緋弾のアリアー緋弾を守るもの   作:草薙

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第204弾 私は母国を破壊する

「優!時間がない!簡潔に説明するぞ!」

レキとの固定ベルトを外しているとキンジが声をかけてくるが

「状況は分かってる。中の武偵高の生徒からネット回線から実況してくれてからな」

簡潔に言えばこのままだと東京に突っ込む。

どうにかするにはこいつらを排除して爆弾を撤去するしかない。

やることがわかってるならやるだけだ

「鏡夜、粉雪ちゃん連れて車内の後部に移れ!」

「・・・分かった」

自分が足手まといなのを承知しているのだろう。

弟にしては素直に車内に戻る。

その穴は水が開けた大穴だ。

「兄貴」

穴に入る寸前鏡夜は振り返った。

「後は頼む・・・」

「優希様・・・みなさま御武運を」

「おう任された!」

鏡夜と粉雪ちゃんが車内に入り後は正面

「さて、レキいけるか?」

「はい」

背中越しに俺たちは言い合う。

「キンジ!そっちにココ軍団任せたからな。レキあっちの援護してやってくれ俺は水と戦う」

「はい」

「分かった!」

キンジとレキの返答を聞いて俺は水を見る。

なんだろうなぁ・・・戦闘狂モードってわけじゃないんだけど気分が高揚してるな

空飛んできたからか?

「ふーん、優希一騎討ちしたいの?」

にやぁと右人差し指を形のいい唇にあてる水

「ああ、時間がないから本気でやらせてらうからな」

「時間ね。結構、時間かかったよねここに来るまで」

「そうだなぁ・・・」

そういいながら俺はこいつが雪羽さんと戦ったあの少し後までの記憶を遡った。

            †

時は少し前に戻る

なんか、騒がしいな・・・

目を開けるとうっすらと天井が見えてきた。

星伽神社の一室か・・・

そうか、俺、項羽と戦って鈴さんに・・・

襖を開けて廊下に出ると幼い巫女服の子達が騒いでいる。

「し、白雪様の乗られた新幹線に爆弾が仕掛けられたというのは本当なのですか?」

「間違いありません」

ちょっ、白雪の乗ってた新幹線って鏡夜とアリアも載ってるあの・・・

「おい!」

「あ、椎名様・・・」

びくっとした幼い巫女の子が気まずそうに目線を下げる。

「今の話はどういうことだ?詳しく聞かせてくれ」

「あの・・・」

言ってはならないことってか?

それっきり巫女達は口を開かない。

もういい、風雪ちゃんに事態を・・・

いや、この状況なら!

とっさにポケットに手を突っ込むがない。

そうだ、携帯破壊されたんだった!

ならよ!俺は間取りを思い出しながら記憶を頼りに走り目的のものを見つける。

あった電話だ!

古めかしいが黒のダイヤル式だが俺はまず、秋葉に電話したが繋がらない。

くそ、妨害でもされてるのか?

さっきの爆弾の話が本当なら十分ありえる。

これではキンジ達にかけるのも時間の無駄だ。

それなら

俺は迷わずに次の人物に電話をかけた。

「土方だ。この番号・・・星伽の・・・」

「土方さん俺です!優希です」

時間がないので撒き仕立てるようにいう。

「優希か!?お前どこにいやがる!まさか、新幹線の中なんていうんじゃねえんだろうなってそれはねえか」

やはりか!

その言葉だけでただならぬことがおきているのを理解できた。

「どういうことです土方さん!何が起きてるんですか?」

「少し前だ。東京に向かう新幹線の一つがトレインジャックされた。中には東京駅を吹き飛ばす爆弾がある。減速したら

爆発する奴でやつらは・・・ランパンの奴らは日本政府に300億人民元を要求してきやがった。新幹線が東京駅に突っ込むのは1時間と後少しだ」

ランパン・・・くそ、あいつら

「救出作戦はどうなってるんですか?」

「俺達公安0を始めとした高速で動く新幹線に強襲できる連中はみんな脅されて動けねえ」

完全にやられた・・・人質とられてちゃ強襲も簡単じゃない。

だけど、やるしかねえ!ランパンは俺に興味を示している。

俺なら強襲しても爆弾を炸裂させたりはしないだろう。

おそらく、そこには水もいるはず。

あいつなら、絶対に俺の接近を妨げない確信がある。

「俺、行きます」

「待て、どうやって行くつもりだお前の場所が星伽神社だとしたら隼やヘリでも追いつけねえぞ」

腕時計を見て考える確かヘリがあったが追いつけるか微妙なところだ。

「問題ありません」

「あ」

ひょいと俺の手から受話器が取り上げられる。

「歳。希弟の強襲手段は確保済してある」

「その声・・・鈴か?おい!なんでお前がそこにいやがる!」

ぱっと受話器が俺に戻される。

「おい鈴!」

「えっと土方さん。鈴さんなんだけど、項羽と戦ってたときに危うく助けてもらったんだ」

「分かった。詳しくは後で聞かせて・・・」

ツーツー

って鈴さん!何で電話切るの!

「時間の無駄です」

それだけ切羽詰まってるってことかよ

というか仮にもチームメイトだった土方さんの扱いが・・・

「あの鈴さん。さっき土方さんに言ってた強襲手段って・・・」

「こっち」

無表情のまま、俺の右手を掴んで歩き出す。

というかこの人も10代にしか見えないぞ。

どうなってるんだ姉さんのチームメイトは

ひんやりとした手に握られながら星伽神社の前に止められている大型トラックの前で鈴さんが何かを操作するとガコン

と上部や右と左が展開されていった。

つうかこの車、陸上自衛隊って書いてるぞ!いいのこれ!

完全に開放されるとアニメに出てくるみたいな金属の塊が目に入ってくる。

背後にジェット推進なのか大型のエンジンの前には人間2人分ぐらいのスペースに戦闘機の操縦席にあるような操縦根やパネルが設置されている。

細かいボタンも見えるがこれ何?

見たことない装置もなんかついてるし

「あの、鈴さんこれ何なんですか?」

「京菱グループが開発している先端科学の鎧、PADです。戦闘機の運用経験は?」

「えっと、ロシアのスホーイとアメリカ軍のF16とF15と日本のF2を少々」

全部姉さんのせいで乗る羽目になった戦闘機だ。

逃げるためとか理由はいろいろあるんだが死に物狂いで乗りこなした。

乗りさないといけなかったんだよ

「乗ってください。戦闘機と同じです」

「無理です!」

どう見ても戦闘機と違うし!戦闘機と違って体むき出しだし!

「原理は同じ」

「せめてマニュアル見せてください!お願いですから!」

「大丈夫」

ぐっと無表情で親指立てないでください!

ああもう!

俺が操縦席?のような場所に体を固定させる。

戦闘機のパイロットが使うようなヘルメットをかぶるとブンという音がして機体が立ち上がる音と共に様々な表示がなされていく。

すげえなこれレーダーや推力、燃料の残量までこのヘルメットだけでカバーしてるのか・・・

 

えっとこれかな?

それっぽいボタンを押すと左すみに展開された地図に現在位置と動く光点が見える。

誰かが発信機でも持ってるのか?

いや、衛星で追跡は出来るから多分、あらかじめ設定していたんだろう。

ブンという共に拡大映像が映し出される。

衛星からの超望遠レンズみ新幹線の車体。

これが、目的地か

タッチパネルで情報を読み込んでいく。

村上が使ってたのを見たがスマホ以上なのは間違いないなこのタッチパネル。

「どう?」

鈴さんが俺を見上げながら聞いてくる。

「なんとかなりそうですよ」

我ながら恐ろしいもんだ。

いくら多少の予備知識があるとはいえちょっといじっただけで操縦法を理解できるなんてな。

これも姉さんとの旅のおかげ、経験って奴の賜物だ。

隼もそうだが俺、案外ロジの才能もあるのかもな

「ありがとうございます鈴さん!俺行きます」

「まだ行くことはできません」

え?それを聞きながらエンジンに火を入れようとボタンを押し込もうとした瞬間だった。

タアアンと言う音と共に俺の左側を掠めて道路に穴が開いた。

ちょっ!

階段の上にいるのレキじゃないか!

包帯を巻いて俺にドラグノフを向けている。

「レキ!お前は寝てろ!その怪我じゃ無理だろ!」

しかし、レキはよろよろと階段を降りてきながら

「私も連れて行ってください」

「駄目だ寝てろ!」

俺はレキに構わずにエンジンを始動させようとしたが

「連れて行けばいい」

鈴さんは静かに目を閉じて言う。

「り、鈴さんだったら怪我してるレキよりあなたのほうが・・・」

しかし、鈴さんは首を横に振る。

「次代のウルスの未来を決めるのは次代です。風の拘束を解けるかはあなたしだいです優希」

 

ようは、次世代の問題は次世代で解決しろってことかよ・・・

「私は歳に解いてもらった」

小さく鈴さんの言葉が聞こえた。

その時、レキの体がよろけたのかぐらりと階段で傾くのが見える。

危ねぇ!

PADを外して走りながら

「レキ!飛べ!」

声が聞こえたのかレキが石の階段を傾きながらも蹴る。

結果、空中に投げ出されるが俺の方に飛んでくるので

「っと!」

俺は少しジャンプしてレキの体を受け止めた。

レキの顔が目と鼻の先にきたため俺はドキッとしてしまった。

俺はレキをだっこしてから降ろすと

「本当に行くんだな?」

と、確認を取るとレキはこくりと頷いた。

無表情だが絶対についていくと言う覚悟が見える気がする。

「ウルスの忠誠は永久にして永遠。あなたが死地に向かうと言うなら私はどこまでも優さんについていきます」

「それも風の意思か?」

「・・・」

レキは答えない。

どこか戸惑っているのかもしれない。

あの時の笑顔のようにもしかしたらこいつは自分の意思で俺を助けようとしてくれてるのかもしれない。

それはなんとすばらしいことだろう。

「レキ連れて行くには条件がある。絶対に死ぬな。俺も死ぬ気はない」

それだけが俺の絶対条件。

全ては救えなくても俺は何を代償にしても仲間だけは絶対に死なせない

「はい」

よし、そういうならいいよな

PADに戻ると元々そういう設計なのか鈴さんが補助用の固定場所を用意していた。

なるほど、複座なのかこれ

とはいえ、2人目は機体そのもとというよりは1人目、つまり俺に固定される感じだな。

「レキ」

「リン」

互いに目を合わせたレキと鈴さん。

そういえば、2人が会うのって・・・

「私は見つけました。あなたも見つかるといいですね」

「・・・」

レキは頷くことも首を振ることもせずに鈴さんを見ると機体の固定を始めた。

「いいのかレキ?」

ちゃんと話さなくて

「はい」

いろいろと複雑なんだろうなぁ、鈴さんはウルスの里を出た感じだし

「んじゃ行くかレキ!」

レキを固定してから点火のボタンを押そうとした時

「これをもっていくといい」

と鈴さんが何かを渡してきた。

なんだ?

布を解くと出てきたのは白い日本刀だ。

ありがたいな最近金欠で用意できてなかったし

「冬雷、雪羽の刀」

見覚えがあると思ったら・・・

「いいんですかこれ?」

「上げるわけではない。後で返す」

まあ、当然ですかでもこれで

「ありがとうございます鈴さん」

「ん」

少しだが笑った気がするこの人

というか戦闘中と言葉遣いが少しだけ違うから変わるのかな言葉使い。

「ここの防衛は私が責任持ちます」

といって、鈴さんはレミントンM700を背中に階段を上がっていく。

中には雪羽さんが寝てるし、ランパンの襲撃の可能性も0じゃないからな

完全に俺達だけでやるしかないわけか・・・

刀を固定して今度こそエンジンに手を伸ばしつつレキと回線をつなぐ。

こうしないと風で聞こえないしマスクしないと息も出来ないからな。

「行くぞレキ!」

「はい」

レバーを引いてエンジンの出力を上げる。

ドンという爆発音のような音と共にふわりとPADが空に舞い上がった。

軽いなこの機体、というか一瞬で50メートルぐらい飛び上がったし出力も戦闘機に匹敵するぞ

次に機体をVTOLから斜めにしぐいっとレバーを押し込んで操縦根を握ると機体が斜め上に加速しだした。

速度は70キロってとこか

まずは鳴らし運転だ。

ジェット機の音と少しだけ違う何か不思議な音を聞きながら俺たちは京都上空を飛行する。

時刻は昼だからあまり、低空で人に触れるのもまずいか・・・

「上昇するぞ!」

レキの返事を待たずに更に上昇する。

一瞬、星伽神社が見え、遥か遠方に椎名の本家のある山が見える。

高度300まで上がると京都の伝統的な町並みが見えてきた。

さてと・・・

慣らし運転をしながら情報を検索する。

「網膜式のマウスってわけか」

ヘルメットの画面で必要な情報をタッチパネルで検索すると武偵高の生徒が一般人には触れられない掲示板で逐一情報を更新しているのを発見した。

それをレキと一通り読む。

「ん?」

それはほんの偶然に過ぎない。

視界に入った京都武偵病院の屋上に人影があった。

包帯でぐるぐる巻きで松葉杖をついている。

そいつはまっすぐ俺たちを見上げ

「・・・」

親指を俺たちに向けて立てた。

言葉がなくても分かるぜ

「がんばれ椎名、レキ様を頼むだ」

了解だ村上、帰ったら礼は言わせてもらうぜレキを守ってくれてありがとうってな

滞空しているPADを前方に向けて加速させた。

速度を上げていく130キロ150キロ・・・巡航速度が大体この辺りか・・・

戦闘機とは違うわけか

最大は燃料をかなり食うみたいだからな・・・

GPSで確認するとなんとか追いつけそうだ。

慣らしも含めて巡航速度で行こう。

最大で燃料切れで墜落したなんて笑えねえからな

追いつくまでおよそ10分以上はかかる。

少し、話でもするか

「レキ、ちょっと話しいいか?」

加速のGに耐えながら俺が言う。

「はい」

「怪我してるのにこれはつらいだろうから話したくないなら言えよ」

「大丈夫です」

事前の打つ合わせは大切だからな

「俺は水と決着をつける。お前はキンジや秋葉達と合流してチームで戦え」

「・・・」

なぜ黙る!嫌なのか?

「まだ、喧嘩してるのかよお前は・・・秋葉とアリアと仲直りしろ。いいな!」

「・・・」

こ、こいつは・・・

「あのなぁ、なんでそこまで秋葉やアリアを嫌うんだ?」

「・・・づける」

ん?風で聞こえなかった。

「なんだって?」

「あの二人は優さんを死に近づける」

「ハハハ、まあしょっちゅう撃たれてるしな」

「違います」

「あん?」

「風が告げているのです。あの二人といればあなたは死にます。少なくても死に等しい何かがあなたを襲う」

「ようは、あの二人には近づくな。お前と一緒にいろってことだろ?」

「はい」

「そこが分からないんだよな。お前と一緒にいれば俺は死なないのか?」

「私の目的は・・・」

「わぁあああ!」

ウルスの子孫を作ることですと言う言葉を言われそうになるので慌てて遮断する。

そうだったな

「そ、それはともかく武偵は常に死と隣りあわせだ。お前といても危険はたくさんある。現にお前も俺も少なからず死ぬかけたしな」

「・・・」

レキは答えない。

だから、俺は決意を口にする

「心配しなくても俺は死なねえよレキ。いろんなことやらないといけないしな」

だけどと俺は思う。

唯一つの例外はあるんだけどな・・・

それは口に出さないで置こう

「・・・」

結局は堂々巡りだな・・・まあ、今はそれでいいさ

「それとな、レキ。水のことだ」

「はい」

「さっき、意識失ってたとき思い出したんだよ。俺たちは・・・」

そして、その話が終わるとレキは言った。

「思い出しました」

「だよなぁ・・・間違いないか・・・それで水の奴怒ってあんなことしたのかなぁ・・・」

「優さん」

「ん?」

「水さんを憎んでいないのですか?」

京都では俺たちを騙し、あげくは殺しにかかってきた。

実際、一歩間違えれば死んでいてもおかしくはない場面は多々あった。

だけどな・・・

            †

 

水と対峙しながら新幹線の暴風を耐えつつ俺たちは対峙する。

「どうしたの?かかってきなよ優希。早くしないとみんな死んじゃうよ?それとも決め手がないかな?項羽に歯がたたないなら私には勝てないかな?」

「へっ、今までよく騙してくれたもんだ。糞重い重りつけて俺と互角気取ってたんだからな」

「アハハハ、優希に言われたくないなぁ。君もいろいろ隠してるじゃん。刀とかさ」

「切り札はとっておくもんだろ?」

正確には刀はトラウマのせいで昔は使えなくなってただけなんだがな

「だよねぇ。じゃあ、今回も切り札あるの?」

「もちろん」

そういいながら俺は紫電と雪羽さんの冬雷を抜く。

紫と白い刀

そうブラド戦依頼の二刀流だ。

「へー、二刀流。速さで私を上回ろうって魂胆かな?」

さすがっていうかばれてるな。

「まあ、そんなところだ。それより、少しだけ話をしようぜ」

「んん?いいよ」

そこで俺は疑問に思ってたことを口に出す。

「水、お前本気で俺たちを殺す気ないだろ?」

「え?」

意外だったのか水は一瞬目を見開いてからすぐに余裕の笑みをを浮かべる

「アハハ、何言ってるの?一歩間違えればレキちゃんも優希も村上君も死んでたじゃない」

「だが、誰も死んでない。お前、本当は殺す気がないだろ?」

ずっと、疑問に思ってた。

こいつは、いつだって俺たちを殺すことができたはずだ。

ココと撃ち合っていた後、シン達が待ち伏せていた理由。

あそこで待ち伏せる必要はない。

4人全員で一斉に襲い掛かれば全滅していたのは確実なのだ。

殺す気なら東京でココに襲われていたとき見捨てればよかった。

だが、こいつはそれをしなかったんだ。

「水、お前ランパンに弱みでも握られてるのか?だったら俺が・・・」

 

助けてやると続けようとするが水はうつむいて口をにやりと曲げた。

「助けるって続ける気? ハハハ、優しいねぇ優希。でも、私がランパンにいるのは私の意志。殺せなかったのはそうだね・・・迷いがあったのは認める」

「ランパンに俺を誘う理由もその迷いに関係あるのか?」

「そだね。この際だから言おうかな。私の目的はね優希。私の母国。中国を一度破壊することだよ」

「解放戦争でもする気かよ?」

そのために手ごまがいるってことか?

「違うよ優希。何も表の世界から変える必要はない。私はランパンを完全に掌握して裏側から国を壊す」

表が政治の世界なら裏は違う力が渦巻く世界だ。

アメリカでも大統領が表の世界ではナンバー1だが裏に影の存在がいる。

それが、裏社会。

日本だって俺の実家や武田といった影の社会が存在している。

確かに、裏社会を完全に掌握すれば表をぶち壊すことは不可能ではないだろう。

そのためには、単独での実力者の数は重要だ。

水が強いと言っても一人では裏社会を完全に掌握するのは不可能に近い。

「もう一度言うぞ。俺はお前の仲間になる気はない。大人しく投降しろ」

「だろうね。君は私の弱さだから・・・ね」

弱さ・・・俺達を殺せなかった理由。

「弱さか、俺とレキが昔、お前を助けたことのことか?」

「え?」

水は再び驚いたように俺を見る。

「覚えてたの?」

「いーや、忘れてたさ。だけどなさっき夢で思い出した」

「夢ね。ひどいなぁ。私はずっと覚えてたのにな」

「水、お前あの後何かあったのか? 話してみろよ」

国をぶち壊すなんて発想はよほどのことがないと言わないだろう。

それほど、国を憎む何かがあの後あったとしか思えない。

「・・・」

水は少し悲しむように目を落としたがやがて口を開いた。

 

「そだね・・・話してあげるよ優希」

それは、悲しい過去の話

 




凰 水

 身長176センチ

武器 根 青龍偃月刀

髪型 背中の下の方まで伸びる黒神をゴムで縛ってある

性格 明るいが腹黒い

所属 ランパン

補足
 ランパンの戦士、万武、覇王等の名称を持ち武では世界最強クラスの実力者。
第2人格覇王項羽を持つが今では彼女の実力は覇王を超えている。
以前日本に潜伏していた期間もあったが目的は不明。
彼女の目的はランパンのトップに立ちそれを足がかりに裏社会を統一し中国を内部から崩壊させることにある。
その詳しい理由は次話。

緋弾を守るものの作中では両手が使えた頃の雪羽と互角の実力

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