緋弾のアリアー緋弾を守るもの   作:草薙

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第210弾 風去りて

なんというべきだろうか・・・

今の状況を話そう。

あんなことがあったのに俺の目の前に1糸まとわぬ姿のレキがいる。

お、落ち着くんだ俺。

何があったかお冷静に思い返せ。

あの後、山のようにいろんなことがあったので少し略して書いていくと意識を失った俺達は警察病院に運び込まれた。

武偵病院かと最初は思ってたんだ距離的にそちらの方が近かったというのが理由らしい。

それで、レキの心臓が動いているという報告をベッドで起きて聞いてほっとしたのもつかの間、なんと水が現場から逃走したというのだ。

あの怪我でよくもまあ、逃げられたと思ったものだがどうやら、仲間がいたらしい。

そういや、韓信って名前叫んでた気がするし多分、あいつにはまた会う。

過去のこともその時、聞かせてもらおう。

あの後、少しだけココが暴れたらしくキンジはなんだか指を怪我したとか言っていたがまあ、怪我はそれぐらいだ。

「もう、体ぼろぼろだよまったく・・・」

帰りたいが医者の話では最低でも1日は入院してもらうよと言われてしまった。

緋刀も限界近く使ってしまったらしく怪我を治そうと緋刀を使おうとしても反応すらしなかった。

おかげで擦り傷とか残ってるし緋刀の検査とかいうことで半重傷者扱いだ。

まあ、おかげでうっとおしい取り調べも先延ばしにされているが・・・

                †

次の日、レキはどうしてるのかなとベッドの上で思っているとレキが病室から消えたと聞いた俺は医者の目を盗んでレキの病室に言ったんだがいない。

慌ててワイヤー使って病院から抜け出した時M700を俺に向ける鈴さんと隣に姉さん。

事情を説明すると姉さんは

「レキならあの銀のオオカミのとこじゃないか?」

「おそらく、湯治でしょう」

と姉さんと鈴さん。

ようは、ハイマキ回収して温泉で療養していますということらしい

追いかけるかどうか悩んだ瞬間、姉さんに抱きかかえられ空へ上昇。

PADなんか目じゃない速度でミサイルみたいに放り込まれた先にいたのは・・・

 

温泉に入るため裸のレキであった。

               †

というのが今の状況なんだ。

決して除くためにきたんじゃないぞ。

「・・・」

「・・・」

固まる俺と無言のレキ

「む、胸に傷なくてよかったな?」

と馬鹿みたいなことを言ってしまった。

心臓に穴があいたはずだが跡は全く残っていなかったのだ。

そう言えば、姉さんはどこ行ったんだ?

放り投げて離脱したのかあの野郎。

「・・・」

レキは無言でちゃぷんと温泉に体を沈めた。

不幸中の幸いは湯気が不自然なぐらい濃かったのであまり、見えなかったということだろう。

外に出ようとして気付く。

おい、俺の服!

姉さん俺の服をステルスか何かで脱がせたらしい。

ようは、前の時と同じ状況。

レキとお風呂だ。

「ガウ!」

「いて!お前いたのかよ!」

 

ハイマキが俺の腕を甘噛みしてきた。

だが、今までの比べると少し優しい感じだ。

「しかし、無事でよかったなおい」

ベシャベシャと濡れた毛並みの頭を軽く叩くとハイマキは尻尾を振りだした。

こ、これはなついてくれたのかハイマキ?

「優さん」

「は、はい!」

ハイマキに集中していたので敬語になっちまった。

振り返らずにレキの言葉に答える。

そう言えば、緋刀が作り出したあの世界では話したが意識を持って話すのは昨日以来か。

「私はあなたを守るために最後の銃弾を使い心臓を打ち抜きました」

「・・・」

その言葉に俺は少しだけレキの方に体を向ける。

「私は1度死に、私は1度故郷に風になり帰っていきました」

「死んでないだろレキは」

俺が言うとレキはこくりと頷き

「声が聞こえました。優さんの私を呼び戻す声が・・・」

「教えてもらったんだよ」

「?」

「緋刀の力なのか知らねえけどな。俺がレキを追っていった時、レキと会ったんだよ」

 

「私とですか?」

「ああ、正確には子供の頃のな。正確な過去なのかは分からないが仮にあれが俺と会う前としたら俺たちは更に昔に会っていて子供のレキは風になったお前の場所を未来の俺に教えたことになる」

言ってて混乱してきたな・・・

「覚えとかないか?」

今のレキが同じ体験を子供の頃にしているかも知れない。

シャーロックがアリアに緋弾を撃ち込んだ時のように・・・

「はい」

そのはいは、どういう意味のはいなのかは分からない。

だが、そんなことはどうでもいいな。

「そっか・・・なあ、レキ今も風の声が聞こえるか?」

「・・・」

レキは答えない。

俺は構わずに続ける。

「風は最後の銃弾で死ぬことを指示したんだろ。だけど、お前は生きてる」

「・・・」

「お前は・・・」

「もう・・・聞こえないのです。風の声がもう、聞こえない風はもう、何も言いません」

その声は震えているように聞こえた。

風は死ぬことを命令しレキは実行したが死ななかった。

 

「それは、役目は終わったから自由に生きろってことじゃないか?」

「私には分かりません。これからどうすればいいのかこれから1人で」

「別に一人じゃねえだろ。俺はレキとずっと一緒にいたいしみんなもいるだろ?」

「ずっと一緒?」

なぜか、レキがその言葉を言った瞬間、俺はとんでもないことを言ったことに気づく。

「ち、違うぞ!友達って意味だからな!誤解するなよ」

「はい」

その顔は・・・ぎこちなくはあったが確かにあの時と同じ誠の笑顔だった。

「ガウ!」

「いて!何しやがる!」

突然ハイマキが背後から襲いかかってきたのでハイマキと風呂場で取っ組み合いの喧嘩になる。

なついたんじゃないのかよ!

ばしゃばしゃと風呂場で喧嘩しているところへ、女将さんの沙織さん登場

レキの療養も兼ねてちょっとだけ泊らせてもらうとしよう。

一応、明日明後日は連休だからな。

              †

その日の夜。流石にレキとは別の部屋でそういや、下着とかないよなぁと外に出て大型のショッピングモールを見つけて買い物していると

「どーもどーも、椎名優希君ですね」

 

「はい?」

振り返ると街中なのに白衣を着て無精ひげを生やしたおじさんが立っていた。

おじさんはにっと笑うと

「初めまして、PD計画Bチーム主任、天城洋介です。ちなみに君が山に激突させて大破したPADの開発者でーす。あ、あれ1機10億するんで」

その言葉に俺の血がサーと引いて行くのが分かった。

い、いや人のせいにするのもどうかと思うけどあれ、鈴さんだよ!鈴さんが持ってきたんだよ!なんで、俺が一方的に責められてるの?

おじさんは俺の前で笑っている。

ど、どうしよう10億なんて絶対無理だぞ!

史上最大の大ピンチだ。

金全部没収されて月詠に管理される未来が見えてしまった。

「あ、あの・・・」

ど、どうしよう・・・

 




原作最新刊読みましたが最後キタああああああ!
と思える人物が現れました。
想像以上の外道と戦うの楽しみですが香港ってPAD持ち込むの大変そう…
表紙はかなめでしたが色付きになると更にカワイイ!
この作品でPADがでますがこれは緋弾のアリアと同じ世界観のやがて魔劍のアリスベルという作品のものですが最新刊ではん?もしかしたらアリスベルの世界って緋弾のアリアより前か同じ?という疑問が湧きました。
基本アリスベルは緋弾のアリアより未来と思ってたので下手したらアリスベルの主人公達とキンジ達戦うのかという懸念が…

まあ、だからこそ開発チームはBチーム。
キリコのPADはAチームにしようかな

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