緋弾のアリアー緋弾を守るもの   作:草薙

212 / 261
第211弾 救いの代償

しかし、10億か・・・

暗くなった外を見ながら俺は宿の部屋で寝転びながら1時間ほど前のことを思い出してみて気が重くなった。

あの開発主任と名乗った人は俺にある取引を申し込んできた。

自分達が開発中のPADのテストパイロットになってほしいということ。

もともと、PADは警察や自衛隊の特殊部隊での運用を想定しているらしく超人との戦闘データー。

まあ、武偵のみならず強さが化け物といわれている相手との戦闘ができるだけのものを作りたいんだそうだ。

条件は破格のものだ。

簡単に言えばこんな感じだ。

まず、10億の弁償は受けてくれるならチャラにしてくれるしおまけにPADを1機ただでくれる。

もちろん、超人との戦闘データーと引き換えなど条件もあるが1回運用するだけで1万~1000万まで報奨金を出すということ。

ぶっ壊しても問題なし。

燃料代等は全部、開発元の親会社京菱重工が請け負うとのこと。

ただ、椎名優希と京菱重工はスポンサー契約が結ばれるという。

日本の企業は武偵高には奨学金を出したがらないから生まれた制度だ。

京菱重工は日本企業なんだけどな

まあ、ようは裏社会の人間である俺なら法律もある程度はかいくぐれるし、超人との激突も多く戦闘データー採取にはうってつけであると判断されたわけだ。

鈴さんのせいで10億のこともあるだけに受けざる得ないので契約書にサインだけはしたが大丈夫かな・・・

まあ、京菱重工は大企業だからその点は心配はないだろう。

「お客はん。ご飯、彼女さんと食べはります?」

ん?女将さんか

「いえ、1人で食べます」

「あらあら、うふふ。余計なことかもしれへんですが彼女さんとは仲良くせないけませんよ」

「いえいえ、彼女じゃありませんから」

あんなことあったのに強いなぁ沙織さん。

もしかして、元、武偵とか?

彼女疑惑を断って料理を部屋の中に運んでもらう。

京都ではあるが今日は洋食を頼んだので和な感じじゃない。

 

肉が食いたいんだよ!

「ごゆっくり」

と沙織さんが言ってしまう。

多分、レキの部屋にご飯を運び込むんだろうがあいつは俺がいないならカロリーメイトか?

いいにおいがするご飯のふたを取って手を合わせる。

こういうのは礼儀だからな

「いただきまーす!」

はむはむとご飯を平らげていく。

『椎名優希』

「ん?スサノオか?今、飯食ってるだろ後にしろ」

頭の中に直接響いてくる声に返答してご飯を再開する。

『別に食べながらでも構わない。だが、聞いてほしい』

「なんだよ」

『私は言ったよな?蕾姫を助けるためには代償がいることを』

少し沈んでいるその声に俺はそういや言ってたなと思い返す

「ああ、それで?」

『そろそろ・・・その代償を支払う頃だ』

「あ?っ!?」

い、痛い!右目の奥が痛い

右目を潰さないように両手で周りを抑えるようにして持つが目から火でもでようかという熱さを感じる。

「ぐぅ!」

ガシャンという音とともに料理の入った皿があたりに飛び散った。

どうしちまったんだ俺の目は、それに体中の血が暴れてるようなそんな感覚。

「う・・う」

叫び声をあげたいのをこらえながら俺は床の上に転がって必死に耐える。

こいつはなんだスサノオ!

『これは序章の序章。第1の進行だ』

進行?なんだよそれ・・・っう!

激痛と同時に食器を蹴飛ばしてしまい更にガシャンと音がしてしまった。

まずい、レキ達が来る。

トントンというノックの音

「優さん。今の音は?」

「グルオン」

レキとハイマキの声がドアの向こうから聞こえてくる。

「な、なんでも・・・ない」

激痛に耐えながら扉を背中で抑え込む。

脂汗が出るのを感じながら歯を食いしばる。

「でも・・・」

心配してくれてるんだろうが今は有難迷惑だ。

もし、この痛みが代償だって言うんなら後悔なんかない。

レキの命を救えたんだから・・・

 

『おお、そういえばその発作を抑える方法があるぞ』

「ほ、本当か?教えろ」

小声で言うとスサノオは

『うん、蕾姫に抱きつけ』

「はっ?」

思わず素で言ってしまったが何言ってるんだこいつは

『真面目に言っている。璃璃色金の元に長く存在しその巫女だった蕾姫に接触することで・・・』

「できるかそんなこと・・・いっ!」

小声で話したつもりだが最後の悲鳴はレキにも聞こえたらしい

「ハイマキ」

「グルオン!」

ドオオンと扉が揺れる。

た、体当たりしてるのか?

「や、やめろレキ!なんでもない!」

カギに手を伸ばそうとした瞬間再び激突音とともに俺は前に吹き飛ばされた。

ハイマキが飛び込んできて続けてレキが入ってくる。

「優さん」

「来るなって言っただろ!」

怒鳴りながら俺は部屋の奥に行くと窓から飛び出そうとしたが背後からハイマキが突撃してきて俺にのしかかってきたため床に倒れてしまった。

くそ、普段なら・・・

右目を抑えながら荒く息を吐きながら俺はレキの方を見る。

レキは無表情だが俺のそばにくると症状を見るように俺の顔を覗き込んできた。

『ほら、抱きつけ早く』

スサノオが急かしてくる。

できるかっていってるだろ!

『へたれだな。相手は婚約者だろ』

「目が痛いのですか?」

レキが俺の手に手を置いてくる。

ひんやりとした小さな手が俺の手と重なる。

不思議と・・・痛みが和らいだ気がするがまだ、痛みは激痛のレベルを脱しない。

『別にキスしろとか言ってるんじゃない。抱きつくだけだぞ』

「できるか!レキに抱きゃ治るなんてどんな症状だよ」

「私に抱きつけば治るのですか?」

あ、やばい。口に出してたか今の

「いや、その・・・」

スゥとレキは俺の前にくると首に周りに両腕を伸ばして抱きついてきた。

ミントの香りとシャンプーのにおいが鼻をくすぐる。

「れ、レキ?」

レキは何も言わない。

トクントクンと破壊されて修復された心臓の音が聞こえてくる気がした。

そして、同時に痛みも引いていく。

『言った通りだな』

どういうことなんだ?

レキに抱きつかれたまま俺がそんな疑問を抱く

『簡単なことだ。何、今回のが落ち着けば極端に力を使わない限り同じ症状は2度と起きんよ』

レキを救ったことで生じたこの代償。

そうか、人の命に干渉するというのはきっと、ものすごい力を消費するんだろう。

だが、代償とは痛みだけで済むのか?

レキに抱きしめられてなんか、おかしな気分になりそうだ。

痛みも治まったし。

そろそろレキを引き剥がして・・・

「・・・」

ああ、見てしまった。

窓に反射するレキに抱きしめられてる俺の顔。

緋刀を使った時のように緋色の髪ではなく左目も黒い

だがその逆の目は・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

緋色に染まっていた。

 




ちょっと補足です。
アリアの場合は緋緋神。
優の場合、進行が進めば…それは秘密
進行を和らげるには緋弾と対極にある璃璃色金の影響を強く受けたレキの
存在が必要ということです。
希がレキと優をくっつけようとした理由はここにあります。
つまりは…

次回はまた、金曜ですかね。
努力はしてみます。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。