緋弾のアリアー緋弾を守るもの   作:草薙

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第191弾 レキデート京都編前編

結局、アリア達との仲を修復することも出来ずに俺達は修学旅行当日を迎えてしまった。

つうか、秋葉・・・気配はするのに姿を表さないとか忍者かお前は・・・

だが、その秋葉も今はいない。

護衛を兼ねてアリア達と行動してくれとメール送ったんだが返答は

「そんなにレキさんと2人きりになりたいんですね」

だった。

誤解だと言い訳したが結局、秋葉はアリアに付いてくれたみたいだな。

場所は京阪神に現地集合、現地解散

1日目、京都にて社寺見学すること、最低3箇所見学し後にレポートを提出

2日目・3日目は自由行動、大阪か神戸の都市部を見学しておくこと

なんていい加減なしおりなんだか・・・

こうなったら、京都でも好きにやらせてもらおう。

「ついたー!」

とハイテンションに京都の空に右手を突き上げた俺、現在時刻は午前9時だ。

東京から2時間ちょい、早かったなぁ

「・・・」

レキは黙って俺の横にいる。

「んじゃ行くか?」

「はい」

とはいえ、移動手段は必要だ。

だが、俺はアルティメットスポーツをここに手配してある。

「優見つけたで」

「時間丁度だな虎二」

俺が道路の方を見るとヘルメットを外しながら俺の友達月島虎二が歩いてくる。

「依頼やからな。ほれ」

虎二から俺の愛車、隼のキーとヘルメットを受け取る。

「ご苦労さん。後はハイマキ頼む」

「その狼ややろいいで」

実のところ、俺は虎二にクエストを依頼していた。

レキの洗脳をとくために修学旅行を利用する。

そのため、レキと2人だけで修学旅行をしようと考えていたのだ。

悪いなハイマキ、後で魚肉ソーセージおごってやるから許せ

不満そうな顔をしたハイマキを見ながら俺は思った。

これは、レキも了承したことだ。

俺がだめもとでハイマキ抜きで2人で修学旅行したいとい

ったらレキは以外にも了承したのだ。

とはいえ、東京にハイマキを置いてくる案は却下で、泊まる予定の宿にハイマキを第三者に待機させておくと

いく条件だ。

俺はハイマキに首輪をつけてリードを虎二に預ける。

「にしても優また、女変えたんか? 理子さんはどうしたんや?」

「人聞き悪いこと言うんじゃねえよ! 理子はただの、友達だ」

「ってことはそのレキさんがお前の本命なんか?」

ああもう!めんどいから説明省いたのは失敗だったな

「いや、レキはな」

「優さんは私の許婚です」

っておいレキ!

「い、許婚やて!おい、優お前どんだけ・・・」

「い、いいから行くぞレキ!」

ややこしくなりそうだったので俺はレキの手を引いてヘルメットをかぽっとレキの頭に載せると隼に乗ってエンジンを

かける。

世界最強クラスのエンジンが唸りをあげる。

よし、これで京都での移動手段は確保できたな

「・・・」

後ろに座ったレキが黙って俺の腰に手を回してくる。

う・・・これはちょっとどきどきするんだよな・・・

いくら、レキが俺に本気の愛がないと分かっててもな・・・

思春期の男の子なんてそんなもんだろ?

虎二とハイマキを背に俺は隼を発進させた。

              †               

とりあえず、寺を3つは回らないといけないらしいが間違いなく学校の連中と遭遇するだろう。

ならば、変装が必要だ。

京都は新撰組の影響で時代劇のコスプレをする場所がたくさんあり、その姿で歩いていても変な目で見られたり

しないありがたい状況がある。

俺は適当に店に入ると

「修学旅行なんでぜひ、時代劇の気分を味わいたいんです。服は任せたいんですが」

と店のお姉さんに言ったら

「ままま! 腕が鳴るわ」

と妙に張り切ったお姉さんに言われるまま服を着たんだが

「なんでやねん!」

虎二の言葉が移ったように俺は言った。

なぜなら、俺の格好は化粧こそないが舞子さんに近い格好だ。

「いけませんか?」

「駄目だって!」

俺は近くにあった違う服を物色していると

シャッとカーテンが開く音がしたのでそちらを見る。

「・・・」

無表情なんだが・・・おい、レキ・・・

「か、神が舞い降りたわ!」

店のお姉さんも驚愕している。

そう、レキがしているのは新撰組の水色の羽織だ。

腰には模造の日本刀、

肩のドラグノフが激しく違和感だが額の防具には誠

さらに、袴をはいているレキ

こ、こいつ男物も似合うとか思ったがなんていう似合い方だ。

「・・・」

言葉を失っていると店のお姉さんがカメラを持ち出してきて

「記念撮影いかがですか?」

といって俺(女装)とレキ(新撰組の格好)の写真を撮ってしまった。

後で送りますと住所を書いて店を後にしたがって俺の格好は変えたからな!

レキと並べたわけじゃないが新撰組の黒いはっぴだ。

返り血が目立たないからとこちらが好まれたらしいな。

んで、隼で新撰組の格好で向かった先は壬生寺だ。

個人的知り合いの2人が新撰組の子孫なのでこちらに興味を持った。

まあ、あの時代の沖田はステルスがあったわけじゃないが・・・

Rランククラスがいれば明治政府軍は勝てなかったろうしな。

「へぇ」

新撰組は元々、俺は結構好きなのだ。

レキを連れて寺の資料を見て回る。

理子の曾おじいさまのルパン3世やアリアのシャーロックもすごい奴だとは思うがやはり、知り合いの先祖には

特別な感傷がわくものだ。

土方さんの先祖、土方歳三1世は優秀な指揮官だった。

五稜郭の戦いでも彼の率いた部隊は政府軍の突破を許さなかった。

姉さんの偉業が表に出すぎているため目立たないがとある国を救ったのは土方さんの指揮があったからとも言われているのだ。

「やっぱり土方さんはすごい人だな」

と俺がつぶやく。

「・・・」

レキは無言

だが、知り合いのチームメイトの先祖には多少なりとも興味があったのか資料を目で見ていた。

途中、新撰組の誠の旗を背に、写真撮影を旅行している人にせがまれたりしたので寺を後にする。

次に向かうのは晴明神社だ。

我ながら興味だけの考え方だが信冬のあの術も陰陽道が関わっているらしいので来た訳だが新撰組とは違い

ステルス関連はよく分からんな・・・

結局、晴明神社はすぐに後にする。

安部家といえば日本でも椎名や武田と並んで名家だったが没落し、今ではその子孫はいないはずだ。

さて、11時だが最後の一つも回っちまうか

最後に訪れた寺は清水寺だ。

京都にきたらここは外せないだろう。

うお、高い

清水の舞台から飛び降りるという言葉があるがこの高さは死ぬだろう。

「レキ、飛び降りてみたらどうだ?」

と冗談交じりに言うと

「はい」

と1歩踏み出したので俺は慌てて腰に抱きついた。

「や、やめろレキ!冗談だ!」

そして、そこをクラスの女子に見られてしまい

「ねえ、椎名レキさんに抱きついてない?」

「うわぁラブラブだ」

「くそぅ、椎名死ね!」

などと聞こえてきたので

「い、行くぞレキ!」

どうやら、新撰組の格好は変装の意味を成さなかったらしい

隼で清水寺を離れながら時計を見ると昼過ぎか・・・

どうしようかな・・・

一応ノルマの3つの寺や神社は回ったからこれからは自由時間だ。

レポートは新撰組のことを書くとしてこれからの時間はと・・・

レキと遊びに行くかな・・・

うーん、アリアや理子達がいたら虎二達誘って神戸で遊んだりするんだが今は現実的じゃねえな・・・

あ、そういや虎二アリアに惚れてたな。

間違っても紹介してやらんプリンめ

と信号で隼を止めた時

「優さん今、違う女の子のこと考えてましたね?」

と移動用に設置しているヘルメットのスピーカーからレキの声が聞こえてきた。

な、なんでわかった?

「アリアさん達のことですね?」

「な、なんこことだ?」

「ごまかさないでください」

「ま、まあな」

腰に手を回された手が圧力を増した気がしたが言われたので緊張しながら言う。

「私だけを見て他の女の人には近づかないでください」

無茶言うなよ怒ってるのか?

「お、怒るなレキ」

「怒ってません」

嘘をつくなおい!

「怒ってるだろ!正直に言え」

「いいえ」

まだいうか、というかやきもちみたいなこと言うのはおかしいだろ!お前は俺のこと好きでなく

風の洗脳に従ってるだけじゃないか

「私は怒ることはありません」

え?

「優さんも私のあだ名はご存知かと思いますが」

「ロボットレキか・・・」

「はい、人並みに感情を抱くことはありません。風は人の感情を好みませんから、だから、私はあの日から怒ることはありません。

笑うこともありませんし泣くこともありません」

そのあの日からという言葉が俺は気になった。

「レキ、あの日って?」

「あなたと別れたあの日から」

とレキはつぶやくように言った。

やはり、過去か・・・

俺にはレキと会ったという記憶が抜け落ちている。

その間に何があったかは分からないがそれを抜きにしてもレキ・・・お前は人間だよ。

不機嫌そうな感情は読み取れるし、まるで感情がないなんて嘘だ。

レキ、お前は洗脳なんて解き放たれるべきんなんだよ。

それをとくためには日本で一般的な生活を遅らせる必要がある。

うーん、どうするか・・・

時間もあるし・・・そうだ!

「よし、レキ神戸行こうぜ!」

「?」

レキが首をかしげる。

「遊びに行くんだよ。前に行った時は時間がなかったからな。俺の土地勘もある場所だし・・・」

明らかに不機嫌だったレキの空気が少し晴れた気がした。

「はい」

                 †

基本的に俺が神戸にいた頃、服を買うときは須磨にあるアウトレットに行くことが多かった。

あそこは、トレーニングウェアなどいろんなものがお手軽な値段で揃ってたからな

「久しぶりだな神戸!」

三宮で隼を預けてから俺はレキと歩きながら言った。

「・・・」

レキは相変わらず無言だ。

フフフ、女の子を喜ばせるには服を買ってあげることだ。

修学旅行は金に糸目をつけないということで俺は大量の金を用意してきたのだ。

にしてもどうするかな?

「レキ、着たい私服とかあるか?」

ふるふるとレキが首を横に振った。

了解だ。神戸だから武偵高制服の姿に戻ったレキを見て、俺はレキに私服を買おうと決断した。

浴衣は買ってあげたが今度はちゃんとした私服だ。

三宮はおしゃれな服を扱う場所は結構多い。

どうするかなと俺が思っていると

見慣れた店が見えた。

あそこか・・・まあ、いいか

と中に入る

「いらっしゃい・・・って優ちゃんじゃない!」

「こ、こんにちは」

おかま風に化粧をふんだんに使ったマッチョなオカマが頬を押さえて言った。

「ご、ゴリさん久しぶり」

「いやんゴリなんて! ひろみってよんでん!」

「ひ、ひろみさん」

「あん、てれやさんね」

誤解ないように言っておくがここは服屋だ。

それもかなり、センスがいいな。

中学1年のとき虎二と迷い込んだこの細路地の店『ノルマンディー』は男、女物の服を多数そろえており

店長のひろみさん(男)は世界トップクラスのセンスの持ち主として有名人なのだ。

だが、店内ががらがらなのはこのひろみさんおかまだからな・・・

「優ちゃんさびしかったわ!なんで東京なんていったのん?」

と俺を抱きしめてひげをじょりじょしてきた。

「や、やめて!ゴリさん! 今日はちょっと用事があってきたんだよ!」

「用事? んまあ!まままま!その子なの用事って!」

ゴリさんはレキを見て顔を輝かせた。

「えっとまあ・・・」

「やるじゃない優ちゃん」

ばんばんと背中を叩かれ俺はむせた

「げほ!ゴリさん?」

「察するに修学旅行でしょ? 彼女に服をプレゼントしたい! その心意気買うわ!あたしに任せて頂戴

最強のプレゼントを用意するわ」

「ご、ゴリさん?」

「さあ、あなた来なさい!優ちゃんのプレゼントあたしが選んであげるから!」

と、レキが試着室に放り込まれ、ゴリさんが服を渡している。

大丈夫かな?

実はゴリさんことひろみちゃんは趣味で裏路地で服屋を開いている。

その道では有名で芸能人もたまにこの店に顔をだすほどの有名ぷり

防弾使用の服も扱うので武偵にも人気のお店なのだがいかんせん場所が分かりにくいため

来るのは結構大変な場所にあるのだ。

神戸に限らず大都市には大なり小なりそんな店が存在するののである。

「あなた名前は?」

「レキです」

「まあ、かわいい名前ね!スリーサイズ教えて頂戴」

「150センチ、41キロ、76センチ、50センチ、73センチです」

とひろみちゃんとレキの声が聞こえてくる。

「んまあ!顔もかわいいし優ちゃん金の卵捕まえたわね!任せて頂戴!あたしが最強の服を選んであげるわ」

だ、大丈夫なのかな?

センスは信じてるが嫌な予感がするぞ

レキが着替えている間に秋葉にメールを打っていると

「できたわ完璧よ!」

とひろみちゃんがレキを連れてやってきた。

「ちょっ!」

俺は1歩後ずさる。

どうやら、史実でありえなかった日本海軍の女子の軍服をアレンジしているらしく超短い白いスカートに白い軍服のような

デザインの上着、ご丁寧にブーツまで白に統一されたレキの姿は

似合いすぎだお前!

スカートが短すぎて銃剣の一部がケンチラしてるぞ。命名は武藤だ。

レキは無表情で突っ立っているが俺の目が気になったのか自分の姿を見ている。

髪も無理やりポニーにしてるし・・・

「んもう優ちゃん。だらしない顔ね。この子こんな服似合うのよね」

「ご、ごりさん似合ってますけどもっと、普通の服を」

と要望を伝える。

「まあ、優ちゃんたらもっとかげきなのをお好み?夜のダンスにはこういうのもいいわよ?」

夜のダンス?

キンジよりはそういった知識のある俺は俺とレキがそういったことをしている姿を今のレキの姿のまま想像してしまい

「うわあああああ!」

がんがんと壁に頭を打ち付けた。

おちつくんだ俺!

「うぶねえ優ちゃん。あなたも大切にしないと駄目よ。レアなんだからこんな子」

「・・・」

レキは何も言わないな・・・

「しかたないわねん」

とゴリさんが視界から消える。

よかった・・・

「優さん」

先ほどの格好でレキが布団の上に立った姿を思い浮かべて俺は頭を壁にたたきつけた。

「うわあああ! 煩悩退散!煩悩退散!」

壊れ気味だが実際女の子の暮らすプレッシャーは半端ないのだ。

その後、いろいろな服を見せてくれた。

理子が着るようなゴシックロリーターや、中国風のチャイナ服、着ぐるみのようなトナカイの服

RRRの連中なら悲鳴をあげて写真をとるだろう服を見ながら俺は考えていた。

特に、ゴシックロリーターだが、結構似合っていた。

レキの先輩リンさんは私服では子の服を着ていることが多かったそうだ。

理由は武器をたくさん服に忍ばせられるからだそうだが・・・

「次が本命よ」

というゴリさんの言葉に顔を上げる

きちんと薄化粧してもらい、剥いた髪をセットし、ノースリーブの白いワンピースを着たレキ

「う・・・」

か、かわいい

素直にそう思ってしまう。

元々、レキは美人だとは思ってたが化粧と服だけでここまで変わるのか・・・

「・・・」

レキは無表情だが鏡をみるその顔は満足げに見えた。

これは、男として買ってあげなくてはならないだろう

「ひろみさん。この服いくら?買うから」

「んふ、ただでいいわ」

「え?でも?」

「変わりにまあ、きて頂戴。彼女を連れてね。約束よ」

「は、はい」

結局、ただでその服をもらった俺達は店を後にする。

「・・・」

白いワンピースの私服を着たレキ・・・

「・・・」

「・・・」

は、恥ずかしいぞ・・・

というか・・・

ちらりとレキを見て頬が熱くなるのを感じた。

や、やばいぞ・・・

アリアの失恋したばかりだというのに俺ときたら・・・

「?」

私服姿のレキが俺を見てくる。

その姿すらかわいく見える。

俺はレキのことが好きになってるのか?

ならば、このままでも問題はないということになる・・・

だけど・・・

(お母さん・・・)

母親の亡骸にすがりついて泣いている秋葉が頭に浮かんだ。

そうだ・・・な・・・あいつの幸せを見るまで俺は・・・

 

 

 


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