかないと蘭豹にバイクで市中引き回しの刑にやられるぞ。その服で。オフっ」

後ろでキンジが笑いを咳でごまかしたみたいだが気持ちわかるぞキンジ。

アリアは頭から湯気を出し、真っ赤になりながらキンジの横に座った。

秋葉も俺の横に座ってきたので

「ま、諦めろ秋葉。俺も似たようなもんだ」

秋葉は俺の声に顔を上げると

「同じ・・・ようなものですか」

「そうだよ。似たようなもんだって。諦めてやるしかないんだよ」

そうしないとマスターズの拷問地獄だし

「分かりました・・・アリアさんよりはましです」

おま、もう少し小声で言えよ

アリアの方を見るが幸い聞こえていなかったようだ。

「へい!アリアちゃん!お裁縫箱はこっちでちゅよ!アリアちゃん!」

ジャンプ正座をしながら理子は白雪の裁縫箱を勝手にアリアの膝に乗せている。

アリアはスカートを握りしめながら

「あんたねぇ・・・それ絶対アリアちゃんっていいたいだけでしょうが」

「だめでしょ。アリアちゃん?小学生がそんな口調で喋っちゃ」

「うぐぅ」

「はい、それじゃ道具を貸してもらったお礼をいいましょうね」

と白雪。

ここぞとばかりいじられてるなアリア

ん?レキが動いたぞ。

なんか危険を察知したらしいな。

俺も逃げよう。

こっそりと、レキの後に続いて廊下の外に出てみると案の定背後から地獄のような殺気が溢れてきた。

ああ、アリアだろうな状況的に・・・

「・・・」

レキとハイマキと帰るかな?もう、俺の服は完成してるわけだし。

「レ・・・」

ズグン

それを表現するなら何かが内側から押した感覚。

左目に激痛が走り左手で目を覆う。

い、痛ぇ・・・

立ってられず歯を食いしばりながら膝をつく。

そうしている間にも激痛が続く。

片目が焼かれているような感覚だ。

カラーコンタクトを取り目を押さえながら俺は原因に思い当たる。

この片目はレキの命を救った時に変わったものだ。

スサノオは緋刀の浸食と言ってた・・・

「優さん目が痛むのですか?」

レキが俺に近寄ってくるがそれを手で制す。

「とりあえず・・・ここから離れる」

教室の中にはアリアがいる。

あいつにだけは知られてはならない。

スサノオが言っていた緋刀の浸食の話。姉さんの話からすればこれの原因を作ったのは

アリアの輸血だ。

だが、アリアには何の落ち度もない。

だからこそ、知られたくないのだ。

こんな副作用があるなんてな。

                 †

                 †

                 †

なんとか、屋上に入り扉を閉める。

レキとハイマキがついてきていたが構う余裕がない。

そのまま、壁にもたれかかる。

「くそ、なんなんだよ・・・」

言いつつも原因は分かってる。

この目になってから数回実はこいつは起こってるんだ。

今の俺の目はカメリアと元の黒が言ったり来たりしている状態で完全な定着が実現できていない。

信冬にもらったお札はあくまで、過度な浸食を抑えるためのもので定着を抑える効果はない。

痛みは1時間もすれば消えるもんだがいかんせん、痛みが直接来るので始末が悪い。

「優さん」

レキの声が聞こえ俺の左目のまぶたにひんやりとしたレキの右手が置かれる。

「ん?」

痛みが嘘のように引いていく・・・

ああ、やっぱりそうなんだな・・・

京都でもそうだったように・・・

「・・・」

どれほどそうしていただろうか?

痛みが消えている。

「もう、大丈夫だからレキ」

「・・・」

こくりとレキは頷いて手をどける。

「これで2回目だな」

レキに痛みを取ってもらうのは・・・

「優さん。痛みを感じるのでしたら私が傍にいます」

「いやいい」

俺は息を吐いてから立ちあがるとレキを見ながら

「お前にばかり頼るってわけにもいかねえし」

それにレキを救ったような力を使わなければ片目が完全にカメリアの色になるだけで済むだろう。

レキに使った力はそれほどに巨大な力ということだが・・・

緋色金の対象となる璃璃色金の影響を濃く受けたレキに接触すれば力の暴走は抑えることが出来る。

今思えば姉さんがレキとの接近を積極的に推奨していたのはこうなることを見越していたんだろうな・・・

「でもありがとな。レキ、やばい時には頼らせてもらうよ」

「はい」

そう言ったレキの顔は少しだが悲しそうに見えた。

 

 




次回は裁判!そして彼?彼女が登場予定です!

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